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第二十回 障害学生修学支援ネットワークの相談事業
第十九回 障害学生修学支援コーディネーター養成講座
第十四回 「2つの難題」 ノートテイカー活動の実際(沖縄大学の取り組み)
第十三回 平成18年度大学等における「ユニバーサルアクセスの実現」を目指して
第十二回 平成17年度JASSOにおける障害学生支援事業の取り組み
11月号は、本年10月3日に始まった、障害学生修学支援のネットワーク相談事業について解説しています。宮城教育大学、筑波大学、日本福祉大学、同志社大学、広島大学、福岡教育大学の六大学を拠点校として、障害学生の修学支援について、ちょっと困っているという大学からの質問・相談にお答えしようという試みです。ノウハウ・経験がなくて障害学生の受け入れに躊躇していらっしゃる方々の、一つのきっかけになればと考えております。
また、「はじめて障害学生を受け入れるにあたって」や「障害学生修学支援メニュー」も用意しました。是非、ご利用ください。
沖縄聴覚障害学生支援ネットワークについて、沖縄県難聴者・中途失聴者協会の酒井さんと沖縄大学障がい学生支援コーディネーターの玉城さんにお話を伺いました。
Q1:沖縄聴覚障害学生支援ネットワークに参加している大学を教えてください。
A1:沖縄大学・沖縄国際大学・名桜大学・沖縄キリスト教学院大学の四校です。
Q2:メンバーにはどのような人がいますか?
A2:聴覚障害学生、各大学の支援学生(大学ノートテイクサークルのメンバー)
大学職員、沖縄県難聴・中途失聴覚者協会員、要約筆記者などです。
なお、現在の沖縄県難聴・中途失聴者協会会長は沖縄大学3年の田中息吹くんです。
Q3:沖縄聴覚障害学生支援ネットワークの設立の経緯を教えてください。
A3:沖縄大学でのノートテイクの活動開始の際に、沖縄大学でノートテイク講座を開催しました。そのノートテイク講座に聴覚障害学生が在学している他大学の学生の参加があり、その大学での自主的な支援が始まりました。聴覚障害学生同士にはもともと大学を超えてのつながりがあり、聴覚障害学生が支援学生を連れて講座に参加するなど、支援学生も巻き込んで支援の輪が広がっていきました。その後、各大学でノートテイクサークルが立ち上がり沖縄県難聴・中途失聴者協会の賛助会員となっていきました。
Q4:活動の内容を教えてください。
A4:時々に応じて、情報交換会や交流会を行っていますが、定期的に行おうと考えています。(新難聴学生歓迎会・夏の合宿・スポーツ交流会・忘年会合宿など)
昨年(2005年)11月には沖縄大学の土曜講座の一環として四大学共同でシンポジウムを開催し県内大学のノートテイクについて話し合いました。
また、今年度(2006年)4月には新年度に向けた県内各大学の聴覚障がい学生の顔合わせと、サポート学生のネットワークの再認識を図ることを目的として、県内大学情報保障を考える会を開催しました。互いの課題について話し合うことにより、聴覚障害学生や支援学生の距離もより縮まり、また大学間の関係も深まったと思います。
〜酒井さんより〜
大学のノートテイクサークル同士の交流には沖縄県難聴・中途失聴者協会の壮年聴覚障害者も参加して学生の視野を広げています。
沖縄県は島嶼県であり、聴覚障害学生への理解に地域差が生じています。要約筆記者が島々に点在することは非常に困難で、今後自立支援法下でも改善は望めません。沖縄の大学生は卒業後の就職は地元志向が殆どであり、聴覚障害者の理解者として地域で大学ノートテイクをした経験を生かして欲しいと願っています。
聴覚障害学生9人に大学ノートテイカー約100人は半端ではない数字だと認識しています。
十月号で、八月末に京都支部で開催された「障害学生修学支援コーディネーター養成講座」について紹介しています。講師の方が六大学六名、受講された方が十大学十一名という講座でした。内容については、「大学と学生」本文やHPを見ていただければ分かりますので、省きます。今、考えているのは、次年度をどうしようかということです。同じような形で行なうか、内容・日程を少なくし、多くの方に参加していただくか。ご意見がありましたら、日本学生支援機構 学生生活部 特別支援課まで、ご連絡ください。
【1.障害学生修学支援コーディネーターとは】
障害学生修学支援コーディネーター(以下、コーディネーター)の配置目的やコーディネーターの資質
【2.支援に関する業務】
(1)入試対応
(2)障害学生支援
(3)支援学生支援
(4)教員支援
【3.庶務に関する業務】
(1)管理・運営
(2)施設改善
(3)連絡調整
【4.広報に関する業務】
(1)広報
※障害学生修学支援コーディネーター養成講座テキストはこちら(PDF:1,382KB)
■10月の影絵 【修了証の授与】

講座修了者には、修了証を出しました。障害学生修学支援コーディネーターに認定制度があるわけではないので、認定証ではありません。皆さんが取りたいと思う証書に、いつの日にか、なればいいなと思っております。
9月号は、障害学生のPRとして、どのように自己を表すか、どのような場が必要かを解説しました。パソコンは多くの学生にとって必須のものですが、これは障害学生にとっても同様です。いながらにして情報を収集でき、また、提供・発信できるという環境は、視覚障害学生や肢体不自由学生には、とても重要です。
他方、懇談会も必要です。支援担当職員を含め、障害学生・支援学生それぞれがどのような考え・気持ちであるかを相手に知ってもらってこそ、必要な支援を受けられ、提供できるのではないでしょうか。
現在の日本国内での携帯電話契約数は9000万以上にのぼっており、生活になくてはならないものとなっています。障害のある人にとって、この携帯電話はどのように使われているのでしょうか?
携帯電話を使用するメリットを挙げてみました。
<肢体不自由・各障害種で共通>
・公衆電話を探さなくてもよい。
車イス利用者が使える高さに公衆電話がない場合もあります。
・誰かと連絡がつくという安心感がある。
・待ち合わせに便利。すぐに連絡がつく。
・休講やテストの情報を携帯電話のメールで受取ることができる。(学校によって異なります)
<視覚障害>
・知らない相手と待ち合わせるときに、お互いの着メロを決めておけば、それを手がかりに会うことができる。
・機種によっては音声認識機能があり、音声で電話帳を呼び出したりすることができる。
・機種によっては音声読み上げ機能があり、メールの内容などを読み上げたりしてくれる。
・携帯端末電子マネー(Edy・Suicaなど)の普及で買い物がしやすくなる。
(紙幣・小銭を扱わなくてよい)
・改札で使える携帯端末電子マネー(Suicaなど)の普及で電車に乗りやすくなる。
(切符を買わなくても電車に乗れる)
<聴覚障害>
・メールで連絡ができる。
・チャットのようにメールで会話ができる。
・メールや電話の着信が光やバイブレーション機能でわかる。
・バイブレーション機能が目覚まし代わりになる。
・テレビ電話を使って口話で会話することができる。
・メール110番を利用して警察に通報できる。(各警察署によって異なります)
※健常者は110番に電話をしてください。
・メール119番を利用して消防署に通報できる。(各消防署によって異なります)
※健常者は119番に電話をしてください。
以上、障害のある人が携帯電話を利用する場合のメリットを挙げてみましたが、その中には健常者にも便利な機能が含まれています(メールや待ち合わせなど)。携帯電話は障害の有無に関わらず誰にとっても便利なツールであるといえます。これからも、誰にでも使いやすい携帯電話の開発・普及が進むことを願います。
8月号は、“広報”をテーマとしました。広報は、どんな事業においても重要ですが、障害学生の修学支援という、残念ながら、全ての職員・学生が理解しているというわけではない取り組みについては、特に重要です。学内の障害学生に、周囲の学生に、そして、障害のある受験生に、それぞれ何を伝えればよいのかを解説しています。また、広報の方法として、ホームページを取り上げ、その作成の際の留意点なども、説明しました。
情報収集の手段として、ホームページは欠かすことはできないものになっています。しかし、視覚障害者は画面を見ることができません。視覚障害者は読み上げソフトを使用してホームページや文書から情報を得ることができます。読み上げソフトを利用すると、どのように読み上げられるのでしょうか?
■ ホームページを読む場合 (読み上げソフト95 Reader Ver.6.0の場合)

読み上げソフトを起動した状態でこの画面を開くと「めにゅーへ すきっぷ ほんぶんへ すきっぷ」とページの上部より読み上げを開始します。
(読み上げ音声をひらがなで示します)
(1) どくりつぎょうせいほうじん にほんがくせいしえんきこう →画像の代替テキストを読み上げます。
(2) いー えぬ じー える あい えす えいち おう てぃー えいち いー けい える えい えぬ じー ゆー えい じー いー えす →英語の綴りを読み上げます。
綴りではなく英語の発音を読み上げる機能もあります。(例)いんぐりっしゅ
(3)めにゅー ほーむ そうごうあんない しょうがくきん りゅうがくせいしえん がくせいせいかつ しぶから
(4) ほーむ がくせいせいかつ しょうがいがくせいしゅうがくしえんじょうほう だいがくとがくせいしょうがいがくせいのしゅうがくしえん
(5) いしだきゅうしせんせい だいがくとがくせいにてしょうがいがくせいのしゅうがくしえんこうひょうれんさいちゅう
(6)いしだせんせい→ 画像の代替テキストを読み上げます。
(7) こちらのぺーじではじぇいえいえすえすおうはっこうのだいがくとがくせい・・・
※代替テキストとは?画像に指定する簡単な説明です。代替テキストが指定してあると、ホームページの内容を読み上げる際に画像の内容を伝えることができます。
視覚障害者はマウスで画面上をクリックすることができませんのでキーボードを使用して読みたい記事まで移動します。また、読み上げソフトは読む速度や読む人の声(男性・女性)、キーの割り当てなど、使い勝手に応じてきめ細かく変更することができます。今回紹介した読み上げは使用の一例になります。
■ 文書を入力する場合
文書作成ソフトなどで文書入力などをする場合の読み上げについて。
例えば、「今日」という文字を入力しようとする場合。(読み上げ音声をひらがなで示します)※ローマ字入力の場合
(Kを入力する:K) けい
(Yを入力する:KY) わい
(Oを入力する:きょ) き ちいさいよ
(Uを入力する:きょう) う
(変換キー押す:今日) いま こんにちのこん ひにち
(エンターを押す:今日) きょう
(バックスペースを押す:今) こうたい ひにち
変換の結果が思った漢字と異なる場合は?
変換ボタンを押すと次の変換候補についてどのような漢字か読み上げます。自分が入力したい漢字のところでエンターキーを押して確定します。
例)「公演」と入力したかったが最初の変換が「公園」になってしまった場合。
「公演:おおやけこう えんぜつのえん」と読み上げられるまで、変換ボタンを押します。
公園:おおやけこう そのえん
講演:だいがくのこうぎのこう えんぜつのえん
後援:うしろこう えんぜつのえん
公演:おおやけこう えんぜつのえん

拡大読書器(CCTV/Closed circuit TV)とは、モニター画面に、文字などを拡大して映しだす装置で、弱視者用の障害補償機器の一つです。前回、弱視レンズを紹介しましたが、こちらは、手元の本や資料を見るためのものです。
上の写真は、一番ポピュラーなタイプの拡大読書器です。本体(つまみの付いている部分)の下部にあるカメラより画像を入力し、モニターに表示します。利用者は、自分に合った背景の色(黒、或いは、白)や、文字の大きさに調整して見ます。

最近では、液晶タイプもあります。こちらは、背景を黒、文字を白で表示するように設定してあります。

8月号で、影絵にしたタイプです。カメラ部は、画面の右側についています、小型なので、持ち運びに便利です。
7月号では、「発達」障害学生への対応の難しさについて、(1)突然の対応、(2)典型例のなさ、(3)対応部署という三つの視点からみています。“心の準備”ができていない時に、“標準的な対応マニュアル”もない状況で対処しなければならないという大変さです。と同時に、(3)の対応部署については、相互の連絡の重要性を挙げました。特に「発達」障害学生への支援には、身体障害学生への支援とは異なった内容が含まれることが往々にしてあり、保健センターやカウンセリング担当と支援担当との連携が大事です。
■ 身体障害
身体障害者には、身体障害者手帳が交付されます(1級〜6級)。身体障害には、次の障害が含まれます。
※片眼の失明、夜盲症、小人症、首が回らない、生殖機能の障害、血液、肝臓の障害等、身体障害者福祉法別表に該当しないもの、認定基準に達しないものは、身体障害と認定されません。
■ 知的障害
知的障害者には、療育手帳が交付されます。
知的障害は、以前、精神薄弱と呼ばれていましたが、最近では、知的障害、知的発達障害という呼称が一般的です。
明確な定義はありませんが、大体18歳未満の発達期に遅滞が生じること、遅滞が明らかであること、遅滞により適応行動が困難であることの3つを要件とするものが多いようです。
知能検査(田中ビネーやWISCやK-ABCなど)による知能指数で、分類されることもあります。
ボーダー(境界域):知能指数は70〜85程度。知的障害者とは認定されない場合が多いが、認定されないために支援を受けられずに、かえって厳しい状況におかれることもある。
軽度:知能指数は50〜70程度。本人・周囲とも障害にはっきりと気付かずに社会生活を営んでいて、障害の自認がない場合も多い。健康状態は良好であることが多い。
中度:知能指数は35〜50程度
重度:知能指数は20〜35程度。大部分に合併症が見られる。
最重度:知能指数は20以下。大部分に合併症が見られる。寝たきりの場合も多い。しかし、運動機能に問題がない 場合もあるため、多動などの行為が問題になる場合がある。
療育手帳は、心理判定、医学判定、調査結果などを総合して決定します。知能指数も測定し、判断材料になります。手帳のランクは、地域によってつけ方(AとBの区分のみ、A1〜B2、1度〜4度など)が違います。
なお、事故の後遺症や痴呆といった発達期以後の知能の低下は、通常、知的障害としては扱われません。
※知的障害と自閉症
「自閉症」という障害は、知的障害があるもの(低機能自閉症・カナー症候群)と、知的障害がないもの(高機能自閉症・アスペルガー症候群)に便宜的に分類されていま す。 知的障害は、知能面の全体的な障害であり、自閉症の本質であるコミュニケーション障害は、対人関係面のみの障害である。昔から知られている種類の自閉症は、低機能自閉症のことですが、これはコミュニケーション障害などの障害と知的障害が合わさったものです。近年知られるようになった種類の自閉症である高機能自閉症は、コミュニケーション障害などの障害で、知的障害はありません(高機能=知的障害がない)。
※知的障害と学習障害
学習障害は、読み・書き・計算などの学習面の一部または全部に困難さがあるのですが、会話能力・判断力などの他の知能面で障害は見られません。一方、知的障害は、学習面も含めて、知能面全般に困難さがあり、この点で学習障害とは違っています。ただし両者は相容れないものではなく、例えば軽度の知的障害がある人が、学習面で重度の困難があるような場合は、知的障害と学習障害を合併しているといえます。
■ 精神障害
精神障害者には、精神障害者保健福祉手帳が交付されます。
国際生活機能分類(ICF)によると以下のように分類されます。
F0 症状性を含む器質性精神障害
F1 精神作用物質使用による精神および行動の障害
F2 統合失調症、統合失調症型障害および妄想性障害
F3 気分障害(感情障害):双極性感情障害(いわゆる躁うつ病)、うつ病エピソード(いわゆるうつ病)等を含みます。
F4 神経症性障害、ストレス関連障害および身体表現性障害:恐怖症性不安障害(いわゆる恐怖神経症)、パニック障害、強迫性障害(いわゆる強迫神経症)、外傷後ストレス障害(PTSD)等を含みます。
F5 生理的障害および身体的要因に関連した行動症候群
F6 成人の人格および行動の障害
F7 精神遅滞:ICFでは、知的障害をF70〜F79に分類しています。
F8 心理発達の障害:学習能力の特異的発達障害(いわゆるLD)や広汎性発達障害(いわゆる自閉症)等を含みます。
F9 小児期および青年期に通常発症する行動および情緒の障害:多動性障害(いわゆる多動児)や行為障害、チック障害等を含みます。
F99 特定不能の精神障害
■ パニック障害
パニック障害は以前、心臓神経症や不安神経症、自律神経失調症などといわれていました。予期しないパニック発作が繰り返して起こり、その後もっと発作が起こるのではないか、発作によって気が変になるのではないかという心配が続いたり、発作が起こりそうな場所へ行くのを避けるようになったりして生活に支障を来します。
パニック障害は、現在のところ脳内神経伝達物質の異常という説が有力です。その中でも脳内の神経伝達物質であるノルアドレナリン、セロトニン、GABAなどの異常が有力視されています。
パニック発作は、以下の症状のうち4つ以上が同時に起こり、10分以内に急激にピークに達します。症状はあまり長くは続かず、ほとんどの場合30分以内におさまります。
動悸、心悸亢進または心拍数の増加、冷汗をかく、からだの震え、息切れ感または息苦しさ、窒息しそうな感覚、胸痛または胸部不快感、吐き気または腹部の不快感、めまい、ふらつく感じ、気が遠くなる感じ、現実感がない、離人症状(自分が自分でない感じ)、気が変になるのではないかという恐怖、死ぬことに対する恐怖、感覚のマヒ、うずき感、皮膚が冷たい、または熱いという感じ。
■ 最後に
冒頭、障害は三つに分けられますといいましたが、実は、そう簡単ではないのです。更に、大学における障害学生修学支援という立場から見ると、またまた、違う分類が必要になるかもしれません。
■ 参考にした主なサイト
身体障害者福祉法別表:http://www.pref.aomori.jp/ch-huku/shinshosub1.html
障害者手帳:http://www.pref.kyoto.jp/handicap/note/note.html
心の健康のためのサービスガイド:http://www.pref.kyoto.jp/health/
精神障害の分類:http://www.mh-net.com/lecture/disorder/bunrui.html
国際生活機能分類「国際障害分類改訂版」(日本語版):http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/08/h0805-1.html
7月号の影絵は、弱視レンズです。コーヒーサイフォンではありませんよ。弱視レンズには、様々な種類があります。大きく分けて、近用弱視レンズと遠用弱視レンズとになります。前者は手元を、後者は離れた所を見るためのものです。

近用弱視レンズには、眼鏡装着型、ルーペ型(下の写真)、卓上型があります。影絵は、卓上型です。影絵のタイプは、見ながら字を書くことができます。

遠用弱視レンズは、眼鏡装着型と単眼鏡型があります。下の写真は、単眼鏡型で時計を見ているところです(見ている人は晴眼者です)。遠用と言っても、望遠鏡のようにはるかかなたを見るわけではなく、教室内で黒板を見る場合などに使用します。

前号に引き続き、ノートテイカーに係わる課題を述べていますが、今回はノートテイカーのスキルアップについてです。ノートテイクには、様々な技術・技能が含まれますが、このことは、必然的に上手な人、下手な人という違いを生みます。ですから、なんとか平均水準には、或いは、今よりももっと速く上手に、と周りもテイカー自身も考えるわけです。また、PCテイクというような新しい技術の導入もあります。より高いスキルを目指すテイカーとそれを支える学内環境とが一つにならないと十分な支援はできません。
■パソコンテイクとは
手で書く代わりにパソコンを用います。聴覚障害学生の前にあるパソコン画面に、パソコンテイカーが入力した講義内容を表示させるものです。
■ ノートテイクとパソコンテイクの違いと共通点
1.スピードの違い
ノートテイクのスピードは話すスピードの5分の1程度と言われています。パソコンテイクでは、ノートテイクと比べて2〜3倍スピードを出せます。
2.必要な技術
ノートテイクでは早く書く・読みやすい字で書くなどの技術が必要になり、パソコンテイクでは手元を見ないでタイピングする・素早く入力するなどの技術が必要です。また、両方に共通する技術としては、聞こえてくる言葉をできるだけそのまま伝えるということも要求されます。ただ、全てを伝えきれない場合に、適切に要約する能力も必要です。正確に多くの情報を伝えるためにはどちらの方法でも技術を必要とします。
3.複数の聴覚障害者への対応
筆記によるテイクの場合、書いた内容をOHPなどでスクリーンに表示すれば複数の人が同時に見ることができます。
パソコンテイクでは、複数のパソコン画面に表示したり、スクリーンに表示すれば複数の人が同時に見ることができます。
4.必要な機器
ノートテイクでは、紙とペンがあればノートテイクすることができます。
パソコンテイクではパソコンが必要になります。シンプルなパソコンテイクの場合は、テイカーが入力しているパソコン画面を直接、聴覚障害学生が見ます。しかし、テイカー入力用のパソコンと聴覚障害学生が見るパソコンを分けたり、テイカー入力用のパソコンを2台以上用意して連携して入力する場合などは、2台以上のパソコンが必要になります。その際、それぞれのパソコンをLANでつないだり、パソコンテイク用のソフトを入力する、などの準備が必要になります。
5.一人の障害学生につく人数は
集中力を要する仕事ですので1人で90分の講義をテイクすることは困難です。そのため、ノートテイクもパソコンテイクも通常2人組で行います。ですから、ノートテイクもパソコンテイクも必要な支援学生の数は同じです。
■パソコンテイクの実際( 写真提供:関西学院大学 神戸三田キャンパス )
◆関西学院大学 神戸三田キャンパスでは、パソコンテイカー2名・手書きサポート1名の3名一組で聴覚障害学生の情報保障を実施しています。
◆教室に余裕があるときは、横に並ばず、パソコンテイカーの2人は後ろに、手書きサポートは障害学生と共に並んで前の席に座ります(写真・左)。パソコンテイクは約15分で交代します。ここではパソコン本体を動かさなくてもいいように無線キーボードを使っています。 (写真・中央)。 手書きサポートはパソコンでは伝えにくい図表等の情報を伝えたり、パソコン入力ミスを訂正します。(写真・右)。



点字は、点字板と点筆を使って打ちますが、より速く打つためには、点字タイプライターを用います。点字学習を始めて間もない人でも、点字タイプを使えば二・三割速く打つことができます。点字って結構速く打てるんですよ。速い人は1分間に300文字以上タイプすることもできます。普通の文字を書く速さは、1分間に60〜70字程度と言われていますから、大分違います。ただし、点字は全てかなですから、実質的な情報量は少し下がります。

今月号の影絵で示したタイプライターは、「ライトブレーラー」といいます。比較的軽く持ち易くなっています。点字を打つレバーが左右に三つずつあり、蟹の足のようなので、「カニタイプ」とも俗称されています。

点字タイプにはもう一つ、「パーキンスブレーラー」という非常にどっしりしたものがあります。故障が少なく、世界中で使用されており、世界で最もすぐれた点字タイプライターとして知られています。

「2つの難題」と題して、ノートテイカーと、軽度発達障害学生の支援に関する課題について解説します。5月号は、ノートテイカーについての課題です。ノートテイカーに関しては人員確保とスキルの問題があるのですが、本号では、テイカー(略す場合は、こう言います)の役割を見た上で、その確保の困難さを、必要人数を計算しながら、説明しています。そして、解決のためのいくつかの取り組みを紹介しました。ただ、特効薬はありません。
■沖縄大学のノートテイカーの活動について伺いました
《沖縄大学 学生部 障害学生修学支援コーディネーター 玉城真紀乃さん》
◎対象者とノートテイカーの構成
聴覚障がい学生:4名
ノートテイカー:41名
◎聴覚障がい学生とノートテイカー学生の調整
聴覚障がい学生とノートテイカー学生の間を障害学生修学支援コーディネーター(以下、コーディネーター)が調整しています。
◎障がい学生支援委員会とノートテイカー
*沖縄大学障がい学生支援委員会:事務部管理職・教員・コーディネーターで構成される組織
障がい学生・ノートテイカー学生・コーディネーターからノートテイカー活動の現状報告や、要望を委員会に伝えます。また、委員会での発案や議論も学生に伝えられます。
◎ノートテイカー活動の報酬
ノートテイカーの報酬として1コマ90分の講義に対し1000円(1人500円*2人)の図書券を大学より支給しています。
◎ノートテイカーの募集や育成
新年度に各学科オリエンテーションでノートテイク活動に関する説明や紹介等のプレゼンテーションを行い、ノートテイカー募集ポスターを掲示したり、チラシを配付しています。ノートテイカー育成を目的としたノートテイク講座を前・後期に開講しています。
■ノートテイカーとして実際に活動している学生さんにインタビュー!
《沖縄大学 人文学部福祉文化学科 4年 横山正見さん》
Q1 ノートテイカーの経験年数を教えてください。
平成17年4月から始めて、現在で1年2ヶ月になります。
Q2 1週間あたり何コマ程度ノートテイク活動をしていますか?
週に5コマ程度活動しています。
Q3 ノートテイクを始めたきっかけは何ですか?
学内でノートテイクの募集ポスターを見たことです。
Q4 ノートテイカーをしていて大変なことは何ですか?
講義が分かりにくい時です。
また、ノートテイカー同士の活動がバラバラになってしまうことです。みんなが自分の時間でノートテイクをしているので、意識的に集まろうとしないとノートテイカー同士が話す機会がなくてバラバラになってしまうと思うのです。もちろん、無理に統一する必要はないのですが、みんなが悩みを抱えていたり、問題と思っているときにみんなが必然的に集まる機会がないので、それが難しいなあと思います。ノートテイクは個人の活動ですがみんなで考えるべき事もあると思います。
個人としての活動とみんなで考えること、の両方が大切だと思っています。
Q5 ノートテイカーをしていて嬉しかったことは何ですか?
学内でノートテイクのある環境が当たり前という認識が広まっていると実感した時です。
Q6 ノートテイクをするときや、障害をもった学生さんと関わるときに心がけていることがあれば教えてください。
ノートテイクをするときは分かりやすく伝えることを心がけています。また、友人として接するようにしています。
〜横山さんよりひと言〜
活動をシステムとして確立する必要もあると思うのですが、友人関係の中からノートテイクができればと思っています。
〜沖縄大学 学生部 障害学生修学支援コーディネーター 玉城さんよりひと言〜
横山くんは、学内の活動をはじめ、学外でもノートテイクや聴覚障がい者の理解を深めるために活動していて、すごく頑張っています。みんなのリーダー的存在です。横山くんだけなく、ノートテイクに関わっている人はみんな気持ちのあたたかい人たちです。
5月号のカットはノートテイク中の様子です。中央に聴覚障害学生、左右にテイカーが付きます。カットでは向かって右のテイカーがテイク中です。テイカーのノートを聴覚障害学生が見て、必要な部分は自分で別にノートに取るというのが原則です。左のテイカーは何もせずに休んでいるわけではなく、取ったノートの修正やメインのテイカーの補助をします。

■「高い理想」と日本学生支援機構
4月号では、アメリカやオーストラリアを例に「教育の機会均等」「法的権利」などに触れ、障害学生支援を進めるには、大学としての高い理想が必要というお話をしました。
また、本号でのべた通り、日本学生支援機構も、「教育の機会均等の保障」「ユニバーサルアクセスの実現」を目的とし、「学生にやさしい大学づくり」を掲げて、障害学生支援事業を展開しています(「大学等における障害学生の修学支援の在り方について」(平成17年8月に公表)より)。
そこで本ホームページでは、日本学生支援機構の障害学生支援事業の目的やその背景などを「在り方」にからめてお話しましょう。
■障害支援学生事業と「大学等における障害学生の修学支援の在り方について」
日本学生支援機構で障害学生支援事業が立ち上がったのは、ちょうど日本育英会や日本国際教育協会等の各公益法人が整理・統合して日本学生支援機構が誕生したのと同時期の平成16年4月になります。本機構は、「教育の機会均等の保障」「ユニバーサルアクセスの実現」を目的とし、奨学金、留学生、学生支援と多岐に渡る事業を既に展開していましたが、近年の中・高齢者を含む生涯学習へのニーズ、障害のある人の大学等への学習意欲の高まりへの対応を目的に、障害学生支援事業を新たに立ち上げました。
「在り方」はJASSOでの障害学生支援事業立ち上げにあたり公表されたものです。本報告書では、障害のある学生の修学環境を整備するために必要な事業として、1.大学等間ネットワークの構築、2.障害のある学生受け入れの促進、3.支援スタッフのスキルアップ、4.大学等における修学支援体制等の構築を提言しています。これらの事業はどれも機構の障害学生支援事業の「核」となるものです。
■「学生にやさしい大学づくり」と「ユニバーサルアクセスの実現」
機構は、最終的にこれら「在り方」であげられた事業をベースとし、より一般的な学生向けサービスの充実、教授法の改善・向上などにつなげることにより大学等全体の教育活動の改善を推進したいと考えています。障害学生にやさしい大学は、障害学生に限らず全ての「学生にやさしい大学」につながる。まさに、障害学生支援事業は機構が掲げる「教育の機会均等の保障」「ユニバーサルアクセスの実現」という“高邁な理想”を実現する事業の一つなのです。
「大学等における障害学生の修学支援の在り方について」の詳細はこちら
http://www.jasso.go.jp/tokubetsu_shien/arikata.html

■「手びき」
今年度は、シルエットをいれて見ることにしました。今回は「手びき」のシルエットです。視覚障害者の歩行介助を手引きといいます。視覚障害者の白杖を持たない側に立ち、腕をかすことです。手びきとはいっても実際に視覚障害者の手を引くわけではありません。むしろ自由が利かなくなるので、視覚障害者は手を引かれることを嫌がります。介助者が手を差し出して、それをつかんで貰うという感じです。介助者が「どうぞ」と手を出す場合もあれば、軽く肘あたりを相手の手に触れて知らせるということもあります。やり方は色々です。介助という意識なく、自然に手を差し出せればよいのですが、なかなか簡単にはいきません。
講義室の近くなど学内のよく知った場所では、視覚障害者は白杖を使わなくとも歩くことができますが、介助者のいる安心感は、また別です。
1年間「障害学生の修学支援」におつきあいいただきましたが、3月でこの連載も終わりとなります。そこで、今回のトピックスでは、JASSOにおける平成17年度の障害学生支援事業を振り返ります。
1)「大学等における障害学生の修学支援の在り方」報告書を公表(H17 8月)
平成17年8月には「大学等における障害学生の修学支援の在り方」報告書を公表しました。報告書では「必要となる事業」及び「中長期的に必要となる事業」として4つの事業(大学等間ネットワークの構築、障害学生受け入れの促進、支援学生のスキルアップ、大学等における修学支援体制等の構築)を提示しています。

2)障害学生支援ネットワーク準備委員会の開催(H17 1月、H18 2月、3月)
上記「大学等における障害学生の修学支援の在り方」報告書に基づき、大学等間ネットワークの構築を目指し、有識者による検討を開始しました。
全国をいくつかのブロックに分け、ブロック内の拠点校を中心として地域ネットワークを構築、相談、研修、研究促進、啓発広報の事業を推進すべく、検討を重ねています。
3)障害学生修学支援セミナー(H17 6月、10月、2月)
全国の大学・短大及び高等専門学校(以下、大学等)の学生生活担当事務系職員等を対象とし、障害学生受け入れ促進をその目的として障害学生修学支援セミナーを開催しました。平成17年度は近畿・中部、北海道・東北、東京の三地区で実施しました。

4)各種研究会・懇談会(ノートテイカー・障害学生修学支援コーディネーター)
1:ノートテイカー研修会実施等に向けた懇談会
大学等に修学する聴覚障害学生の授業保障に携わる支援学生及びボランティア等を対象とするノートテイカー研修会の実施に向け、仙台市内及び市近郊の大学等関係者、要約筆記団体関係者による懇談会を、仙台市において2回に渡り開催しました。
2:コーディネーター研究会
「障害学生修学支援体制の整備と支援コーディネーターの役割に関する研究会」(東京)、「コーディネーター養成プログラム研究会」(京都)を開催、各大学から障害学生支援コーディネーターを招き、現在の課題やコーディネーターの資質などを議論しました。また、「コーディネーター養成プログラム研究会」(京都)では来年度のコーディネーター養成講座の実施に向けて、講座用のテキストを開発しました。

5)障害学生修学支援実態調査の実施
全国の国公私立大学・短期大学・高等専門学校を対象に障害学生の実態調査を実施、平成18年1月に公表しました。

本号「コーディネーターと支援体制」ではコーディネーターに加え、「修学支援委員会」や「支援センター」の解説をしています。 障害学生の修学支援のための専門の組織には大きくわけて、「修学支援委員会」と「支援センター」があります。簡単にまとめると、「修学支援委員会」は年間の支援予算や支援業務計画の大枠について立案し、「支援センター」は「修学支援委員会」で立案した予算や計画の執行という役割を持っています。
先月号に引き続き、委員会や支援センターがどのようなものか、インタビューやデータからより詳しくみてみましょう。
トピックス
■データから見る「障害学生修学支援のための専門の組織」

はじめに「修学支援委員会」が全国の大学等でどのくらいあるのかみてみましょう。2005年にJASSOが実施した調査によると、「修学支援委員会」が設置されているのは全国でわずか7.3%、73校です(左図)。
本号で『「修学支援委員会」の設置が、その大学の支援に対する積極性や先進性を示すものと考えていましたが、今はそのようには思っていません。』『既存の教務・学務、学生生活委員会などで課題が生じた時に検討する』大学もあると解説しています。これは「修学支援委員会」を持っている大学のみが先進的な大学ではないということですが、やはり「修学支援委員会」を設置している大学は1)専門の知識やノウハウの蓄積、2)専門の組織設置による学内の啓発3)大学自体の意識のそれぞれの面で、積極性を示すもので、この73校は非常に意識が高い学校であるといえるでしょう。

次に、「支援センター」の数値をみてみましょう。
「支援センター」の設置率は全国でわずか4.1%、41校です(右図)。
「支援センター」は障害学生が気兼ねなく立ち寄り、 相談をし、ほっと一息つける場所であると同時に、 修学支援に関する様々な情報が蓄積され、 学内の支援活動を一元的に調整する重要な拠点でもあります。 修学支援を効率的に進めるためには、こういった組織の設置がとても重要です。
詳細は「大学等における障害学生の修学支援に関する実態調査」をご覧ください。
■「障害学生修学支援のための専門の組織」についてお伺いしました!
日本福祉大学 障害学生支援センター
センター長 水野暁子先生インタビュー
〜「障害学生のために」ではなく、「障害学生とともに」〜
日本福祉大学における障害学生支援センターは1998年に設立、各学部教授会から選出された教員と担当部局の職員からなる運営委員によって運営されています。基本姿勢を『障害学生のために』ではなく、『障害学生とともに』とし、学生とともに何ができるのかを考え、模索しながら具体的な課題を設定して計画的に取り組んでいるのが特徴です。業務内容も障害学生の学生生活上の支援・援助、サポート学生の募集・養成、および派遣のコーディネート、バリアフリーに向けた施設・設備の点検と整備改善など幅広く展開しています。
日本福祉大学障害学生支援センター長 水野先生へのインタビュー詳細はこちら
広島大学 「障害学生修学支援委員会」「支援検討ワーキング」 「ボランティア活動室」
広島大学 吉原正治先生インタビュー
〜高等教育のユニバーサルデザイン化実現のために〜
広島大学では、これまで培われた障害学生に対する支援を拡充し、すべての学生に質の高い同一の教育を保障し、自立と共存が目指せる環境をあらかじめ整備することを、「高等教育のユニバーサルデザイン化」というテーマとして掲げ、全学で取組んでいます。平成9年には全学体制での障害学生支援が始まり、「障害学生支援部会(現在の委員会)」が立ち上がっています。
本号では、「正規職員専門化」型から、コーディネーター体制への移行の重要性を述べた上で、コーディネーターの業務について解説しています。第一に、提供する支援内容についての障害学生との相談・打ち合わせがあります。また、様々な内容の話し相手という存在でもあります。第二に支援スタッフの配置やスキルアップ講座開設などの支援学生の支援業務です。
【トピックス】
本号「支援コーディネーター」では障害学生修学支援コーディネーター(以下、コーディネーター)について解説しました。12月号で解説した「正規職員専門化」型職員(通常の業務を行うと同時に、障害学生からの要望があれば、それに対処し、経験を重ねることによって技術を身につけていく職員)と異なり、コーディネーターは障害学生の修学支援に関する専門の担当者です。
先月号に引き続き、ここでは、コーディネーターがどんな方か、インタビューやデータからより詳しくみてみましょう。
■データから見る「障害学生修学支援コーディネーター」

コーディネーターは全国の大学等にどのくらい配置されているのでしょうか?2005年にJASSOが実施した調査によると、我が国でコーディネーターを配置している大学等は学校数で33校、全体のわずか3.3%という結果です(図1)。また、33校のうち、22校に6人以上の障害学生が在籍しています。図2からは障害学生の在籍数が多い学校ほど、コーディネーターを配置していることがわかります。
今後、各大学で障害学生数が増えていけば、コーディネーターの必要性はますます高まるでしょう。

詳細は「大学等における障害学生の修学支援に関する実態調査」をご覧ください。
■「障害学生修学支援コーディネーター」のお仕事についてお伺いしました!
京都精華大学 教務課 障がい学生支援室 磯垣 節子さん
Q1 貴校ではじめて障害学生を受け入れたのはいつですか?
京都精華大学には、1968年の開学当初から障がい学生を積極的に受け入れ、障害のある・なしに関係なく学生たちが共に学び育ちあう学風が存在してきました。開学時から、ほぼ毎年のように肢体障害・聴覚障害・視覚障害のうち、いずれかの障害のある学生が1名は入学し、障がい学生の在籍しない年度がないような状態で推移しています。
Q2 今年度貴校で受け入れている障害学生数、支援している人数は?
2005年度に京都精華大学で受け入れている障がい学生の数は、全員で9名(視覚障がい学生4名、聴覚障がい学生4名、内部疾患障がい学生1名)になります。そのうち8名の学生に対して支援を行っております。
Q3 貴校で、障害学生修学支援のための専門のコーディネーターをつけられたのはいつですか?また、 少数の障害学生のために専門の担当者を配置することに驚く方もいると思います。貴校で専任の職員を配置された理由は?
開学初期の障がい学生へのサポートは、担当教員・学生課・教務課等の各担当者が連携し、施設整備をしたり、学生への個別対応を行ってきました。その後、視覚障がい学生への点訳サポートが始まり、聴覚障がい学生の受け入れに伴いノートテイク支援システムができました。2004年9月には、今までの障がい学生支援業務を引き継ぎ、さらなる支援業務の充実を深めるために、「障がい学生支援室」が設置されました。「障がい学生支援室」が設置され、専任の職員が配置された理由は、障がい学生からの要望もありましたが、大学として専任の担当者を配置することによって、責任ある体制で年間の業務運営の管理や計画を遂行し、支援方法や支援システムを開発構築していくことを目指したからです。
Q4 磯垣さんはいつからコーディネーターとしての活動をはじめられましたか?
障がい学生支援室が設置された2004年9月からです。
Q5 磯垣さんご自身、お仕事をしていて、専任の担当者だからできたのではないかと思われることはありますか? また、それはどんなときですか?
学生が入学から卒業までの間には多くの大学関係者と関わります。特に障害学生支援は、情報の共有と連携が必要です。個人情報の取り扱いには配慮しなければなりませんが、何が出来て、何が出来ないか等の説明やどのような工夫をすれば障害学生支援が可能か等について関係者と話し合いの場を設定することや、支援の方法を構築し、今後のために資料等を蓄積していけることなどは、専任の担当者だからできたことだと強く感じます。
Q6 コーディネーターのお仕事をはじめられて、大変なことはありますか?(お仕事に対して日頃感じていること何でも)
障害学生に関わっている者だけでなく、大学全体として障害へ配慮した環境をつくりだしていくことが大変です。そのためには、多くの人に障害そのものへの理解を深めていただくことが必要になりますし、協力を求めなければなりません。
Q7 今後障害学生への支援で抱負はありますか?
支援方法のひとつとして機器の利用があります。パソコン機器などは目覚しい進歩を遂げておりますが、これを有効利用することがとても重要に思われます。こうした機器を購入し周辺整備を行っていくためには、高額な費用もかかることも事実ではありますが、常に情報を収集し経済的に予算を使うといったことを心がければそれも可能になるのではないかと思っております。最近は支援する学生もかなりパソコンを使いこなせるので、こうした支援はより有効で充実した支援になっていくと思われます。人的なコミュニケーションももちろん必要で、それが基盤にあってのことだと思いますが、支援担当者がコーディネートすることでこうした機器による支援も、人的コミュニケーションで築く支援の輪と同じように大学や社会に広まってほしいと願っております。
教員に続き、事務職員の関わり方について、解説しています。まず、特別な職員に限らず全ての職員が知らず知らずのうちに対応していることを示した上で、「正規職員専門化」型の説明をしています。初めて障害学生を受け入れ、 とても忙しい思いをしながら、次第に支援技術を身につけていくタイプです。
【トピックス: 「正規職員専門化」型の職員ってどんな人? 】
本号「事務職員の様々なかかわり方」では「正規職員専門化」型という職員を解説しました。勿論「正規職員専門化」型という名称は、私の造語です。通常の業務を行うと同時に、障害学生からの要望があれば、それに対処し、経験を重ねることによって技術を身につけていくというタイプです。「あなたに任せるよ」、「担当お願い」などの職務命令”から始まるのではないでしょうか 。障害学生を受け入れて間もない大学や支援が必要な障害学生が少ない大学に、よく見られるタイプです。
ここでは、「正規職員専門化」型の職員の方はどんな方か、インタビューからより詳しくみてみましょう。
■インタビュー 「正規職員専門化」型のお仕事についてお伺いしました!
【昭和女子大学 教育支援センター 学生担当 宮澤 有里子さん】
(左写真:左が宮澤有里子さん、右は同大学職員の上田友記子さん)
Q1 はじめて障害学生を担当されたのはいつですか?
昨年4月に視覚障害学生1名、聴覚障害学生1名が入学しましたが障害学生の対応は学科で行うこととなっていました。本年4月に、さらに聴覚障害学生2名が入学し、全学的な対応が必要となりました。その結果5月に、教育支援センター内に障害学生担当グループが設置され、同時に担当者となりました。担当とはいってもまだ日も浅く修学支援について全くの模索状態です。
Q2 今年度貴校で受け入れている障害学生数、支援している人数は?
学部 3名(聴覚障害2名 視覚障害1名)、短大 1名(聴覚障害1名) 計4名
Q3 はじめて障害学生を担当されたときの感想は?(困っていること、気付いたことなどなんでも)
目が不自由、耳が不自由・・・その障害がどんなものなのか、漠然としか分かっていないことに気が付きました。どんなことに困っていて、どんなケアを求めているのかということが全く分からないということが担当として一番困った状態でした。また視覚障害の学生は見かけたことはありましたが、聴覚障害の学生はどの学生なのか、全く見た目ではわからないので担当になってからもしばらく面識のない状態でした。最初の仕事は障害学生と担当教職員が、顔合わせをし、学生の要望を聞くことから始めました。
Q4 障害学生とのお仕事をするようになって、注意していることなどありましたら教えてください。
障害学生が自分でできることには手を出してはいけないことを学びました。手取り足取りケアすることが必ずしも良いとは限らないということです。学生が困ったときに、窓口に行って相談してみよう、と気軽に思える環境作りが大切なのではないかと考えています。
Q5 通常の業務と障害学生の業務と一緒にこなしていく難しさ、気をつけている点などありますか?
私自身、通常の業務と障害学生との業務との区分けはなく自分自身の業務ととらえています。ただ、健常学生にはケアしなくても良いホールでの公演の座席なども、障害学生には本人の希望を聞き、座席の配慮をするなど対応が必要で、個々のケアが求められます。学生と連絡やコミュニケーションをとり、なるべく要望に応えるよう配慮しています。また今後は、時間、費用、人員という制約のある中で、私たち職員も手話や点字等の習得を求められるのではないかと考えています。
Q6 今後障害学生への支援での抱負などはありますか?
障害学生の支援には、ボランティアの学生が必要不可欠です。しかしながらノートテーカー等、ボランティアの募集はかなり難しいというのが現実にあります。やってあげる、やってもらうという関係ではなく、人間として、友人同士として楽しいサークル活動の形式がとれたら理想かと思います。身近で困っている人がいるということに気付いて、一人ひとりがほんのちょっと手を差し伸べることができたら、この理想が現実になると思うのですが、それがとても難しいことだと気付きました。「今できること、わたしにもできること」−大きな課題です。
十一月号からは、誰がどのように修学支援に係わるのかということを考えてみます。立場が変われば関心・視点も変わります。障害学生を取り巻く教員、職員、支援学生、その他の人々、そして障害学生本人。それぞれ、どんな考えや視点で、修学支援に係わっているのでしょうか。本号では、教員の授業における配慮を中心に解説しています。視覚障害学生への資料の読み上げや授業速度の配慮。聴覚障害学生には、視覚情報の提供。肢体不自由学生における座席位置の確保、など。
【トピックス:障害学生支援のための学内パンフレット】
本号「誰が何をするのか」で解説した授業中の配慮については、いくつかの大学で作成している教職員向けのパンフレットを参考にさせていただきました。これらのパンフレットでは、授業や事務の窓口で、障害学生にどのように対応したらよいのか、大学としての支援体制はどのようになっているのか、などを細かく説明しています。また、こうしたパンフレットを配布することが、障害学生支援のための学内啓発活動の一つともなっているそうです。ここでは、同志社大学と日本福祉大学が作成した教職員用パンフレットをご紹介します。
■同志社大学

同志社大学では、教職員向けに「教職員のためのガイド」を発行し、障がい学生に対する配慮、障がい学生に対する支援制度や歴史、スタッフの体制などをわかりやすく解説しています。(「教職員のためのガイド」をご覧になりたい場合は、直接、同志社大学までお問い合わせ下さい。)

また、案内パンフレットを作成し、第1次入学手続き者を含め広く学生に配布しています。このパンフレットは「障がい学生支援制度」を紹介し、制度の利用の仕方や実際に支援を行うサポートスタッフの活動、講習会・講座の案内が掲載されています。
【障がい学生支援制度(案内パンフレット)(PDF: 611KB)】
http://www.doshisha.ac.jp/students/support/shogai/pdf/annai.pdf
【同志社大学 障がい学生支援制度のホームページ】
http://www.doshisha.ac.jp/students/support/shogai/
■日本福祉大学
日本福祉大学では、非常勤講師などに配布している「出校ガイド」の中に、「障害学生への受講上の配慮のお願い」という項目を掲載しています。そこには、講義を行う際の留意事項が障害種別ごとに記されており、初めて障害学生に対し講義を行う方でも適切
に対応できるように配慮されています。
また、学生向けには「障害学生とサポート学生のためのキャンパスガイド」を作成し、支援の取り組み状況やQ&A、支援方法の手引きなどを掲載しています。さらには、4月のオリエンテーション時に配布されている「学生生活」の中に「障害学生とともに」という項目を設け、障害学生だけでなく、支援を行う学生、またそれ以外の学生に対して、大学に障害学生が在籍している事への配慮の仕方などがまとめられています。

【日本福祉大学障害学生支援センター
障害を持つ学生のために キャンパスガイド】
http://www.n-fukushi.ac.jp/shiencenter/
【お問い合わせ先】
日本福祉大学 障害学生支援センター 電話:0569−87−2432
色
々な大学をお訪ねした際に、最近よくうかがうのが、軽度発達障害についてです。四番目の研究領域として身体障害学生以外への支援を挙げましたが、本号では特に軽度発達障害学生への対応について解説しています。軽度発達障害とはどのような障害なのか、なぜ、最近話題に上るようになったのか、各大学の実態は、 実際にどのような学生がいるのか、というような内容について、国立特殊教育総合研究所の佐藤克敏先生に、お聞きしています。
■佐藤克敏(さとう かつとし)プロフィール
独立行政法人国立特殊教育総合研究所教育支援研究部生涯学習担当主任研究官。発達障害や知的障害のある子どもや成人の評価や指導内容・方法について研究を進めています。
紙面では載せ切れなかった対談の全文を掲載しています!
【トピックス】
■大学における支援の構築のために
「発達障害のある学生支援ガイドブック」
好評発売中!
■「高等教育機関における発達障害のある学生に対する支援に関する全国実態調査」 概要
国立特殊教育総合研究所では全国の全大学・短期大学、高等専門学校1272校を対象に発達障害のある学生に対する支援について調査を実施しています。詳しい調査概要は下記ホームページをご覧ください。
http://www.nise.go.jp/blog/2005/08/post_524.html
■国立特殊教育総合研究所のページ
「障害の受容」という言葉がありますが、自分の障害を見つめ、理解し、受け入れるということです。その上で、学生生活を築いていくわけですが、実際には簡単なことではありません。パニックに陥ったり、希望をなくしたりすることもありますし、障害を受け入れること自体を拒否することもあります。このような、障害者特有の心理と周囲との関わりとの問題をに言及しています。第三回の分類での三つ目です。障害学生の気持ちなども紹介しています。
第三回で分類したキャンパス調査です。施設・環境については、上肢・下肢障害や視覚障害など運動系(移動・作業)に配慮が必要な学生への対応ということになります。ここでは、評価ということを考えています。キャンパス内の状況を障害学生の意見を聞きながら歩いて見ました。
教室の中: 多くの大学で通路が狭く、また、机と椅子が固定されているので広くすることもできません。階段教室は、車椅子では移動が困難ですが、そうかと言って、傾斜教室では、雨の場合、車椅子が滑りそうで不安を感じるという学生もいます、というような意見を掲載しています。
前回分類した中の、学習保障(聴覚障害・視覚障害学生、支援スタッフ)について、解説しています。
学習保障については、聴覚障害学生への支援に関する報告が多く、特に、講義内容をどのようにリアルタイムで提供するのかということに集中しています。教室における視覚障害学生への対応については、特に、墨字へのアクセス、つまり、文字の問題に限定されており、これへの配慮を述べています。また、支援スタッフに関して今後解決すべき課題を挙げています。
『大学と学生』平成17年度7月号詳細 http://www.jasso.go.jp/gakusei_plan/dtog0507.html
支援する障害学生とは誰なのかという問題は、実は、簡単ではありません。経費、人的資源などを考えなくてはならないからです。現在、多くの大学で支援対象としているのは、主に身体障害の学生です。ですから、本稿も、視覚障害、聴覚・言語障害、肢体不自由の学生への支援が中心となりますが、軽度発達障害学生についても折に触れて情報提供をしたいと考えています。
第三回目では、大学の紀要などに掲載されているソフト面の研究を、大きく、学習保障(聴覚障害・視覚障害学生、支援スタッフ)、キャンパス調査、心の問題への対応、身体障害学生以外への支援など、四つに分類しています。
『大学と学生』平成17年度6月号詳細 http://www.jasso.go.jp/gakusei_plan/dtog0506.html
支援の内容は、大きく分けて、建物・設備面とそれ以外の学習・生活に係わる主に人的な面とがあります。この分類は、極めて大まかなものですが、前者をハード面、後者をソフト面と言うこともあります。第二回目は建物・設備面についての「障害学生対応」を概説しています。建物の内外、教室・事務室での問題点と解決案です。
更に、「ハザードマップ」の作成についても言及しています。キャンパス内の安全についての情報は、障害学生だけに限らず、健常学生、更には、教職員にも有用です。
『大学と学生』平成17年度5月号詳細 http://www.jasso.go.jp/gakusei_plan/dtog0505.html
この連載は、障害学生の学習・生活における様々な課題を挙げ、その解決の糸口を考えていこうというものですが、この第一回目では「障害学生の修学支援」についての大まかなイメージを示しています。
修学支援の学習面だけを強調すると、主に教員の仕事となってしまいますが、実際には、事務職員も、障害学生の周りにいる学生も、地域の皆さんも主要な担い手、支援者であることを述べています。また、気配りと具体的手立ての両面から解決しようというのが、私の立場です。
『大学と学生』平成17年度4月号詳細 http://www.jasso.go.jp/gakusei_plan/dtog0504.html