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呉宋明君へ

日本は秋となり、木々の葉も色づきはじめました。長い間ご無沙汰してしまいましたが、毎日元気にご活躍のことでしょう。私たちの方はといえば、私はYWCAに、“お父さん”は仕事に忙しく(今年からやっと仕事を半分にしましたが)、そのおかげで年齢を忘れて元気に暮らしています。
今回お便りしたのは、あなたが3年間勉強した信州大学農学部伊那キャンパスを私達が今年2月に訪ねた時の写真を送りたいと思ったからです。その時のことをお話すると・・、
長野県諏訪湖畔の温泉に一泊した翌日、ローカル線で伊那市に向かいました。途中の岡谷駅では、呉君が「農産物の流通を実地で勉強したい」とあえて就職先に選んだスーパーマーケットはどこかしら?と左右を見ましたが分かりませんでした。伊那駅から信州大学農学部までのタクシーの中では、ガソリンスタンドを見かけると、「呉君が夜間の店番は勉強がゆっくりできてよいといっていたスタンドかしら?」と思い出し、畑地の中に小さいアパートがあると、「有機農業に熱心な呉君が大家さんの畑を借りて十数種の野菜を作っていて、私達にもインゲンや人参を送ってくれた下宿先かしら?」と思わず振り返りました。
目的地の伊那キャンパスは松林の中にあり、呉君が通ったと思われる2階建ての講義室や図書館棟があり、その前や案内板の前で撮った写真を同封します。呉君にはこの写真に写っていない周りの景色も見えることでしょう。
思えば、呉君と私が、東京YWCA「留学生の母親」運動で出会ったのは、1994年5月ですから13年前ですね。あなたは2年の兵役と2年の就職経験があって25歳、しっかりと自立した青年でした。希望どおり農学部に入学、日本で就職もできたので喜んでいましたが、翌年台湾のお父さんが亡くなり、あなたは急遽帰国することになり私達も成田空港に駆けつけました。その時あなたは「有機農業で作ったものを素材とするレストランを開きたい」と、夢を教えてくれました。覚えていますか?
その後、新婚旅行で来日した時、「今は不動産業で生計を立てていて、かたわら、信州大学の恩師が開発した“生ゴミのリサイクル方法”を台湾でも広めたいので、ボランテイアで地域の人と取り組みはじめている」と、私達に報告してくれました。そのリサイクルは順調ですか?
あなたがキャンパスから毎日見ていた信州の山々は、そろそろ紅葉のシーズンでしょう。
奥さんに日本の四季を案内したいと思います。いつでもふたりで帰ってきてください。
待っていますよ。
日本の“おかあさん”より
※東平夫妻は、東京YWCA「留学生の母親」運動で呉さんのホストファミリー