事例1

申し出者 本人(上肢機能障害)
申し出を受けた
部署
・当該学生の担任
・障害学生支援室
申し出の内容 ・授業での代筆ノートテイク支援を利用したい。
・定期試験での配慮をしてほしい。
話し合いの内容 ・学期が始まる前に、当該学生、担任、障害学生支援室の教員、支援学生の代表が一堂に会し、当該学生の時間割と本人の要望を確認した。本人が所属する教育組織長と障害学生支援室長の連名で配慮依頼文書を作成し、担任を通じて、当該学生の指導にあたる教員に周知を図った。
・本人のニーズに基づき、障害学生支援室の教員が提案した支援内容について、当該学生も納得した。
提供した配慮 ・授業では、学生による代筆支援を行なった。
・定期試験では、本人が所属する組織の大学院生による代筆支援や、別室に機器を持ち込み、ティーチング・アシスタント立ち会いの下での時間延長(1.3倍)、時間延長の試験が連続する場合は開始時間の調整を行なった。
・その後、本人が自発的に試験の支援をしてくれた大学院生と密に連絡を取り、次回の試験時の支援を事前に依頼している。
解説 授業では、講義を聴きながらメモをとる場面が多くある。しかし、上肢機能障害の場合、筆記や器具等の操作自体に意識が向いてしまい、講義に耳を傾けて理解することが難しくなる。また、筆記等に時間を要するために、思考を深めたり、解答を記述したりする時間を十分に確保することができない。上肢操作の負担を軽減する支援は、本人が講義内容に集中するために、また、授業者がその成果を適切に評価するために重要となる。なお、本事例では、本人自らが大学院生に連絡し、次の試験時の支援を依頼するようになる等の自発性も出てきている。当該学生自身が必要な支援内容を整理し、支援を依頼・獲得する力を高めることも大切だ。

事例2

申し出者 本人(脳性まひ1級)、担任・所属教育組織
申し出を受けた部署 授業担当教員
申し出の内容 電動車いすを使用。
授業(特別支援学校の見学)に際し、自動車による移動が必要な箇所について支援を検討して欲しい。
話し合いの内容 担任・所属教育組織を通じて障害学生支援室に相談があった。関係者で意見交換したところ、電車、バスの乗換えは駅員の介助を利用して移動可能だが、一部のルートでは見学先までの交通機関の運行が十分ではないことがわかった。障害学生支援室では学外の支援(支援学生の派遣など)については個別に検討することを伝えた。
提供した配慮 教育組織は支援願いを障害学生支援室に提出。
交通機関の運行が不十分な箇所は福祉タクシーを用いることとし、その費用を障害学生支援室が負担した。
その他の移動については学生が単独で行ない、支援が必要な場合は知人・友人に相談して対応することとした。
解説 国立大学の保健学部で学ぶ電動車いす利用の脳性まひによる肢体不自由学生から、特別支援学校見学授業に際し、自動車による移動が必要な個所についての支援の相談を受けた時、次のような内容で議論を進め支援体制を検討することが求められる。見学先までのルートを確認し、電車バスの公共交通機関では駅員の介助を本人が確認する。公共交通機関が利用できない個所については福祉タクシーの利用を大学(障害学生支援室)負担とすることを検討し実施する。授業担当教員との連絡相談を密にすすめる。実施後は、当該学生から、見学授業に参加する際の電動車いす学生の参加の問題点と課題についてレポートしてもらう。

事例3

申し出者 高校担任、母親
申し出を受けた部署 入試担当(入試時)
総務・教務・学生担当(入学後)
厚生委員会が協議機関
申し出の内容 車いすでの生活になるため、ある程度支援をしてほしい。
話し合いの内容 高校担任、本人(下肢機能障害)、学科長、事務局職員(教務、学生、保健担当)により支援会議を開催。本人と話し、腕の力が弱く重いドアは開けにくい、急な坂は登りづらく支援が必要、などを確認した。また通学方法はバスであることを確認した。
提供した配慮 学内を本人と教職員が回り、ドアの開閉、段差、スロープなどをチェック。アクセス困難な教室について、授業教室を変更するとともに、受講しやすい座席を確保した。体育の授業については、教員の承諾を得て、見学とした。バスの乗降は守衛・職員が見守ることとした。
解説 比較的小規模な短大での対応事例(下肢障害、車いす使用)である。厚生委員会を対応機関とし、事務局(教務、学生、保健など)が応じている。専門職員は置いていないものの、必要な対応要素を揃えて取り組んでいる。アクセス可能な教室への変更などは、申し出に応じて行なわれるべき個別配慮のひとつだろう。このほか、著しい負担でない範囲ならば、学生に適した机・いすへの変更が行なわれることもある。申し出者は本人以外だったが、話し合いから本人を交えて協議・検討したことは、本人ニーズを中心とした取組への移行にとって重要である。体育については対応が難しいが、体育の教育目的を踏まえ、見学以外のプログラム検討が望ましい。

事例4

申し出者 本人(上下肢機能障害)、保護者
申し出を受けた部署 学部長・教務部・学生部・保健室・総務部・障害学生支援室
申し出の内容 ・介助員の採用:日常の大部分で介助が必要であり、特に排泄介助において、専任教職員に対応してもらいたい。費用については自己負担分が発生しても構わないとの申し出があった。
・その他、車いすで授業を受けられる教室の調整と多目的トイレへの移乗台設置の依頼があった。
話し合いの内容 【介助員の採用について】関係する部署間で検討した。専任教職員雇用は費用面で、用務員の活用も検討したが、外部委託のため困難であると判断した。学生の居住する自治体の福祉制度も利用できないことを確認した。
そのため、授業間の休み時間のみ外部ヘルパーにて対応し、費用は大学が負担することとした。大学の支援の考え方や本人にとっての卒業後の社会生活を見据えた決定であることを説明し、希望通りの対応ではないが、本人・保護者ともに納得し、4月の授業開始時から対応を始めた。
提供した配慮 【車いすで授業を受けられる教室の調整について】
・エレベーターが設置されていない建物は、構造上の問題から、建物自体の建て替えをしないとエレベーターが設置できないため、実現には至っていない。
・施設課と調整を行なった上で、要望のあった複数の教室で、車いすで利用できる可動机に、改修を行なった。
・入室ができない教室(エレベーターが設置されていない建物の上層階など)については履修予定科目がわかった段階から、教務部にて教室変更の調整を行なっている。
【多目的トイレへの移乗台設置について】
4月の授業開始前に、大学の費用で、常設で1か所設置。本人の希望にできるだけ近いものを設置するよう努めた。支援予算で可動式の移乗台をさらに2台購入し、よく利用するトイレともう一方のキャンパスにも設置。
解説 トイレ他生活上の介助についてどう考えるかについて参考となる。本人保護者の意向を踏まえて考えられる対応を検討した上での十分な情報提供と丁寧な話し合いのプロセスが、大学と本人保護者の間の信頼関係を醸成して、合意形成に至ったと考えられる。
また、施設・設備の改修については、大学内の各部署が連携・協力しながら、優先順位とその時点で可能な支援を行なっている。さらに、継続的に取り組んでいる。

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