1.日時

平成18年9月14日(木曜日) 15時~17時

2.場所

グランドヒル市ヶ谷 瑠璃(東)の間

3.出席者

(委員)荻野アンナ委員、柴崎信三委員、鈴木正人委員、曽野綾子委員、中津井泉委員、福田誠委員、松尾稔委員、矢野眞和委員
(機構)北原理事長、沖吉理事、簑島理事、大浦理事、赤木参与、浦上参与、大貫参与、桒原政策企画部長、和氣学生生活部長、柴政策調査研究課長ほか関係職員

4.議題

5.議事

資料に基づき機構側から説明を行った後、意見交換が行われた。主な意見は次のとおり。

(1)平成19年度概算要求について

(委員)概算要求と直接関係するのかどうかわからないが、文部科学省は奨学金の返済の滞納防止や少子化対策の一環として、機構の有利子奨学金を返済した場合、利子に相当する金額を税額控除する措置を導入する方針を固めたという記事を新聞で目にした。そのことは、機構の概算要求との関係はどうなっているのか。

(機構)これは、文部科学省が、概算要求に合わせて、平成19年度税制改正の要望をしているもので、これから詰めていくことになる。内容としては、有利子貸与を受けている学生が卒業後に滞納しないで奨学金を返還した場合には、返還金の利子に相当する金額を税額控除する制度である。これは10年間にわたり控除することになっているので、長期的に見ると、有利子で奨学金を受けている者にとっては利子の負担が軽くなる。そのような点から見れば、奨学金を借りやすくなるというメリットがあるだろうと思う。党あるいは政府の税制改正の中で、これから具体化されていくことになると思う。

(機構)これは返還する奨学生にとってメリットがあるが、機構としては、適切に返還していることの証明書を発行するための業務費の増加が見込まれる。ただし、そのような制度により、適切に返還する者が増え、返還率の向上につながることが予想され、機構としてもありがたい。
 資料2「独立行政法人日本学生支援機構の平成19年度概算要求(概要)」では、●が付いている事業は運営費交付金対象外予算で、○が付いている事業は運営費交付金の枠内になっている。予算のなかで大きなウェートを占めている日本人学生への奨学金貸与事業と施設整備費は、運営費交付金対象外予算になっている。この概算要求は今後、財務省や国会での審議を経て成立するものである。

(2)日本学生支援機構が行う留学生支援事業に関する意見(案)について

(委員)何度か申し上げたことだが、これまでは留学生の受入れ、派遣ともに促進するということだった。それが、受入れにおいては当初の目標だった10万人を超え、12万人になった。また、中国が8万人に対してインドがわずか400~500人という状況の中で、これまでの留学生施策についてきちんとしたフォローアップや評価が必要になってくるのではないか。

(機構)確認させていただきたいが、この「意見」は、標題にあるように機構が行う事業についてということであって、国の施策としての留学生事業まで含むものではない。国の方では、現在、中教審の大学教育部会で留学生のことも含め根本的なことが議論されているので、ここでは機構として何を行うのかということにとどめたいと思う。

(委員)全体としてはけっこうだが、補足として感想を述べたい。3ページにある「4.留学情報の提供」のところで、「今後、この海外事務所の体制を整備し・・・」と書かれている。この体制の整備ということが、具体的には人の数を増やすといったことでしかないとするならば、やはり限界があるだろう。たとえば、現在すでにある拠点の意義は何なのだろうか。体制の整備という言葉の中には、より効率的な運営を行うということが含まれるのではないのだろうか。海外に拠点があるのは何もこの機構だけではなく、外務省の出先機関や文化会館等いろいろある。せっかくこのレポートの前文に「今後はいろいろな関係者との連携を密にする」という一文があるので、この機構だけで充実させるのが無理な場合には、他の機関との連携によりこれらの機能を実現させるという考え方もあるのではないかと思う。
  また、「4.留学情報の提供 3」のところに「我が国に最も多くの留学生を送り出している中国には、機構の拠点が整備されていない。今後、拠点の設置に向けて、機構は関係者と協議を行っていくことが必要である。」と記されているが、これはどのような意味だったか。ここでいう関係者というのは、中国側のことなのか。

(機構)中国に事務所を設置する予定でいるが、特に北京に設置する場合には、中国政府との関係から難しいということもある。現在、外務省及び文部科学省を通じて事務所の設置のための方法について協議を始めているところである。
 在外公館はもちろん、中国にはすでに日本学術振興会や国際交流基金など海外の機関を置いているところがある。機構が直接事務所を設置できない場合には、特に中国では外務省に職員を派遣したり、すでに設置されている他の機関の事務所と協力することも含めて考えていきたい。ご発言のように、機構が事務所を置いている国以外に、各国の都市に拠点となる事務所を持っている機関がある。当機構がそれらの機関を支援するとともに、他の機関も当機構を支援するというような協力体制を構築していく必要がある。
 もう1つは、インドネシア、韓国、タイ、マレーシアだけではなく、周辺諸国についてもこれらの事務所で日本留学に関する情報提供や相談等が分担できるように、いくつかの事務所には試験的に日本人の職員を派遣していくことを、外務省などとも相談しながら進めていきたいと考えている。

(機構)海外に行ってみると、外務省や大使館関係、国際交流基金、日本学術振興会、それから当機構と、一応の住み分けはある。たとえば、日本学術振興会は研究者、当機構は学生、国際交流基金はもっと広範にというようになっている。ところが、海外の人たちから見れば、どの機関が何をやっているのかはわからない。彼らにとってはすべて日本の事務所なので、行く度にオールジャパンでなければならないことを痛感する。こちらから独立行政法人として単独で行くのではなく、相手は、大使館やもっと大きな資金のあるジャパンファウンデーションであるといったことも考えながら、体制を整備していきたい。ある国では大使館の一角を借りて文部科学省のアタッシェなどの協力を得ながら、またある国では、他機関の事務所と協力しもう少し当機構として独立してやるというように、国によって形はいろいろと違うだろう。とにかく、今の海外事務所が非常に貧弱であることは事実である。いろいろな体制を考えながら、留学情報を提供する、あるいは留学の相談に対応する、日本留学試験を充実させるといったことがある。

(委員)この中で、情報収集及び調査・研究というものが非常に重要であると謳われている。私も、このことは非常に重要だと思う。日本語教育も含めて留学生トータルとしての政策は様々あるだろうが、機構のメリットというのは、奨学金・日本語教育・宿舎といったあらゆる現場を抱えていることではないだろうか。様々な留学生支援の情報をリアルに持っているのが機構の特徴だと思う。そのような意味で、留学生の総合的な理解のための情報収集や調査・研究といった機能を一層充実していただきたいと改めて強く思った。
 そのような調査・研究について、この中であちこちに書かれていて、分散しているように思う。機構としてどの程度調査・研究機能を持つセクションがあるのかと思い、組織図を見ていた。すると、政策企画部に政策調査研究課というのがあった。この政策調査研究課には、留学生政策を中心に研究するスタッフが実際にいるのかどうかわからないが、いることが望ましいのではないか。やはり、そのような専門グループで情報を分析し、留学生問題の多面的な側面をまとめ、発信することが機構としてますます重要になるのではないかと思う。

(機構)ご指摘のように、政策企画部に政策調査研究課がある。留学生支援事業について行っている調査・研究の現状についてお答えすると、調査・研究というよりは調査であり、主に留学生の在籍や住居の状況について調査している。まずは、現在、我が国に何人の留学生がいるか。そして、生活面の住居環境はどうなっているかということを調査している。ただ、その結果を分析するという面においては、具体のスタッフもいないため、まだ体制が整っていない。  
 また、機構では外部有識者を客員研究員として委嘱しているが、留学生支援事業については専門の客員研究員を配置していない。奨学金事業については、実際に日本の学生の生活状況を把握しており、客員研究員も委嘱して分析していただいている。それに比べると、留学生支援事業についてはまだまだの状況だと思っている。
  したがって、現時点で我々が行っている国内の学生の生活調査だけでなく、今後は各国の留学生政策なども調査していきたいと思う。また、ご指摘いただいたように、留学生政策というと大きすぎるかもしれないが、機構として何ができるのかということについては専門家の方々にも加わっていただいて分析していきたいと思っている。

(機構)私どもは、受入れた留学生の実態などについてはいろいろと研究している。しかし、留学情報の提供については、もう少し充実しなければならないのではないかと思っている。海外事務所についてもそうだが、日本留学試験の内容・利活用については、各大学の協力が必要である。試験を実施しても、大学側にそれを利用していただかないと意味がないし、受験生にとってもメリットがない。そのような問題も含めて、日本に留学を希望する者に正しい情報を伝え、しっかりとした目的を持った質の高い留学生の受入れ方法などについても研究していかなければならないと思う。「4.留学情報の提供 1」にはそのようなことが書かれていて、これを踏まえて調査だけでなく、研究しそれを実践できるようにしていきたいと思う。

(機構)機構が設立される前年に検討会議が設置され、「新たな学生支援機関の在り方について」という報告書が文部科学大臣に提出された。その最後に「調査・研究機能を充実させる」と書かれていた。奨学金貸与・留学生支援・学生生活支援事業すべてに関連して、機構としての企画機能と政策に関わる調査・研究機能の在り方についてご意見をいただければと思う。

(委員)相当拡大してきたが、やはり国民の税金を使って行っている事業なので、どの程度の効果が上がっているのか評価するべきではないか。前回も申し上げたが、日本の大学は入りやすいため、留学生は日本の大学を経由して欧米の大学に流れているのではないかという疑問を持っている。欧米に比べればまだまだ貧弱かもしれないが、日本でも相当な額を使ってこれらの事業を実施している。定量的に示すことは難しいだろうが、いつかはそのような調査・研究の中で、日本のためにも世界のためにも、このような効果があるという評価が必要になってくるのではないかと思う。

(委員)先ほど、これは国の政策ではないとおっしゃった。いったいどこに境目があるのか、発言もどこで申し上げたらよいのかわからないが、申し上げたい。今までのお話を聞いていると、人間の当然の欲求なのだが、思考がどんどん高級な方に向かっているように思う。しかし、留学や他国を学ぶということについては異なる方向に向かうべきだと思っている。
 たとえば、自衛隊を派遣する国からの留学生は自動的に受入れるようにするということは、その国に対して理解を深めるうえで最良の方法だと思う。日本財団が発案して予算を組み、東京財団が実行したが、イラクのサマワから女性の小学校の先生を受入れた。アラブ諸国から男性が来ているのか、女性が来ているのかということは全然数字に出てこないが、アラブ諸国に関しては女性であるということに非常に意味がある。サマワから女性の先生を呼ぶことを発案した時、「そんな人を呼んでもマスコミはとりあげないだろうし、お金を出す割に効果はないでしょう」と言われた。アラブには男性が絶対に入ることができない女部屋というのがあって、そこに女性同士が従姉妹もその女友達も集まってしゃべくる。その伝播力はものすごい。ミニコミ的なもので、日本の男女同権や民主主義とはいかなるものであるかを見てもらった。たとえば、東京においては海上保安庁の巡視船の船長が女性で、男性と同じ居住区に住んで、女性が命令するという社会が実際にあることを見てもらった。
 もし民主主義が良いなら、アラブの内側にその種を植えるべきだと思う。そのように女性が自由な社会を見なければ、その地域は永遠にコンサバティブなままになってしまう。女性は女性だけで、お嫁に行く時に夫の家に入って、家から出るのはお棺に入って出る時という社会がある。こういう地域に対して、機構として何かできるのではないか。
 幼き日の津田梅子さんがアメリカから日本に帰国してからどのような種を蒔かれたのか。自衛隊が行けば、必ずそこでその地域の情報を収集できるし、また、日本がどのような国であるのかを短期間で知らして帰させることができる。留学生というよりも、短期に滞在する旅行者、それは観光客のようでもあるが、そのような真面目な制度があってもよいのではないか。
 この意見のとりまとめの内容はこれで結構だが、このようなこともお考えいただけないだろうかと思う。

(機構)機構は学生を対象としているが、女性の先生を学生の身分で受入れるなど、いろいろな方法が考えられるかもしれない。

(委員)内容についてはこれで良いと思う。ここに書くことではないのかもしれないが、留学生に対する施策について、機構は何をするのか、各大学は何をするのか、国として何をするのか、あるいは民間財団として何をするのかというところが、今後もう少し明確になっていけばと思う。また、独立行政法人になって様々な機能が1つになったが、統合したことによってできるようになったということも、上手く文章の中に入れられないだろうか。

(機構)意見のとりまとめの最初に、「機構は、留学生支援事業を実施する中核的な機関として、関係省庁・地方公共団体・民間団体等が取り組んでいる留学生関連業務の情報を収集し、関係機関と協力していく」と書かれているが、住み分けをどうするかについては、イニシアティブをとれないうえに問題が大きいため、このような表現とした。
 また、機構が行う留学生支援事業というのは、旧・日本国際教育協会などで行われていた事業とどう違うのかというのは大きな問題である。次の議題である学生生活支援という面では、日本人学生と外国人留学生を区別しないで、大学で一体的に支援できるよう、機構として統合したメリットを出していかなければならないと思っている。留学生支援事業については、日本に受入れる外国人留学生と日本から海外に派遣する日本人学生の両方に対して、総合的に行っていきたいと思っているので、少し修文のうえ、公表したいと思う。
 長期にわたり、多くの良いご意見をいただいたことに感謝したい。1行1行を深く読んでみると、いろいろとやらなければならないことが書いてあり、今後の指針としたいと思う。

(3)学生生活支援事業について

(資料に基づき、和氣学生生活部長から説明)

(委員)学生支援情報データベースについての質問だが、アクセス件数が約2,500件というのは、決して多くないのではないかと思った。また、現在4年制大学だけで740校くらいあるが、その中でどのような大学が実際にアクセスしてくるのか把握しておられるのか。さらに、大学側の問合せ内容に特定の分野について相談したいという何らかの特徴があるのであれば、これから提供していく支援内容・方法についても自ずとどこに重点を置いていくべきかが明確になるものと思う。そのあたりについてはどのように考えているのか。

(機構)7月のアクセス件数については、1日あたり約2,500件だった。確かに、その数字が必ずしも多いとは考えていない。高専や短大を含めると学校は1,300校くらいだと思うが、平均すると1校あたり1日2件くらいになる。また、どこの大学からアクセスされたのかということについては、現在の仕組みでは把握できていない。初めてこのような試みを行ったのだが、もっと魅力があってアクセスしていただくよう、いろいろな意見を踏まえて改善を図りたいと思う。

(委員)障害学生を対象としたものが学生生活支援事業の中心であるように思うが、就職ガイダンス等の事業をされている中で、ニート・フリーター問題というのは今後やるべき大切な事業ではないかと思う。たとえば、大学の中退者や大学を途中で放棄する学生が最近非常に増えている。バックグラウンドはいろいろあるだろうが、生活実態などの面から、なぜ学業を途中で放棄するのか、これには経済的な要因が理由となっているケースが実態として多いように見受けられる。そのため、中退者あるいは卒業しても未就業のままでいる若者の生活実態の調査や分析が必要になってくると思う。それらへの取組みについては、どのように位置付けているのか。

(機構)中退者や未就業者について、その実態を調べるのはなかなか難しいのではないかと思う。
 機構の学生生活支援事業は研修事業と情報提供事業が柱だが、新しいニーズとしては、学生相談に関係する調査・研究事業に取り組んでいる。学生相談については専門的に学生をサポートする機関もあるので、全体の中で機構としてどのような取組みができるのか検討している。キャリアや就職指導の関係では、今年度から新たにより専門的なキャリア支援のための研修会を実施していきたい。そのような意味では、新しいニーズに対応できるような研修を実施している。しかし、実態については必ずしも専門的な調査をしているわけではなく、今後検討すべきことだと思う。

(機構)中退者や未就業の方について調査をするとなると、大々的な調査をしなければならないと思いがちである。しかし、これについては悉皆調査は必要ではなく、個別のケースが参考になることが多いと思う。たとえば、私どもが各大学に置いているモニターを通じた調査なども考えられる。これからは従来の方式ではなく、新しい観点から個別の調査を行って、それらを積み重ねていきたい。それらの結果を学生支援情報データベースにも載せて、個別の大学で実施する場合に参考にしていただけるようなものにしていきたい。
 今後、機構としては統計的な調査というよりも事例的な調査が必要になってくるのではないかと思う。

(委員)機構としての支援事業がそれぞれ重要なことはよくわかる。しかし、国は国でまた別にやるというのがどうもよくわからない。たとえば、先日の新聞にも、文部科学省が学生相談など学生の支援活動の中から優れた事業に補助金を出すという記事があった。大学の学生支援全体の充実を図るということを文部科学省も打ち出している。先ほどの問題も同じことだが、国は国で、機構は機構でやるということではなく、連携していくというのはどうか。

(機構)お話の事業は、文部科学省が新たに実施しようとしているものである。文部科学省も、この事業の具体的な実施は、大学に対する学生生活支援事業を行っている機構で行うのがよいのではないかと考えているようだ。研究活動についてはCOE、教育についてはGPといったモデル事業があるが、学生生活の支援に関する事業が行われていなかったので、学生中心の大学をつくっていくという観点から実施していきたい事業である。
 留学生に対する特徴的な事業、障害のある学生に対する特徴的な事業、場合によっては奨学金を適切に返すように指導している大学の事例なども含めて、学生生活支援に対してモデル的な事業を行っているものについては、機構の方で事業として引き受けて欲しいという話を聞いている。今後、文部科学省とも相談しながら、ぜひ機構らしい事業として、先生方のご意見も聞きながら実施していきたいと思う。

(機構)これまで、研究活動COEについては日本学術振興会が、優れた大学教育GPについては大学基準協会が行っている。そして、学生支援事業の審査については機構でという話が現在進んでいると聞いている。中身についてコミットできるのはありがたいことだと思っている。お金については文部科学省からということになるだろうが、機構としては全大学等の実態も把握できる事業である。学生生活支援に関する専門組織だと自任しているので、良い事例を選抜できるように、先生方のご意見も聞きながらやっていきたいと思っている。
  また、私どもは、文部科学省や国立大学が行っていた多様な研修事業を実施しているが、プロモートすることが役割である。学生相談や学生指導に関する研修を通じてニートやフリーター問題を解消する、あるいは就職指導の在り方について専門家を呼んで検討する、分科会で担当者に討論してもらうなどして、大学等の指導力を高めていくなどの努力をしている。その内容については、まだ改善するところがあるだろうと思う。研修に関するアンケート結果では満足度はかなり高いのだが、改善しなければならない面もあると思う。

(委員)研修事業については17年度実績の参加者数が3,920名となっていたが、その母集団はどのくらいの大きさなのか。また、その対象者を募集する場合、大学側からエントリーしてくるのか、あるいはこちらから働きかけて集めているのか。参加する人は毎年変わるのか、テーマによっては同じ人が参加するのか。参加者の満足度が高いのは良いことだが、機構から見た参加者のレベルはどうなのだろうか。参加者がその内容についてそれほど知らなかったために満足しているのか、それとももっと高度な要求があるのか。この研修事業は、機構から見て満足するような効果を上げていると考えているのか。また、それはどのように測定できるのか。

(機構)参加者数は3,920名だが、その対象は教職員となっている。参加者のうち、教員としては教育担当の副学長や学生委員会などの教員、事務職員としては学生課などの職員が主である。適当な統計はないが、母集団はおよそ参加者数の10倍強くらいではないかと思っている。対象として私立大学の教職員も含み、身分的にもいろいろと異なるため集計は難しいが、だいたい40,000~50,000人の中の4,000人というイメージである。
  募集方法については、インターネットのホームページを通じて行う場合、大学に通知する場合などがある。新任の方を対象とした研修から2年以上の経験者を対象としたものなど、研修によって参加者資格が設定されている。
  研修を受けたことによる効果については、受講後に試験を行うわけではなく、あくまでも所定の課程を修了したかどうかを見ているのが現状である。参加者の満足度については高いのだが、これは研修内容の充実によるものが大きい。それに加え、大学の担当の方々と直接接触することによるネットワークづくりがかなり重要な要素である。その研修の場で解決できることだけではなく、その後にも生かせるネットワークづくりに非常に意義がある研修だったという感想が寄せられた。

(機構)これは個人というよりも、学校単位で参加する研修である。そのため、学校によっては複数名が同時に参加していることもある。しかし、強制的に参加しなければならないというものではなく申し込み制であるため、熱心な大学もあれば、研修があることを知らない大学、教職員を研修に派遣するための資金に余裕のない大学など様々あるようだ。

(委員)教職員対象ということだが、先生と学生部の職員では少し違うのではないかと思う。教員と職員が一緒に研修を行うのか。また、就職やニート・フリーターなど現代的なテーマの研修があるが、毎年タイムリーなテーマで行っているのか。それとも基本的な、マニュアル的なことをきっちりとやることが多いのか。

(機構)次回の委員会で研修の一覧をご提示したいと思う。テーマごとにかなり違いがあり、基本的な知識修得のためのものもあるが、タイムリーな要素も含めてテーマを変えているものもある。

(機構)学生支援を行う大学等を支援することが機構の役割になっている。また、研修については、文部科学省や国立大学が国立大学の教職員を対象に行っていたものを引き継いでいる。現在、機構では国公私立すべての大学等を対象にしていて、拡大する努力を続けているが、まだ広がっていないという面がある。

(委員)機構はこのように大きな組織になり、国内にいる日本人学生、国外にいる日本人学生、日本国内にいる外国人留学生という3つの柱があると思う。それぞれについて、お願いあるいはご提案したいと思う。
  まず、国内にいる日本人学生について。学生支援ということを考えた場合、ニート・フリーターを減らすことももちろんだが、今の現場の実感としては、極端に言えば、生きて健康で卒業して欲しいという思いである。心の問題が年々増えていて、休学の大部分がこれによるものではないだろうか。また、数としては少ないかもしれないが、自傷・自殺に及ぶ学生もいる。完全な病名がつくほどには至らなくても、その境界線にいる人が実感として非常に増えている。現在は、学生相談室と現場の教師がなんとか対応しているが、おそらくどの大学も似たような状況ではないかと思う。個々の大学で対応できるというような状況ではなく、大学間で連携する、あるいはその対応の仕方について共通のマニュアルがあれば、教職員も学生も楽だろうと思う。保健管理センターで医師にかかってみると、学生への対応が必ずしも確立していないために、学生にとっては厳しい一言があり、治療が止まってしまったという例もある。
  2点目は、海外にいる日本人学生について。広範に短期の留学生を増やしていくことは総合的に考えれば大事だと思う。しかし、同時にプロの育成のための奨学金制度を更に充実し、金額面よりむしろ制度的に増やしていくことがよいのではないだろうか。外国政府による給費留学生という制度があるが、大変な倍率である。大変な思いでそれに合格しても、その給費期間は1年であるが、論文を書くためには最低でも3年かかる。そのため、その後苦労するような例が身近に多い。日本学術振興会に対して渾身の推薦状を書くこともあるが、受入れられる確率は非常に低い。そのため、それらの中間的な制度があればとても助かると思う。交流という意味での留学とは別に、プロ育成のための制度があって欲しいと思う。
  3点目は、海外からの外国人留学生の受入れについて。長期にわたるコンセプトの問題として、意見(案)の1ページに優秀な留学生の確保ということが大きく打ち出されている。この優秀というのは、何が優秀な学生なのか。政権や政策が安定している国もあるが、それが安定していない国から優秀な人材として送り込まれても、数年を待たずに覆ることもあると思う。日本側が共通試験等を充実させ、基本的なコンセプトを明確にすることで、「質が高い」と言うときの質とは何かということをぜひ検討していただきたいと思う。
 細かなこととしては、この意見(案)にも「相互に短期間留学するなどの柔軟な学生交流」という一文があり、これもとても大事だと思う。そのような場合、どうしても大学対大学だと思いがちだが、最近面白い例を聞いた。ある大学では、大学生をフランスのリセに派遣し、非常に成功したらしい。「大学生だから国外の大学に派遣する」と思ってしまうが、たとえばフランスの場合は、日本にはない論文の書き方指導や哲学の授業が、もうリセの段階で済んでしまっている。日本の場合は、それはむしろ大学生レベルでないとついて行けないと思われている。それと同じことが日本の古文や国文学でも言えるかもしれない。大学対大学ではなく、日本の大学と海外のリセのように、あるいは日本の高校と海外の大学のような柔軟な対応が可能で、より優秀な学生が育つと思う。また、フランスの学生が日本に来る場合、どうしても国文学などかなり日本マニアな学生が多いのだが、むしろ専門外の一般的な学生が日本に来るというのも大事ではないかと思う。大使館の方ともかなり具体的にお話したことだが、日本の大学院であればフランス語で授業をすることも多くなるため、たとえばフランスの仏文の学生が日本の仏文に来て相互に単位を取得できる、あるいは日本の国文の学生がフランスの東洋語学校の日本文学の授業を受けて単位を取得できるというように、柔軟に異文化を体験しつつ専門外の交流ができれば面白いのではないかと思う。
 また、企業との産学連携は留学問題においても大事なのではないだろうか。日本に留学したけれどもそのことが就職にプラスにならない、あるいは欧米以外の国に留学したけれども就職にプラスにならないというのであれば、留学生の数は増えないと思う。慶應義塾大学では、昨年からルイ・ヴィトンの協賛を得てルイ・ヴィトン講座が開かれるようになった。これはただ冠講座になっただけで、連携プレーの第一歩にすぎないが、できればあまり色のついていない外資系企業に協力していただいて、留学体験のある者に対してより門戸を開くということが双方的にできればと思う。
 最後に、海外から日本に留学生が来た場合、何語で授業をするのかという問題である。日本の場合、どうしても日本語以外の言語が少ない。一例をあげると、慶應義塾大学とパリ政治学院との間に交換制度があり、パックのように交換制度で留学してしまうと、全ての授業が英語になってしまう。せっかく日本でフランス語を学んで英語圏以外の国に留学したのに、英語での授業ということになってしまうと、結局はより英語重視になってしまう。英語で行われる授業が増えることは当然望ましいことなのだが、それと同じことが日本及び日本語に関して起こってしまうのはとても残念だと思う。英語による授業を増やしつつバイリンガルであり続ける、日本語も重視し、日本語でなければ聞けない授業も死守することが、むしろ大事なのではないか。

(機構)留学生支援事業については、いただいたご意見を活かしながら実現化させていきたいと思う。学生生活支援事業については、次回の委員会でも引き続きご意見をいただきたいと思う。

(4)その他

資料に基づき、日本学生支援機構の見直しについて桒原部長から説明があった。


次回の日程については、2月頃を目処に開催することとなった。

以上


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