準備期間

 ここでいう準備期間とは、合格が決まってから三月末までを言います。
 合格が決まると、必要書類と同時に障害学生修学支援に関する情報も送付します。大学としてどの様な支援を提供できるのか、その申請方法は、などです。この場合、入学願書等に「支援希望」と記載されている学生のみに送る大学が多いようですが、全合格者に送る大学もあります。大学としての取り組みを全学生に伝えるためと、健常学生への啓発や協力依頼をも視野に入れてとのことです。
 
 さて、いよいよ障害学生(入学予定学生)から支援希望がきます。
 例えば、点字使用の学生は、教科書・資料などの点訳を依頼してきます。図書などの点訳には時間がかかるので、なるべく早い時期に要望を聞き、その手当てをしなければなりません。また、予算の都合で、全てができない場合は、どれを点訳し、できない教科書・資料はどの様にするかなどを、話し合わなればなりません。このようなことから準備はどれほど早くても早過ぎるということはありません。
 点訳と同時に、テキストファイル化、拡大教科書作成もあります。
 聴覚障害学生から、ノートテイカー配置の希望が出たら、週に何人くらいのテイカーが必要なのかを計算し(コラム「ノートテイカーの必要人数」参照)、必要な支援スタッフ(多くは学生)を集めなければなりません。言うは易し、ですが、この人集めが大変です。多くの大学で、慢性的なノートテイカー不足を生じています。学内での支援学生養成・地域との連携強化(地域のボランティアへの協力依頼)など、色々な対応策を講じていますが、特効薬はないようです。ノートテイカー要員の確保は、修学支援の中でも、一、二の大変さではないでしょうか。

 また、この時期、障害学生が在籍していた高等学校や盲・聾学校高等部などを訪問し、行なっていた支援やその方法についての情報を入手するというようなことも必要となります。

 教務関係では、講義室変更も考えなければなりません。車椅子利用者の受講する講義室が、エレベーターの無い建物にあるというような場合、一階やエレベーターの設置してある建物など、不自由なく出入りできる部屋に講義室を変えなければなりません。また、一階であっても、机の間が狭すぎて、車椅子が通れないという場合も同様です。
 車椅子使用者や病虚弱学生の場合、休憩室も必要です。どこにしましょう。できれば講義室の近くや移動の際の動線上にあると良いのですが。
  以上のような学生生活全般の見直しが行なわれ、適切な措置がなされるのがこの時期です。建物や設備・備品なども調査し、バリアフリー化や安全確保の取り組みを始めます。スロープ、身障者用トイレ・エレベーター設置など大きな経費を伴うものは、直ぐにはできませんが、予算計上や関係者の説得のための時期でもあります。
 勿論、どうやってもできないものはしようがありません。例えば、視覚障害者や車椅子使用者の動線上に工事個所があり、一定期間、安全を確保できない場合などです。この場合は、遠回りでも他の道を利用するように障害学生に伝えると同時に、その経路の安全点検なども必要です。
 最近、キャンパスマップやキャンパス内の「ハザードマップ」というものを見せていただく機会が何回かありました。
 障害学生の安全確保ということは、十二分に考える必要があります。視覚・聴覚入力情報の少なさによる、或いは、運動能力の減少による、危険回避能力の低下を補うために、あらかじめ情報を提供しておくことが必要です。キャンパス内の滑り易かったり、つまずき易かったりする危ない場所、工事中の個所、車道と歩道の交差する場所などを詳しく調べ、公開するのはどうでしょう。安全確保は、障害学生だけに限らず、健常学生、更には、教職員にも有用です。
 
 更に、入学式の様々な手配も重要です。手話通訳は、外部の手話通訳団体に依頼します。ただ、聴覚障害者でも手話を理解できない人もいます。この辺はしっかり調べておかないと無駄なことになります。
 また、手話通訳者と聴覚障害学生との距離が離れすぎると見えません。立ち位置もあらかじめ決めておかないと。
 教科書の点訳は上に書きましたが、入学式当日やオリエンテーションなどで配布される学生便覧・シラバスなどの点訳・テキストファイル化・拡大も必要です。
 また、受付から座席までの介助者は?授業が始まれば、クラスの仲間が色々面倒を見てくれます。しかし、自己紹介もしていない入学式などでは、同じクラスの仲間といえども介助を期待するのは少々酷な気もします。大学として対応すべきだと思います。