1.日時

平成20年12月19日(金曜日) 10時30分~12時30分

2.場所

アルカディア市ヶ谷 3階 富士(西)

3.出席者

(委員)小塩隆士委員、小林雅之委員、佐々木大輔委員、永井和之委員、二宮皓委員、日置政克委員、福田誠委員、南砂委員、美馬のゆり委員、横田雅弘委員、和田寿昭委員、和田義博委員
(機構)梶山理事長、矢野理事長代理、尾山理事、簑島理事、大貫理事、佐藤監事、清水参与、梶原参与、桒原政策企画部長ほか関係職員

4.議題

5.議事

資料に基づき機構側から説明を行った後、意見交換が行われた。主な意見は次のとおり。

(1)独立行政法人日本学生支援機構の概要について

(独立行政法人日本学生支援機構の概要について、桒原政策企画部長から説明)

(委員)留学生の数は、ここ5年間、12万人前後で推移しているが、留学生30万人計画に向けて、残りの約18万人については、どのようにして増やそうと考えているのか。実際に実現可能なものなのか。

(機構)中央教育審議会等で議論が行われているが、まずは留学生の定義を明確に定める必要がある。そして数だけの問題ではなく、いかに優秀な留学生を集めるかが重要である。機構の役割としては、日本に来た留学生のインターナショナルレジデンス、国際交流会館等を整備するなど、いかに生活を支援するかということである。

(委員)留学生の定義というのは非常に難しく、就学生も含めるのかなど、引き続き慎重な議論が必要である。2020年までに留学生を30万人にするには、修学及びその後の就職まで含め、トータル的に留学生のフローを考える必要がある。モビリティが高まれば、学生が異なる環境の中で学ぶ機会も増え、課題を解決するための能力や技術が高まり、さらにそれが雇用能力を高めるというサイクルが生まれる。そのような魅力的なプログラムをいかに開発するかが課題である。経済的支援についても国からの奨学金だけに頼るのではなく、様々なファンドを活用する方策も考えていかなければならない。また、短期留学については、現在の受入れ人数以上にニーズがあるにも関わらず、宿舎等の問題ですべてを受け入れられない現状がある。国、機構、大学等が総力をあげて取り組んで行かないと、留学生30万人計画というのは、容易に達成できる目標ではない。

(機構)留学生には様々な支援が必要であり、留学生の不安や不満要因を取り除き、日本に来て良かったと思わせるような仕組が必要である。また、修学についても学位の取得はもちろんのこと、留学生が帰国して活躍できるプログラムの再構築が必要である。

(委員)留学生の受入れが日本にとって経済交流、文化交流等の意義があるとすれば、特定の国に偏ることなく、様々な国から留学生を受け入れることができるような仕組を政策的に考える必要がある。日本に留学すれば、学位を取って母国で活躍できるというような仕組が必要である。留学生の宿舎については、絶対数が足りない。東京国際交流館のような施設を増やせれば良いが、できないのならば民間の留学生宿舎建設に対する補助、借り上げ宿舎に対する補助等の別の方法の検討も必要である。併せて、留学生だけが集まって生活するのが良いのか、ホームステイ的に分散して生活するのが良いのかということも議論しておく必要がある。宿舎の個数、設置の仕方など留学生の宿舎のポリシーをどうするかは大切なことである。

(機構)約12万人の留学生のうち、約25%が公的宿舎(大学等が設置するものを含む)、それ以外は民間のアパート等に入居しているのが現状である。機構が行っている宿舎の整備事業としては、直接の宿舎の設置・運営、留学生借り上げ宿舎支援がある。留学生借り上げ宿舎支援事業は、平成20年度から実施しており、大学等が留学生のために民間宿舎を借り上げた場合、当該大学等に対して支援を行うという事業である。

(機構)宿舎の問題については、機構の宿舎の整備事業だけで対応できるものではない。大学等が積極的に宿舎の整備に取りかかれるような仕組を考える必要がある。宿舎をはじめとする生活の問題、教育の問題、就職の問題などについて、大学等にとってもメリットがある一連の仕組を考えなければならない。

(委員)国際高度人材の育成が必要であるという認識のもとに留学生30万人計画があるのだと理解する。留学生30万人計画については、各大学の留学生に対する取組姿勢を考慮しながら考えていかなければならない。また、留学というのは、受入れ側の国と送り出し側の国があることから、日本だけではなくて、相手国側の動向も考えなければならない。各国は留学生事業に対して国をあげて他国の情報を集め、必死になって政策的に取り組んでいる中で、日本はどのような戦略を採っていけば良いのかを考えることが非常に重要である。そこで機構としては、日本の現状を把握し、世界の取組情報を得て、日本全体の戦略を考える上での必要な専門性を獲得し、留学生政策において日本の大学のみならず国全体をリードするような存在になっていただきたい。専門性と機動力を持っていただきたい。

(機構)今の発言にあった機構の留学生に対する役割というのは非常に重要なことである。各大学の取組と機構の取組の間には、重なっている部分があるので、それをどのように役割分担するかということを考えていかなければならない。例えば、宿舎については、各大学は宿舎としての寮を設置・運営し、機構も直接、宿舎を設置・運営しているという現状がある。機構は組織的に全国を取りまとめるだけでなく、どのような役割を果たすべきかについては、これから考えていかなければならない。

(委員)機構の予算において、留学生支援事業に係わる予算と奨学金貸与事業に係わる予算の比率は、固定的なものなのか、変動するものなのか。

(機構)特に比率が決まっているわけではない。予算配分については年度ごとに国と調整する。

(委員)留学生だけではなく、日本人学生に対する支援もまた機構の目的・役割の大きな柱である。今の経済状況の中では、今後ますます経済的な理由により修学が困難になる日本人学生が増えてくることから、宿舎の問題ひとつをとっても留学生の宿舎だけでなく、日本人学生に対する宿舎の整備も望まれる。また、円が独歩高な状況を考えれば、韓国、中国をはじめとする私費留学生は、今大変な経済的不安を抱えている。機構としては、そのようなことも踏まえて、総合的に政策を決定していただきたい。

(機構)様々な現状を踏まえた上で、機構としての役割を考えなければならない。留学生に対しては、各大学の支援の状況も踏まえて、機構がやるべきことの議論をしなければならない。

(2)独立行政法人日本学生支援機構中期計画(案)について

(独立行政法人日本学生支援機構中期計画(案)について、桒原政策企画部長から説明)

(委員)中期計画に対する評価という視点で、3点述べさせていただく。1点目は、ミッションを明確化して数値に置き換えることである。質のわかるもの、長期的な視野で教育に関わるものを積極的に打ち出す。つまり自ら評価事項を打ち出す必要がある。例えば、留学生支援事業においては国際貢献など質のわかるもの、具体的には、これまで何人の留学生に支援し、そして支援した留学生が母国に戻ってどのような要職についているのか、また、支援した留学生が日本で感じ学んだことなどを打ち出す。
2点目は、活動の広報を行うことである。明確にしたコンセプト、ミッションを、分かり易い言葉で表し内外に広報する。例えば、機構のキャッチフレーズ「はばたく翼、ささえる掌」の中身を3点ほどに絞って分かり易く説明した内容を概要、年報などの広報媒体を使って、読み物として発信する。その中に、働いている人、恩恵をうけた留学生などの姿を取り入れるとよりわかり易いものになる。3点目は、成果の報告を積極的に行うことである。例えば、フォーラムなどを企画し、ステークホルダー、行政、マスメディアなどを招待し、積極的に成果を報告する。同時に機構の活動に対して議論し、意見等を聞く場を作ることも必要である。

(機構)何かを実施したということだけではなく、その活動がどのような影響を及ぼしたかを評価することも必要である。

(委員)現行の中期計画と次期の中期計画(案)との異なる部分及び独立行政法人整理合理化計画のように閣議決定されたことを反映させている部分を指摘していただきたい。

(機構)閣議決定された主なものとしては、大きく2点ある。奨学金の回収強化と東京国際交流館プラザ平成についてである。奨学金の回収強化については、昨年度から奨学金の回収方策について検討した内容を、また、プラザ平成については廃止を含めて検討することを次期中期計画(案)に反映している。これらを含め閣議決定事項については、すべて次期中期計画(案)に書き込んでいる。

(委員)閣議決定されたものを具体化したものに対しては、どのレベルまで意見を出し、検討することができるのか。

(機構)例えば、奨学金の回収を強化することについては、方向性は決まっているが、具体的に何をするかまでは閣議決定されてないので、督促を早期化するなどの個々の案に対しては、意見をいただき、検討する余地がある。

(委員)次期中期計画(案)の基本方針の中に、機構は学生支援の分野で大学等をリード・サポートする中核機関であると記述されている。その観点から機構は留学生に対する支援として、留学生と日本人学生のネットワークを構築する上でのエージェンシーとしての役割を担うこと、また、日本留学フェアについても機構が中核となって、外務省などとの連携体制の強化、新しい地域開拓、日本の大学のニーズの把握などを念頭に戦略的に見直すといった内容のことを次期中期計画(案)の中に反映していただきたい。宿舎の借り上げ支援事業については、大学にメリットがあるような計画に見直していただきたい。

(委員)政策企画委員会の位置付けとしては、次期中期計画(案)について検討し、取りまとめるということなのか。また、次期中期目標(案)というのは文部科学省が作成した案なのか、本来文部科学省が作成するものを機構が(案)として作成したものなのか。

(機構)政策企画委員会の位置付けとしては、次期中期計画(案)について意見を出していただくことである。いただいた意見は、今後、機構が文部科学省や関係機関と協議し、次期中期計画を取りまとめる際に活用させていただく。次期中期目標(案)については、文部科学省が作成した現時点における案である。

(委員)直接、留学生に実際の生活上の問題等について話を聞くと、主に次の3つのことについて困っていることがわかる。一番の問題は住まいに関することで、特に保証にまつわる問題が大きい。この問題に関しては、民間の賃借人の協力・支援体制構築などを含め、対応策について相当に踏み込んだ議論が必要である。次に、ケアに関することで、日本に来ることに対する不安、実際に日本に来て生活を始めるにあたっての不安をいかに解消するかということである。このことについては、日本と諸外国との現状比較をした上で、必要な対策を考えていかなければならない。もうひとつは食生活に関することで、ハラールの食事提供、ベジタリアンの食事提供など食事の環境の違いに対する対応である。これら生活環境の支援は留学生30万人計画を考える上では、軽視することのできない大きな課題である。

(委員)奨学金の回収を強化することは必要なことであるが、その方法としては、奨学金の性格からして単なるローンではないので、金融機関と同じような回収を行ってよいものではない。機構の計画も仕組もまだ十分に整ってないなかで、急に金融機関並みにするというのは難があるのではないか。具体的な奨学金の回収の強化方法については、十分に検討していただきたい。機構の仕組が十分に整ってないという理由のひとつには、「奨学金を返せない人」と「奨学金を返さない人」とを区別する体制が整備されていないということである。相談センター等を通じて奨学金返還に関する情報は収集するが、その情報を蓄積し活用する体制が十分に整っていない。機構はこれらを活用し調査・分析を専門的に行う部門を持ち、専門職を養成し分析ができる人を育てることが長期的な課題である。

(委員)留学生支援事業や学生生活支援事業に関しては、他の独立行政法人の事業と共通する点があるのではないか。他の独立行政法人と協力して取り組むことも考えていただきたい。

(委員)奨学金の回収の強化として、数値目標を掲げるというのは重要なことである。しかし、そのためには、実態調査を行うことが不可欠である。延滞をしている人のなかには払わない人と払えない人がいて、その理由によって対応や取組を変える必要があるし、また、実際に奨学金がどのように学生生活に活用されているのか把握し、奨学金が活用されていることを客観的に示すことが必要である。

(委員)非常に厳しい財政状況のなかで、留学生の支援を行うには、国、機構、大学等の役割を明確にする必要がある。例えば、大学が留学生の生活支援をするのであれば、機構はその大学の支援をする。横断的に俯瞰して、無駄のないように資源を活用する仕組が必要である。また、機構として日本人学生の支援と留学生の支援をそれぞれどのような形で行うのかを明確にしておく必要がある。そのためには現状の調査・分析が必要である。

(委員)財務諸表を見ると、学資金貸与についての貸倒引当金に相当の金額が計上されている。また、奨学事業の延滞に関して2,000億円という数値が報道されている。このような現状を考えると、国民が機構の奨学金貸与事業の事態を重く捉えるのは当然であるので、すみやかに返還状況、延滞している債権額等の情報を齟齬のないように適格に示すことが大切である。その上で奨学金の回収強化策についても示していく。留学生の宿舎については、機構が直接、運営するのではなく、取組を行っている大学等を支援するという形にするとか、独立行政法人都市再生機構のUR賃貸住宅などの他の独立行政法人との協力関係を考えるとか、留学生30万人計画に向けての方向性について具体的に検討することを次期中期計画(案)に盛り込んでいただきたい。


以上


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