1.日時

平成28年10月4日(火曜日)14時~16時10分

2.場所

アルカディア市ヶ谷(私学会館) 6階 阿蘇の間

3.出席者

(委員)

天羽 稔 委員、片峰 茂 委員、清原 正義 委員、小林 雅之 委員、小林 光俊 委員、佐野 元彦 委員、高柳 元明 委員、土屋 恵一郎 委員、西原 政雄 委員、南 砂 委員、山本 健慈 委員、横尾 敬介 委員、吉田 文 委員

(JASSO)

遠藤 勝裕 理事長、髙橋 宏治 理事長代理、米川 英樹 理事、大木 高仁 理事、吉田 真 理事、谷合 俊一 政策企画部長、皆川 秀徳 財務部長、藤森 義夫 奨学事業戦略部長、頼本 維樹 学生生活部長 ほか関係役職員

(文部科学省)

井上 諭一 学生・留学生課長、籾井 圭子 学生・留学生課留学生交流室長

4.議題

・給付型奨学金制度について
・新所得連動返還型奨学金制度について
・障害学生支援を取り巻く状況とJASSOや学校等の取組について
・平成29年度概算要求について

5.議事次第

6.配付資料

7.議事録

資料に基づきJASSO側から説明を行った後、意見交換が行われた。概要は次のとおりである。
 (○=委員、●=JASSO、■=文部科学省)

○給付型奨学金は、資料の3ページにある「学生支援の状況」についてのイメージ図のうち、どこに位置付けられるのか。赤い点線枠内の「低所得世帯」が対象という理解でよいか。

●この「低所得世帯」のうち、成績基準を満たしている者が、主な対象者になる。具体的な成績基準については、様々な議論があろうかと思う。低所得世帯で成績基準を満たさない者については、平成29年度の概算要求で、低所得世帯の子供たちに係る無利子奨学金の成績基準の緩和について事項要求しているところであり、無利子奨学金の貸与人員の増員で対応していくと聞いている。

○つまり、現在の無利子奨学金の収入・所得金額の上限額よりも、さらに低い所得の層をターゲットとしており、そのうち、成績が上位の者が、給付型奨学金の対象であるということか。

●大きな流れとしてはそのように聞いている。ただし、成績だけで採否を決定することについては議論があり、例えば、高校1・2年次は成績が思うように伸びなかったが、3年生になり急激に伸びる生徒等、何か光るものを持つ子供たちも救えるような仕組みも検討中だと聞いている。

○高校3年生になってから急激に伸びた生徒や、高校では優れた成果を収めていないものの、進学後に活躍が見込まれる者を高校からの推薦という形で給付型奨学金の対象とすることについては、給付型奨学金制度検討チーム(以下「検討チーム」という。)で議論しているところ。ただし、これは制度全体の規模や財源に係る重要なポイントであり、推薦による採用者を増やせば、収入・所得金額の上限額を低くせざるを得ないという問題がある。その辺りのバランスを取るのが難しく、現在、最も議論しているところ。

■委員のご説明と同じになるが、基本的には、低所得世帯の救済が前提としてあるが、学生等の努力を促すという観点も必要であり、一定の成績要件は取り入れなければならないと考えている。ただし、家庭の経済状況と子供の成績が比例しているという場合もあるため、成績だけを要件にするのではなく、学校推薦方式も併せて取り入れるべきではないかという点について、議論されているところ。

○給付型奨学金の創設と大学の授業料免除制度は、何か連動しているのか。高等教育における諸制度の全体について理解したい。文部科学省としては、どのようにお考えになっているのか。

■授業料の減免制度は、国公立大学と私立大学では状況が異なる。また、専門学校においては減免制度がない。このように、国公私専門学校のそれぞれで異なる減免制度は、公平性の担保が難しいため、大きく変えることは非常に困難であり、給付型奨学金の創設と完全にリンクさせることは難しかろうと思う。ただし、給付額については、一定程度の検討の余地はあると、現状では考えている。

○ご検討をよろしくお願いしたい。

○給付型奨学金や無利子奨学金の基本的な考え方として、経済的弱者の救済や国民の格差是正がある。それらに加えて、現政権が一億総活躍社会を掲げているとおり、国民全体の底上げという観点も入ってくるかと思う。特に、この人口減少社会において、一人でも多くの子供たちを救済し、また、子供たちがしっかりと学び、社会に出て活躍することで、生産性向上等に結び付けていくという考えも背景にはあるだろう。このような観点を念頭に置いて、学生支援に取り組んでいただけると有り難い。

○子供の貧困については、小学校・中学校・高等学校においても、大きな問題となっている。教育には貧困の連鎖を断ち切る力があるはずであり、教育の役割はそこにあると思う。経済的困窮家庭の子供たちが負のサイクルに陥るのではなく、教育を受け、学び修めて能力を高めることで、負のサイクルから脱することを、しっかりと支援していくことが重要である。給付型奨学金の創設については、是非、強力に推進していただきたい。知識・技能の定着・反復ということも重要だが、新しい学力観と言われる2つの資質や能力が総合的に重要であるということ、あるいは、最近よく言われる非認知能力が一人一人の人生にとっては重要であること等を考えると、是非、成績基準だけではなく、学校の推薦書や調査票、本人の志望理由書のような書類にもきめ細かく目を通していただき、幅広い観点で修学意欲があり、動機付けさえ与えれば継続して取り組んでいけると判断できるような子供たちを採用していただきたい。JASSOの業務が増えることになるかと思うが、切にお願いしたい。

○学生支援や子供の貧困等に光が当たってきたことは、大変喜ばしいことである。しかし、学生支援を拡充しようとする場合、その財源は、他の予算が削られて回ってくるだけである。先日の国会においても、他の予算を削らずに、教育予算を増やしてほしいという議論がされていた。教育予算全体のパイが増えなければ関係省庁もJASSOも我々も打つ手がない。本日は、様々な団体の方が一堂に会しているが、当事者である我々が、全体のパイを拡大させるように知恵を絞り、尽力することが必要だと改めて思っている。それぞれが、来年度予算の確保に向けて、様々な働きかけを行っていくと思うが、予算を取り合うだけではなく、教育に係る予算全体が増えるような形で主張していきたい。共同で、様々な働きかけができれば良いと思う。

■文部科学省としては、全体の予算が増えるように努力をしているが、皆様におかれましても、是非支援をお願いしたいと思う。予算の拡大を要求するからには、様々な取組や工夫をしているという努力も見せていかなければならない。教育関係経費全体として伸ばしていくためにも、尽力してまいりたい。

○給付型奨学金や新所得連動返還型奨学金(以下「新所得連動」という。)の導入という、積極的でアクティブなプランには大賛成である。ただし、国立大学と私立大学とでは国による支援に格差があるにも関わらず、本日の議論の中では、等し並みに扱われている。私立大学と国立大学の国による支援の格差は、今後、どのような形で是正されていくのか。また、低所得世帯の学生を受け入れていくのであれば、授業料そのものを変動型にしていかなければならないと考える。例えば、アメリカのレガシー入学のような仕組みを導入し、OBから高い授業料を徴収する一方で、学費を全額免除する学生数を増やすなど、自助努力で低所得世帯の学生を救済したいと考えているが、現在の大学の入学制度では認められていない。

■文部科学省としては、国私間の格差是正を目指しているが、本件については、高等教育局若しくは文部科学省全体で検討していくべきことだと認識している。ご意見を持ち帰り、関係部署等に共有させていただく。

○給付型奨学金の所得基準は、多子世帯のケースについても検討してあるのか。家庭にとって、2人目や3人目を高等教育機関に進学させることは、大きな負担となる。

■現在の貸与型の奨学金制度においては、多子世帯については、控除制度が取り込まれており、優遇されるようになっている。現在、検討チームによる議論においても、多子世帯に何らかの考慮をすべきではないかという意見が出ており、その方法については、引き続き検討してまいりたい。

●文部科学省からのご説明のとおり、現行の貸与型奨学金は、多子世帯に配慮された制度となっている。給付型奨学金の制度設計においても、何らかの配慮がなされると思っている。

○制度を設計する際は、当然ながら、様々な点においてメリット・デメリットを踏まえる必要があるが、やはり、最も重要なことは、修学意欲のある学生が安心して学習できる環境を整えるということを第一に考えることだと思う。例えば、私は、3.5というアベレージ的な成績要件には違和感がある。数学は群を抜いて優秀であるため5であるが、英語は苦手なため1しか取れない人がいたとして、この人の成績は平均3となり、成績要件の3.5をクリアできないことになる。この例は極論だが、このような生徒も積極的に救済できるような制度設計をお願いしたい。平均点の人間をつくるのが良いとは決して思わない。5段階評価で4.9や4.8を取る人は当然素晴らしいが、これから必要なのは、平均点ではなく、非常に優れた何かを持っている人を、より伸ばしてあげられるような環境である。他の委員が「国民全体の底上げ」という言葉を使われていたが、そのような観点についても是非考えていただきたい。

■学校推薦方式をいかに導入していくかという点が、最も難しく悩みどころである一方、給付型奨学金制度のポイントになってくるだろう。生徒のことを一番良く見て、理解できているのは学校の先生だと思うが、学校推薦方式を導入するからには、ある程度透明性を持った基準を設けなければならない。現在、検討チームにおいて、鋭意検討しているところである。

○財源の問題については、別の視点から考えることも必要ではないか。例えば、私どもの大学では、医学部設置にあたって、医学部限定の修学資金制度を創設した。就職先の医療機関等に一定年数勤務すれば、その医療機関等、要するに本学の卒業生という人材の供給を受けた先が修学金を返還する、つまり、学生本人にとっては返還免除になるという制度である。就職先の企業が高等教育機関における人材育成費用の一部を負担する意味で、奨学金の一部を支払う制度等があっても良いのではないか。

○秋田県では、県内企業に就職した新卒者等を対象とした最大で3年間で約60万円の支援を受けられる奨学金返還助成制度を創設したところ。これは、秋田県育英会の奨学金だけでなく、JASSOの奨学金も対象となっている。秋田県のみならず、地方は人口流出が非常に問題になっており、地方の中小企業は人手不足かつ採用困難な状況に陥っている。人材確保と若者が地元へ戻ってくるための社会貢献・地域貢献的なものとして、我々企業が協力して、地方自治体が実施している奨学金返還助成制度に上乗せして支援をしようと、地元企業に働きかけているところ。このような動きは、今後、各地方に広がってくるだろう。また、従業員の奨学金の返還を支援する企業に対して、助成する自治体もあるようである。奨学金返還に対する助成について、これからの社会の仕組みとして、様々な手法を検討していく必要があると思う。

●地方創生の推進のため、現在、全国11の県で、地元企業に就業した方の奨学金返還を支援するための基金が設置されている。これは、「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を受けて出来た仕組みであり、財源については、地方創生交付金という形で、別途その自治体に交付される。委員からご紹介いただいたような取組が全国で推進されるよう、JASSOとしても、様々なところに働きかけをしているところ。

○私どもとしても、地方創生には力を入れていきたいと思っているし、給付型奨学金の創設については大賛成である。貧困問題若しくは格差是正問題において、国民が負のサイクルに陥らないように、是非このような制度は導入していただきたい。ただ、その一方で、給付型奨学金の予算を捻出するために、他の予算が削られるのではないかという心配の声もある。日本は長年、GDPに占める教育機関への公的支出がOECD加盟国で最下位であった。最近公表された2013年のデータでも、依然として33カ国32位という低い結果であり、教育費全体については、まだまだ力を入れていかなくてはならない分野だと感じている。また、制度設計において気になることは、貸与や給付に関わらず、奨学金制度の運営を続けていくために、貸与者や受給者のモニタリングをどのように行っていくのかという点である。親が奨学金を生活費に使ってしまうという報道を見たが、そのような状況は、将来的に延滞や貸し倒れに繋がってしまう。特に給付型奨学金は、返還不要であるため、どのようにモニタリングして制度運用していくか、工夫が必要だと思う。

●奨学金の使途については、特段制限を設けていないが、ご指摘についてはおっしゃるとおりである。使途の調査は難しい面があるが、JASSOでは様々な調査を実施しており、それぞれの調査結果から使途について調査・分析することは可能だと考えている。給付型奨学金の使途については、なおさら問われることが多くなるかと思うが、文部科学省からコメントはあるか。

■実際に使途をフォローしていくのは、難しいかと思う。実行上、どのようなことができるのか、JASSOとよく検討してまいりたい。

○「有利子から無利子へ」という流れは推進していただきたいが、有利子奨学金の運営方法について申し上げたい。このマイナス金利下においては、有利子奨学金の利率の下限を現在の0.1%からさらに下げることが可能なのではないか。

●JASSOの有利子奨学金の金利は、財政投融資の調達金利と連動している。ご指摘のとおり、現在の財投の下限金利は0.1%であるが、今回の補正で0.01%に引き下げられる予定となっており、自動的にJASSOの有利子奨学金の金利についても、0.01%に下がることになる。

○国の財政を考えると、予算全体は少しずつ減らされていくだろう。その場合、他の委員もおっしゃっていたように、学校や民間企業がその不足前を補うために、どのような工夫ができるのかが重要になってくる。日本の大学は、欧米の大学に比べると、寄附金や民間企業から入ってくる金額が非常に少ないため、財政面では国に頼るという形が基本的な在り方なのかもしれないが、個人的にはその在り方を見直して、民間企業も高等教育機関の運営に協力していくことが必要ではないかと思う。

●奨学金事業においては、一概に予算が減るとは考えにくい。有利子奨学金は、財政融資資金や民間資金を借入れて運用している。学生が在学している間は利子が付かないようにするため、利子補給金という国費が投入されてはいるが、基本的には国の予算とは直接連動していない。現在は、「有利子から無利子への流れを加速する」という方針の下、無利子奨学金が拡充されてきており、更に給付型奨学金が創設されるとなれば、国からの予算は増えていくのではないかと考えている。

○3.5という成績要件は、少し低いように感じる。4点程度はないと「奨学金」とは言えないのではないか。定量的な評点を上げる一方で、学校からの推薦という定性的な評価も併せて提出していただく方が良いのではないかと感じた。平均点で判断しないというご意見については、私も同感である。

●成績要件については、様々な議論があろうかと思う。確かに昔は、育英の観点、要するにメリットベースの色彩が濃かったが、対象者が拡大するにつれ、奨学の観点であるニードベースにシフトされてきている。しかしながら、ご指摘のような視点は、引き続き持ち続けることが重要であると認識している。成績基準の在り方については、文部科学省と相談しながら、絶えず検討を続けてまいりたい。

○国が置かれた状況、特に財政状況、国際状況等を考えた場合、今後、様々なことが上向きになることは観測しにくい。教育や社会保障問題については、豊かな時代の時に、様々な取組を行っておけばよかったと思うことばかりである。特に、本日の議論にも上がっていた財源に関しては、教育費が大事であることは皆が共通認識として持っているし、給付型奨学金についても、学生達をあまり縛ることなく、真に修学意欲がある人が利用できる制度になることを望んでいるところだが、何か別の予算を削減しないと実現できないというのもおかしな話である。日本の全体像を見た場合、高等教育機関は数が多すぎる。人口が減少しているにも関わらず、今もなお学部や学科の新設に係る申請が後を絶たないと聞く。この議論を進めるためには、まずは高等教育機関の適切な数についての議論に切り込むことが重要なのではないか。
  また、JASSOが行う事業として、留学生支援事業は、奨学金事業と比較すると、目が向きにくい現状になっているが、この不透明な世界情勢の中で、これまで留学生をしっかり育成してきたことを再評価すべきだと思う。「留学生30万人計画」と聞いた時は、おびただしい数だと思ったが、現在既に20万人を超えているので、これに手を緩めずに、日本で就職を希望する留学生にはしっかりとした就職支援も行い、中からも外からもグローバル化することが非常に大事である。事業仕分けによって、留学生宿舎の売却が決定され、現に売却された宿舎もあるが、一度売却した宿舎はもう戻すことができない。政治の事情で、一貫した政策をとれなくなることは、今後はないようにしていただきたいと願う。
  最後に、障害学生支援に関して、精神障害が急増していることは大変気になるところ。これまでは精神障害を「その他」でカウントしていたことが理由であるとの説明があったが、今の学生全体に影を落としている問題だと思う。障害の程度によっては、学業に専念する状況にない学生もいるかもしれない。精神障害の問題については、その辺りを含めて、丁寧に精査していただきたいと思う。

●高等教育機関の数が多い一方で、日本の大学進学率は、欧米よりも低いという状況もあるが、この数の問題について、委員の皆様からご意見をいただきたい。

○18歳人口だけを見れば、確かに高等教育機関の数が多い状況ではある。しかし、問題なのは、日本の学び直しの学生が欧米に比べて非常に少ない点であり、その問題点をカバーするため、今年の5月に中央教育審議会が、実践的な職業教育を行い、かつ国際通用性のある新たな高等教育機関として、専門職業大学(仮称)を制度化するよう、文部科学大臣に答申したところ。要するに、社会人が学び直しによって、より高い技術・知識・能力を身につけて、社会に還元していくことを津々浦々でやっていかないと、一億総活躍社会にはならない。先程、日本はOECDの中でも教育費の公的支出額が非常に少ないという話があったが、職業教育支援若しくは高等教育支援を充実していかなければ、日本全体の活性化や所得向上、GDPの増加は見込めないのではないかと思う。基本は人材の活性化であり、国には、国としてどこまで人材教育投資に取り組むかを考えていただかなければならない。文部科学省やJASSOを初めとして、皆様の理解を得て、そのような提言を出していくことも重要だと思っている。それから、弱者を切り捨てることは良くない。経済的な弱者であっても、修学意欲がある者は、しっかりと支援をしていく。今や偏差値や成績で人をはかる時代ではない。それぞれが持っている能力を、それぞれの分野でしっかりと活かしていく、そして、それを教育していく制度を整えていく。これらを支えていくのが、奨学金の一つの大きな役割だろうと思っている。

○根本的な問題をご指摘いただいたと思う。2020年から18歳人口が減少していく中で、日本の高等教育機関の適正な規模については、非常に大きな議論である。日本の大学進学率は、世界と比較すると決して高くはない。約55%で高止まりしており、現在は減少しつつあるという状況に加えて、18歳人口も減少する。この辺りについて、文部科学省ではどのように考えられているのか。高大接続システム改革の最大の議論の一つでもあるが、大学全入時代になってきたことで、高校生のボリュームゾーンと呼ばれる学力中間層が勉強しなくなっている。高校生が活性化し、知識や技術だけでなく、協調性や表現力等の「生き抜くための力」も含めモチベーションを持って学ぶことが高等教育にもつながっていく、学びに対する態度を大きく変えることで入試や高等教育の在り方も替えるというのがポイントになる。高い志を持った学生への支援について、民間も含めて、国がある程度責任を持っていただくことが非常に重要であると考える。

○サプライポイントが多いことは高等教育機関に限らず、日本の様々な業種に言えることだろう。それぞれが全てのサービスを提供しようとするため、機能分担と連携が進んでいないのである。例えば、アメリカのコミュニティカレッジのような役割は、日本の場合はどこが担うのか。機能・役割を分け、連携していくということがポイントであり、国立大学が三つの役割で分類されることになったように、日本社会全体においても同様に転換するのではないかと思う。

○誤解のないように申し上げたいが、私は、高等教育機関が多いことが問題であり、数を減らした方が良いという単純なことを申し上げたのではない。真に修学意欲がある者が学べる環境を整備することも大事だが、同時に、数についての議論をしなくて良いのかということを申し上げたのである。例えば、医師や看護師等、国家資格を取得する者は、その人がその資格で生計を立てていけるような、養成数の議論は必要だろう。そのようなことを含めて、今後の人口急減社会において、数の議論をしなくて良いはずがないということを強調しておきたい。

●高等教育機関数は、非常に大きな問題である。文部科学省においても検討の程よろしくお願いしたい。

○新所得連動については、是非推進してもらいたい。例えば、医療系の学部の学生は、複数の奨学金を借りている学生が多いのだが、卒業後は奨学金を返還するために、希望する職種ではなく、給与の高さで就職先を選ぶ者もいる。学生が、奨学金の返還のために職業選択を曲げてしまうことは寂しいことである。新所得連動が導入されれば、奨学金の返還によって職業選択や就職選択が左右されることはなくなるだろう。是非よろしくお願いしたい。

○給付型奨学金については、これまで以上に低所得世帯の子供達を対象とするとのことだが、規模感を教えていただきたい。従来の奨学金貸与者数は130万人強であるが、人数または予算額で、どのくらいのプラスアルファになるのか。

■現時点で規模感をお示しすることは非常に難しい。給付型奨学金の対象者の絞り方や1人当たりの給付額によって、全体としての予算規模が出てくるが、財源との兼ね合いもあり、今まさに財政当局と議論しているところ。

○私は昨年に引き続き、本運営評議会の委員に就任しているが、全国高等学校PTA連合会の会長が新たに委員に就任されたことは非常に素晴らしいことだと思う。いくら教育における企業との協働や教育制度のシステムを議論しても、一番のポイントは、両親または家庭の影響力にある。一部の親は、子供に対して、「奨学金を借りると卒業後の返還が大変になるため、奨学金を借りてはいけない」と教えているという話を聞く。個人的なコメントになるが、今後、JASSOと全国高等学校PTA連合会が連携して、保護者への啓蒙活動を行っていただきたいと思う。

●先日、全国高等学校PTA連合会に伺って、同連合会の全国大会や地区大会にJASSOの職員を派遣して、奨学金制度について説明させていただきたいとお願いさせていただいたところ。また、金融広報中央委員会という、事務局を日本銀行に置き、暮らしに身近な金融に関する幅広い広報活動を行っている機関より、高校生や大学生にも働きかけていきたいとの話をいただき、JASSOが間に入って、全国高等学校PTA連合会をご紹介させていただいたところ。今後、全国高等学校PTA連合会及び金融広報中央委員会事務局と協力しながら、保護者も含めた啓蒙活動を行ってまいりたい。

○親が子供の奨学金を使い込む等の問題は、広く言えば、情報ギャップと言われる問題である。特に、これからスタートする新所得連動は、今まで以上に複雑な制度である上に選択制となっているため、実際に事務を行う学校に、混乱をもたらすのではないかと恐れている。取り急ぎは予約採用に係る対応として、高校における説明や事務手続きが発生するが、ゆくゆくは、大学・短大・専門学校においても対応が必要となる。学校側より事務負担が増えるという意見が上がっている、という話も聞く。情報の周知については概算要求をしていただいているが、情報提供だけは是非しっかりと実施していただきたい。都道府県にも働きかけていただきたいと思う。私どもが行っている調査でも、子供の奨学金を家庭で使っている事例が随分見受けられる。奨学金は本来、学生本人が借りているものであるが、親が借りているものであるという意識があるために、返還も親が行っているという事例もある。これらの事例から解るように、そもそもの奨学金の性格が誤って認識されていることが問題なのである。これは参考だが、一つの方法として、アメリカや韓国のように奨学金を本人の手に渡さずに、授業料に充当する方法が考えられるのではないかと思う。それから、もう一つだけ申し上げたい。ここにおられる皆様は、私を含め、貧困や格差の是正、教育の機会均等には奨学金は非常に重要であるということで、奨学金制度を推進いただける方が多いので、敢えて申し上げるが、奨学金は福祉政策であって、ばら撒き若しくは無駄遣いであるという意見もある。これまでは貸与制であったために、この問題はさほど大きくなかったが、給付となると、学生に国民の税金を渡すことについて、非常に大きな問題になるだろう。誰が見ても公平だという制度をつくることは、難しいというのが正直なところ。給付型奨学金という形で税金を使うことは、学生個人のためだけではなく、ひいては社会全体のためになるというエビデンスを示していくことが重要となってくる。そのためにも、給付型奨学金を受給した者が、卒業後にいかに社会に貢献しているかを追跡するようなシステムをつくっていくことが重要だろうと思う。

○マイナンバーはJASSOが直接、学生から収集するとのことだが、JASSOと学生の契約関係がメーンとなり、大学と学生との関わりが非常に薄くなるのではないか。要するに、大学側としては、学生指導等の観点で若干の懸念がある。マイナンバーを導入することで、大学の関わりはどのように変化するのか。イメージがあれば教えていただきたい。

●返還誓約書等については、引き続き、学校を通じて、JASSOに提出いただく予定となっているので、学校の職員が学生と接する機会は、マイナンバー導入後も継続される。ただし、事務手続きの詳細については、まだ固まっていない部分もあるため、学校等の現場には、改めて周知してまいりたい。

以上