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日本福祉大学 障害学生支援センター センター長 水野暁子先生インタビュー

Q1障害学生支援センターが設置された経緯を教えてください

◎障害学生センター開設までの簡単な歴史

1953年 開学当初から障害学生とともに学んできた
1960年代 相互援助による対応(必要に応じて学生や教職員によるサポートがなされていたという程度で、まだ組織的ではなかった)
1970年代 施設・設備面の改善(ループアンテナ・障害者トイレ・スロープなど)
受験・定期試験時の配慮(点字受験・試験時間延長)
授業の工夫(障害者体育)
点字図書の配備
学生自治会による組織の発足
「学内障害者の勉学・生活条件を守り発展させる会(学障会)」学障会は、現在も活動が続けられている。
1983年 キャンパス移転「障害学生実態調査」を実施し、キャンパスのバリアフリー化に繋いだ。
1990年代 組織的なサポートへの取り組み
「障害学生問題特別委員会」の設置(教授会)
「障害学生の勉学・生活条件改善委員会」の設置
(学生部、後、評議会)
「障害学生問題連続講座」の開催 
障害学生サポートシステムの検討(1993〜1997)。
ボランティア登録・派遣制度の発足(1997)
生活介助ボランティアの保険加入開始(1997)
授業の資料の点訳:サークル委託開始(1997)
ビデオ教材の字幕付け:サークル委託開始(1997)
図書館「てんやく広場」サービスの開始(1997)
1998年 大学付置機関として「障害学生支援センター」を開設

 

◎障害学生支援センター開設後、現在までの簡単な歴史

1998年 障害学生支援センター開設
1999年 「高等教育機関におけるボランティア活動の調査」実施
2000年 「学生生活における障害学生支援の現状とあり方を語るシンポジウム(STEP)」開催
2001年 「障害学生の受講問題実態調査」実施
2002年 大学創立50周年記念環境整備事業に対して、障害学生配慮項目を提起。翌年度より具体化された新館建設に反映される。
2003年 文部科学省「特色のある大学教育支援プログラム(GP)」に採択
2004年 障害学生支援のための全国ネットワークづくりに参加
(日本学生支援機構・PEP-NET-JAPAN)
2005年 テクノロジーを活用した支援の取り組み
福祉用具相談日(福祉テクノロジーセンターと協力)開設
障害者用トイレ改善プロジェクト開始(学生・教職員参加)
受験前および入学前相談の強化
チェックリスト作成

◎最近の新たな学生の活動

視覚障害学生・聴覚障害学生自身のサークルや団体障害学生支援センター写真

新たなボランティアサークル:PCテイク・音訳

 

Q2障害学生支援センターの事業内容を教えてください。

※障害学生の学生生活上の支援・援助

学習面、生活面の相談への対応

福祉テクノロジーセンターと協力して、福祉用具・福祉機器の選択やフィッティングの相談

 

※サポート学生の募集・養成、および派遣のコーディネート

オリエンテーションの時に、障害学生自身によるボランティア募集も行う

ボランティア講座の開催(点訳・音訳・触図作成・ガイドヘルプ・ノートテイク・PCテイク・生活介助・手話(連続講座)など)

 

※バリアフリーに向けた施設・設備の点検と整備改善

障害学生・サポート学生と教職員が一緒に定期的に施設点検を行う

地域や関係団体との連携、他大学、諸機関との情報交換・経験交流の推進

地域と協力して環境調査を行う

 

以上のことを、日常の相談や、利用者懇談会(毎月)、障害学生懇談会(年1〜2回)を介して、学生と議論しながら(模索しながら?)行っている。

 

Q3センターのスタッフ構成と業務分担について教えてください

※支援センターのスタッフ

センター長1名

全体の統括、他部局との調整(学生生活センター室長と協力)

障害学生・支援学生からの相談(主として授業に関わる支援の相談)

 

センター教員1名

障害学生・支援学生からの授業・学生生活・ボランティア活動に関わる相談
ボランティア講座等、支援学生養成事業の企画
必要に応じて、手話通訳・生活介助


専任職員2名

ボランティア派遣のコーディネート
障害学生・支援学生からの相談
利用者懇談会や施設点検で出された要望に対する対応
学内他部局との相談
見学者対応
必要に応じて、生活介助・機器の整備


派遣職員1名

ボランティア派遣の事務(支援サークルへの依頼・進行管理)
障害学生からの日常相談・緊急時対応(車椅子のバッテリー交換・生活介助等)
緊急時の点訳
テイク用のOHCやPCなどの機器の準備
支援センター事業に関する業務
障害学生懇談会・利用者懇談会・講演会など)


※支援センター運営委員会:以下のメンバーで毎月会議を開き、支援センターの方針や学生への対応を検討している。
センター長:大学評議会から1名(教員)
社会福祉学部教授会から1名(教員)
経済学部教授会から1名(教員)
情報社会科学部教授会から1名(教員)
福祉経営学部教授会から1名(教員)
学生生活センター事務室長1名
学生生活センター事務室員2名(障害学生支援センター担当)
学事課員1名
キャリア開発課員1名
情報社会科学部事務室員1名
障害学生支援センター教員1名


障害学生支援センター2

Q4センターの日本福祉大学の組織内での位置付けは?

学生部のもとにあります。全学的な学生サポート機関のひとつです。


Q5日本福祉大学の障害学生支援センターの特色は?

「障害学生のために」ではなく、「障害学生とともに」を基本的な姿勢としています。どのようなサポートがあればよいか、また、どのような環境があればよいかを、障害学生やサポート学生と支援センターのスタッフや運営委員が共同で考えていくところが特色です。施設・設備の点検も、障害学生やサポート学生と支援センタースタッフ・運営委員、総務課員・学事課員が一緒に、毎年1回行い、改善を図っています。


Q6センター設置により得られた一番の成果を教えてください。

学生たちの成長です。もちろんまだ十分ではありませんが。


Q7障害学生支援センターの今後の抱負を教えてください。

障害学生たちには、自分で自分のサポートをコーディネートできる力を、支援学生たちには、障害のある人たちのニーズに気づく力を、支援を介して身につけられるように、また、そのような力を持って、学生たちが将来の仕事を開拓し、生活を豊かにできるように、私どもは空気のような支援ができたらと思っています。(現支援センター長の抱負です)

広島大学 保健管理センター長 吉原正治先生インタビュー

Q1「障害学生就学支援委員会」「支援検討ワーキング」「ボランティア活動室」という組織を貴校ではつけていらっしゃいますが、それぞれの役割、また、広島大学の中でどのように位置付けされているのか教えてください。
(どのように大学 執行部の考え方や姿勢が障害学生修学支援活動に反映されているのか 。)

広島大学では、障害学生就学支援委員会(委員会)は教育・研究担当副学長のもとにあります。委員会は支援検討ワーキング(WG)メンバーと各学部・研究科(学部等)の委員で構成されています。学生の就学支援は学部等が責任を持ち、全学体制で支援を行なうという考え方です。そのため、各学部等を代表する教員が委員として参加しています。委員会は、支援の方針等の意思決定を行います。支援検討WGは、就学支援の企画立案を行い、問題の速やかな解決を図り、ボランティア活動室運営の審議等を行います。ボランティア活動室は、支援の拠点[s1]で、委員会での決定事項に従って、日常の就学支援、マネージメントを行っています。また、ボランティア活動室は、障害学生や支援学生から、支援内容についての意見を聞く場ともなっています。
*ボランティア活動室の役割については(3)も参考にしてください。

障害学生就学支援・全学体制組織図

Q2「障害学生就学支援部会」「支援検討グループ」「ボランティア活動室」が設置された経緯をお聞かせください。また現在までの簡単な歴史を教えてください。

 広島大学において、全学体制での障害学生支援が始まったのは平成9年からです。教養教育の全学体制による実施に伴い、支援の全学体制化が行われ、「障害学生支援部会(現在の委員会)」が立ち上がりました。それまでの支援は、学部学科等の単位での支援や、周囲の学生・教職員の個人的な支援など行われていました。その後、平成10年度試験等の特別措置申請に関する規則制定、平成11年度部会を部局長会議に設置、平成12年度点訳室の設置、情報支援コーディネーターの配置、相談の指針制定、平成13年度障害学生支援に関する規程の制定、「教職員のための障害学生就学支援の手引き」を全教員に配布、教養教育授業「ボランティア実習・概論」、ボランティア活動室の整備、支援のための専任教員配置、平成15年度学生コーディネーター配置と進んで参りました。また、施設設備のバリアフリー化や情報支援機器の導入は随時行なっています。この中でも特に、平成12年度からは学生と教職員の一体型授業支援を実施できるようになりました。ボランティア活動室の前身の点訳室が設置されたのもこの年で、ここでは文字どおり支援学生が点訳を行ったり、学生や教職員が集まって情報交換したりしていました。
現在は、平成16年度に文部科学省の特色ある大学教育支援プログラム(特色GP)に採択された「高等教育のユニバーサルデザイン化- 総合大学における障害学生就学支援 -」を進めています。


ボランティア活動室の様子1

Q3実際の支援を実施している「ボランティア活動室」についてさらにお聞きします。まず、「ボランティア活動室」の事業内容を教えてください。

ボランティア活動室の役割は、大きく分けて5つあります。

1)支援学生の育成の場

 「障害学生支援ボランティア実習A、B」の受講生に対してノートテイク、ビデオの文字おこし、手話、点訳作業、移動介助といった指導を行い、支援学生の育成に努めています。ボランティアで支援学生を行う学生に対しても、支援技術の相談に乗り、適宜アドバイスをしています。

2)情報機器による支援

 ボランティア活動室には、拡大読書器や点字プリンター、液晶モニタなどのほか、障害に有効なコンピュータソフトなどを取り揃えています。授業中に貸し出すなど、必要に応じて情報機器を使った支援を行っています。

3)障害学生の自習室

 ボランティア活動室は、障害学生の自習の場でもあります。ボランティア活動室の情報機器を利用して、自習することができます。

4)相談窓口

障害学生の就学支援上の相談窓口となっているだけではなく、支援学生、教職員からの問い合わせや相談にも応じています。ボランティア活動室は、支援体制に関わる情報が集約される場所です。

5)学生・教職員の交流の場

ボランティア活動室は、障害のある学生、教員、事務職員、支援学生の交流の場、情報交換の場です。昼休みには、学生と教職員が一緒に机を囲んで食事をしながら、世間話をしたり、それぞれの研究について語ったりと、会話が弾みます。


ボランティア活動室様子2

Q4「ボランティア活動室」のスタッフ構成と業務分担はどのようになっていますか。

ボランティア活動室は室長(委員会委員の併任)、障害学生支援専任教員、情報支援コーディネーターの3名です。
専任教員は、ボランティア活動室で行なう実習「ボランティア実習A、B」を担当し、支援技術の指導を行います。
情報支援コーディネーターは、支援体制に関わる学生や教職員のコミュニケーションの円滑化を図ります。ティーチング・アシスタントや多数のボランティア学生達の連絡・調整も行います。
また、障害学生が在学する学部の学生を学生コーディネーターとして雇用し、よりきめ細かな対応が可能になるようにしています。
活動室では、就学支援に関する諸問題を第一線の場として、早く察知することを心がけ、委員長、支援検討WG長、学部等の委員、事務職員等と密接な連携をとって解決しています。学生と教職員が、お互いに連携をはかって現場での情報共有に努め、支援体制の調整を行っています。



ボランティア実習風景

Q5広島大学の障害学生就学支援体制の特色は?

特色と言える点を5つ選び、箇条書きにします。

特色(1)責任体制の明確化と組織的対応の整備

広島大学の就学支援体制の特色は、全学体制であることです。学部間の連携をはかりながら、支援を行います。支援体制の基盤として、まず、「広島大学障害学生の就学等の支援に関する規則」を定めています。広島大学が障害学生の受け入れと就学支援を積極的に行うという理念に基づき、入学試験時から卒業に至るまで支援体制を整備し、円滑に支援を行なうためです。支援体制については、障害学生の所属学部の責任を明確にすると共に、一部局では対応しきれない問題の解決や、全学的な調整のために、副学長のもとに障害学生就学支援委員会を設置しています。このように、責任体制を明確にすることによって、実効性の高い障害学生の支援が行なえます。
また、全学的な支援体制は、事務窓口で担当の事務職員が対応に追われたり、特定のボランティア学生が聴覚障害学生のためのノートテイカーの確保に悪戦苦闘したり、という「誰かが一人で負担を背負う」という状況の打破につながっていると思います。また、個別の支援に差異を生じさせないことにもなります。

特色(2)相談体制の整備

広島大学では、本人の申出により支援を行いますが、申出があれば、まず、入学試験の段階から、相談を行います。時期により試験前相談、」合格後相談といいます。合格後相談は、合格者または在学者に対し、就学上の特別な措置や配慮を行うため、相談の指針を定め、本人の申出により,学部長等の開催する正式な相談会です。合格後相談は、どのような支援が必要であるかを本人と、教職員、支援委員会委員で話し合って決めます。本人も含めて、誰が何をどこまでするかという役割を明確にしておくことで、スムーズで確実な支援が可能となります。なお、入学後に生じた障害について、その時点で申し立てれば、同様の合格後相談を行います。

特色(3)日常的支援の活動拠点となる場所の設置

ボランティア活動室の設置です。その役割は別項で詳しく述べています。

特色(4)支援者育成のための授業科目の開講

広島大学では、支援者育成のための授業、「ボランティア概論・実習」を開講し、単位化しています。授業科目を通して、支援者育成を行うことの意義は、学生は支援に必要な技術と単位を習得でき、成績表で実績を示すことができます。大学側にとっては、大学教育に必要な専門的知識を持った優れた支援者の安定した供給を図ることができます。また、支援学生の悩みやストレスに対応し、心のケアをおこなうことができます。障害学生自身が実習を受講し、他の障害学生の支援を行っています。このように、支援者育成を活動室で行うことによって、ボランティア学生同士の交流を図り、障害学生の視点を反映させた支援を行なうことができます。障害学生支援は、一般の学生にとっても、高い教育効果が得られると言えます。

特色(5)自立と共存をめざした支援

障害学生を支援の一方的な受取り手として位置づけず、彼ら自身が、経験や視点を反映させた支援の企画立案に携り、他の学生の支援も行うことができる支援の担い手としても活躍できる体制を築くことが重要です。障害学生の中にはTAとして採用されて、他の障害学生を支援し、実習指導の補助だけでなく、支援の評価,提言を主体的に行っている学生もいます。また、自己決定権を尊重する立場から、支援の希望は障害学生本人から申し出ることと、支援内容は学生と教職員で、双方のするべきことを十分相談した上で行なうという点も大切です。半期ごとに、障害学生からは受講体験を聴取し、彼らの評価と要望を次の支援に役立てています。この方法は、障害学生の自助努力、自らのニーズを伝達する交渉能力を培い、また、教職員・一般学生との相互理解を促進する点でも効果があります。


Q6最後に、支援体制整備の観点から、今後の抱負をお聞かせください。

本学の障害学生就学支援体制は、随分と学内に定着してきました。今後は、支援体制をより充実したものにするために、体制の見直しとそのフィードバックを重ねていきたいと思います。また、情報保障の質の向上も図るための音声認識の取り組みや,アクセシビリティの指導的人材育成もスタートしています。さらに特色GP「高等教育のユニバーサルデザイン化」で掲げるように、広島大学では現在障害学生就学支援で得た経験を、教育環境の見直しへ活用しようとしています。障害学生に分かりやすい授業は、全学生にとって分かりやすい授業であるはずです。教育のユニバーサルデザイン化を図ることが現在の大きな目標です。