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第5回 聴覚障害者への特別な入試支援方法(福岡教育大学)

質問コーナー

著者紹介

太田富雄
【福岡教育大学附属障害児治療教育センター教授】
 専門は聴覚障害児教育。大学では「聴覚検査法」「聴覚障害児指導法」などの講義を担当し、センターでは地域の聴覚障害児の指導や保護者支援などを行っている。 学生時代より手話通訳活動を行い、講義保障としての手話通訳活動もこなしていた。

福岡教育大学 太田先生 近影

Q.質問

入学試験で集団討論を行う場合、聴覚障害者への配慮はどうすればいいでしょうか。

A.回答

試験時間の延長、手話通訳者配置、PCによる要約筆記、FM補聴器の使用、受験者に対する配慮の要請等が必要になります。

■情報保障に関する要求を確認する
  入学試験を受ける前の事前相談の段階で、情報保障に関する要求が、1.手話通訳、2.要約筆記、3.FM補聴器の使用のいずれか、あるいはそれらの組み合わせかを確認します。

■試験時間を延長する
  手話通訳やPCによる要約筆記の場合、通訳や入力のために必要な時間が確保されるように、試験時間を延長(例えば1.5倍)します。FM補聴器を使用する場合、発言者にFMマイクをまわす時間の確保が必要になります。

■他の受験生に配慮を要請する
  受験生が集まった試験時間前の説明時間に、他の受験生に対して、受験生の中に聴覚障害者がいることを告げ、聴覚障害者は手話やスクリーンを見ながらメモをとれないので受験者全員メモはとらないことにすると注意する。 同じグループになった場合、下記のような配慮をするように要請する。
1.発言者がわかるように、発言の際は挙手をする。
2.口許が見えるようにして、ゆっくり、はっきり発言する。
3.通訳やPC入力に時間がかかるので、適当な間をおく。
また、早すぎる時には試験官が中断することも伝えておく。

発言内容をスクリーンで確認する
  手話通訳だけの要求であっても、手話通訳で正確に伝わったかどうかを確認するためにも、スクリーンに要約筆記を投影します。発言ごとに、発言者・聴覚障害者ともにスクリーンの文字を見て、了解した上で進めます。座席の配置やスクリーンの位置などは図1を参考にしてください。

図1 集団討論における座席配置の例

発言ごとに間をとる
  確認にばかり気をとられて発言のタイミングを逃してしまわないように、発言ごとの間を確保することも大切です。

待ち時間に練習をする
  試験までの待ち時間を利用して、聴覚障害者のいるグループの受験生が集まって練習するのがいいでしょう。
  受験生控え室の係員の中に、きちんと指導できる教職員を配置して練習をすれば、例えほんの数分間の練習であっても効果は出るものです。

福岡教育大学における障害学生修学支援

1. 障害学生支援の経緯と特徴

 本学に聴覚障害学生が初めて入学したのが1976年。同級生らが要約筆記による情報保障を大学に要求して実現したのが修学支援の始まりでした。
  本学は、教員養成系の単科大学のためか、障害を持つ受験生そのものが少なかったのですが、最近は聴覚障害を中心として、毎年のように障害を持つ受験生がいます。教員採用試験で障害者枠を設けている自治体が増えてきたため、教員を志望する障害者が試験に挑むようになったためだと思われます。しかしながら入学者は数年に1人という程度です。
  本学には、全国で初めて6専攻(視覚・聴覚・言語・知的・運動・重複)を揃えた 障害児教育教員養成課程 (*1)があり、担当教員も12名を擁しています。 附属障害児治療教育センター(*2)での臨床サービスも積極的に行い、教育や臨床には実績を挙げてきています。それらの取り組みの中で得た支援に関する知識やノウハウを障害学生の修学支援に応用できるという強みがあります。平成16年には、文部科学省の「特色ある大学教育支援プログラム」 に本学の「障害児支援経験を通した教員養成プログラム ―豊かな人間性と高い指導力を目指して― 」が採択され、全学的にも意識が高まったと言えます。

2.取り組みの特徴

  現在(平成19年度)、支援を受けている障害学生は1名のみのため、煩雑なコーディネートや支援人員不足などの問題はありません。支援を要請されたことがない教職員や支援の実際を見たことがない学生が多いかもしれません。ないからと言って、取り組まなくていい訳はないので、下記のようなことを実施しています。

FD研修

  • 平成13年度以降、毎年報告書を発行。 「福岡教育大学 旧FD研究会 障害児教育・通常教育関連分科会」でダウンロードできます。
  • 海外4ケ国に出かけ、最新・最先端の取り組みを学んできました。また国内でも多くの大学を訪れました。逆に4ケ国の大学教員に本学を訪問して頂き、情報交換・意見交換を行いました。
  • 聴覚障害者のいる授業での配慮についてのDVDを試作(平成17年度)、30人の教員に視聴してもらい、効果や問題点を分析しました。

他機関との連携

  • SCS研修:メディア教育開発センターが実施するSCS研修に毎回参加(平成13年度~)
  • 日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワークに参加(平成16年度~)
  • 日本学生支援機構の「障害学生修学支援ネットワーク」拠点校(平成18年度~)
      平成19年11月には、日本学生支援機構との共催で、「九州地区障害学生支援担当者講習会」を実施しました。

特色GPとの関連

  • この事業で揃えた手話関連の教材を活用して、全国手話検定試験に合格する者も出ました。
  • 肢体不自由体験プログラムを学生たちが作成するなどの実績を挙げました。

地域貢献

  • ノートテイクを学んだ学生が、難聴児が在籍する地域の小学校からの依頼を受けて、授業時の情報保障を行いました。
  • 本学のボランティア支援システムを活用して依頼される活動の約40%が障害児者関係です。
平成20年4月より、(*1)は「特別支援教育教員養成課程」、(*2)は「附属特別支援教育センター」、(*3)は「福岡教育大学特別支援教育講座」に名称変更します。

ピックアップ

  • イベントカレンダー
  • 教職員のための障害学生修学支援ガイド