ここでは留学手続き代行・留学先斡旋・滞在中のサポート等を行う業者を、営利・非営利に関わらず「留学斡旋業者(業者)」と呼んでいます。
日本学生支援機構留学情報センターでは、以下の理由から、自分自身で留学のための手続きを行うことをお勧めしており、そのために必要な情報の提供や、他の公的な留学情報提供機関の紹介などを行っています。
【自分で留学手続きを行うことをお勧めする理由】
●海外で勉強するためには何より自主性が不可欠です。
●留学の方法(国、学校の種類、課程、留学時期など)には幅広い選択肢があります。
自分の将来目標と現在の状況を照らし合わせ、これらの中から最適な方法を自分自身で自由に選ぶことができます。
●手続きを自分で進める過程で以下のようなメリットが得られます。
しかし、自分で情報収集や手続きをする時間がとれない、出願書類を添削してほしい、十分な語学力がない(注1)、希望する留学開始時期まで時間がない、などの理由で手続きの代行を留学斡旋業者に依頼する人もいるでしょう。
しかし、「留学斡旋」と呼ばれるサービスの種類は多岐にわたり、これらのサービス全体を包括的に規制する法律等はなく(注2)、留学斡旋業には国や自治体の許可や登録は必要ありません。
従って、その良し悪しを法制度の面から見分けることはできません。
また、全国の消費生活情報ネットワーク・システムには「留学等斡旋サービス」に関する相談が毎年400〜600件程度寄せられています(大手業者の破綻に関する相談件数を除く)。
このような事実も念頭におき、斡旋業者を利用する場合は、以下を参考に、賢い消費者の目で、自分自身の責任と判断により、自分の目的に合った業者・プログラムを選んでください。
(注1)日本語のホームページやメールで情報提供をしている学校(主に語学学校)もあり、語学力が不足していても自分で留学手続きが可能な場合もあります。
(注2)「留学斡旋業」には、業者自らが企画・実行するプログラムに参加者を募集するツアー形式(いわゆるパック旅行)、留学手続きの全部の代行、一部(学校選択・出願手続きだけ、ビザ取得だけなど)の代行などがあります。
いわゆる「旅行業」に該当するサービス(語学研修ツアーなどを自ら企画して参加者を募集する場合や、航空券等の販売や宿泊先の手配を行う場合)を実施する場合は、「旅行業法」による規制を受け、国土交通大臣の行う登録を受けなくてはなりませんが、これはあくまでも「旅行業」への規制であり、留学取扱業務に対する規制にはなりません。
(1)現地の教育制度や準備・手続きなど、留学についての知識を身につける。
(2)自分が何のために、どんな留学をしたいのかを明確にする。
(3)直接、情報の発信元から最新で正確な情報を得る。
(学校の情報は直接留学先の学校のホームページから、ビザについては大使館領事部か領事館で)
(4)自分でできることや留学先の学校が提供するサポートサービスの内容を把握し、業者に依頼するサポートの範囲を明確にする。
(5)業者の名称や支払い金額の高低だけで判断せず、料金の明細やサービスの内容で選ぶ。
(6)業者は万能ではないことを認識する。
(学校は個々の留学希望者の学力等の条件を認めた上で入学許可を決定しますし、ビザの取得も本人の財政能力等をその国の政府が認めた場合に限られますので、業者に代行を依頼しても許可が下りない場合もあります。)
(7)電話やメールでのやりとりだけで済ませず、可能な限り業者を訪問して担当者から直接話を聞く。
(8)複数の業者を時間をかけて比較検討し、疑問点をすべて解決し、契約書(約款)の内容を完全に理解したうえで契約する。
上記(1)〜(3)については、当機構ホームページの「海外留学情報ページ」を参考にしてください。
以下の項目の多くは、情報公開または開示が法的に義務付けられているわけではありませんが、業者を選ぶ上で重要なポイントとなります。
業者の説明にこれらの情報が含まれていない場合は、こちらから問い合わせてみましょう。その際の対応姿勢も、業者選択の判断材料の一つになります。
(1)派遣実績・情報公開度
(2)情報提供
(3)業者と留学先の学校との関係
(4)現地の委託業者がある場合、契約先業者との関係
(5)現実的な選択を勧めているか
(6)契約内容、料金体系、責任の範囲、免責事項
(1)安易に留学や就労体験を勧める
現地の社会・法制度、留学・教育制度、生活環境などについて十分な説明を行わず「必要な要件(語学力、学力、資金力など)がなくても容易に留学できる」「明らかに準備不足であっても現地渡航後の努力で対応できる」といった説明を行う場合。このような場合、渡航後に「こんなはずではなかった」というトラブルが起こりがちです。
*「語学力がなくても大学へ留学できる」という説明の問題点:
大学からの入学許可(あるいは入学内定通知)の時点ではTOEFL等の成績提示を求められない場合もありますが、学位課程入学の時点では必要な水準に達している必要があります。
留学しても、入学に必要な語学テストの点数が取れないと、語学留学だけに年数を費やし大学には入学できないことになりかねません。
*「現地で資金を稼ぎながら勉強できる」という説明の問題点:
留学生のアルバイトは法律で制限または禁止している国が多く、求人も多くはなく、得られる収入はわずかです。
ワーキングホリデービザを取得する場合は、法律上の就労制限は少ないものの、求人状況が良いとは言えないのは同様です。
インターンシップの場合も、当初の説明と違う種類のビザを取得されてしまい予定通り働けない、仕事が見つからない、報酬が低い、希望していた業務内容と違う(キャリアアップには役立たない単純な事務作業であった、費用を払って無給の就労体験をさせられたなど)、といった事例があります。
留学希望国の大使館または領事館のサイトなどで、ビザの種類と労働規定について必ず確認してください。
渡航後にお金に困ることのないよう、滞在中に必要な経費を算出し、最低限必要な資金は用意していきましょう。
(2)申込・契約を急がせる
全国の消費生活センターと国民生活センターに2009年度に寄せられた「留学等斡旋サービス」に関する相談のうち多いのが「契約・解約」に関する相談(契約書が交付されない、解約・返金を申し出たら解約料を請求された、など)でした。
留学斡旋業には、クーリング・オフが適用されません。
「とりあえず申込書を出してから/契約してから考える」ことは避け、契約内容を十分に確認して、納得したうえで契約してください。業者によっては、クーリング・オフの規定を自主的に設け、契約書に明記しているところもあります。
旅行会社と契約する「旅行契約」はお金を払わないと契約が成立しないのが原則ですが、それ以外の場合は、申込書にサインするだけで契約が成立することに気をつけてください。
(3)「留学で日本での就職が有利になる資格を取得できる」というような誇大な宣伝を行う
最近は、国内での就職難や雇用不安があるためか、海外での資格取得により日本でのキャリアアップを目指す人が増えているようです。
せっかく取得した資格を役立てるために、その資格をどのような団体が認定しているか、現地においてどのように評価されているか、また、日本でどれだけ評価されているか、日本の資格・免許への読み替えが可能か、実際に就職に有利なのかを事前に十分調べてください。
(たとえば外国の医科・歯科大学卒業の経歴または外国で取得した医師・歯科医師免許の日本での認定については、厚生労働省のウェブサイト「医師・歯科医師国家試験受験資格について」を参照してください。
(4)現地でのサポート体制の説明に虚偽がある
現地でのサポートを業者が直接行わず、現地の団体やローカルスタッフに委託している場合など、サービスの範囲や責任の所在が不明瞭になる場合もあるようです。
委託せずとも留学先の学校が独自に行うサポートサービスを利用できる場合もありますので、契約前に業者のサポートサービスの内容を業者側と文書でよく確認し、必要なサービスのみに加入してください。
(5)留学費用に関して不明瞭さや虚偽がある
「経費の明細が示されていない」「項目の意味が分かりにくい」などの疑問を持ったら必ず質問し、納得のいく回答を得ましょう。
(1)契約上のトラブル
業者との間にトラブルが発生した場合、まずは業者と直接話し合い、解決する努力をしましょう。
消費者契約法には、不当に高額な解約金条項を無効とするなど消費者保護のための規定が定められています。
このような法律の定めを参考にし、国民生活センターや居住自治体の消費生活センター(以下、「消費生活センター等」といいます)にアドバイスを求めながら、業者と交渉していくことになります。
円滑に交渉を進めるためにも、業者とのやりとりの記録(契約書・領収書・E-mail、FAXの写し、電話や面談の場合は話した日時、相手の名前、話の内容を相手に確認しながらまとめたメモなど)を残しておきましょう。
しかし、話し合いで解決しない場合は、時間、費用、精神的な負担を覚悟のうえ、自分自身で、または弁護士に相談して、民事訴訟を起こすしかないのが現状です。
このようなことにならないためにも、契約の際には、業者が提供するサービスを十分確認し、内容をしっかり把握することが大切です。
(2)経営破たんによるトラブル
契約した業者が経営破たんを起こし倒産するトラブルもあります。
数店舗の支社をいちどに閉鎖したり、担当者と連絡がとりづらくなったり、業者から随時支払われているはずの授業料や住居費を学校や宿舎等から直接請求されるなどの動きがあったときは、早めに業者に事実確認するとともに、消費生活センター等に相談しましょう。
実際に経営破たんが起きてしまったときは、まず自分の状況を冷静に確認し、契約内容や証拠書類を再確認しましょう。
そして消費生活センター等に相談し、アドバイスを受けてください。
破産の場合は債権者説明会や裁判所からの文書等により状況が説明されますので、内容をよく確認し、必要な手続きをとるようにしてください。
業者が学費を留学生から預かって支払を代行している場合、その学費を学校に支払わずに運転資金として流用している例が多いようです。
このような場合、学費不払いで入学許可が取り消しになることや、すでに留学中の場合は滞納で除籍になったりして留学が続けられなくなることもあります。
また、ホームステイ代金や寮費の支払を委託している場合も、同様に流用されることがあります。
すぐに学校担当者に直接相談し、自分の授業料や必要経費が業者から支払われているかを確認しましょう。
支払が滞っている場合は、どの時点までの支払が済んでいるのか、学則によりいつまでの在学が認められるのか、住居を確保するためにはいつまでに支払が必要なのか等をきちんと確認しましょう。
業者が破綻すると、預けたお金が戻ってくる例は少ないのが実情です。
家族などともよく相談し、今後の方針や進路を冷静かつ適切に決めましょう。
なお、業者を利用せずに留学を続ける場合、他の業者に変更して留学を続ける場合などは、留学情報センターなどの公的機関に相談し、適切な選択をするようにしてください。
当事者は動揺している可能性が高いので、急いで新たな契約をしてしまわないよう、この手引きを最初から読み直し、第三者のアドバイスを受け、落ち着いて対処するようにしてください。
<協力>東京都消費生活総合センター
<参考>