毎日新聞の9月30日〜10月6日の朝夕刊に、当機構の奨学金事業に関する記事が掲載されました。
事実関係の概要及び当機構の見解については、以下のとおりです。
(1) 9月30日付け夕刊に「奨学金 ずさん管理130億円未回収 支援機構に検査院指摘 転居把握せず」との記事が掲載されました。
報道内容のうち、「2,253億円もの未回収金が生じている問題で、このうち約130億円は、機構側による貸出先住所のずさんな管理が主な原因である」とありますが、「このうち約130億円」とは、平成19年度末における3月以上延滞債権額(期日が到来していない金額を含む。)2,253億円を延滞状況に応じて分類したもののうち、「住所不明」に該当するものが約130億円(うち期日が到来している金額は約40億円)というものであって、これは郵便物の返戻等により、平成19年度末において一時的に住所不明となっているものも含んでおり、そのまま全ての住所が把握できなくなるものではありません。
また、「奨学生の転居は卒業直後にピークを迎えるのに、卒業後半年間は接触しないシステムを続けてきた」とありますが、卒業後の7月末頃には口座振替制度の加入通知または加入督促通知を送付し、返戻となった場合は電話による住所確認を行っており、半年間接触しないという事実はありません。
更に、「卒業直前の住民票提出は今年度から義務化されたが、提出しなくともペナルティーはない」とありますが、この取扱いは今年度(平成21年度)からではなく、平成19年度(貸与終了者)から行っています。
なお、本人住民票(写し)の提出がない場合は、在学学校を通じて督促することとしており、殆どの奨学生から提出されている状況です。
当機構では、卒業後7月末頃に送付する口座振替制度の加入通知または加入督促通知が返戻となった場合、電話による住所確認を行い、電話で判明しなかったものに対しては届出住所の市役所等に対して住所調査を行うなど、奨学生の卒業後の住所等の的確な把握に努めているところですが、今後は、奨学生や返還者に対して住所変更に係る届出の必要性等について、より一層の周知を図ることとします。
(2) 10月2日付け夕刊に「電話8割つながらず 日本学生支援機構 奨学金問い合わせで」との記事が掲載されました。
従来の電話による相談体制は、当機構の返還相談センターという部署で実施していましたが、近年の経済情勢の悪化等により、電話による相談件数が大幅に増えたため、電話がつながりにくくなっていたのは事実です。
このため、平成21年1月下旬から臨時相談窓口を開設して、夜間(午後8時まで)を含めた対応人員を増加し、更に同年5月及び6月からは、土曜日の電話及び来訪による臨時相談窓口を開設することにより、相談件数の増加に対応してきたところです。
平成21年10月1日からは、従来の返還相談センターに加えて、電話相談への対応業務のノウハウを有する民間業者に委託してコールセンターを開設したところで、これにより、電話による相談体制の対応能力の向上を図り、当機構に対する返還者の満足度を高めるだけでなく、円滑な返還金回収業務を支える体制の構築を目指しています。
なお、報道内容のうち、「相談電話の混雑ぶりは独立行政法人となった5年前から悪化。」、「不況により貸与者が増え、相談件数は増加傾向にあるという。」とあり、相談電話の混雑ぶりは、独法化に伴う職員数の削減と経済不況による貸与者の増加が原因であるとしていますが、経済不況により増加するのは、貸与者ではなく返還困難となる者であり、それらの返還猶予等に係る相談件数が増加しているものと考えられます。
また、平成11年度からの第二種奨学金の抜本的拡充による貸与者数(返還者数)の増加も原因の一つであると考えられます。
(3) 10月6日付け朝刊に、「奨学金延滞 減額・免除 周知せず 支援機構『まず返還猶予で』」との記事が掲載されました。
報道内容のうち、「奨学金の返還は分割払いで、返還日を過ぎると延滞日数に応じて年5〜10%の延滞金が加算される。」とありますが、延滞金は第一種奨学金・第二種奨学金とも、年10%の割合で賦課されるものであり、その他の割合で賦課されることはありません。
また、「奨学生を支援する労働組合は昨年、独自に申請書を作成。数人の減免にこぎつけた。」とあり、更に、「今年5月、父親から暴力を受けていた沖縄の30代の女性が、13年分の延滞金97万円を全額免除された。」、「ユニオンのアドバイスで、貯蓄を取り崩し元金の大部分を一括返還することを条件に、減免制度を適用された。」とありますが、延滞金を減免した該当事例は確認できません。
返還期限猶予は事前の願出が原則ですが、例外的に、既に延滞している者が返還期限猶予の遡及適用を受けた場合、適用前に賦課されていた延滞金が減額されるため、延滞金を減免されたと誤認することが想定されます。
当機構では、奨学金の返還が困難となった場合には、返還期限猶予制度の利用を指導しており、返還期限猶予制度については、従前から奨学生採用時に配付する「奨学生のしおり」、貸与終了時に配付する「返還のてびき」及び返還者へ送付する振替案内等に、当該制度に関する説明を記載することにより広く周知に努めるとともに、平成21年度からは、機構のホームページに猶予対象となる収入・所得金額の目安を掲載することにより、返還期限猶予対象者が適切に返還期限猶予の申出を行うことができる環境を整えたところです。
返還期限猶予制度の適用を受けずに(本人が手続きを怠った場合、適用基準に合致しない場合等)延滞してしまった場合には、約定どおりの延滞金を含めた返還を求めていくこととしていますが、延滞が長期にわたり、要返還額を一括返還することが困難な場合は、延滞金が賦課されることを了承のうえで、分割返還の履行を認めることもあります。
延滞金の減免は、これらによってもなお解決しない者で、返還意欲のある者に限って考慮されるものであり、また、その適用は、返還者が割賦金の返還を延滞したことにつき災害、傷病その他真にやむを得ない事由があると認められるときに限定されていることから、延滞に至った事由につき詳細な確認が必要であり、その適用を受ける者は極めて稀です。
従って、延滞金減免の取扱いについては、特に周知を行うことをせず、返還指導のなかで個別具体の対応を行っているところです。
〈2009年10月08日掲載〉
当機構の奨学金事業に関して、1月16日付け日本経済新聞の報道で、「奨学金 実質赤字300億円超(09年度)」との記事が掲載されました。
報道内容のうち、「事業の実質的な赤字見込み額が300億円超」、「事業の実質的な赤字の穴埋めに使う経費は324億円」や「返済滞納額は07年度で2,253億円」、「調達金利と貸し出す金利との間で逆ざやが生じ、利子補給金が大幅に膨らむ可能性」等とあります。
まず第1点目として、「事業の実質的な赤字見込み額が300億円超」、「事業の実質的な赤字の穴埋めに使う経費は324億円」とありますが、この内訳は平成21年度予算案における利子補給金287億円と返還免除等補助金37億円です。当機構の有利子奨学金は経済的に修学困難で勉学意欲のある学生・生徒に対し、最長20年間の長期に、かつ低利で奨学金を貸与する制度となっており、在学中は無利息で、返還時の利息は年3%を上限としています(日本学生支援機構法施行令第2条及び第4条)。利子補給金は、奨学生の返済時の負担を軽減するという教育政策として措置されているものであり、この在学中の利息分と、有利子奨学金の財源である財政投融資等からの資金の調達金利が3%を超えていた際(平成8年度まで)の差額を国が利子補給金として補填するものです。また、奨学生が死亡若しくは心身障害等により返還が困難になった場合に返還を免除する制度(日本学生支援機構法第15条第3項)となっており、返還免除等補助金はその分の財政投融資等への償還財源となるものと、将来の貸倒リスクに備えるための積立金が内容となっています。
当機構の奨学金制度では、利子補給金等のこれらの費用については、奨学生に負担させるのではなく重要な教育政策として、必要な経費の一部を一般会計で措置(同法第23条)しているものであり、決して赤字として捉えられる性質のものではありません。
第2点目に、「返済滞納額は07年度で2,253億円」とありますが、これは平成19年度末において、3ヶ月以上延滞している者の延滞となっている返還額と、これから返還期日の到来する返還予定額を含む債権の総額であり、実際に返還が滞っている額は645億円となっています(注参照)。しかし、この金額につきましても、経済的な理由で返還が困難な場合には返還を猶予する制度があり、願い出をしていただくことにより減少しますし、返還できるのにもかかわらず返還しない者に対しては法的措置を採るなど回収を強化しており、この額すべてが将来、回収不能になるものではありません。
第3点目に、「調達金利と貸し出す金利との間で逆ざやが生じ、利子補給金が大幅に膨らむ可能性」とあります。有利子奨学金の財源は、財政投融資の財政融資資金、財投機関債(日本学生支援債券)及び卒業した奨学生からの返還金であり、返還の際の利率は、財政融資資金及び財投機関債の資金調達利率と同率となっており、現時点では逆ざやが生じることはありません。ちなみに、現在の利率は固定の場合で年1.55%、5年ごとの利率見直しの場合で年0.9%となっております。(⇒利息付き奨学金の貸与利率 )
奨学金は貸与制であり、返還された奨学金は後進の方々の奨学金の財源として循環運用されることから、返還金の延滞は重大な問題であると認識しています。このため、当機構では奨学金の回収業務の重要性を深く自覚し、督促の早期化、強制執行を含む法的措置の強化等に取り組んでいます。
なお、奨学金を貸与された方々には、奨学金事業の財源として多くの公金が使われていること、返還された奨学金は次世代の方々の奨学金の資金として活用されることをご認識いただき、奨学金を確実に返還していただきますよう、重ねてお願い致します。
<2009年1月16日掲載>
当機構の奨学金事業に関して、7月25日付けマスコミ各社の報道で、「奨学金の回収努力不足 10億円、延滞債権に」(東京新聞)、「奨学金の延滞2,252億円 財務省が改善要求」(毎日新聞)、「奨学金回収努力を 財務省が機構に改善要求」(産経新聞)等の記事が掲載されました。
財務省では、財政投融資を利用する機関を対象に「財政融資資金融通先等実地監査」を実施しており、本年2月から3月にかけて当機構において実施されました。7月24日(木)に開催された財政制度等審議会財政投融資分科会にその監査結果が報告され、報道各社に発表されたものです。
報道内容のうち、「奨学金の回収努力不足 10億円、延滞債権に」とありますが、これは、当機構が平成16年度に創設した「機関保証制度」についてのものです。この制度は、奨学生が毎月定額の保証料を財団法人日本国際教育支援協会に支払うことにより、卒業後機構への奨学金の返還が困難になった場合に同協会が奨学生に代わって債務を保証する制度です(奨学生が機構への返還が困難になった場合に、同協会が奨学生に代わって返還残額を機構へ支払いますが、その後同協会が奨学生に返還を求めます。)。当機構が同協会に支払いを求める際には、返還誓約書が提出されていること、住所等が判明していること、奨学生の返還困難な状況が確認できることなどが条件になっています。
監査で指摘された内容は、返還誓約書の未提出や住所確認等が不十分で、20年2月時点で協会へ請求ができていない債権が797件、約10億円、というものです。
当機構では、返還誓約書未提出者に対しては個別訪問等を通じて提出の督促を一層強化し、住所不明者に対しては役場照会等を通じて住所確認を行うとともに、返還の困難性の確認を行い、同協会へ代位弁済請求を行ってまいります。
また、「奨学金の延滞2,252億円」とありますが、これは平成19年度末において、返還期日が到来した要返還額について3ヵ月以上経過して延滞している債権の貸付元金残高全部を「リスク管理債権」として表したもので、今後返還期日の到来する返還額を含んだ総額です。(ちなみに、実際に返還期日を1日以上超えて延滞している債権額は660億円です。)
奨学金は貸与制であり、返還された奨学金は後進の方々の奨学金の財源として循環運用されており、返還金の確実な回収は、奨学金制度を安定的に運営するための重要な課題となっています。
このため、当機構では返還金のより一層確実な回収を図るため、平成20年3月貸与終了者からリレー口座の加入時期の早期化及び住民票の提出の義務化を行いました。このほか、サービサーを活用した督促の強化、延滞者への法的措置の徹底など、回収に全力を挙げて取り組んでいるところです。(→奨学金の返還促進)
さらに、奨学金の返還促進を図るため、平成19年10月に当機構に有識者会議を設け、検討を重ねてまいりましたが、平成20年6月に報告書が取りまとめられました。この報告書では、(1)返還誓約書の提出時期を採用時に早期化、(2)早期における督促の集中的実施、(3)法的措置の早期化及び延滞者全員に対する法的措置の原則実施、(4)回収効果の見込める初期延滞債権について民間委託、(5)延滞率の改善が進まない学校名の公表の検討、等の提言が行われており、当機構としてはこの提言を受け、実施に向けた取組を行っているところです。
当機構としては、今回の指摘を機構全体として真摯に受け止め、役職員一同が、当機構に課せられた公共的使命と社会的責任を改めて深く自覚し、厳正かつ適正な事務執行を行ってまいります。
なお、この際、奨学金を貸与された方々には、奨学金事業の財源として多くの公金が使われていること、返還された奨学金は次世代の方々の奨学金の資金として活用されることをご認識いただき、奨学金を確実に返還していただきますよう、改めてお願い致します。
<2008年7月25日掲載>
10月29日付け産経新聞の記事では、日本学生支援機構の奨学金が有効に使われているかという観点から調査した論文を引用して、「奨学金を遊興費に転用する学生が目立ち」「奨学金が勉学よりも娯楽に振り向けられている」と指摘されています。
しかし、奨学金が大学生の経済生活に及ぼす影響や機能に関する別の研究論文(→当機構発行月刊誌「大学と学生」11月号)で、「奨学金は少額でも修学費を増加させる効果を持つ」「家庭からの給付以外の娯楽嗜好費の調達源としては、奨学金ではなく、アルバイトなどの自己収入が活用されている」と分析されていますように、同記事において奨学金が修学目的のために役立っていないと決め付けていることは適当ではないと考えています。
<2007年10月29日掲載>
当機構の奨学事業に関して、9月17日付け日本経済新聞「昨年度奨学金滞納2,000億円超す」との記事、10月29日付け産経新聞「回収不能2,000億円、奨学金予算削減へ」との記事、さらに11月19日付け日本経済新聞「返済期日から3カ月以上回収できていない奨学金は2006年度末に約2,000億円に達しており、奨学金の拡充より滞納対策を優先すべきだとの声」との記事が掲載されました。また、11月16日放送NHK「ニュースウォッチ9」で奨学金の延滞額の問題が取り上げられた中でも、「滞納額が2,000億円超え」と報道されています。
このように最近の各紙報道において、当機構の奨学事業の延滞額に関し、「2,000億円」との数値が上げられています。しかし、この「2,000億円」という数値については、返済期日が到来した要返還額について3ヵ月以上経過して延滞している債権の貸付元金残高全部を表したもの(→リスク管理債権)で、返済期日がまだ来ていない返還額を含むものです。つまり、2,000億円が回収不能に陥ったというものではありませんので、誤解のないようお願いします。
平成18年度末の返還状況について見ると、延滞分を含む要返還額2,855億円に対して、2,240億円が返還され未返還額は614億円となっており、この未返還額について法的措置を含めた回収強化策を進めております。返還額が次の奨学金の原資になる本制度のしくみから、未返還額は憂慮すべき状況にあることは当機構としても十分認識をしており、返還金回収強化のために今後とも全力を上げて取組んでまいります。(→奨学金の返還促進)
返還者の大多数は、真面目に、決められた返還金を確実に返還しています。現在返還中の方には、引き続き、確実な返還をお願いします。延滞額が増えればそれだけ新しく入ってくる学生への貸与に影響し、これから奨学金を希望し進学したいと考える若者たちの進学機会を奪いかねません。延滞となっている方には、あらためて速やかな返還に努められるようお願いします。なお、特別な事情があれば当機構までご相談いただきますようお願いします。
連絡先:0570−03−7240(ナビダイヤル・全国共通)
<2007年9月17日掲載>