1.日時

平成17年2月3日(木曜日) 10時~12時

2.場所

グランドヒル市ヶ谷 瑠璃西の間

3.出席者

(委員)アグネス・チャン委員、荻野アンナ委員、小林陽太郎委員、柴崎信三委員、長田豊臣委員、中津井泉委員、福田誠委員
(文部科学省)栗山学生支援課長
(機構)北原理事長、沖吉理事、坂本理事、藤田理事、大浦理事、安江監事、赤木参与、櫻井参与、菊地参与、芝田政策・広報室長ほか関係職員

4.議題

(3)その他

5.議事

資料に基づき、沖吉理事、芝田室長から説明があり、引き続き意見交換が行われた。
主な意見は次のとおり。

(1)学資金貸与事業について

[委員]
 自分自身の経験から、奨学金の額についてはもう3、4割くらい多ければと思っている。また、第二種の事業規模が大きくなり、第一種をカバーしているという状況があるが、第二種の成績条件等は緩やかであり、育英という観点から離れていっているのではないかという感じがする。

[委員]
 第一種と第二種の区別はなくていいと思う。むしろ全部第二種にして成績の基準を設けて優秀であれば返さなくてもいいようにしてはどうか。学生にとってはがんばろうという意欲につながるし、教える側としても学生が勉学に励むことはいいことである。返済方法については、例えば、収入の少ない新卒時は少なく返していいけれども収入が増えたらその分多く返してもらうというような方法を工夫してはどうか。

[機構]
 今年度から、大学院については在学中に特に優れた業績をあげた学生の奨学金の全部または一部を免除する制度を新設している。これを学部にまで拡大するかどうか、また学生自身が計画を立てて返済する方法などについて、広くご意見をいただきながら検討していきたい。

[委員]
 財源の説明として財投機関債の話もあったが、一般の方々が機構への寄附金を通じて奨学金事業に参加することはいいことと思う。機構が広く呼び掛ければ、賛同して寄附をしてみようと考える人はかなりいるのではないか。

[機構]
 今はそれほど積極的に呼び掛けてはいないが、それでも毎年一定の額の寄附をいただいている。個人的には、もっとアピールして多くの寄附金をいただけるようになれば、それを財源にして機構独自の給付型の奨学金を創るなど、いろいろなアイデアが実現すると考えている。今後も検討していきたい。

[委員]
 第一種と第二種の役割をきちんと整理した方がいい。第二種はもうすでにその目的を達成した感があるので、財源を財投機関債に依存しているというリスクを考えれば、これ以上の拡大は不要ではないか。少なくとも抑制した方がいいのではないか。第一種をカバーする役目があるのなら、どれくらいのカバー率が必要なのか、しっかりと検討すべきである。最近の家計収入がずいぶんと落ち込んできているが、今後長期的にその傾向が強いとすると、第一種の拡大ということも課題になると思う。しかし、財源の問題があり、さらに成績基準を厳しくするなどの検討が必要である。また、現状における給付型奨学金のありがたみを考えると、かなり厳しい縛りを設けた上で、給付型奨学金を導入することも検討してはどうか。奨学金の返還促進策については、過去の滞納者が岩盤のようになっていて、今までのような手段ではどうしようもないということであれば、専門家である民間のサービサーを使うことはやむを得ないのではないか。とりあえず試行してみてコストや効果との関係を見ながら、検討していくといいのではないか。最近の民間の金融機関もいろいろな商品を考えているが、信用リスクが重要になるのでどうしても学生ローンには限界が出てくる。やはり政府機関が実施する奨学金事業にしかできない役割というものがあると思う。

[機構]
 返還については、回収業務を機構で行っても、民間委託にしても、そのコストは運営費交付金から支出することになる。努力して回収額が増えたとしても回収金は全額、奨学金の財源となる仕組みとなっている。結局、回収に経費をかければかけるほど、留学生交流などその他の事業を圧迫することになるというのが現状の仕組みである。このように回収のための資金の確保という課題がある。

[委員]
 高等教育への公的資金の流れに関して機関助成か個人助成かという議論があるが、奨学金のニーズということを考えるとき、国立大学の運営費交付金、私学助成、広い意味での科学研究費補助金といったものと同様に、公費がどのくらい学生個人に還流されているかということを調べて、そこから例えば第一種、第二種の役割分担などについて検討していくのも一つの方法ではないか。

[委員]
 まず16年度の事業実績を十分精査した上で、第一種と第二種のバランスなどを検討してはどうか。予算額から見ると、圧倒的に日本人学生を対象とするものが多い。そのうち日本人学生の国際化を促したものがどれくらいあったのか。そのあたりも含め、16年度の事業評価を来年度の計画に反映していくことが必要と思う。

[機構]
 独立行政法人は厳しく外部評価を受けることとなっており、機構としても目標達成に向けて努力しているところである。日本人学生の国際化に関連しては、今年度から海外に留学を希望する日本人学生を対象とする第二種奨学金の制度を新設している。まだ十分に周知されていないようなので、PRに努めていきたい。

(2)留学生事業について

[委員]
 今後、専修学校の留学生も増えていくと思われるが、各学校における留学生に関する調査等が少ないようなので、まず実態を調べてみて、どのような支援をしていくべきか検討すべきである。また、留学生が11万人を超えたことにより、卒業時すなわち出口のところをどう支援するかという課題が出てくる。機構としてもシステム的な支援方策を検討すべきではないか。

[委員]
 アジアからの留学生は、皆欧米を目指しているという話も聞くが、自分の経験では、アジア諸国はアメリカとヨーロッパとそれから日本というように、留学先をちゃんと分散していると感じている。最近は、オーストラリアがアジア諸国からの留学生集めに励んでいるようだ。日本は言われているほど教育の質は低くなく、留学先としてのメリットを有していると思う。日本に留学した者が日本語を武器にして母国などで活躍するのは当然と思うが、各大学では、英語も武器にできるような教育方法を考えてもいいのではないか。

[委員]
 留学生について議論をするときに「質」という言葉が使われることに違和感を覚えている。ただ「質」とは何かということは大きな問題であり、受入側としてきちんと考えておくことは必要である。留学生にとって住居も大事な問題である。留学生宿舎を増やすのか、民間アパートに入りやすくするのか、地域住民との交流機会をどうするのか、いろいろな課題がある。それから奨学金については、例えばヤング・リーダーズ・プログラムの留学生は20数万円の奨学金をもらっており、私費留学生から見ても納得できるような制度運営をしていく必要がある。最近では留学生が事件を起こすと、マスコミではかなり厳しい報道が行われるが、社会全体の雰囲気が変わることにもなるので、ほどほどの厳しさであることを期待する。

[委員]
 留学生が11万人を超える状況になると、仮の言葉として使うが、「質」という問題がどうしても出てくる。何か問題が起きればそれに対する対応が必要であるし、留学生の数に見合った管理というものは当然必要となる。マスメディアは留学生問題についてネガティブなことだけを大きく書いているわけではなく、留学生政策にはこういうことが求められるといったことも伝えてきている。マスメディアとしては、そういう観点から留学生についての広報的な立場を活かしていきたいと考えている。

[委員]
 留学生を大学で教えている経験から、日本語の難しさということを実感している。日本が留学生を受け入れる際の一つのネックになっており、そういう面で英語圏の国は有利なのかもしれない。一方で日本に魅力を感じて留学を希望する学生はたくさんいると思う。その魅力は大学だけでなく、ブランドや技術力など日本企業にも多くあるので、大学と企業の一層の連携ということが必要になってくるのではないか。私費留学生については、確かに母国にいるときの5万円、7万円というのはすごく大きな金額に見えるかもしれないが、日本に来てはじめて足りないということが分かる。そしてアルバイトをすることになり、学校にも行けず、成績が落ちることにもなる。日本に来た留学生に対する奨学金制度についてしっかりと検討してほしい。

[機構]
 財源に限りがあるので、額を高くするか、人数を増やすかといったことになるが、引き続き十分研究していきたい。また留学生の在学中だけでなく、卒業後のことも日本として考えることは大事なことと思う。

[委員]
 留学生の出身国の偏りについて、なぜそうなったと考えているのか。それが問題であるとすれば、どのような方策があると考えているのか。また留学生の卒業後のことまで政策として取り組むことが必要というのは、どういうことなのか教えてもらいたい。

[機構]
 現在、中国の高等教育人口が急速に伸びているのに対して、それに見合う高等教育機関の整備がされていないことによる需給ギャップがあり、身近な国ということで日本に来ていることが一番大きな原因であると考えている。方策としては、枠を設けるということも可能性としてはあるが、留学情報が不足している東欧諸国などに情報提供を行うことも課題と考えている。またアンケートによると卒業する留学生のうち3割くらいが日本での就職を希望しており、実現するのはその半分くらいとなっている。日本の経済社会の活性化という面からも就職関係の手立てや在学中からインターンシップなどについて進めていくことは考えられると思う。

[委員]
 留学に関する情報提供についてだが、例えばイギリスと比べてもずいぶんと見劣りしている。留学生が一番多い中国に拠点がないのも問題であり、事務所を増やしたり、人員を増やすことが急務ではないか。ブルガリア人の国費留学生から聞いたのだが、彼はそれまではアメリカに留学するつもりだったが、偶然父親がラジオを聴いていて日本にそういう制度があることを知って応募したということだった。情報が圧倒的に不足していると思う。

[委員]
 情報に関連して、少し若い年代を対象とするということを考えてはどうか。語学の問題などもあり、今後、留学準備の時期はだんだん早くなっていくと思われる。情報提供も中学生くらいの年代を想定することが必要になるのではないか。また、早い時期に日本語の魅力を伝えることがポイントとなる。日本語普及ということはすでに進められていると思うが、さらに対象地域を増やしたり、例えば日本のアニメーションは外国でも人気があり、そういうものに日本語をうまく乗せて日本の魅力を若い年代に伝えていくことが大事だと思う。

[機構]
 留学フェアに参加すると、現地の方から、奨学金制度についての情報が足りないことや日本の物価が高いことに関する意見が多く聞かれる。

[委員]
 中国の高等教育の需給ギャップが大きな要因であるということであれば、奨学金の効果的な使い方として、あまり日本に来ていない国からの留学生に対象の重点を置くということも考えられるのではないか。

[委員]
 姉の子どもが通う香港の高校には、日本の大学の資料が置いてない。先生も日本の大学への留学手続きについて詳しくないようだ。私の子どもが通うアメリカの高校には、2名の大学進学アドバイザーがいるが、日本の大学の資料はなく、日本の大学についてよく知らないため、日本の大学を薦めることはない。知らなければ留学しようという希望を持つこともないのだから、まずはいろいろな国の高校に資料を配って、その国の高校生と先生に日本の大学のことをよく知ってもらうことも大事ではないか。

[機構]
 先生方から情報の対象はもっと若い世代にポイントを置くことが必要とのご指摘をいただいたので、検討していきたい。私どもは「日本留学試験」というものを実施しており、国内だけでなく海外においても試験を受けることができる。現地で受験した者が日本に来なくても、その者の成績を判断材料として大学が入学を許可する「渡日前入学許可」の仕組みもとれるようになっている。しかしながら、現在45大学しか利用されていない状況である。この試験のメリットがよく知られていないことが理由の一つと思われるので、今後も周知に努めていきたい。


次回の日程については、事務局からおって連絡することとなった。

以上


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