採用者のレポート(平成20年度) Englishページへ

このページでは、採用者(研究指導者)の本制度を通じた研究活動の様子、また対象帰国留学生に対する印象や思い出等を紹介します。

 

 

静岡大学
研究指導者: 創造科学技術大学院 冨田 誠 教授
帰国留学生: タルクダー・アミヌル・イスラムさん (バングラデシュ)

 

(冨田誠教授)携行器材の贈呈
◆◆帰国外国人留学生プロフィール◆◆

(国籍) バングラデシュ

(日本留学時の学歴)

1996年10月〜1998年3月 静岡大学大学院理工学研究科(研究生)

1998年4月〜2001年3月 静岡大学大学院理工学研究科(博士)

(現在の所属/職位)

ダッカ大学理学部物理学科/教授

 

(写真) 携行器材の贈呈

 


 

◆◆研究報告◆◆

(派遣期間) 平成21年1月5日〜平成21年1月11日(7日間)

(派遣先) ダッカ大学理学部物理学科

(研究指導分野) レーザー物理学

(携行器材) 解析用コンピュータ(DELL Latitude D630C)、USBフラッシュメモリ(4GB)、偏光光学システム(グランレーザー)

 

(研究概要と成果)

共鳴媒質中での光パルス伝播にかかわる研究を進め、持参したノートパソコンによりパルスの重心の移動のシミュレーションが行えるように指導した。米国Spectra Physics社の高性能なパルスYAGレーザーが導入されており、このレーザーを用いた実験に広範囲に利用できる携帯品のグランレーザープリズムの光軸調整方法を直接指導した。ダッカ大学は2008年度より静岡大学との姉妹校になっており、Pro-Vice-Chancellor A.F.M. Yusuf Haider教授と両大学間の交流のあり方について広く議論をした。セミナーでは、「Slow light in coupled resonator induced transparency」とのタイトルで最新の研究成果についてセミナーを行った。物理学学生実験などを視察、意見交換した。

 

(帰国留学生の本事業に対する意見・感想等)

研究指導事業は、帰国留学生と指導員が再会し、研究プロジェクトの現状について話し合う機会となる、素晴らしいプログラムです。元留学生たちが日本滞在中に終わらなかった研究プロジェクトを終了させる良い機会になります。ただ、当プログラムから一定の成果を得るためには、指導者側と留学生側のどちらの立場から見ても、現時点で最大認められている日数の少なくとも2倍の長さにすべきだと私は思います。当プログラムを継続されているJASSOの方々には感謝しています。

 

◆◆日本留学時の帰国留学生に対する印象や帰国後の交流について◆◆

タルクダー氏は、静岡大学大学院理工学研究科博士課程(国費留学生)として日本に滞在し「共鳴媒質中での光パルス伝播」にかかわる研究を進めた。帰国後、さらに一般性のあるパルスの時間重心を用いたパルス伝播を記述するアイデアを共同研究として温め、日本学術振興会外国人特別研究員として再来日、研究室に滞在し共同研究を行った。ダッカ大学は2008年度より静岡大学との姉妹校になっており、この姉妹校協定の実務は、指導者(冨田)と指導学生によって進めたものである。現在(2008年)は、ダッカ大学教授にプロモーションされている。2003年に設立されたダッカ大学Centre for Advanced Research in Physical, Chemical, Biological and Pharmaceutical Sciencesの中心メンバーでもあり、バングラデシュの研究の向上に重要な役割を果たしている。

 

現ダッカ大学教授の研究室にて、(左)タルクダー教授んと(右)冨田教授セミナー:静岡大学の国際交流の紹介 

 

ダッカ大学教授のみなさんとの会合 セミナー:質疑応答

 

(写真上段左)現ダッカ大学教授の研究室にて、(左)タルクダー教授と(右)冨田教授

(写真上段右)セミナー:静岡大学の国際交流の紹介

(写真下段左)ダッカ大学教授のみなさんとの会合

 

(写真下段右)セミナー:質疑応答

 

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名古屋大学
研究指導者: 工学研究科 飯田 孝夫 教授
帰国留学生: ダドン・イスカンダルさん (インドネシア)

 

飯田孝夫教授と放射線安全技術センターの皆さん◆◆帰国外国人留学生プロフィール◆◆

(国籍) インドネシア

(日本留学時の学歴)

1999年4月〜2001年3月 名古屋大学 工学研究科(修士)

2001年4月〜2005年3月 名古屋大学 工学研究科(博士)

(現在の所属/職位)

国立原子力庁(BATAN) 放射線安全技術センター/主任研究員

 

(写真)

放射線安全技術センターの皆さんと

 

 

 

 

 

◆◆研究報告◆◆

(派遣期間) 平成21年1月11日〜平成21年1月18日(8日間)

(派遣先) 国立原子力庁(BATAN) 放射線安全技術センター

(研究指導分野) 放射線安全

(携行器材) 固体飛跡検出器 バリオトラック-P(CR)、ミニポンプ(MP-Σ30N、MP-Σ300N)、クイックチャージャーQC-10N型、テドラーバッグ1つ口キャップ付1L用

 

(研究概要と成果)

国立原子力庁(BATAN)放射線安全技術センターでは帰国留学生のダドン・イスカンダル君が中心になって、屋内ラドン濃度と環境放射能・放射線の全国調査を進めている。屋内ラドン濃度調査にはパッシブ型ラドン測定器が適している。その測定器の構造や固体飛跡検出器のエッチングおよびエッチピットの読み取り方法の研究指導を行った。固体飛跡検出器は現地で手に入りにくいので持参した。地面や壁からのラドン散逸の測定には、どのような場所でも使用可能な、バッテリー駆動のミニポンプで空気をテドラーバッグに採取する方法が適している。ミニポンプとテドラーバックを使用したラドン濃度測定法についても研究指導を行った。これらはいずれも現地では手に入りにくい物品であるので持参した。今後、インドネシアでの屋内ラドン濃度や環境放射能・放射線の調査データが蓄積されることが期待できる。

 

(帰国留学生の本事業に対する意見・感想等)

研究指導事業は、ここインドネシアで、私たちの研究のあらゆる事項について学部の同僚みんなと話し合う機会となる、非常に有益なものです。また、私が所属する機関にとっても、一週間でセミナーを3回も実施でき、非常に実益のあるものでした。

 

◆◆日本留学時の帰国留学生に対する印象や帰国後の交流について◆◆

帰国留学生のダドン・イスカンダル君はインドネシアでの屋内ラドンと環境放射能・放射線の全国調査を中心になって勧めている。これらの研究計画の立案から調査手法まで、日本での留学経験が生かされている。今後得られる研究成果を大いに期待している。今回の訪問した国立原子力庁には日本への留学経験を有している研究者が多くいる。研究機関での研究指導も重要である。このような指導は、その研究機関全体の研究レベルの向上に有用である。今後、ダドン・イスカンダル君の所属している部門との共同研究を立案して進めていきたいと考えている。インドネシアは東アジアとちがって、熱帯に属しており、環境放射線レベルの高い地域も存在しているので、非常に興味のある地域である。

 

携行器材とイスカンダル君 実験器具を用いた研究指導風景

BATANでのセミナー風景

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(写真上段左)携行器材とイスカンダル君

(写真上段右)実験器具を用いた研究指導風景

(写真下段)BATANでのセミナー風景

 

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愛媛大学
研究指導者: 大学院理工学研究科 矢田部 龍一 教授
帰国留学生: ハリ・クリシュナ・シュレスタさん (ネパール)

携行器材贈呈(矢田部教授(左)、シュレスタ博士(右))

 

◆◆帰国外国人留学生プロフィール◆◆

(国籍) ネパール

(日本留学時の学歴)

2003年4月〜2006年3月 愛媛大学 大学院理工学研究科(博士)

(現在の所属/職位)

ネパール工科大学/准教授

 

 

 

 

 

 

 

◆◆研究報告◆◆

(派遣期間) 平成20年11月21日〜平成20年11月28日(8日間)

(派遣大学) ネパール工科大学

(研究指導分野) 地すべり、地震防災

(携行器材) 小型地震加速計(GID-SSS)USB接続キット付、ノートパソコン・ソフト付(地震加速データ記録用)、携帯型GSP器(MAP60CSX)、デジタルカメラ一式(メモリカード、ケース含)

(研究概要と成果)

元留学生のシュレスタ博士は愛媛大学大学院理工学研究科在学中博士課程研究として四国の地すべりに関するもの、特に地下水低下による地すべり対策技術の評価・検証であり、現在ネパールでは地すべり・地震防災を中心に活躍している。そこで、今回ネパール工科大学・NSET(ネパール全国地震技術協会)・愛媛大学連携で共同地震加速度観測プロジェクトを立ち上げ、カトマンズ盆地内2箇所に地表・地下1つずつ計4個の地震加速度計を設置することにした。また、2003年以来愛媛大学地すべり防災研究チームがネパール工科大学と共同で行っている地滑り防災研究の継続としてシュレスタ博士の調査活動に必要なハンディーGPS1台、デジタルカメラ1台及びノートパソコン1台を携行した。これらの機材はネパール工科大学防災リスク研究所のものとされ、組織としてもかなり活躍できるものになる。今回の指導により学術的発表はできなかったが、今後シュレスタ博士が報告する予定である。

 

(帰国留学生の本事業に対する意見・感想等)

私は元留学生として本事業の支援を受けることができてJASSOに感謝しています。また、元留学生の研究活動を財政的に支援する制度は、特に、研究資金源が乏しいネパールのような開発途上からすると非常に有り難いです。今回提供された器材などを活用し、今後より多くの調査ができると考えています。同時に、非政府機関に地震加速度計が設置されたのは初めてのことなので、ネパールでは大変重要な意味をもっています。

 

◆◆日本留学時の帰国留学生に対する印象や帰国後の交流について◆◆

シュレスタ博士は現在ネパール工科大学の准教授で防災リスク研究所のセンター長とともに副学長(Vice Principal)をしている。帰国以来もシュレスタ博士を中心にネパール工科大学と愛媛大学のジョイントイベントとして防災に関する国際シンポジウムや学術会議を3回開催しており、ネパールの地震・地すべり防災の中心人物になろうとしている。また、ネパール国内研究旅費でも他大学や政府機関との共同事業として様々な研究活動を行っている。将来ネパール工科大学及びネパールの防災活動における柱となって動いてくれると期待できる。愛媛大学としても、すでにネパールの防災調査研究に関わっており、ネパール工科大学やシュレスタ博士もサポートしていくつもりである。

 

 

 

器材使用法の説明「覚書」の交換

 

集合写真シンポジウムのレセプションパーティで今回の研究指導について関係者に報告するシュレスタ博士(中央)

 

 

 

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奈良先端科学技術大学院大学
研究指導者: バイオサイエンス研究科 川市 正史 教授
帰国留学生: ムルワントコさん (インドネシア)

ムルワントコ博士(左)、川市教授(右)

 

◆◆帰国外国人留学生プロフィール◆◆

(国籍) インドネシア

(日本留学時の学歴)

2000年4月〜2004年6月 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科(博士)

(現在の所属/職位)

ガジャマダ大学/講師

 

 

 

 

 

◆◆研究報告◆◆

(派遣期間) 平成20年11月23日〜平成20年11月30日(8日間)

(派遣大学) ガジャマダ大学

(研究指導分野) 魚類の疾患特にウイルス感染疾患の免疫学的診断と分子生物学的手法によるワクチン作製

(携行器材)  タンパク質電気泳動装置(ATTOコンパクトPAGEツイン、ゲル作製器、安全カバー)、タンパク質転写装置(ATTOコンパクトブロット)、実験用プラスチック器材(ピペットチップ(大)、ピペットチップ(小))、 そのほか(減菌用シリンジフィルター、減菌用ボトルファイルター、転写用PVDF膜、検出用ECLキット、アクリルアミド(500g)、 ビスアクリルアミド(25g)、Albumin(50g)、PolyI:PolyC(25mg)、レインボーマーカー
(研究概要と成果)

インドネシア、ガジャマダ大学において帰国留学生のムルワントコ博士と大腸菌を用いて魚のウイルスの蛋白質を作り、それに対する抗体を作製して診断に使ったりあるいはワクチンとして利用する研究を行った。携行器材は、大腸菌で作った蛋白質の性質を検討し、抗体の強さを調べるために非常に有力な道具として使える。また、PCRなどの分子生物学的手法を用いた魚の病気の診断方法についても検討した。共同研究以外にも、ガジャマダ大学、マレーシア科学大学と奈良先端科学技術大学院大学による共同国際シンポジウムに参加したり、農学部や薬学部の学部学生を対象としたトレーニングコースで免疫学的技術の実技指導と講義を行い、また大学院学生を対象とした講義を行った。さらに、日本への留学に興味のある教員や学生を対象として本学と日本の大学院教育についてセミナーをするなど、さまざまな学部の幅広い教員、学生と交流を行うことができた。

 

(帰国留学生の本事業に対する意見・感想等)

今回の帰国留学生へのフォローアップ事業を通じて、かつて指導を仰いだ川市先生と、私自身が現在行っている研究について討論し、直接に最新の実験技術の指導を受けるという貴重なチャンスに恵まれました。確かに討論はインターネットを介してもできますが、私の研究室では何ができて何ができないのかを、あるがままの状態で話し合えることで、議論はより実り多いものとなります。また、本事業を通じて、新しい機材や試薬をいただくこともできました。そして何より素晴らしいのは、今回、私の担当する学生達が最先端の研究テーマの数々を学ぶことができ、将来日本の大学院へ留学して研究を続ける励みになることです。

 

◆◆日本留学時の帰国留学生に対する印象や帰国後の交流について◆◆

ムルワントコ博士は、2000年4月に飯田奨学金の支援を受けて本学のバイオサイエンス研究科の博士課程に入学し、私の講座でHtrA1というヒトの変形性関節炎に関係した遺伝子の研究を行って、2004年に博士号を取得しました。本来、魚のウイルス病に関する免疫学的な研究の従事してきた学生でしたので、私の講座でも分子生物学的な方法のみならず、免疫学的な技法も含めて研究と技術習得を行いました。本学ではムルワントコ博士以前にも何人かのガジャマダ大学学生を受け入れたことから、2005年に本学とガジャマダ大学との間に教育研究交流協定が締結されました。その後は、2005年、2007年、2008年3月と共同シンポジウムを開催するためインドネシアを訪問し、その機会に研究について討論するなど交流が続いていました。今回は一週間にわたり滞在することが出き、じっくりと落ち着いて研究ができました。

 

 

 

合同シンポジウム閉会式ガジャマダ大学薬学部副部長と日本留学を希望する学生との懇談トレーニングコース参加者とムルワントコ博士(右端)トレーニングコース参加者へ修了書を授与

 

 

 

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広島大学
研究指導者: 大学院工学研究科 播磨 裕 教授
帰国留学生: 蒋暁青(ジャン・シャオチン)さん (中国)

蒋博士(左から2番目)、播磨教授(左から3番目)

 

◆◆帰国外国人留学生プロフィール◆◆

(国籍) 中国

(日本留学時の学歴)

2000年4月〜2003年3月 広島大学 大学院生物圏研究科(博士)

2003年4月〜2005年3月 広島大学 大学院工学研究科(助手)

(現在の所属/職位)

南京師範大学/教授

 

 

 

 

 

◆◆研究報告◆◆

(派遣期間) 平成20年10月28日〜平成20年11月3日(7日間)

(派遣大学) 南京師範大学

(研究指導分野) 機能材料開発工学

(携行器材)  ポテンショ/ガルバノスタット(北斗電工 HAB-151)、 ファンクションジェネレータ(横河電機 FG110)
(研究概要と成果)

蒋博士は広島大学において学位(学術博士)を取得後、当研究室(播磨教授の研究室)の助手として2年間勤務した。この間、新規に開発した実験手法を用いて、導電性高分子の電荷移動機構を移動度評価の視点で解明し、その成果を物理化学・材料科学・電気化学分野の一流国際誌に合わせて10通発表した。母校の南京師範大学に着任して3年後に教授に昇進し、教育・研究に携っている。しかしながら、母校では測定機器や実験試薬類、修理サービスなどの研究環境が満足な状況になく、これまで行ってきた材料科学分野の研究を継続し、展開させることが困難であった。携行した2台の装置はいずれも蒋博士が広島大学において使用していたものと同機種であり、自らが獲得した研究資金により購入した実験装置を組み合わせることですぐに研究に役立てることができる。今回の研究指導事業により、研究が滞りなく円滑に遂行できる研究環境が整備されたと同時に、セミナーを通して化学系教員に材料科学研究の重要性を認識して頂く機会が持てたことで、周囲の研究者の協力体制を確立することができた。

 

(帰国留学生の本事業に対する意見・感想等)

今回、帰国留学生に対するフォローアップ事業を実施してくださったJASSO、広島大学、ならびに播磨教授に対し、感謝の気持ちを表したいと思います。このフォローアップ事業は、私の研究グループと私自身にとって非常にありがたいものです。贈呈していただいた2台の研究用装置は、私たちがここ南京師範大学で研究作業を進める上で大いに役に立ちます。また、播磨教授の優れたご指導により、私たちの研究活動はとても円滑に進むこととなりました。このプログラムは、私たちの研究作業に助力してくれるのみならず、広島大学と南京師範大学との間のやり取りと友好関係をも推し進めてくれるものと思います。

 

◆◆日本留学時の帰国留学生に対する印象や帰国後の交流について◆◆

日本留学時の蒋博士は研究に対して非常に熱心で向学心のある、負けず嫌いな性格の学生だった。実験技術は正確でしかも忍耐強く、困難で時間を要する測定も難なくこなし、信頼性の高いデータを出してくれた。今回の訪問にあたり、彼女が交通手段や宿泊施設、携行装置の免税手続き、贈呈式会場の準備、大学関係者への様々な手配をしてくれたが、そこにはとても繊細な心遣いが感じられ、彼女の別の一面を発見した気がした。また、南京師範大学の同僚や研究室の学生達と接している様子から、彼女が周囲の人々から深い信頼を得、研究面でも期待されている様子が見てとれた。今回の訪問を機会に、彼女を含めた南京師範大学の化学系研究者との共同研究が始まる次第となった。今後のさらなる交流が、南京と広島の間で継続的に行われるものと確信している。

 

 

携行器材贈呈式研究概要の説明セミナー風景実験指導

 

 

 

 

 

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金沢大学
研究指導者: 医薬保健研究域薬学系 鳥羽 陽 准教授
帰国留学生: タニヤ・チェティヤヌコンクンさん (タイ)

タニヤさん(左)と鳥羽准教授(右)

 

◆◆帰国外国人留学生プロフィール◆◆

(国籍) タイ

(日本留学時の学歴)

2000年10月〜2004年3月 金沢大学 大学院自然科学研究科(博士)

(現在の所属/職位)

チェンマイ大学/助教

 

 

 

 

 

 

 

◆◆研究報告◆◆

(派遣期間) 平成20年11月19日〜平成20年12月2日(14日間)
※2008年11月26日に発生した反タイ政府団体のバンコク国際空港閉鎖の影響を受け、研究期間を延長せざるを得なかった。

(派遣大学) チェンマイ大学

(研究指導分野) 環境分析化学

(携行器材)  ミニポンプ MP-Σ3 (柴田科学 080860-3) 3台、個人サンプラー用ホルダー ATPS-20H(柴田科学 080150-0201) 3台

(研究概要と成果)

タイを含めた東南アジアやアフリカの国々の地方では家庭用燃料を木材、石炭、木炭、糞尿、作物の残りなどに頼っており、不完全燃焼を伴う簡易コンロで燃やされる。その結果、女性や子供は毎日高濃度の室内空気汚染物質、すなわち粒子状物質(粉じん)、一酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物などに曝露し、喘息の悪化などの呼吸器疾患や肺がんなどのリスクを確実に増加させる。住民の曝露実態を明らかにする手法の一つとして、携帯型の個人エアサンプラーを用いて室内外の大気試料を捕集して粉じん濃度や有害化学物質の濃度を測定することが行われる。本事業で譲渡した個人サンプラーにより大気試料を容易に捕集できるようになった。帰国留学生は、その使用方法の詳細を学習すると共に、山間部農村において実際に大気試料を捕集して室内空気中の粉じん濃度の高さを観察した。帰国留学生が独自に試料捕集を行えるようになった意義は大きく、今後の共同研究の進展も大いに期待できる。

 

(帰国留学生の本事業に対する意見・感想等)

私は携行器材の寄贈を含めて本事業をサポートしていただいたJASSOとご指導いただいた鳥羽先生にとても感謝しております。私の大学では帰国留学生が引き続き研究を続けていく環境が十分に整っているとは言い難く、寄贈いただいた器材により研究を進められることをうれしく思います。本事業では器材の使用方法を学び、実際に農村の家屋内外の大気試料を捕集して室内外の大気汚染状況を調査することができました。今後さらに金沢大学との共同研究を通してタイの大気汚染の実態を明らかにしていくと共に、交流を通してお互いの国や文化についても理解を深めたいと思っています。

 

◆◆日本留学時の帰国留学生に対する印象や帰国後の交流について◆◆

タニヤさんが金沢大学の博士課程に入学した際には日本語をほとんど話せなかったため、他の日本人学生と打ち解けられるのか心配した。彼女の持ち前の性格の明るさにより、数ヵ月後には研究室内だけでなくプライベートも含めて全員と仲良くなってしまい、日本人同士でもここまで親密にならないのではないかと思うくらいの仲の良さに正直驚かされた。ヒト尿中に排泄される環境汚染物質の代謝物の分析法に関する研究テーマにも熱心に取り組み、数多くの論文が国際ジャーナルに掲載された。帰国後は研究環境が整わず苦労していたところで本事業を実施することができ、本人も本当に喜んでいた。最近では彼女のサポートによりチェンマイ大学と金沢大学との大学間交流協定も締結されるに至っており、今後本学が多くの留学生を受け入れる際にもよきアドバイザーとなってくれることを期待している。

 

 

携行器材譲渡式研究指導風景特別講義大気調査

 

 

 

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熊本大学
研究指導者: 教育学部 鳥飼 香代子 教授
帰国留学生: ショウ・ギョクエンさん (台湾

携行器材贈呈式(後列左:ショウ副教授、後列左から二番目:鳥飼教授)

 

◆◆帰国外国人留学生プロフィール◆◆

(国籍) 台湾

(日本留学時の学歴)

1986年4月〜1998年3月 熊本大学 大学院文学研究科(修士)

2000年4月〜2006年3月 熊本大学 大学院自然科学研究科(博士)

(現在の所属/職位)

南栄技術学院/副教授・応用日本語学科主任

 

 

 

 

 

 

 

◆◆研究報告◆◆

(派遣期間) 平成20年9月12日〜平成20年9月21日(10日間)

(派遣大学) 南栄技術学院

(研究指導分野) 都市計画

(携行器材)  ノートパソコン(ソニー VGN-SZ75B/B)、プロジェクター(エプソン EMP1700)

(研究概要と成果)

華僑文化圏では都市の交流施設として、廟が重要な役割を果たしている。廟は宗教施設であるため、地域福祉の中心であるが、さらに地域の祝祭空間でもあるため、体験型観光資源としても魅力的な存在である。このように廟の多面的な役割を台湾の台北市、高雄県の廟調査を通して実証した。一連の調査には携行器材である、ノート型パソコンを用意し、現地での調査票の変更や、あるいは地域住民への内容解説などに活用した。さらに、11月の台湾での研究交流集会では、プロジェクターを合わせて活用した。現在ショウさんがこれらの器材を使って、データーの集計や整理を行っている。

 

(帰国留学生の本事業に対する意見・感想等)

JASSOからの研究支援は大変役立ちました。これまでは、いつも先生に負担してもらって申し訳なく思っていました。携行器材のパソコンは、研究室に常設し、今は調査の集計などに使っています。台湾では日本のパソコンは大変高価です。しかし、性能が良いため、みんな欲しがっています。これまで日本のパソコンで作った原稿は、台湾のプロジェクターと相性が悪く、接続に時間がかかったし、ファイルが開かないこともありました。今は安心して使えます。日本の大学との式典などでも活躍しています。大変感謝しています。

 

◆◆日本留学時の帰国留学生に対する印象や帰国後の交流について◆◆

ショウさんはまじめで優秀な大学院生でした。熊本大学で博士号取得後、現在の台湾南栄技術学院副教授に就任しました。さらに現在は日本語学科の主任でもあります。当該大学からの要望もあり、3年前彼女が中心となって企画し、熊本大学教育学部と交流提携を結び、この間で台湾から6人、日本から3人の交換留学生派遣が実施されました。さらに、合同研究シンポジウムを2回開催しました。私は、今後も廟と廟を活用した体験型観光の研究ハブ校を目指し、彼女たちの研究支援を続ける予定です。JASSOのご支援に大変感謝しています。

 

 

携行器材の贈呈特別講義

 

 

 

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富山大学
研究指導者: 大学院医学薬学研究部 竹内 義雄 教授
帰国留学生: 劉兆鵬(リウ・ツァオペン)さん (中国)

携行器材の贈呈 劉兆鵬教授(左)と竹内教授(右)

 

◆◆帰国外国人留学生プロフィール◆◆

(国籍) 中国

(日本留学時の学歴)

1998年4月〜2001年3月 富山医科薬科大学 大学院薬学研究科(博士)

(現在の所属/職位)

山東大学/教授

 

 

 

 

 

 

 

◆◆研究報告◆◆

(派遣期間) 平成20年9月3日〜平成20年9月10日(8日間)

(派遣大学) 山東大学

(研究指導分野) キラル薬物化学

(携行器材)  HPLC用分析キラルカラム一式(Chiralpak IA分析カラム(標準)、 Chiralpak IA分析用ガードカートリッジ、 Chiralpak IB分析カラム(標準)、 Chiralpak IB分析用ガードカートリッジ、 ガードカートリッジ用ホルダー)

(研究概要と成果)

キラル化合物を効率良く得る技術の習得は、創薬研究を推進する上で極めて重要である。キラル化合物を得る技術は幾つか知られているが、それらの中で、キラルカラムを用いるHPLC法が最も迅速、簡便かつルーティーンに達成可能である。しかしながら、創薬化学の研究に携わっている帰国留学生の勤務先研究機関(山東大学薬学部)には、キラル分割の実績もなければキラルカラムもない。加えて、創薬化学(薬物化学)の研究領域において光学活性体が持つ重要性の認識も不十分である。そこで、今回、携行器材であるキラルHPLCカラムを用いることにより、光学活性体の効率的な合成技術を習得させた。また、創薬における光学活性体を用いることの重要性およびキラル化合物の分子設計的な戦略に関する知識を身に付けさせた。帰国留学生が本国でこの分野の先端研究を開始する体制の構築に貢献できたことは、国際交流の視点からも意義深いものと思われる。

 

(帰国留学生の本事業に対する意見・感想等)

JASSOの帰国外国人留学生研究指導事業は、かつて日本で学んだ帰国留学生にとっては、なかなか良いシステムだと思います。本事業を通じて、帰国留学生は帰国後の研究の大きな支えとなる研究面での支援を受けられるだけでなく、指導教官との再会を果たし、研究に関することやその他様々なことについての近況報告など、指導教官と旧交を温める機会に恵まれます。それだけではありません。指導教官に感謝の念を伝え、自国の文化や伝統を紹介し、お互いの理解を更に深められるまたとないチャンスでもあります。皆さん、本当にありがとうございます。

 

◆◆日本留学時の帰国留学生に対する印象や帰国後の交流について◆◆

留学生として研究指導者の研究室に滞在していた当時の劉君に対しては、非常に誠実、謙虚、かつ礼儀正しい好青年との印象を受けた。研究はあくまで自主的に行い、日曜日も早朝から深夜まで実験に取り組む、まさに博士課程大学院生としては理想的な研究姿勢であった。研究指導者はこれまで何名かの博士学生の指導に携わってきたが、劉君に巡り会えた事は指導者としては実に幸運であったと思う。彼が本学を去って以来、幾つかの共著論文を作成したが、いずれも彼の研究業績から更に発展させたものである。郷里の済南で彼が教授となられて活躍している事は、かっての指導者としてはこの上なく嬉しい事である。彼の日本に対する印象も非常に良いもので、彼が預かっている優秀学生を再度、私の所に派遣したいとの要請を受けている状況である。

 

携行器材を用いた研究指導の様子「覚書」の交換

 

山東大学での講演大連理工大学での講演

 

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北海道大学
研究指導者: 大学院水産科学研究院 飯田 浩二 教授
帰国留学生: 湯勇(タン・ヨン)さん (中国)

携行機材の魚群探知機を手にする湯勇教授

◆◆帰国外国人留学生プロフィール◆◆

(国籍) 中国

(日本留学時の学歴)

1999年4月〜2001年3月 東京水産大学 大学院水産学研究科 (修士)

2001年4月〜2004年3月 東京水産大学 大学院水産学研究科 (博士)
2004年4月〜2006年3月 北海道大学  大学院水産科学研究院 (日本学術振興会外国人特別研究員)

 

(現在の所属/職位)

大連水産学院/教授

 

 

 

 

◆◆研究報告◆◆

(派遣期間) 平成20年8月29日〜平成20年9月7日(10日間)

(派遣大学) 大連水産学院

(研究指導分野) 音響資源計測学

(携行器材) カラーGPSプロッタ魚探 GP-7000F

(研究概要と成果)

帰国留学生の湯勇氏は現在大連水産学院の教授として活躍している。日本留学時に魚群探知機による水産資源調査に関する研究で博士の学位を得たが、中国では実験装置や研究環境が十分でなく、現場で調査を実施する機会が非常に少ない。そこで今回、日本から簡易な実験装置を持参して湯勇氏と共に遼寧省北部にある清湖に行き、そこに生息する水産資源(ハクレン、コクレン、コイなど)の資源調査を実施した。装置は通常の魚群探知機とパソコンを組み合わせた手づくりであるが、漁船をチャーターして行なった現場調査では、正確な位置データとともに多数の魚影が確認され、性能は専用の計量魚群探知機に及ばないものの、資源調査には十分役立つものであることがわかった。また、大学で行った講義や関係者との教育研究協力に関する話し合いなど、多くの成果を得ることができた。湯勇氏は2008年11月に行なわれるアジア水産音響学会で研究成果を発表する予定である。

 

(帰国留学生の本事業に対する意見・感想等)

JASSOの支援により、日本の指導教官と再会できて心から感謝しています。本事業では、実験装置を提供していただいた上、湖での現地調査でも良い結果が得られ、現地の企業から高く評価されました。今回の実験で、中国ではあまり応用が進んでいない音響資源調査法の有効性が認められ、将来の中国における淡水漁業の資源管理や生態研究に大きく貢献するものと考えています。今回の研究成果はアジア水産音響学会で発表する予定です。また,指導教官には大学で講演していただき、水産音響の基礎知識や先端技術の紹介など、学生にとって非常に良い教育効果が得られました。知識ばかりでなく、授業を通して中日友好交流ができ、相互理解も進んだと思います。今回の事業で、日本の大学との共同研究や中国での水産調査の推進に展望を持つことができました。今後ともJASSOのご支援をいただければ幸いです。

 

◆◆日本留学時の帰国留学生に対する印象や帰国後の交流について◆◆

湯勇氏は大学院修士課程、博士課程、ポスドクを含めて7年以上日本に留学していたので、日本語が大変流暢である。大学院終了後は私の研究室で2年間ポスドク研究員としてソナーを用いた資源量調査法に関する研究に従事した。彼の口癖は「大丈夫、大丈夫、問題ない。」である。彼の性格は羨ましいほど楽観的で、外国での学会参加の折に、航空券や財布入りのバッグを公園のベンチに置き忘れ、周囲が心配しているのに、本人はいたって平気だったのを思い出す。しかし研究になると厳密で、なかなか妥協しない頑固な面がある。彼が帰国後も、私は湯勇教授の教え子を留学生として受け入れたり、毎年1、2回大連水産学院を訪問するなど、我々の交流は今も続いている。

 

携行機材の贈呈講義の様子魚群探知機を用いた調査

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佐賀大学
研究指導者: 海浜台地生物環境研究センター 亀井 勇統 准教授
帰国留学生: アリム・イスナンセチョさん (インドネシア)

携行機材の設置 アリム・スナンセチョ氏(左)と亀井洵教授(中央)

 

◆◆帰国外国人留学生プロフィール◆◆

(国籍) インドネシア

(日本留学時の学歴)

1998年4月〜2000年3月 佐賀大学大学院 農学研究科 (修士)

2000年4月〜2003年3月 鹿児島大学大学院 連合農学研究科 (博士)

(現在の所属/職位)

ガジャマダ大学/講師

 

 

 

 

 

 

◆◆研究報告◆◆

(派遣期間) 平成20年8月21日〜平成20年8月30日(10日間)

(派遣大学) ガジャマダ大学

(研究指導分野) 水産学

(携行器材) ホモジナイザセルマスター(CM-100)、 光電比色計(AP-101)、 ハンディ型UVランプ(3UV-38)、 電気泳動装置(8-PitSub)、 マグネチック小型スターラー(SRS)

(研究概要と成果)

アリム・イスナンセチョ氏の在職するガジャマダ大学において、ガジャマダ大学と佐賀大学間の共同研究や学術交流の促進を図る目的で、滞在前半は100名を超える学生と教員を対象にして、当研究室(亀井准教授の研究室)で行っている養殖ノリの真菌感染防除に関するマリンバイオテクノロジーのセミナーと、水産学部の教員を対象にした海洋生物由来の有用生理活性物質の講演を行うと共に、学生に対しては海洋生物由来の有用生理活性物質の探索方法について特別講義を行った。また、帰国留学生であるアリム・イスナンセチョ氏自身に対しては、彼の研究室と供に現地で採取した海水から抗菌性を有する海洋細菌を分離すると共に、携行機材のホモジナーザーによる試料の細断方法や光電比色計による海洋細菌のおおよその菌数の推定方法を説明しながら、他の携行器材を用いた抗菌物質に関する今後の研究の方向性について教授した。

 

(帰国留学生の本事業に対する意見・感想等)

帰国外国人留学生研究指導事業は、帰国留学生と留学時の指導教官との間のみならず、日本とインドネシア両国にある二つの大学間の関係をも良好にするために大変効果的な事業です。私の担当学生たちも学部の仲間たちも、今回の9日間に行われたセミナーや講義講演、実験指導について大きな関心を抱いていました。研究器材をご供与いただき、私の研究室の研究設備も大いに改善されることとなりました。帰国留学生が、留学時の指導教官と帰国留学生による共同研究を始められるような競争的研究資金をJASSOが支給してくださることを願っております。

 

◆◆日本留学時の帰国留学生に対する印象や帰国後の交流について◆◆

アリム・イスナンセチョ氏の当研究室における来日当初は、6ヶ月間の日本語のトレーニング後であったためか、他の日本人学生との間で比較的スムーズに実験に関する会話を行っていて、研究室の他のメンバーとの食事やイベントにも積極的に参加して日本文化に馴染もうとする努力と向学心がみうけられ、日本人学生への模範生として勉学に励んでいた。5年間の修士および博士課程を修了してインドネシアへ帰国後は、博士課程修了前に投稿していた論文の内容修正や論文掲載受理のゲラの校正等を通して、メール等でアリム・イスナンセチョ氏の研究について継続的に情報交換を行ってきていたが、修了後5年を経った現在でも当研究室在学中と何ら変わらぬ対応で、今でも交流を続けている。

 

 

学生に対する講義風景学生に対する実験指導風景

学生と教員に対するセミナー風景

 

 

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日本獣医生命科学大学
研究指導者: 獣医学部 畑井 喜司雄 教授
帰国留学生: カニット・チュカンホムさん (タイ)

 

カニットさん(左)と畑井教授(右)

 

◆◆帰国外国人留学生プロフィール◆◆

(国籍) タイ

(日本留学時の学歴)

1999年10月〜2000年9月 日本獣医生命科学大学 獣医学部(研究生)

2000年10月〜2004年9月 日本獣医生命科学大学 獣医生命科学研究科 (博士)

(現在の所属/職位)

コンケン大学/講師

 

 

 

◆◆研究報告◆◆

(派遣期間) 平成20年7月30日〜平成20年8月8日(10日間)

(派遣大学) コンケン大学

(研究指導分野) 魚病学

(携行器材) クールインキュベータ(CN-25C) 2台

(研究概要と成果)

現地では、コイとテラピア卵に発生する水カビ病は、種苗生産を行う上で解決しなければならない真菌病である。本病の実態調査のため、原因菌の分離を試み、原因菌を特定する指導をまず行った。卵の表面から分離された菌は Achlya 属に分類されるミズカビ科の菌が主体であった。本菌の培養には培養温度が重要であり、とくに、15−20度の温度で培養することが求められる。しかし、現地には低温培養器がないために、菌の培養が困難で、細菌の汚染などにより菌を死滅させることが多く、種々の研究を行えない状況にあった。今回供与した2台の低温培養器により、温度の高いタイでもこれらの菌が安定して培養できることになった。また、この真菌病を防除するための、薬剤感受性試験法、とくにタイのハーブ類を使用して防除するための基礎的な手法について教授した。帰国外国人留学生が一人でこの問題に取り込める基礎技術を教授できたことは成果であった。

 

(帰国留学生の本事業に対する意見・感想等)

私にとって、この研究指導はきわめて重要なことでした。畑井教授は、原因菌の分離や真菌病の防除に関する良きアドバイスをくださいました。それらは、私の研究に大変役立つものでした。また、研究に関連して、私にも簡単にできる基礎技術も教えてくださいました。さらに、菌の集め方、特定法、また原稿の準備の仕方までご指導くださいました。これからの研究にとって、欠くことのできない素晴らしい経験を積むことができました。

 

◆◆日本留学時の帰国留学生に対する印象や帰国後の交流について◆◆

カニット・チュカンホムさんが本学で研究を開始した時点では、日本語の会話が不自由であり、現地に奥さんと子供を残してきたこともあり、ホ−ムシックに陥ることが度々であった。また、日本人学生との交流も心配されたが、徐々に日本での生活にも慣れ、精力的に研究を行うようになった。カニット・チュカンホムさんが所属する大学と本学とは学術交流目的とした協定を締結しているため、訪問する機会は少なくないが、訪問する度に教員として、また大学のスタッフとして重要な地位を築きつつあるのを見るのは頼もしい限りである。訪問する度に飛行場やホテルへの送迎を行ってくれ、家族で歓待してくれる関係を維持している。現在では講義・実習だけではなく、卒論の学生や修士課程の学生をも指導しており、日本で勉強した経験や知識が十分に生かされているようである。さらに今回の研究指導事業により、これまでなかった機材が設置されたことで、更なる研究が進展することを期待している。

 

 

テラピアの養殖場での魚病調査特別講義

「覚書」の交換設置された携行器材

 

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