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第9回 「学習補助者」を中心にした、学生中心の支援活動(筑波大学)

質問コーナー

著者紹介

鳥山 由子
【筑波大学特任教授 障害学生支援室副室長】
長年、視覚障害教育に従事。
筑波大学附属盲学校在職中は、全国盲学校長会大学進学対策委員会の事務局長を8年間務めた。化学の教員として、日本で初めて、物理学専攻の盲学生、化学専攻の盲学生を大学に送り出し、各大学で化学実験の履修に協力した。平成13年に発足した筑波大学障害学生支援委員会で専門委員長を6年間務めた。平成19年3月に定年退職後、特任教授として現職。専門は、視覚障害指導法

筑波大学 鳥山先生 写真

Q.質問

 視覚障害学生から、授業の資料を早めにメールで送ってほしいと依頼されました。ワードなどで作成した資料を、そのまま送って読めるでしょうか?

A.回答

 視覚障害者が、パソコンを使って、普通の文字を音声や点字に変換して読むことができるようになりました。しかし、音声や点字に変換して読めるのは、基本的にはテキストデータだけです。アンダーラインや強調文字、図、グラフなどは読めないことに、注意が必要です。データは、windowsのテキスト形式で送るのが無難です。メールの送信も、テキスト形式に設定します。

 紙媒体の資料は、電子データに変換する必要があります。スキャナを使って画像データを取り込み、OCRソフトを使って文字データに変換します。スキャナにかける前に、資料の絵や写真を取り除いてノイズを減らすこと、OCRソフトで変換後、原本と見比べながら校正をすることが必要です。これらの作業には、晴眼者の支援が必要です。筑波大学では、「学習補助者」がこの作業をしています。テキストデータは、読み上げソフトを使って聞くことができますし、パソコンで点訳することもできます。点訳ソフトは万能ではありませんが、一般的な日本語や英語には十分に使えます。なお、文献の電子化に当たっては、先に対面朗読などで、目次から全体像を把握し、対面朗読者に協力してもらって、必要箇所を絞って電子化をすることが、学習の効率を上げるために大切です。

スキャナー

「学習補助者」を中心にした、学生中心の支援活動

すべての学生の成長を期待する支援活動

 筑波大学の障害学生支援の特色は、1973(昭和48)年の開学以来続いている学生による支援活動です。障害学生支援室は、この伝統に現代的な価値観を加えて、「障害学生と一般学生がともに学ぶことを通して、共生の時代を担う社会人を育成する」ことを障害学生支援の目的として掲げています。

 障害学生支援の中心は、障害学生のニーズに応じた支援をすることですが、その恩恵を受けるのは、障害学生だけではありません。一般学生にとっても、障害学生と共に大学生活を送り、障害を克服して学ぶ姿を目の当たりにし、支援の心と技術を身につけることは、かけがえのない体験になっています。

すべての学生の成長を期待する支援活動

学習補助者制度

 学習補助者制度は、筑波大学の障害学生支援を代表する学内制度です。学習補助者の仕事は、視覚障害学生のための教材の電子データ化・点訳の補助・文書作成のレイアウト調整等の文書処理の補助活動、聴覚障害学生のための授業中のノートテイク・パソコン通訳・手話通訳等の情報保障活動、運動障害学生の移動や生活動作の支援などです。現在、全学で約180人の学生が学習補助者として登録し、約40人の障害学生の支援に当たっています。

 この制度は、学生の誰もが忙しい試験や論文締め切り前の繁忙期にも支援者を確保できることや、養成講座で高い技術を身につけた学習補助者に支援を依頼できることなどから、障害学生から高く評価されているシステムです。また、視覚障害学生のレポートや論文などの文字・レイアウトの校正や、聴覚障害学生の授業での情報保障を行うためには、基礎学力は言うに及ばず、専攻毎の知識が必要です。これまで、障害学生は、人間系・文科系に多く、学習補助者もこれらの専攻の学生でした。しかし、最近では、自然科学や医学、芸術、体育など多様な専攻分野に障害学生が入学しており、それらの専攻分野の授業内容を理解して支援活動に従事できる学習補助者が必要になっています。大学としては、フレッシュマン・セミナーや総合科目等で、全学の学生に障害理解を促し、学習補助活動への参加を呼びかけています。このように、学習補助者に専攻毎の専門性が求められることは、学生による支援活動を中心にする積極的な理由でもあります。

 一方で、学習補助者活動は、学生に過重な負担をかけることが懸念されます。そこで、規定に基づき大学から謝金を支払うことで、学生の経済状況に配慮するとともに、活動時間にも制限を設けています。また、一定時間支援活動に従事した学生に対して、年度ごとに証明書を発行しています。

車椅子

支援者養成講座

 質の高い学習補助者を養成するために、大学の責任で支援者養成講座を開設しています。平成20年度は、全障害共通のオリエンテーション(1学期、2学期に各1回)に続いて、視覚障害支援者養成講座4回(4日)、聴覚障害支援者養成講座5回(10日)、運動障害支援者養成講座2回(2日)を実施する予定です。また、養成講座のうち、初心者向け講座を、全学対象授業「障害学生支援技術」として位置づけ、総合科目(一般教養科目)「共生キャンパスとボランティア」とともに、多くの学生の受講を促しています。
 現在、養成講座のマニュアル作成を進めており、このマニュアルの公開や、JASSOとの共催による公開養成講座の企画も進めたいと考えています。
平成20年6月掲載

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