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政策企画委員会(第13回) 議事録

1.日時

平成23年1月25日(火曜日) 16時00分~18時20分

2.場所

TKP大手町カンファレンスセンター EASTホール2

3.出席者

(委員)小塩隆士委員、小林雅之委員、佐々木大輔委員、永井和之委員、日置政克委員、福田誠委員、南砂委員、美馬のゆり委員、横田雅弘委員、和田寿昭委員、和田義博委員
(機構)梶山千里理事長、高塩至理事長代理、樫尾孝理事、月岡英人理事、山内兼六理事、藤江陽子政策企画部長、宮本隆正財務部長、石矢正幸奨学事業本部長、吉田真債権管理部長、鈴木美智子留学生事業部長ほか関係職員

4.議題

(1)今後の事業展開について
(2)その他

5.議事次第

6.配付資料

7.議事

 資料に基づき機構側から説明を行った後、意見交換が行われた。概要は次のとおり。
 なお、債権の償却については、償却基準等の公表が奨学金の返還請求に係る業務の適正な遂行に支障をおよぼすおそれがあるため、これにかかる議事録及び配付資料は非公開とされた。

(1)今後の事業展開について

(今後の事業展開について、藤江政策企画部長から説明)

○小林委員 (昨年の文部科学省)検証委員会では、JASSOの努力は認めているが、現状のままでは問題の解決は難しいということから、出来ることと出来ないことを分けてもらいたいということを伝えた。検証意見を踏まえ、JASSOが改革のための体制作りを進めている様子から、検証は無駄ではなかったと考える。回収の強化策が全面に出てきており、その裏返しとして、猶予、給付奨学金、返還免除の制度について考えてほしい。回収の強化だけでは社会の反発を招いてしまう。就職状況が悪化しており、(延滞債権の増加に焦点を当てていた)マスコミの論調もJASSOを応援する方向へ変化してきているため、学生支援を実施していることを強調して広報すべきである。また、返せるけれど返さない人と、返したくても返せない人を分けなければ、本質的な解決にはならない。延滞者へのアンケート、猶予申請書、コールセンターへの問い合わせの内容から、返還者の状況をつかむことはできないか。気になる点は、債権の帳消しルールを費用対効果のみで考えすぎているのではないかという点である。費用対効果も重要であることは否定できないが、もう一つ大きな問題は、債権の帳消しルールというのは一種のセーフティーネットになっているということである。延滞額が大きくなって返し続けても減らない人に対して帳消しすべきであり、所得連動型の返還制度を採用しているイギリス、アメリカを参考にしてはどうか。費用対効果の面を考慮しつつもそれだけではなく、猶予や返還免除についても考えてほしい。そうしなければ、モラルハザードの問題は回避できない。猶予を使いきったものはどうなるのか。

●石矢本部長 現在、猶予は最大5年間であり、猶予期間終了後10年間、割賦金が2分の1になる減額返還制度を新たに導入した。猶予5年の後は減額返還を使ってもらいたい。

○小林委員 猶予5年間のあと、減額返還を10年間使い切っても残額が残る場合が考えられるが、その場合はどういった扱いになるのか。

●石矢本部長 その場合に個別の債権を帳消しするような制度はないため、通常の延滞者と同じ扱いになる。

○小林委員 猶予と減額返還を使い切ったような、明らかに返せない者を延滞者として一括に扱うことが妥当かどうか考えてもらいたい。

●梶山理事長 検証委員会については、表に出ていなかったことが明らかにされた結果、改善が進められ、平成23年度の概算要求にも反映されたので良かったと思う。ただし、準備をしていたので対応できたという点を理解していただきたい。回収強化についても費用対効果のみで論じている訳ではない。返還猶予について、猶予終了後は今まで全く支払っていなかったのに、元の割賦金額に戻って支払う仕組みだが、これは返還者にとっては厳しいことである。減額返還制度は割賦金額が2分の1になる制度だが、もっと段階式にすべきだと考えている。そして、その時点で返還できないことが分かったら方法を考えるべきだと思う。職員に対しては、JASSOの目から見た奨学金制度ではなく、奨学生、返還者から見た制度がどうあるべきかを考えるよう伝えている。また、奨学金制度が複雑すぎることについても整理をし、新しい制度の導入を考えたい。

●月岡理事 数か月おきに猶予を承認した者に対してのアンケート調査を行っている。今後の返還の見通しについて、現在はまだ仕事がないが、猶予期間中に安定した仕事を見つけ早く奨学金を返したいという声、病気の場合には5年間の制限はないが、安定した給与をもらえるまで2、3年はかかるためその間待ってほしいという声、間もなく5年間の猶予期間が終わってしまうがなかなか返還の目途が立たないという声等、様々な声がある。猶予を、10割、9割、8割と段階的に進めることが良いのか、職に就ければ返せるという実態を踏まえて進めることが良いのかは判断が難しい点だが、まずは現行の制度である猶予の5年と減額返還の10年の15年をどのように組み合わせられるかということで対応したい。その上で、より実情に近い良い方法があれば考えていきたい。

●梶山理事長 回収の立場で奨学金事業を行うと、JASSOの内側からの奨学金制度になってしまう。貸す方での工夫を考え、給付型の奨学金、障害者への奨学金の創設も考えたい。また、初年度の返還率は96%とかなり多くの返還者が真面目に返還を行っており、この返還率を下げないための工夫もJASSOのこれからの課題だと思う。

○日置委員 小林先生の意見に賛成である。本来は学生に勉強してもらうための奨学金であるが、実際の業務は不良債権の取立てになっている。多くの人が返還を行っており、また、昨今の社会情勢から本人の低所得や親の生活困難は、顕在している延滞の理由であるので、回収強化についてのみではなく、奨学金により勉強をしてもらうというポジティブな方向のPRをしていくべきである。回収についてのPRとは分けて、勉強できる環境を作るという良い部分を前面に出したポジティブなPRをしていくべきである。ただし、費用対効果については十分に考慮すべきである。無理なことは行わず、ポジティブな方向への改革に向かうと良いと思う。前回の委員会では性悪説に立ちすぎたが、今回は性善説で自分の意見も見直したい。

●梶山理事長 育英会時代から、奨学金事業は教育の一環であり、性善説に立っている。良い奨学生は性善説、悪い奨学生は性悪説に立ちたいという部分があり、その使い分けが、今後の返還促進への工夫につながると考えている。また、小林委員と日置委員のお二人から、広報をきちんとして、奨学金事業への理解を深め、良い方向に持っていくというご意見を頂いた。個人的にはかなり広報を行っている。根についた情報となるために、新聞に広告を出すような方法ではなく、人づての広報や情報ネットワークの中にいる人へ伝えていくことが重要である。独法としての広報のやり方を考え、報道をうまく使いながら、やりすぎにならないよう地道に進めたいと思う。

●月岡理事 返せない人にももう1つパターンがある。本当に返せない返還者もいるが、返還を忘れているうちに延滞の回数が増え、そのうちに返せなくなってしまうという返還者もいる。卒業後、初回の振替時に、10人から9人に1人は引き落とすことが出来ないが、振替不能の通知を出すと、2回目には振替不能が6割くらい解消されてくる。初回に引き落とせない返還者の中には、10月から引き落としが開始されることを忘れている者や、引っ越し等で初回の振替についての通知を見ていない者も多い。初回の振替に対する少しの準備をすることで、延滞に陥らなくて済む返還者も多いと考えられるため、ポケットカレンダーや初回の振替通知で注記をしている。なるべく延滞に陥らないようにアドバイスしていけたら良いと思う。

●梶山理事長 延滞後2~3か月の早期に延滞から回復させるということにはかなり力を入れている。

○福田委員 現在、金融環境、景気がかなり悪いので、返還者に対しては制度を周知し、窓口で丁寧に対応してほしい。ただし、回収については徹底して行っているという姿勢を強調してよい。奨学金事業の重要性への理解はあるが、多額の延滞額については指摘が多く、事業仕分けでも厳しい意見が出ていた。以前行っていた架電の方法では、費用がかかるが効果がなく、当時の政策企画委員会において民間への委託や金融機関での償却といったことを提案した。各方面からの指摘を受け、法的処理等多様な回収措置を実施していることは評価できる。他方で、古い債権については償却を進めてよいと思う。償却の新基準には賛成である。債権回収が困難であるという根拠があり償却が恣意的でないこと、モラルハザードを招かないこと、コストパフォーマンス上適切であることの3点を満たしていれば、古い債権については償却を進めるべきである。

●梶山理事長 未返還金は多額にあるが、その内訳をチェックすべきだと考えている。延滞額の半分以上は育英会時代の債権である。JASSOが発足して7年がたち、育英会時代からの延滞債権については費用対効果を考える段階に入っている。奨学金の貸与額が増加しているのにもかかわらず、育英会時代の不良債権が半分残っているということは、過去の返還率がかなり悪かったということである。古い債権については、償却も含め抜本的な解決策を考えないといつまでも回収できない債権が残ることになる。モラルハザードの問題を考えると、政府とJASSOの間では償却を進め、返還者とJASSO又は債権の譲渡先との間では償却せず、JASSOの措置としては表面上償却が済んでいるというような方法を取ることも考えられる。回収が不可能だということを理解してもらうための努力をし、そのための制度を作る必要があるが、JASSO単体では難しいと考えている。

○美馬委員 3点述べたい。まず回収についてである。回収についての努力は分かったが、ポケットカレンダーの配付はエビデンスを踏まえた上での施策なのか。ホームページにおける情報提供の充実等についても、効果について検証し、本当に効果のある方法を実施するべきである。初期の入金忘れ等、早期に延滞から回復できると分かっているものについては直接返還者本人と面談をすることで、原因を把握し問題を解決すべきである。また、現在返せない返還者のみではなく、今後の貸与者に対する追跡調査の可能性も探るべきである。次に支援についてである。本人が無職だとしても、退職した親にある程度のゆとりがあり、アルバイトで良いと考えているような者もいる。本当に求職中であるか等、返還者の状況を見て支援すべきである。最後に動機付けの部分であるが、奨学生が経済的に困難だから借りたということではなく、成績が優秀だから選ばれたという誇りを持ち、それを履歴書に書くことができ、また、返還完了者も返せたことに誇りを持ち、さらに自分が奨学金に助けられたので寄附をしたいと思えるような制度にはできないか。そういった動機付けがないと、学習意欲の低下につながる。

●梶山理事長 全て実施できたら良いと思う。本人との面談はやらなくてはならないことだが、返還に入っている者230万人のうち、20万人が未返還者であり、量的な問題がある。また、慢性的に人も資金も足りておらず、面談等を実施することで本来の仕事が回らなくなってしまうという問題もある。運営費交付金が毎年10%削減されている中で、独法制度そのものの社会的な議論が必要である。誇りをもってという点は賛成である。JASSOの奨学金の目的は高等教育を受ける際の経済支援であるが、人材育成の視点からの奨学金制度も必要である。選ばれて支援されているという思いから誇りを持って借りることができ、将来日本のために尽くす人材が生まれてくる。給付型奨学金の創設も含め、そういった仕組み作りをすることもJASSOの役目である。

○佐々木委員 延滞率の高い学校名の公表は学校側からの抵抗があるだろうが、返さない卒業生が多い学校には貸さないということが原則だと思う。そういった取組は行っているのか。

●石矢本部長 学校の延滞率は、内示率に反映させている。一昨年から、延滞率の内示率に占める割合を、10%高くしている。また、内示率に延滞率を加味するということは、学校へ通知文を送り、知らせている。

●月岡理事 エビデンスについてだが、平成21年3月の満期貸与終了者について返還開始の10月から6か月間の返還状況を追跡調査したところ、一度でも振替不能となった者が25%いる中で、初回あるいは初回と2回目だけ振り替えられず、その後は連続して振り替えられたという人が4%(注:一度でも振替不能となった者(25%)の約6分の1)いた。返還開始を忘れてしまった等の状況があると思われ、うっかりミス対策は効果があると判断し、実施している。

●梶山理事長 内示率の70%は大学規模により決まるが、30%は返還の実績により変動していると考えてもらいたい。11月には国大協で説明を行い、今後、私大連や私大協でもPRしていく予定である。今までも事務担当者とのコンタクトはあったが、学長からの理解がなかった。学長に理解してもらわなければ、返還に対する大学からの協力は得られない。

○小塩委員 多くの若い人が教育から就職へうまく移れず、卒業後不安定な雇用状態へ陥るという状況があるが、それを想定した奨学金制度にはなっていない。初職の雇用環境によりその後の生活も影響を受けるのと同じように、奨学金の返還も最初が肝心である。さらに、非正規の雇用環境では社会保険料を支払わなければならず、奨学金の返還は後回しになってしまう。なるべく丁寧な形で、20代前半の返還者に対する回収の仕組みを再編成しなければ、後の回収も困難になるだろう。本人が返還することが本筋ではあるが、経済全体の状況を考えると、ある程度親に依存することもやむを得ないと思う。親への依存が無理ならば、返還のスタート時のハードルを高くしすぎず、不安定な雇用状況の若者が、長期的に払いやすい環境の整備をすることが重要である。

●梶山理事長 猶予終了後に返し始める際の金額を段階的にする必要があるのと同じように、返還のスタート時においても、返還金額に傾斜をつける等、段階的な仕組みを作ることが今すぐできることだと思う。しかし、個々人の収入の状況も異なり、それぞれに対応すると制度が複雑化しすぎてしまい、JASSOの仕事が破綻する可能性もある。情報が過多になり、親切にするほど堕落してしまう奨学生もいるし、逆に親切にしてあげなければいけない奨学生もいるので、必要性を見極めるためには奨学生からの自己申告で対応するしかないとも考えている。とにかく、猶予が終わって返し始める時と返還のスタート時が重要だと思う。また、親の収入が貸与時の基準になっており、奨学金の貸与が家族への経済支援であるという考え方は日本独特のものであるが、奨学金の返還は本来個人の問題であるので、家族と個人の整理も必要である。

○小塩委員 理事長が言うように、奨学生が堕落してしまうという問題があるのならば、奨学生の学業のチェックをもっと厳しくすべきである。そうしなければ、自分が返さなければという返還への心構えができてこない。

●梶山理事長 ある程度の成績チェックはしているが、JASSOでは学生の状況が把握できないため大学任せになっている面はある。もう一つ、貸し方が問題であると考えている。繰上返還が今年度のみで800億円を超える。総返還額約4,000億円の内、800億円が繰り上げ返還ということは、借りなくてもいい人が社会情勢による不安から安全弁として借りているということであり、そういう面も考えた制度を作らなくてはならない。

○永井委員 古い債権については速やかに償却すべきである。同じことを続けていても延滞率は上昇するだけなので、貸与制度の見直しをすべきである。気になるのは延滞者に対するアンケートの回答率が5.3%という点である。アンケートは延滞者へ届いているのか。また、延滞者の貸与時の属性についても不明である。親が低所得であるため奨学金を借りる学生について、所得の少ない親を保証人とすることの妥当性を考えるべきである。親の収入による社会階層の固定化を打破する役目も奨学金にはあり、成績優秀者への奨学金とは性質が違う。親が低所得の学生に貸与する以上、回収率の低さについて覚悟すべきである。そういった状況の把握のためにも、延滞者へのアンケートで貸与時の属性を調査し、延滞の原因をクロスで把握すべきである。経済的な理由で進学の機会を失った学生に再チャレンジの機会を与え、絶えずキャリアアップを望めるような社会が望まれ、そういった社会の構築が返還率の上昇にもつながると考えているが、一朝一夕には実現しないだろう。

●梶山理事長 基本的にJASSOの奨学金は経済支援であるが、現在所得の上限額は第一種で800万円~900万円、第二種では1,300万円であり、ある程度の所得がある家庭の学生にも貸与している。ただし、保証については親だけではなく機関保証もかなり増加してきているので、機関保証を選択しているのは低所得者の家族かもしれない。

○永井委員 昨年秋に大学で、生活困窮者に対する学費免除制度を創設するために親の収入などについてアンケートを行ったところ、親の収入が相当低いという回答が多数あり、現在免除制度の創設に向けて準備しているところである。

●梶山理事長 延滞者へのアンケートでも、80%の者が300万円以下であり、100万円以下の者も40%いる。

●石矢本部長 延滞者へのアンケートは請求書に同封している。回答率の上昇については外部の先生にもご意見を伺いながら、改善策を研究している。属性調査についてはこれからの参考にさせていただきたい。

○和田(義)委員 JASSOは不良債権回収機構ではない。国や地方公共団体の債権回収の状況と比較し、回収努力は評価できる。社会状況が厳しい中、貸与規模6兆円に対し、延滞額777億円は非難される数字ではないが、放置してよいわけではないので、今後も債権回収は粛々と進めるべきである。返還金の回収はもちろん重要だが、留学生支援、学生生活支援、特に未就職者の支援もJASSOの重要な仕事である。海外に出て行く学生の減少は日本の将来にとって深刻な問題であり、企業も同様の問題意識を持っている。未就職者の支援として、企業、大学、JASSOが連携し、学生を就職させ、その学生を最初の2年間は留学させ、留学中の金銭的な支援をJASSOが行うというような仕組みを作れないか。公認会計士協会でも未就職者問題への対策を考えており、監査法人の中には、採用し、海外へ留学させ、帰国後仕事をしてもらうという取組を始めたところもある。また、寄附金が少ないが、返還完了者等からの寄附金による基金で学生支援を行うというような、JASSOへ対する見方が変わるような運動も考えたらよいと思う。

●梶山理事長 留学生について、日本へ来る学生も海外へ行く学生も両方支援を行っている。来年度予算では、日本への国費留学生、私費外国人留学生学習奨励費ともに人数も額も10%減となり、教育外交力が低下すると思われる。一例として、国費留学生が約3年間継続して給付を受けるとすると、予算は10%の減であるが、平成23年度に日本へ留学してくる学生は3分の2程度に減ってしまう。また、海外に留学する学生の減少について、ここ10年間でアメリカの主要大学への留学が36%も減少しているのは、内向き志向や就職活動が遅れるという問題だけではなく、日本人学生の英語力の低下の問題もある。外国の大学への入学資格の点数に達するような英語力を身に付けなければならない。そのために、ショートビジットの制度を利用して、まずは2~3か月の短期の留学により自分の弱点を知り、弱点を補う勉強をした後、再度長期で留学するという2段階の留学を考える段階である。

○横田委員 近年の試みにより、改善していることについて評価し、述べられている提案についても賛成したい。ただし、分析のフェーズから抜本的な改革の実施ために何をするべきかという実施のフェーズに入っている。抜本的な改革のための障害をどうやって消去するかという議論へ移っていく時期である。大学からの寄附等、抜本的な改革のために大学は何ができるか、産業界とどういう協力ができるか、具体的な工夫を実施するアイディアを出せる時期に来ている。

●梶山理事長 2年前は分析、解析、シミュレーションといったことを行っていなかった。現在は費用対効果を述べられるようになり、結果として概算要求にも反映させられるような状況になった。独法の機能と限界も理解してもらいたい。大学とは異なり、自ら規則を作りそれに従い仕事をすることはできず、文部科学省と話し合いながら業務を実施している。また、文部科学省も関係機関と調整をした上での奨学金制度である。JASSOを理解してもらうために、経団連や国会議員、報道関係者、大学関係者等を訪問し、応援団作りをした。独法は自ら制度を変えていくことは難しく、改革のためには政策に影響を与えることができる応援団作りが必要である。給付型奨学金も提言し続けてやっとマニフェストに載ったところであり、これから創設について考えていかなければならない。抜本的な改革とはどのような改革を考えられているのか伺いたい。

○横田委員 分析から給付型奨学金までのことを含め、短期間での改革については十分理解し、評価している。抜本的というのは、古い債権の償却等についても賛同が得られていると思われるし、現在の問題について大学が取り組むべきことについて大学の理解もあり、協力を得られる段階であるので、改革のための具体的な方法を取る時期に来ているということである。過去の改革について非難しているわけではなく、次のステップに入るべきなのではないかという意見である。

●梶山理事長 日本において寄附は難しい問題である。見返りなくしては、企業からの寄附を得ることはなかなかできない。また、日本人の寄附への意識は低く、卒業生でも大学に対して寄附をあまりしない。寄附については現在の社会情勢や考え方から見直さなければならない。現在のところ、見返りなしでも寄附を得ることは奉仕や宗教の精神でもなければ考えられない。そのような情勢の中で今後、寄附の在り方を考えていかなければならない。

○和田(寿)委員 返還制度の自由度を高めてもらいたい。生協で実施している調査でも、生活の厳しさは如実に表れており、卒業しても就職できない学生も多い。様々な経済的事由を踏まえ、返還について柔軟に対応できるのだという奨学生への教育をし、奨学生本人が余裕を持って返還できる制度として組み立てていくべきである。自分で借りたものは自分で返し、国や今後の学生のためになったと自覚し、親のためではなく、奨学生本人が勉強し、社会に出て行くための奨学金制度として確立するために、柔軟な返還制度を早期に設計してもらいたい。留学生については、日本への留学生は圧倒的に私費留学生であり、円高の影響もあり日々の生活が厳しく、住まいの問題の解決が最優先課題である。この問題を解決しなければ、これ以上日本へ留学生を呼ぶという環境が作れないため、対策を考えてもらいたい。例えば諸外国では、行政が保有する遊休地を活用し、建物を建て、安い賃料で若者を呼ぶということを行っている。行政、大学、民間が連携したスキームを作り、留学生の受け皿を作っていくべきであり、それが街の発展にもつながることである。最後に、「大学と学生」は廃止されてしまうが、学生生活、学生支援に係る調査、研究、提言はJASSOの担う重要な機能である。各大学の状況を踏まえた上で、学生生活のために必要な施策を内外にアピールする「大学と学生」のような仕事は大切であると思うので、今後、必要性をアピールし、方法を変えて続けてもらいたい。 

●梶山理事長 学生に対する情報、留学生に対する支援については事業仕分けの結果もあるが、様々な工夫を継続していかなければならない。また、フレキシブルな考えを持った奨学金制度にすべきだというご意見をたくさん頂いた。就職が難しいという社会情勢の変化を見据えて奨学金制度を作るようにという貴重なご意見だと思う。

○美馬委員 提案をして終わりにしたい。学生生活支援事業と奨学金貸与事業をうまく結びつけることはできないかという提案である。今までの学生生活支援事業で実施している研修や調査の内容は他の機関でも実施しており、見直しが必要である。奨学生や返還者のキャリア意識、人生設計、奨学金の貸与を受けた後での返還への意識、学習意欲の低下等といったことへのアプローチ、支援はできないか。また、中途退職し、返還ができなくなった返還者に対する就職支援は大学では実行できない。そういった大学単体では実施できない支援を、データを集めつつ政策提言もしながら実施していくことはできないか。

●梶山理事長 大学だけでもJASSO単独でもできないが、生活困窮者に対して社会としてどのように支援していくかを本気で考えなければならない。文部科学省や政府を含めた支援体制が必要である。本日ご提言いただいたことの中で共通していたことは、奨学金制度を社会情勢に合わせていかにフレキシブルな制度にするかということだと理解している。文部科学省とも相談し、フレキシブルな制度作りを考えたい。貴重なご意見として、今後の事業に反映させていけるよう努力したい。

(了)

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