I.調査目的等

(目的)
奨学金の延滞者および無延滞者の属性を把握し、今後の奨学金回収方策に役立てることとする。

(調査対象)


(調査方法)
質問を記入した調査票を送付のうえ、返信用封筒により返送を依頼した。

(調査時期)
平成27年1月

(回答受入状況)

抽出人数 回答人数 回答率 参考母数
(平成26年度末)
延滞者 19,518人 3,764人 19.3% 173,190人
無延滞者
9,649人
2,170人 22.5% 3,296,320人
※ 回答人数には無回答・不明回答を含めない。

(参考)平成26年度末現在の状況

  • 返還を要する者(返還期日到来分のみ):362万4,706人
  • 返還している者:329万6,320人
  • 1日以上の延滞者:32万8,386人
  • 3か月以上の延滞者:17万3,190人

  • 本調査は、延滞者のみならず無延滞者の属性についても把握することを目的としているため、今回の調査より調査タイトルを「奨学金の延滞者に関する属性調査」から「奨学金の返還者に関する属性調査」に改める。

II.結果の概要

1.奨学金申請について

(1)奨学金申請時の書類作成者

奨学金を申請時に実際に書類作成等をした者について、延滞者では「奨学生本人」33.6%と「本人と親等」19.7%の合計は53.3%で、約半数の者しか申請時の書類作成に本人が関わっていない。無延滞者では「奨学生本人」55.4%と「本人と親等」22.3%の合計は77.7%となり、4分の3の者が申請時の書類作成に本人が関わっている。奨学金申請時から書類作成を通じて本人が主体的に関わっていない場合は、関わっている場合に比べて延滞となる傾向があることがうかがえる。

図1-1 奨学金申請時の書類作成者(択一)

図1-1 奨学金申請時の書類作成者グラフ;延滞者(3,668人)奨学生本人33.6%、本人と親等19.7%、親37.7%、わからない・その他9.0%/無延滞者(2,157人)奨学生本人55.4%、本人と親等22.3%、親19.7%、わからない・その他2.5%

(2)奨学金申請を決めた時期

大学、短期大学、専修学校(専門課程)で奨学金の貸与を受けた者に、奨学金申請を決めた時期を質問した。延滞者では「高校卒業後」と回答した者が38.8%で最も高く、無延滞者では「高校3年生の時点」と回答した者が44.0%で最も高い。

図1-2 奨学金申請を決めた時期(択一)

図1-2 奨学金申請を決めた時期グラフ;延滞者(2,815人)高校入学より前4.2%、高校1年生の時点3.1%、高校2年生の時点3.0%、高校3年生の時点36.8%、高校卒業後38.8%、わからない14.1%/無延滞者(1,995人)高校入学より前5.6%、高校1年生の時点3.4%、高校2年生の時点5.6%、高校3年生の時点44.0%、高校卒業後36.2%、わからない5.3%

(3)返還義務を知った時期

延滞者では「申込手続きを行う前」に返還義務を知った者は、過半数以下の49.5%であるのに対し、無延滞者では90.3%で無延滞者の方が40%以上高い。一方、貸与終了後に知った者は、延滞者では合計で19.8%となり、無延滞者の1.0%に比べて18.8%高い。延滞者は無延滞者に比べて、申込手続き時点での返還義務の認識が十分ではないことがうかがえる。

図1-3 返還義務を知った時期(択一)

図1-3 返還義務を知った時期グラフ;延滞者(3,619人)申込手続きを行う前49.5%、申込手続き中12.9%、貸与中6.6%、貸与終了時3.5%、貸与終了後から返還開始前5.0%、返還開始から督促前5.0%、延滞督促を受けてから9.8%、その他7.7%/無延滞者(2,160人)申込手続きを行う前90.3%、申込手続き中5.3%、貸与中1.9%、貸与終了時0.6%、貸与終了後から返還開始前0.7%、返還開始から督促前0.1%、延滞督促を受けてから0.2%、その他0.9%

2.延滞者の状況

(1)延滞が始まった理由(きっかけ)

延滞が始まった理由(きっかけ)について、本人の経済状況をあげる者が多い傾向は、この数年間変化はない。平成26年度は、「家計の収入が減った」が69.4%で最も高く、次いで「家計の支出が増えた」41.9%となっている。「忙しかった」、「返還を忘れていたなどのミス」と回答した者も10%以上いる。

図2-1 延滞が始まった理由(きっかけ)

図2-1 延滞が始まった理由(きっかけ)グラフ;家計の収入が減った69.4%、家計の支出が増えた41.9%、入院・事故・災害等23.0%、忙しかった13.9%、返還を忘れていたなのどミス11.0%、返還するものと思っていない2.5%、その他25.4%

※平成25年度までは2つまで選択、平成26年度はあてはまるもの全て選択。

(2)延滞が継続している理由

延滞が継続している理由については、「本人の低所得」と回答した者が51.6%で最も高い。「本人の借入金の返済」、「親の経済困難」、「奨学金の延滞額の増加」と回答した者が増えたことについては、今回の調査から回答数の制限をなくしたこと(平成25年度までは2つまで選択、平成26年度はあてはまるもの全て選択)が影響していると考えられる。

図2-2 延滞が継続している理由

図2-2 延滞が継続している理由グラフ;本人の低所得51.6%、奨学金の延滞額の増加46.8%、親の経済困難40.6%、本人の借入金の返済26.0%、本人の失業中・無職16.6%、家族の病気療養12.2%、本人の病気療養中7.5%、その他26.0%

※平成25年度までは2つまで選択、平成26年度はあてはまるもの全て選択。

(3)今後の返還の見通し

延滞者に対し、現在における返還の見通しについて質問した。
「決められた月額等を返還できると思う」と回答した者は29.8%に対し、決められた月額等より少ない金額で返還できると回答した者(「半額より多く」+「半額程度」+「半額以下」)の合計は51.3%と過半数を超えている。

図2-3 今後の返還の見通し(現在における返還の見通し)

図2-3 今後の返還の見通し(現在における返還の見通し)グラフ;延滞者(3,636人)決められた月額等を返還できると思う29.8%、半額程度より多く返還できると思う10.0%、半額程度返還できると思う16.5%、半額程度より少ないが返還できると思う24.8%、返還できないと思う7.1%、わからない11.7%

3.無延滞者の状況

(1)延滞経験の有無

無延滞者に過去に延滞の経験があるかどうか質問した。
「延滞したことがある」者は21.2%となっている。

図3-1 延滞経験の有無(択一)

図3-1 延滞経験の有無グラフ;無延滞者(2,163人)延滞したことがない72.5%、延滞したことがある21.2%、わからない6.3%

(2)延滞になったことを知ったきっかけ

(1)で「延滞したことがある」と回答した者に、延滞になったことを知ったきっかけを質問した。「機構(旧日本育英会)からの振替不能(延滞)通知」が78.7%で最も高く、次いで「機構(旧日本育英会)からの電話」が34.3%で高い。

図3-2 延滞になったことを知ったきっかけ(あてはまるもの全て選択)

図3-2 延滞になったことを知ったきっかけグラフ;機構(旧日本育英会)からの振替不能(延滞)通知78.7%、機構(旧日本育英会)からの電話34.3%、口座残高を確認して26.6%、連帯保証人・保証人からの連絡12.3%、親・家族等からの連絡11.8%、債権回収会社からの連絡8.1%、その他2.5%

4.日本学生支援機構の奨学金制度に対する認知状況等

(1)返還期限猶予制度の認知状況

今回の調査から、「知っている」を「奨学金に申し込む前から知っていた」、「返還が始まる前までには知っていた」、「返還が始まってから知った」、「延滞督促を受けてから知った」の4種類に分割し、「知らない」と併せて5肢の選択回答とした。
返還が始まる前までに認知していた者は、無延滞者では34.1%であるのに対し、延滞者では4.8%で、延滞者と無延滞者では認知時期に大きな差がみられる。延滞者では「延滞督促を受けてから知った」と回答した者が44.1%で最も高い。貸与の早い段階での制度認知と延滞状況が密接に関係していると認められる。
従来の「知っている」、「知らない」の2区分でみると、今回の調査では過去3年間の結果に比べて、延滞者、無延滞者ともに猶予制度の認知度は10%以上高くなり、大きく改善している。

図4-1 返還期限猶予制度の認知状況(択一)

図4-1 返還期限猶予制度の認知状況グラフ;延滞者(3,685人)奨学金に申し込む前から知っていた2.1%、返還が始まる前までには知っていた2.7%、返還が始まってから知った15.4%、延滞督促を受けてから知った44.1%、知らない35.7%/無延滞者(2,147人)奨学金に申し込む前から知っていた13.0%、返還が始まる前までには知っていた21.1%、返還が始まってから知った22.5%、延滞督促を受けてから知った2.4%、知らない41.0%

(2)返還期限猶予制度をどこから知ったか

延滞者は「機構からの通知で」、「相談センターに電話して」、「債権回収会社から」猶予制度を知ったと回答した者が無延滞者よりも高い。無延滞者は「返還のてびきを読んで」、「奨学金申請時・採用時の資料で」、「学校の説明会で」猶予制度を知ったと回答した者が延滞者よりも高い。

図4-2 返還期限猶予制度をどこから知ったか(あてはまるものを全て選択)

図4-2 返還期限猶予制度をどこから知ったかグラフ;延滞者(平成26年度)機構殻の通知で45.8%、相談センターに電話して34.2%、「返還のてびき」を読んで25.9%/無延滞者(平成26年度)「返還のてびき」を読んで63.6%、奨学金申請時・採用時の資料で47.6%、学校の説明会で16.6%

返還期限猶予制度をどこから知ったか(平成23年度~平成26年度比較)グラフ

(3)減額返還制度の認知状況

減額返還制度について、「知っている(よく知っている、だいたい知っている)」と回答した者は、延滞者21.8%に対し、無延滞者38.8%で無延滞者の方が17.0%高い。

図4-3 減額返還制度の認知状況

図4-3 減額返還制度の認知状況グラフ;延滞者(平成26年度)良く知っている3.5%、だいたい知っている18.3%、あまり知らない27.2%、知らない51.0%/無延滞者(平成26年度)良く知っている4.1%、だいたい知っている34.7%、あまり知らない23.4%、知らない37.8%

(4)日本学生支援機構からの情報提供

図4-4-1 日本学生支援機構からの情報提供は十分である(択一)

図4-4-1 日本学生支援機構からの情報提供グラフ;延滞者(平成26年度)十分だと思う31.6%、どちらともいえない40.7%、十分とは思わない27.7%/無延滞者(平成26年度)十分だと思う39.8%、どちらともいえない43.9%、十分とは思わない16.4%

図4-4-2 日本学生支援機構からの送付文書類の閲覧状況(択一)

図4-4-2 日本学生支援機構からの送付文書類の閲覧状況グラフ:延滞者(平成26年度)見る84.6%、見ない12.9%、届いていない・その他2.4%/無延滞者(平成26年度)見る87.4%、見ない11.6%、届いていない・その他1.0

図4-4-3 日本学生支援機構のホームページの閲覧状況(択一)

図4-4-3 日本学生支援機構のホームページの閲覧状況グラフ;延滞者(平成26年度)見たことがある24.8%、見たことはない57.8%、見ることができない・その他17.4%/無延滞者(平成26年度)見たことがある40.1%、見たことはない57.1%、見ることができない・その他2.7%

図4-4-4 スカラネット・パーソナルの認知状況(無延滞者のみ)(択一)

図4-4-4 スカラネット・パーソナルの認知状況グラフ;無延滞者(平成26年度)良く知っている7.6%、だいたい知っている18.1%、あまり知らない24.5%、知らない49.8%


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