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政策企画委員会(第5回) 議事録

1.日時

平成18年4月12日(水曜日) 14時30分~16時15分

2.場所

東京ガーデンパレス 錦の間

3.出席者

(委員)荻野アンナ委員、鈴木正人委員、長田豊臣委員、中津井泉委員、福田誠委員、松尾稔委員、矢野眞和委員
(機構)北原理事長、沖吉理事、長谷川理事、藤田理事、大浦理事、安江監事、赤木参与、浦上参与、大貫参与、阿部参与、桒原政策企画部長、柴政策調査研究課長ほか関係職員

4.議題

5.議事

資料に基づき機構側から説明を行った後、意見交換が行われた。主な意見は次のとおり。

(1)留学生交流について

[委員]
 留学生の問題については、数年前から感じていることが今日の資料にも出ているが、地域の偏在の中でも特にインドに関することである。現在、日本に来ている留学生の数はだいたい12万人で、そのうち8万人くらいが中国、1万5,000人くらいが韓国である。インドがなぜこんなにも少ないのか。500人にも満たない。これは数年前からそうであるが、1つの大学でいろいろな努力をしてみても駄目である。これは経済、政治すべてが関係する問題だが、インドは極東ではないものの、非常に大きな国である。このごろは経済界も非常に努力してインドに進出しているが、インドにターゲットの大部分を絞るくらいの努力が必要ではないかと、この10年近くいつも思っている。それは現象としてのことだが、間違っていた場合はお許しいただきたい。
 また、今日の説明を聞いていても、留学生の受入れ、あるいは受入れ数がどうかということが目的化しているように思う。中曽根元総理がおっしゃった留学生の受入れ数10万人というのはずっと以前に突破しているので、もうそろそろ留学生を受入れた後のことも考えていかなければならないのではないか。失礼な言い方かもしれないが、中国から来ている8万人の質は多様だと思う。
 機構としてすでになさっているのかもしれないが、留学生を受入れた後のフォローというか、評価をすべきではないか。私は評価というのは好きではないが、留学生に対してこれだけの税金を使っていろいろなことをやっているので、漠然としたものでもある程度の評価のようなものが、もうそろそろ出てきても良いのではないかと思っている。
 また、先ほどから現象としての米国・中国・インドなどにおける留学生の出入りの話が出ている。ここで1つ非常に重要なこととして、出入りのほかに、「A国を経由してB国へ留学している」という調査をやっておられないのだろうか。この資料では、「中国からアメリカへ」あるいは「中国からドイツへ」といったことのみ出ている。日本の大学はとても入りやすく、どこでも入学させてくれるので、それを踏み台にしてアメリカやドイツに行っている。自分が経験してきた感覚的なことも若干含まれていると思うが、納税者に対してこれで良いのだろうかという問題もあると思う。出入りも大切だが、たとえば中国からアメリカやドイツへ留学している者のうち、日本を経由して留学している者がどれくらいの割合いるのかということは、トータルの数を調べればすぐに出てくるのではないかと思う。

[機構]
 3点挙げていただいたが、いずれもありがたいご意見だと思う。インドからアメリカに留学している者は約7万5,000人だが、日本に留学している者は410人であり、これは非常に問題だと思う。我々は優秀な留学生の招致や留学案内を行っているが、大学の受入れ体制のフォローについてはあまり進んでいないというのが現状だと思う。経由については、他の国を経由して日本がゴールだという留学生もいるのかもしれないが、それも含めて掌握することは大事なことだと思う。

[委員]
 立命館アジア太平洋大学(APU)というのは少し特殊な大学ではあるが、インドから留学している学生がかなりいる。インドから日本に来る場合は、やはり英語がキーである。アジアの他の国の子どもは、母国で一生懸命日本語を勉強して、日本で勉強しようとする。しかし、インドの子どもは英語ができるところに行く。APUの場合は英語で学ぶことができる。
 1つ面白いエピソードがある。日清食品の創立者は立命館の卒業生なのだが、APUに奨学金をくださった。留学生が卒業する時に、1人に100万円を給付するようにと言われた。しかし、それはむちゃだと思ったので、せめて2人に50万円にするか、4人に25万円ずつにしてもらえないかと言った。すると、そんなことだから駄目なのだと言われた。ここ4、5年で奨学金を給付された者のうち、3人くらいがインドからの留学生だった。インドの女性が卒業した時に100万円をもらっている。
 インドからもかなりの留学生が来ていて、我々もインドに広げようと思っているのだが、インドから来る人はやはり英語ではないだろうか。わざわざ日本語で学ぶということではなく、英語で授業が受けられるということが動機の1つになると思う。インドからは非常に優秀な学生が来るので、早い段階で日本語の会話もできるようになる。一般的には、インドにおけるロウアーミドルクラスや労働者の子どもが来ているというイメージがありがちだが、APUでの経験からすると、それはまずない。ほとんどがアッパーミドルクラスで、向こうでも使用人がたくさんいるような家庭の学生であり、奨学金をもらっているような学生も結局はそのような家庭の出身の者が多い。
 APUでは就職が非常に良いのだが、やはりかなりの学生がAPUをステップストーンにして欧米の大学院に進学している。それを何とか引きとめようとしているのだが、なかなか難しい。APUで訓練して欧米の大学院に行くということである。APUに4年間いれば、英語ができることに加えて日本語も非常に上手くなる。そのためマーケットではAPUの学生は取り合いになっていて、大企業の人事部長がわざわざ学生を採用するためにAPUにやって来てくれる。日本の大学ではちょっと考えられないようなことだと思う。そのような1つの方向が見えているのではないかと思う。

[機構]
 ちょうど我々もインドをターゲットにする必要があると考えている。今まではインドであまり留学に関する情報を提供してこなかったのだが、昨年度初めてインドでも留学説明会を開催した。どのような感触だったのか、事務局から少しご紹介したい。

[機構]
 昨年の2月と今年の2月の計2回、インドのニューデリーで日本留学説明会を実施した。日本語学習者が非常に多いということに注目して、今年はさらにプネでも開催した。今年の説明会に際しては、APUからもご参加いただいた。
委員からのご質問の点に関して、私限りのオブザベーションとして申し上げると、第1に、日本の大学に関する情報が非常に限られているということ。我々が日本留学説明会を実施した目的もかかる状況を是正することにある。特にインドの人にとってディグリーミルのようなものに対する警戒感が強い。インドにおいては、インド大学協会に登録されている大学でなければ学位が世の中に通用しないという仕組みになっている。一方で、日本の大学がそのようなものであるかどうかという認識が、インドの政府の役人も含めて十分には徹底していない。APUのアドミッションズオフィスの方がおっしゃっていたが、「APUというのはどのような大学なのか」と、まず先方から尋ねられ、その説明に、今までかなりの時間を要したということだった。これは、やはり公的な機関が改善のために努力していかなければならない課題ではないかと感じている。
 2点目は、委員からお話があったように、日本語の問題である。最近では、昨年4月に小泉総理が行かれて、日本語がインドの中等教育における正規の外国語科目として認められるようになったのだが、インドにおける日本語教育のインフラはまだまだ不十分である。日本の大学の教育は基本的に日本語であり、それを障壁と考える人たちがいるということもあるので、これも対応していかなければならない課題だと思う。
 3点目は、インドの高等教育のレベルが非常に高く、例えばデリー大学やネルー大学といった名門の大学は、イギリスの大学制度に準じて作られ、伝統を誇っている。それに加えて、理科系を中心とするトップレベルの人たちは、60年代にアメリカのMITに倣ってつくられたIIT(Indian Institute of Technology)という大学に行く。また、インドでは専攻にもよるが、文科系では大体3年でバチェラーの学位が取得できる。一方、日本の大学ではバチェラーを取得するのに4年かかるということになると、その分の追加的なコストをどのように計算するのかといったことも、インドの学生にとっての問題点になるだろう。
 従って、日本留学が色々な意味でペイするということであれば、当然、日本への留学も選択肢の中に入ってくるのではないかと思う。その意味で経済的なインセンティブも重要ではないかと思う。インドからアメリカに約7万5,000人、英国に1万3,000人余りが留学しているということは、インドには所得水準のかなり高い人たちがいるということの証左である。日本の中産階級に相当するような人たちが1億人位いると言われている。そうした経済的に余裕のある人達が子弟の教育のために日本にターゲットを当ててくるということは十分に可能ではないかと思う。なお、現時点では、国費留学生も含めて410名程度が日本に留学しているにすぎない。APUが、こうしたインド人留学生の最大の受入れ大学である。

[委員]
 ここでいう留学生という定義に、すでにそれぞれの国の大学に在籍している人が交換留学で来た場合は含まれるのかどうかわからないが、1年生から入学してくるのではなく、すでにそれぞれの母国の大学に在籍していながら、その途中で他の国の大学に行く交換留学が普通だと思う。しかし、日本の場合は各大学とも交換留学がそれほど進んでいない。こちらから出すけれども向こうからは来ないとか、あるいは出す国と受入れる国が非常にアンバランスになっている。アジアのどこかの大学に出そうと思っても、その大学に留学を希望する日本の大学の学生がなかなかいないというような、いろいろな問題があると思っている。
 そこをもう1つ突破していけるように、留学生を新しく1年生の段階で受入れることのほかにも、在学生ができるだけ海外で大学生活を経験できるようにする。その中に日本というものを大きく入れてもらう。日本体験をした、日本で学んだ学生たちがさらに大学院に進学するかもしれない。また、日本に対して非常に良い印象を持って、そのことを自分の大学に帰ってからいろいろなところで話してくれる学生もいるかもしれない。そのようなことを考えると、もっと大学間の学生の交流を何らかのかたちで支援することも重要ではないかと思う。

[機構]
 この統計の12万人という数字には在学生の交換留学もカウントされている。今年度の予算では、短期留学推進事業において受入れが1,600人、派遣が665人となっている。各大学で大学間協定を締結している場合、文部科学省により日本の大学での授業料が免除されるという制度もあるが、もっとお互いに留学するということも大事だと思う。

[委員]
 この命題が留学生の受入れ推進ということなので、拡充する方向で何らかの提案をするということだと思うが、いろいろな国が様々な動機で日本に留学生を派遣するので、できるだけそのニーズに応じようということだと思う。
 その場合、諸外国の比較等々からすると、大きく2つに分けられるのではないかと考えている。1つは、受入れ体制といったインフラ的な問題である。それには奨学金制度や宿舎の問題や情報提供の問題があると思う。もう1つは、受入れ体制という、かたちではなくコンテンツで、何を提供するのかという分野である。
 これも動機がいろいろあって、語学を勉強したいとか文化を学びたい、あるいは専門分野を勉強したいというのもある。そのあたりは、どちらかといえば機構というより大学などでさらに研究してほしいと思う分野であるが、おそらくそれぞれにまだまだ足りない部分があるのだと思う。そのあたりを限られた時間に検討してはどうかと思う。
 また、このテーマで、最初からどうしてもわからなくなってしまうことなのだが、いったい何のために留学生受入れ事業をやっているのかという基本的な目標である。これは行政評価とかいろいろあるのだが、何を評価するのかということが不明確な気がして仕方がない。例えば、日本の政治・経済・社会をよく理解してもらって日本のファンをつくり、日本の経済にも寄与してもらうという、受入れ側である我々の意図をかなり含む目標があると思う。もう1つ、派遣される側の留学生の動機、例えば文化を勉強したいからというのであれば、それは文化というコンテンツだろうし、日本に行けば非常に先進的な科学技術の勉強ができるからというのであれば、それは科学技術なのだろうと思う。また、派遣元の国にとっては、どのような動機で日本に留学生を派遣するのかということもある。
 そのようないろいろなものが含まれたうえで、何のために留学生受入れを行うのかということが必ずしも整理されないために、国別のアンバランスをどう考えるのか、インドから日本に来る留学生が少なくてよいのか、ということになってしまうのだと思う。以前も、このことはODAによるものなのか、そうでないのかよくわからないという話になった。やはりこれは外交でもあれば学問の提供でもあり、いろいろなものが含まれているので、目標は複数でも構わないのだが、どのようなことを目標にしてこれを拡充していくのかということをもう少し議論できればと思っている。

[委員]
 資料9の2ページにもあるように、日本は教育の質が低いからアジアの学生はみんな欧米に留学するということが、我々の固定観念としてある。例えばオーストラリアと比べても、日本の教育の質がそう劣っているとは思わない。ただ、持っている質をきっちりと学生に伝えるメソッドや親切さといったものが欠けている。それをもう少し工夫することが必要である。
 欧米の学生が、日本語を勉強して日本で学ぶということになると、どうしても限定されてしまう。やはり英語で授業を受けられるようにすることが大切ではないか。APUでは、理系の大学院の学生はほとんど英語で論文を書いている。一歩踏み込めば英語で授業ができるので、何かインセンティブをつくって、すべての大学の2割くらいは英語で授業を行えるようにするべきではないか。
 また、APUをつくる時にマーケットリサーチを行ったのだが、アジアの学生も欧米志向だけではなく、1人はアメリカへ、1人はヨーロッパへ、もう1人は日本へというように危険分散していた。ただし、1番優秀な学生を日本に留学させるかどうかというのは別の問題で、それにはいろいろあると思う。
 もう1つ印象に残ったのは、日本で訓練して帰国した学生は、すぐ作業服を着て現場に出る。一方、欧米の大学に留学して帰国した学生は、オフィスで白いワイシャツを着てネクタイをして、現場には出ないという。そのような意味では、学生を日本に留学させることは非常にメリットがあるとおっしゃる人が何人かいた。
 そういうところから、我々は少し自信を持って、今の質を高めるというよりも、留学生をどう受入れて、それをどう学生に上手く伝えて教育するか。研究では水準の高い大学がいくつかあるが、教育でいえば日本の大学はやはり弱い。そのあたりを工夫し、大学に働きかけてインセンティブを与えるような政策をつくっていけば、少しずつ変わっていくのではないかと思う。

[機構]
 日本の大学は教育が弱いという声も確かにある。日本の大学の先生は研究ばかりで教育に熱心でないという批判が、日本人学生に対しても言われているのを聞いている。留学生はそのことをどのようにとらえているのだろうか。

[委員]
 インドから日本にあまり留学生が来ないのは、どうも日本を甘く見ているというか、日本の評価が低いような気がする。例えばITでもインドは先進で、日本ははるかに下だと思っている。また、自分の経験としても、インドの中央銀行に行ったところ、我々がとっくに知っていることであるのに、金融政策の3つの手段を日本人は知らないだろうと思って教え始めることがあった。これだけ日本からインドに対して援助をしているにもかかわらず、インドから見ると、日本というのは中華思想以上のものがあって、日本にあまり関心がないのではないか。日本はレベルが低いと思われているふしがある。

[委員]
 そのとおりだと思う。言葉の問題も確かにあるが、それは欧米から見ても同じである。アメリカから日本に多くの留学生が来ている。インドに少なくとも3、4ヶ月滞在すれば、インドにおける日本のプレゼンスがいかに小さいかということがはっきりわかってくると思う。これは経済的にも政治的にも、けっして大きくはない。日本というもののプレゼンスが圧倒的に小さい。これは、日本への留学の説明のためにインドに行く、行かないという問題も含めて、1つの大学くらいの問題では何ともならないと思う。各国立大学でも英語による授業をどんどん開講しているが、そのようなことよりもむしろ、もう遅すぎるとは思うのだが、留学生の面においても機構などが日本全体の施策としてどんどん発言する必要があるのではないだろうか。

[機構]
 気位は高いのかもしれないが、資料6を見ると、インドに留学している国は非常に少ないことがわかる。1位はネパールで873人、2位はバングラデシュで545人、以下ケニア、スリランカ、モーリシャス、イエメンと続いている。インドからアメリカには約7万5,000人が留学しているが、インドが受入れているのは近隣の国から少数である。今からでは遅いということもあるかもしれないが、今からでも遅くないからがんばらないといけないというところもあると思う。インドは国語だけでも14ヶ国語くらいあり、いろいろな言葉に分かれているので、日本語どころではないのかもしれない。
 しかし、日本語が遠いというのは何もインドだけではないので、言葉だけの問題ではないと思う。やはり、日本に顔が向いているかどうかというのはあると思う。私どもが外国に行くと、日本語教育が遅れていると盛んに言われる。やはり、日本語教育を通して日本に顔が向くという面がある。日本に留学した人に英語でも授業を行うというのは大事なことだが、生活のためや、日本に目を向けさせるためには日本語教育の機関がその国にあるべきだという面もあると思う。
 また、機構の留学フェアは主に大学生を対象としているが、中学生や高校生にも日本に対して興味を持ってもらうことが留学フェアの基本になるのではないか。これは今までにいただいたご意見の中にもあるが、考えていかなければならないことだと思う。

[委員]
 お金と言葉の2つによって、留学生の動き方はだいたい決まっていると思う。典型的には、イギリスやオーストラリアは留学生の受入れに大変熱心で、日本でもフェアを行い、学生を勧誘している。イギリスもオーストラリアも留学生の授業料はフルコストであり、大学経営の大きな収入源となっている。大学経営上、そのような政策で宣伝を行い、留学生を受入れている。国内の学生の授業料については政府の税金がかかるけれども、留学生の授業料については自己収入になる。英語圏域でそのように動いている。
 日本はそうはいかない。日本の場合は逆に、奨学金などの制度により、日本に来るためにお金を出さなければ優秀な学生は集めにくいという基本的な違いがあると思う。私費留学生がだいたい9割で、国費留学生はほとんど増えていない。学生支援事業で学習奨励費が80億円くらい使われている。この学習奨励費で助かっている大学生・大学院生は多いのだが、18年度予算で受給できるのは11,350人で、全体のだいたい1割くらい。私費留学生で成り立っているところに、どれだけの支援をするのか。やはりこれには経済的な支援が必要だと思う。
 APUに訪問したことがあるが、留学生を確保するために奨学金の支援が非常に充実している。民間企業も留学生のための奨学金にかなりの援助をしている。その民間の奨学金援助で助かっている大学生・大学院生はかなりいる。留学生のための民間資金がどの程度整備されているのかということも、機構として情報収集した方が良いのではないか。機構として学習奨励費をどのように事業展開していくのかを考える時にも参考になるのではないかと思う。民間の奨学金の実態を調べてみると良いのではないか。
 もう1つは言語の問題である。日本でも英語で授業を行う大学が今後増えていくと思う。ある程度の限界はあるだろうが、日本人の学生にとっても、国内で英語による授業を受けられることは大変なメリットなので、若干増える方向だと思う。
 しかし、英語による授業が大勢になることはないと思う。日本語のできない大学院生を受入れたことがあり、彼はドクターの学位を取得して修了したが、結局、卒業するまで日本語はできないままアメリカに帰国してしまった。彼は十分エンジョイしたと言っていたが、それが彼にとって本当に良いことだったのだろうかと思う。英語は私より彼の方が上手で、下手な英語を聞かされる英語のできる人というのも、かわいそうなことだと思う。日本に来て、できれば日本語と英語の両方、少なくとも日本語を身に付けて帰ることが非常に重要である。
 そのため、留学生に対する日本語教育については、現在も留学生交流事業などで行われているが、この問題はやはりもう少し拡大する必要があると思う。日本語教育の政策は役所間でバラバラである。外務省やJICA、文部科学省等で、まったく一本化されないまま行われている。日本語教育政策というのは、海外での日本語教育の展開の仕方も含めてのことだが、中国の特に東北地方には民間の日本語学校をはじめ多くの学校があり、大学の学部には日本語の学科も多い。このような数になる前提がまったく違う。中国のみならず諸外国における日本語学習機関、つまり、海外で日本語を若い人が学べるような環境をどの程度整備しているのか。インドではどの程度整備されているのかということについては、日本における英語の有り様と、日本語を海外で行うことを一体として考えていく必要があるのではないかと思う。

[委員]
 日本に来ている以上は日本語を勉強してもらうのは結構だと思うし、APUでも留学生は日本語で会話ができるようになる。しかし、日本語を学んで日本の研究をしてくれと言っている限り、留学生数は伸びないと思う。
 中国は特殊な環境にあって、日本の企業が進出している。しかし、中国の中でも英語を学習する人と日本語を学習する人は競争的関係にある。ドイツやフランスの大学と日本の大学の間で交換留学をする場合も、向こうでの授業は英語で行われる。だから日本の学生が行く。フランス語やドイツ語で授業を行うのであれば、日本の学生は行かない。
 日本語教育をやめろというわけではないのだが、もっと留学生を日本に呼び込んで日本語を海外に広めるのであれば、日本語の学習を強制するのでは難しいのではないか。それだと限界がある。そこで発想の転換をしなければならないのではないかと思う。

[機構]
 いまのご発言は、大学の授業を日本語で行うということではないということだろうか。先のご意見は、日常生活くらいは日本語で話せるようにならないと、ということか。

[委員]
 日本の学生が英語を勉強しようと留学生に話しかけに行っても、夏休みが終われば留学生がみんな日本語を話し始めるようになり、日本の学生が英語を話す機会がなくなったという話も聞く。留学生は6ヶ月くらいで日本語の日常会話は身に付ける。

[機構]
 企業の忙しい方と学生は、少し違うのかもしれない。

[委員]
 インドでの留学フェアは、どのくらいの規模で開催しているのか。また、少し低い年齢層まで対象を広げることは、ぜひ進めていただきたいと思う。資料8の「留学生の受入れ推進施策に関する政策評価アンケート調査結果」の1ページにあるように、日本に留学した経験がある人から勧められたというようなかたちになるのが理想ではないかと思う。このようなところに支援活動の目を向けていってはいかがかだろうか。

[機構]
 留学フェアの規模と状況について、事務局からご説明したい。

[機構]
 留学フェアは、大学の参加を得て、10年以上も前から、毎年実施しているものである。主たる留学生の出身国・地域を大体カバーしており、具体的には、韓国・台湾・マレーシア・インドネシア・タイ・ベトナム、それから中国でも独自に実施している場合もあるが、最近は中国側が実施する高等教育展に参加している。また、北米と欧州においても留学フェアを実施している。大学等の参加校の数については、年や国によってかなり変化があるが、少ないところでも20大学以上、多いところでは70大学くらいの大学にご参加いただいている。韓国や台湾等、専修学校や日本語学校にもご参加いただいているケースがある。

[委員]
 留学生を受入れている教育機関のほとんどが一元的に網羅されていると理解してよいのか。まだまだ参加は少ないということなのか。

[機構]
 まだまだ参加は少ない。韓国では専門学校も含めて80校くらいが参加しているが、ヨーロッパなど開催する場所によっては数が非常に少ない。私どももこれから努力して参加していただく大学を増やすと同時に、我々ももう少し内容を検討して、本当に留学説明の効果が出るような方向に進めていきたい。これまでの経験を生かして研究中である。

[委員]
 先ほどからのお話についても、大学に籍を置く者として考え込んでしまった。英語で発信するべきなのか、あるいは、これは日本学だけではないのだが、日本語を学んでこのようなコンテンツを得て帰りなさいというものを、我々は持っているのだろうか。
 以前、お台場にある東京国際交流館を見学したことがある。大変立派な施設があるのだが、街中で少し特殊な環境で浮いたような、周りにあまり日本の商店街などがない地域に留学生会館がある。またそのような中で、たとえ東京であっても、どのようにすれば地元・地域と接触できるように住居を整備していくことができるのかということは大問題だと思う。
 さらに、資料9の4ページにあるように、留学生が帰国した後の就職の問題も、お金と言語に次ぐ大きな問題だと思う。それら3つの大きな問題、「お金」、「言語」、「どのような就職先や将来を留学生に対して提示してあげられるのか」ということも含めて、もう1つ「メディア」の問題を付け加えたいと思う。
 以前、留学生をただ受入れるだけではなく、やはり質の問題で成果を上げているかどうかをちゃんと評価しなければならないという方向性が決まった会があった。すると、翌日のマスコミでは、留学生に対して門戸が厳しくなるという書かれ方をしていたことが忘れられない。その会議では、ただお金をばら撒くのではなく、成果をチェックして、どういう成績なのかといったことも資金面と同時に考えていかなければならないということになった。例えばこのような場所でそのような方向のお話しをすると、マスコミ的にはどのような書き方をするのだろうかというと、あぁこのようになるのかと思ったことがある。
 対国内も含めてマスコミの協力はとても大事だと思う。留学フェアなどの話もあったが、各国で発信していくことは大事である。日本に関心を持つ人たちは、ただ日本学というのではなく、秋葉原やオタクやアニメといったものにも関心を持っている。トゥールーズはかなりの田舎ではあるが、日本好きの人たちのカフェがあり、手作りのわらびもちまで食べられ、浜崎あゆみを表紙にしたコギャルという雑誌もフランスにはあると聞いている。それはいわゆる正統的ジャポノロジーといったものとは別の動きだが、どうやら各国にそのような日本に対する興味の芽というものがあるようなので、今までのかたちや方法とは別の、広い裾野に向かって各国で発信していくことが必要だと思う。国内外のマスコミ対応というものを、1つ問題として提示したいと思う。

[機構]
 日本あるいは日本留学について、どのように国内だけでなく国外においても知ってもらうかということは、非常に大事なことだと思う。どんなに良いことをしていても、それを知らなければ、相手にとってはないことと同じだと思う。
 資料8の総務省による「留学生の受入れ推進施策に関する政策評価アンケート調査結果」では、日本に留学した動機として最も多いのは「日本語を学びたいから」や「日本の文化に興味があったから」である。一方、7位以下には「母国に帰ってからの就職に有利だから」「日本の奨学金が得られたから」「日本の企業に就職したいから」とある。これらは、私どもが具体的に研究して支援していかなければならないことではないかと思っている。
 留学の基本的な目標は何かというところからはじまるのだが、私どもは実施機関である独立行政法人なので、留学生政策全体として企画立案することは無理だが、このように良い考えがありますよという提言はできると思う。留学生が就職に有利だからという理由で日本に来ているのであれば、就職に有利になるようなことを考えなければならない。また、日本の企業に就職したいために日本に留学している学生が8.4%いるということを踏まえ、今度法律が改正されたこともあるので、日本の企業に就職するように導くなど、いろいろなことがあろうかと感じた。

(2)その他

[委員]
 機構の予算では、一般会計負担と運営費交付金の関係はどのようになっているのか。

[機構]
 いわゆる奨学金貸与事業の部分と、その外の運営費交付金の部分がある。資料4の2ページ目にあるように、奨学金事業予算の一般会計負担額というのは、無利子貸与事業の政府からの貸付金、高等学校等奨学金事業交付金、有利子貸与事業の利子補給金、返還免除等補助金といったものが奨学金関係の一般会計から支出される。その合計が1,133億円。その外に留学生支援事業、学生支援事業、その他の人件費・一般管理費、奨学金貸与に必要な事務費、これが運営費交付金によるもので220億円程度である。

[委員]
 機構の会計では、法人に運営費交付金が一括して支給されるのではなく、運営費交付金の部分と利子補給金のように一般会計から支出される部分は別の会計になっているのか。

[機構]
 運営費交付金も一般会計なのだが、一般会計の中に奨学金貸与事業費という部分とその他の運営費交付金という2つがある。その間は、お互いに流用はできない。したがって、日本人学生に対する奨学金貸与事業については、そのための国からの支出は目的が定められている。奨学金貸与事業のための一般会計、その外に留学生支援事業や学生支援事業などに対する交付金が別の枠として示されている。

[委員]
 運営費交付金の事業への割り振りについては、機構は計画に基づいて独立して自由に定めることができるのか。

[機構]
 基本的には、5年間の中期目標・中期計画に基づいた年度計画があるが、その年度計画の中では若干融通して運営できるようになっている。

[機構]
 奨学金は無利子でも返還金がかなり充当され、18年度予算では政府からの貸付金は前年度に比べて11.0%減少しているが、返還金による充当額は5.6%増やした。

以上

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