1.日時

平成17年5月31日(火曜日) 14時~16時10分

2.場所

グランドヒル市ヶ谷 瑠璃東の間

3.出席者

(委員)小林陽太郎委員、柴崎信三委員、鈴木正人委員、曽野綾子委員、中津井泉委員、福田誠委員、松尾稔委員、牟田泰三委員、矢野眞和委員
(機構)北原理事長、沖吉理事、坂本理事、藤田理事、大浦理事、安江監事、赤木参与、石田客員研究員、芝田政策企画部長、中村政策調査研究課長ほか関係職員

4.議題

5.議事

資料に基づき意見交換が行われた。主な意見は次のとおり。

(1)学資金貸与事業等について

[委員]
 資料に、「本格的な給付型の奨学金の導入は将来の課題としても、当面、外部資金である寄附金を積極的に募集し、これを財源とする給付型の事業の実施について検討する意義は大きいと考える」、「システム整備の経費が多大になることも考慮しつつ、検討を行うことが必要である」とあるが、このような書き方だと要するに何もしないように捉えられてしまうのではないか。それぞれ「本格的な給付型の奨学金の導入は、将来、ぜひ必要であると考える。しかし、当面は諸般の事情で不可能なため、寄附金を基にしたような給付型の奨学金をぜひ検討されたい」、「ぜひ検討されたい」のように書くのがいいのではないか。

[機構]
 例えば、所得額に応じて返還額を変動させるシステムについては、外国には実施している例があるが、これを日本で導入するためには解決すべき課題も多いということで、「このような可能性がある」という表現で案文をまとめたものである。

[機構]
 いろいろな点で考慮すべき課題があるにしても、今後機構として主張しなくてはいけないこともあるので、先生方のご意見を伺って「こういうことをしなければいけない」というものについては、そういう内容にしていくのがいいと考える。

[委員]
 資料には、機構の枠を越えているものも含まれていると思う。機構は独立行政法人として、中期目標・中期計画に定まっていることを実行することが基本的な役回りであり、機構が骨格そのものを決定することはできないのではないか。

[機構]
 奨学金事業等に一番詳しく、直接にタッチしているのは私どもだと自負している。いろいろな検討の結果について、それを実現できるよう、関係各方面に提案していく努力をしたいということである。

[委員]
 中期計画の中での重要なポイントの一つは、貸付金の回収率をどうキープするのかということである。この問題をどう解決するか、なかなかいい策はないが、究極的には税金のタックスナンバーと連動させなくては対応不可能なものだと考えている。オーストラリアにはタックスナンバーがあるので、所得に準拠した返還という仕組みが税務署を通して可能になっている。そのようなことまで考えていかないと、回収の問題はなかなか難しいのではないか。つまり根本的なことを審議して次のステップを考えていかないと、機構も返還の問題で苦慮することになるのではないかと思う。
 現在の奨学金制度でもう一つの深刻な問題は、大学院の返還免除職を廃止して、学業成績によって返還免除の候補者を決定するようになったことである。特に理工系では教師と院生の関係が密な研究室体制になっており、大学全体でどの学生の業績が優れているかという識別は、現実的には極めて難しい。大学は今年からこれを実施することになっているが、混乱する場面もあるのではないかと心配している。

[機構]
 特に優れた業績をあげた大学院生の返還免除制度では、その候補者を各大学で選考して機構に推薦いただくことになっている。つまり機構が定める評価基準に従って、各大学院で設定された具体的な評価項目により学長を中心として総合的に評価されたということを確認した上で、機構に設置した「業績優秀者免除認定委員会」の議を経て返還免除の認定を行うこととなっている。各大学における学生の選考の段階が特に重要であると考えている。
 4年制の大学に入学した場合、奨学金を4年間自動的に貸すということはなく、奨学生としての資格の確認を毎年行っている。1年間ちゃんと勉強していたか、健康は大丈夫だったか、家計の状況はどうか、そういったことを学長に適格認定してもらって、次の年に奨学金を貸与するどうかを判断している。この適格認定も各学校でしっかりしてやっていただくよう、重々お願いしていくことを考えている。

[委員]
 どういう風に違和感を説明すればいいのかわからないが、冷たい感じがする。1年間で成績が悪くなったとしても、親の収入が良くなったとしても奨学金を貸与し続けてもいいかもしれない。人間ってそういうものだと思う。成績が良かったら免除するということだが、人間は、免除されてうれしいものではない。「人間は、受けるより与えるほうが幸いである」という有名な聖書の言葉があるように、返せた、他人に与えられたということの方が誇りであるということがある。もちろんお困りになる方もいるが、そういう人間的なことをそういう風に一概に切っていってどういうことになるのかというのが、私の疑問である。

[委員]
 「新しいかたちの支援」というところに期待している。ここにあるのは、機構の現在の状況から将来へ向かうイメージも記述されておりいいと思う。ただ、「ありがたさ」という表現があるが、これは、奨学金事業の旧来のミッションに対応した言葉だと思う。「新しいかたちの支援」を含めた今後の奨学金事業をみていくと、必ずしも国からの恩恵的な意味合いだけで資金が貸与されるということではなくて、学生の方の権利的な要素が強まってくるという感じがする。そうするとこの表現は実態に見合った表現なのかどうかといった印象を若干持っている。

[委員]
 「第二種学資金貸与事業」のところで、「これ以上の拡大は、返還を忌避しそうな学生の需要を発掘することになり、将来の返還金の回収が困難になることが危惧される。」とあるが、そういった現象が本当にあるのかどうか。単純に「充足されている」といった表現でいいのではないかと思う。必要がないのに借りた人が、返さなくなるということが現象として把握できているのであればいいが。また「以上から、今後の第二種学資金貸与事業の規模については、抑制的に対処することが適当である。」ということは明確に書いてよいが、仮にこれがひとり歩きしてとにかく第二種を減らす、第一種は放っておくということになると、話が後退してしまうので、「第一種の拡充を前提として」などという表現を加えてはどうか。

[機構]
 修文を検討する。

[委員]
 「新しいかたちの支援」のところに「これに賛同して寄附を申し出る人々は少なくないと思われる」とあるが、それほど甘くないと思う。機構が趣旨を明瞭にすれば、ある程度は集まると思うが、やはりターゲットがないとだめだと思う。

[機構]
 現在はこのような制度はないが、それでも奨学金で助かったという方や、あるいは遺言で寄附してくださる方がある。学資に困っている学生を育てるという目的で奨学金のみに使用するということを明確にすれば、相当集まるのではないかと思っている。これは検討事項の一つであり、具体的に実施する際には、相談させていただきたい。


(2)留学生事業について

[委員]
 「優秀な留学生の確保」のところで「なお、これら意見は、直接に機構の事業に関わるものではないが、大学関係者の目に触れる機会があると考え、盛り込んだものである。」とあるが、これは不要ではないか。大学は研究と教育が使命であるが、教育について十分な役割を果たしてきている中で、例えば留学生が博士の学位を取得しにくいことや、国際語での講座が少ないということもある。大学それぞれの事情等によりなかなか実施できない場合もある。機構が大学に対して要請することによって、それがきっかけとなることもあり、重要なことではないかと思う。

[委員]
 「優秀な留学生の確保」のところで「これらの事業を優秀な留学生確保のために総合的に位置付けることにより、一貫した事業として相乗効果をもたらすよう体系的な実施方法について検討するべきである。」とある。「総合的」であることは重要であるが、この点は機構が設立される際に十分検討されたはずであり、こういう書き方だと何のために再編をしたのかと思われてしまうのではないか。想定できなかった問題が生じたとか、あるいは不十分なところが顕在化したなどの説明が必要ではないか。
 地域的な偏りについては、極端なものは好ましくないにしても、結果として集中したということでもいいのではないか。私どもは、20年以上前から広い意味でのアジアから日本へ博士課程の研究に来ている学生に対して研究助成をしている。20年のうちに250名ぐらいに助成したが、学校、地域の分布を調べてみると、ある程度の偏りがある。その偏りをベースにして新しい人が増えてきている。結果としてこうなっているからどうだということについては、もう少しきちんとした考え方を出した方がいいと思う。現状について考え方を整理する必要があるのではないか。これからの日本と各国の地域別の関係を考えるとむしろアジアに集中して行うことがいいことであると言ってもいいのかもしれない。私としては、必ずしも均等を目指す必要はないのではないかと思っている。
 もうひとつは、日本の大学の受入れ体制に関して、なぜかわからないが、日本に来るよりは欧米に行ったほうがいいということを言われる。当機構も含めて関係の機関には非常に多くのサンプルがあるので、実際に日本に留学をした経験者であるとか、長い期間日本に留学している人に、日本に留学していることについてどういう風に考えているのか、何が良くて何が悪いのか、夢を持って来日したが幻滅して帰ってしまっているのかどうか調べてみてはどうか。個々の先生に伺うと、なるほどこういったおもしろい先生ならみんな喜んで帰るのかなどと感じたりもするのだが、こういった実態調査がどの程度行われているのか。実態調査に基づいてどういう点を学校側としてあるいはコミュニティーとして対応していかなければいけないのかといったことがもっと明確になると思う。アジアの国々における経済的なバックグランドにしても最近の留学生のプロファイルというのは、かなり変化してきているはずなので、そういった点もきちんとしたデータに基づいた認識をプレゼンテーションしていただきたい。

[機構]
 いろいろと重要なことをご指摘いただいた。学習奨励費給付制度、留学情報の提供、日本留学試験、留学後のフォローアップといったことを総合的に企画し、実行しているところであり、ここであまり何もやっていないから検討するというように受け取られないよう、修文させていただきたい。
 留学生数11万7千人のうち、77,700人が中国からの留学生であるが、これは自由意志で日本に来てくださる方が多いということであり、同時に世界中の国々にももっと目を配っていく必要があるのではないかという趣旨である。
 「大学等の魅力が増すことが大切」とあるが、魅力だけでなく国際性や国際共通性も兼ね備えることが重要であり、学生はどこの国の大学も選べるので、大学がまず日本人に対してしっかりとした教育をできなければ、優秀な留学生を引き付けることは難しくなるのではないか。

[委員]
 優秀な留学生の確保については、こういうかたちでやっていこうとしている、という姿勢を機構としてはっきり打ち出したほうがいいと思う。よく言われるのは、「日本に来たがらない学生はどこへ行くのか」ということである。日本に来ている留学生のプロファイルはこうなっており、例えばアメリカに行っている留学生のプロファイルと比べてみると、こういうところが違う傾向があるといったことについて、具体的に検討しなければいけないのではないかと何年も前から言われていたが、一向に進んでいない。せっかく機構がこのように国内外の学生を対象にしているので、そのあたりを検討していただき、われわれもその検討に参加できるようにしていただきたい。

[委員]
 偏りがあるのは致し方ない。例えばアフリカから留学生を受け入れると、フランス語を公用語とする人が多いので、フランス語で講義を受けたいだろうが、日本ではフランス語で行う授業がほとんどない。それから、親元に帰るにしてもすごく費用がかかる。やはり、これからの世界は、ヨーロッパがアフリカを受け持ち、日本はアジアを受け持つということがごく自然なように感じている。また、アジアの中で中国が抜きん出て多いということであれば、ほかの国からも呼ぶようにすればいいのではないか。留学生受入れの第一の目的は、母国に帰ってもらうことだと思う。日本に残ってもらっては意味がない。かつてシュバイツァーが非常に苦労したのは、ドイツに留学させてもドイツから戻らないということである。ごく自然にアジアを日本が受け入れるということが必要ではないかと思う。
 私どもは、関連財団で中国から医学生を100人前後受け入れているが、多くの学生が「日本で勉強してとてもよかった」と言うが、地方に行った人は「楽しかった」、東京にいた人は「あまり楽しくなかった」という声が多い。熊本や福岡へ行かせてもらった人は、下宿に住んでも教授の奥様に自宅に招いてもらって楽しかったことなど、そういう印象がとても強烈にあるようだ。留学生を人間的に心で呼び入れてあげるという制度を作り、それを我が国の社会が高く評価するということがもう少し強く打ち出されているとよいのではないかと思う。

[機構]
 私どもは、国際交流会館に入居している留学生を中心に、地域交流を1つのテーマとしてやっているが、もう少し細かくホームステイや個人として付き合うところを仲介したり指導したりするということをご示唆いただいたので、留意していきたい。

[委員]
 今、偏りについてのお話があった。これは以前、私が問題ではないかと申し上げ、あまりにも極端ではないかという問題意識で、決して中国の留学生受入れ事業ではなかったはずだということを申し上げた。その理由をお聞きしたところ、機構側からは現在の中国の高等教育制度が十分には充足されていないため、オーバーフローして日本にやって来るという回答であった。それはもちろん悪いということではないが、やはり留学生受入れ事業は、これだけ日本でいろいろな資源を使っているインフラのようなものなので、結果としていくら偏っていいというものでもなく、その趣旨や政策があったのではないかと申し上げた。表現が多少きつかったのであれば、直していただけるといいと思う。アフリカ等、受入れがすぐには難しいところではあっても、ODAとは言わないが、日本の高等教育を少し経験させるといういろいろな要素があるのではないか。

[機構]
 「日本に留学生の受入れについて国策というものがあるか」と聞かれると、「ないのではないか」と答えると思う。現在はオーバーフローしたところから来るかもしれないが、来たい人だけは自由に受け入れているということであり、これをもっと全世界からこれくらいの人数は来てもらうという方向にしていく必要があるということか。

[委員]
 アジアからどんどん来るというのは当然で、それは良いと思う。将来の日本のことを考える際にいつも話題にのぼるのはインドである。インドという大国からの留学生がとても少ない。そういうことの分析や政策が要るのではないかと思う。それから、この文章には「~すべきである」とは書いてあるけれども、随所に「そんなことはできない」というような言い訳が見えるので、そこに気を付けていただきたい。

[委員]
 ここに書くべきかわからないが、留学のお世話をする方たちのレベルアップということに、機構はもう少し力を入れたほうがよいのではないか。国際交流や留学生のお世話というのは、大学の中では専門職的なもので、一般職とは違った位置付けにこれからなっていくのだろうと思う。経験や様々な知識が必要で、そういったものを横に繋ぐ学会やセミナーがあるようだが、そういったものをもう少し体系立ててバックアップするようなことを機構の事業としても実施してはどうか。

[機構]
 文部科学省から引き継いだ留学生交流研究協議会を企画し、全国を3ブロックに分けて、3日間にわたり実施している。留学生に応対したり指導したりする人たちのレベルアップは非常に大事なことだと思う。「レベルアップの事業を推進することについて検討すべきである」といったことを付け加えることを考えたい。

[委員]
 最後のところに、「日本人学生等の海外留学推進」について書いてあるが、これは極めて重要なことである。世界的な視野を持ち、国際社会で活躍できる人材を育成するというのは、やはりひとつの国策だと思う。これに関連して、学資金貸与事業が目的とする、我が国の将来を担う人材を育成することと全く合致するものであるから、ぜひここで奨学金との組合せを考えていただければと思う。すでにそのような仕組みがあるが、まだまだ規模が小さいということと、PR不足の面があると思うので、そのあたりを今後ぜひ考えていただきたい。

[機構]
 ここに学資金貸与事業の観点からの文言を付け加えることとしたい。機構では、留学情報提供と海外留学生のための学資金貸与を実際に始めているが、現在の制度で十分というわけではないので、もっと検討して充実させていかなければいけないと考えている。

[委員]
 「日本人留学生等の海外留学推進」は、なんとなくついでに言っているというのではなく、むしろたいへん重要なことだと思う。海外留学先はアメリカが約47,000人、中国が約15,000人、中近東は14人だった。そういったことに何らかの意識を持つ必要はないのか。個人的には、留学先の偏りを変えていかなくてはならないのではないかと思う。ここの文章はこのまま終わってしまうのでは、先ほどの留学生受入れの書きぶりともバランスがとれていない。海外留学向けの学資金貸与制度や留学制度等をより魅力的にすることについて一考する要素があるのではないかと思う。

[機構]
 「留学生は日本に残ってもらっては意味がない」という意見があったが、企業の側からご覧になって、これからの日本の少子化や国際的な関係もあり、留学生の採用希望が多いと聞いているが、留学生が卒業・修了してから企業に勤めるということについては、どのように考えているか。

[委員]
 帰した方がいいかどうかというのは、本来どういう目的で留学生が日本に来るのかと言うことと関連する。1950年代にアメリカに留学した人は、基本的には日本に帰ってきてがんばって欲しいという人なので、今の留学生とは全く違う。一般論として、「帰ってもらわなければ困る」というのはどうかと思う。現在、新潟の国際大学に関係しているが、学生の80%が外国人である。これは意図してそうなったのではなく、日本人の学生は来なかった。アジアを中心に国籍は50数ヶ国で、政府派遣の人を除くと、日本で働きたいという人は多い。ぜひ日本でがんばって欲しい人もいるが、やはりその時に問題になるのは、日本語である。皮肉なことに、国際大学ではすべての授業を英語で行うために、日本語が下手でも学生は良い成績がとれる。しかし、いざ日本で仕事をしようということになるとそういう問題がでてくる。企業の立場としては、いい大学の学生は、日本で就職してもいつまでも日本で仕事をするとは限らず、日本での経験をもとにして母国に帰るか、あるいはアジアから来ていても、次にアメリカに飛躍するかであり、これは個人の問題でもあるが、日本の企業の経験をもつ外国人留学生が増えるということは、日本の企業のそういった意味での国際化にとって非常に大切なことだと思う。

[委員]
 留学生を受け入れる場合に、各出身国の宗教や文化について受入れ側がよく勉強することが重大な問題だと思う。それと同時にもう少し、アラブはもちろんだが、イスラエルのユダヤ人の文化もそうだし、例えば、ロマ(ジプシー)とかドルーズ族、クルド人、ベルベル人、トワレグ族といった人たちの文化について身を挺して、一代二代かけて勉強してくださる方たちを育てないといけないのではないか。例えばクルド人ならクルド人についての専門家がいらっしゃるかといえば、一人半ぐらいだろうか。これは、日本人にとって将来、悲しいことではないかと思う。

[機構]
 特に留学生関係については、いろいろと貴重なご意見を出していただいたので、次回、もう一度この「意見(案)」をお諮りすることとし、併せて機構のもうひとつの柱である学生生活支援事業についてのご意見をいただきたい。

6.報告

 資料に基づき石田客員研究員から「障害学生支援」について説明があった。説明の要旨は次のとおり。

 現在、日本での障害学生の修学支援はあまり進んでいるとはいえない。欧米と比べても、法的な整備も含めてかなり遅れているといわれている。数年後に大学全入時代を迎える中で、障害者がその能力や希望に応じてどこにでも入っていける状況にはまだなっていない。こうした状況の下、機構としては、4つの具体的な取組みを考えている。
 1つ目は「大学等間ネットワークの構築」である。これをベースに残り3つの取組みも展開していく。全国をいくつかのブロックに分けて、それぞれの地区で修学支援に関する大学間の交流を行い、地区内の先進的な拠点大学がとりまとめ役を担うというものである。地域的な特殊性や機動性を配慮し、ブロック化したものである。
 2つ目は「支援学生のスキルアップ」である。例えば聴覚障害学生に対しては授業保障ということがどの大学でも大きな課題となっている。障害学生への支援には一定の技術やスキルが必要であることから、支援を行う学生のスキルアップ方策を推進するものである。将来的には、授業科目として取り入れて単位認定ができるようにすることなども考えられる。
 3つ目は「障害学生受入れ促進」であるが、大学側からは国なり機構においてスタンダードを作成してもらいたいという要望が多い。障害学生への支援は、基本的には各大学の理念の下に行われるものであるが、他大学のいろいろな取組みの様子が情報として入手できれば、これを参考にしてさらに良い取組みが可能となることから、そういう視点からの支援メニューを作っていくことを考えている。
 4つ目が「修学支援体制づくりモデル事業」である。以前は授業がわからないのは、学生の責任であるといわれていたが、現在では教える側にもある程度のスキルというものが必要であるとされている。例えば聴覚障害学生は、先生の唇を見ながら授業を理解していくので、板書ばかりで顔が見えない先生や、下を見て資料を読むだけの授業では、全く理解できないということになる。設備に関しても、いくつかの大学におけるモデル事例を容易に把握することができれば、各々の予算に応じて設備を充実することが可能になると考えている。
 今後「学生にやさしい大学づくり」を目指していく中でいえることは、障害学生にわかりやすい授業というのは、健常学生にもわかりやすく、障害学生にとって安全なキャンパスというのは、健常学生、教職員にも安全であるということである。障害学生への支援は、キャンパスで生活する全員へのサービスの向上につながる。機構の取組みに対し深いご理解をいただきたい。


 次回の日程については、事務局からおって連絡することとなった。

以上


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