令和5年度「キャリア教育・就職支援ワークショップ」開催報告

キャリア教育・就職支援ワークショップは、全国の大学、短期大学、高等専門学校の管理者及びキャリア教育・就職支援に携わる教職員に対し、キャリア教育から就職まで一貫した支援をより充実させるために、毎年開催しています。
本年度はテーマ別にグループワーク等を行い、教育界と産業界が双方の要望や課題等について認識を共有し、より実践的な産学連携教育の推進を図ることを目的として実施しました。

1.実施概要

2.プログラム詳細

テーマA参加者は、事前に自学における高大接続や低年次のキャリア教育について調べた上で、当日プログラムに臨みました。
テーマB参加者は、事前に令和5年度「全国キャリア教育・就職ガイダンス」パネルディスカッションの動画を視聴し感想を提出した上で、当日プログラムに臨みました。
当日プログラムでは、テーマA・Bそれぞれ、ゲストトーク、グループワーク2回、全体会2回を実施しました。詳細は下記グラフィックレコーディングをご覧ください。

テーマA:10時00分~12時00分
「高大接続を意識した低年次のキャリア教育を考える~高校等での実践事例から~」

高等学校で実践されているキャリア教育について、実践事例を聞き理解を深めながら、大学学部等の低年次におけるキャリア教育について、教職員の関わり方やキャリアセンターの果たすべき役割について考えていく。

有限会社おきなわ教育ラボの神部氏より、「キャリア教育、沖縄発」と題した講演を行った。キャリアコーディネーター配置による高等学校でのキャリア教育推進の事例や、進路選択を広げる進学率向上プロジェクト等の取組を紹介した。

キャリア教育の実践事例を聞いた感想をグループで話し合い、全体で共有した。「目標設定をしっかりすることが大事だと思った」「学生が自立できるようなきっかけ作りを支援したい」等の感想が挙がった。

自分の業務やキャリア教育への今後の向き合い方について、グループで話し合い、全体で共有した。「大学だからこそできるキャリア教育」「大学入学までのキャリアの振り返り」等が話題に挙がった。

テーマB:13時20分~15時40分
「産学で考える~初任配属等限定採用から、リスキリング・リカレント教育まで~」

働き方は大きく変化し“キャリア”は「会社から与えられるもの」から「一人ひとりが自ら選択するもの」になってきた。
就職への学生のニーズは多様化し、初任配属等を限定して採用する企業が増えている昨今、我々はどのように学生に向き合っていくのか。
就職・採用に関して、昨今感じている変化について、企業側・学校側、それぞれの視点で話していただき相互理解を深めていく。
さらに、キャリアセンターがリスキリング・リカレント教育を担当している事例を聞きながら、今後の連携の可能性や業務の広がりについて考えていく。

事前課題の感想をもとにゲストトークを行った。「変化の必要性」「イベントの集客や学生の関心」「情報提供の仕方」「内定辞退、早期離職の問題」等が話題に挙がった。

昨今の就職・採用活動について感じている変化について、グループで話し合い、全体で共有した。「学生の情報収集能力と質」「採用活動の早期化NGとキャリア支援の早期化についてのジレンマ」等が話題に挙がった。

これからのキャリア支援で自分事としてできる事について、グループで話し合い、全体で共有した。「高校から大学、その先へのつながりを考える」「職員と教員の連携」「企業へも協力を依頼する」等が話題に挙がった。

ラップアップミーティング:15時45分~16時30分
「大学等が取り組むキャリア支援の新世界~多様化する学生と企業のニーズに応えるために~」

大学等が取り組むキャリア支援の新世界について、グループで話し合った。「学生時代にキャリアセンターで支えてもらった方々が、若い職員としてキャリア支援をする側になってきている」「キャリア教育の理想に現実が追い付いてきている」等が話題に挙がった。

【モデレーター】聞間 理 氏(九州産業大学 商学部 教授)
高大接続やリスキリング・リカレント教育は、従来のキャリアセンターの業務から見ると未知の領域かもしれない。
しかし、見方を変えれば、キャリアセンターの新しい役割、拡張されていく領域と言えるのではないか。
キャリアセンターと企業が果たすべき、これからの役割とは。
未来志向で様々な角度から話し合い、産学連携の可能性について意見交換する。


アンケート

ワークショップ終了後のアンケートでは、学校関係者、企業関係者から下記の声が寄せられました。

【学校関係者】

  • キャリア教育における課題設定の仕方や生徒/学生の目標設定の重要性について学ぶことができてよかったです。(テーマA)
  • 企業の方を交えて情報交換ができたので、就職環境について多角的に捉えることができ満足した。(テーマB)
  • 過渡期にあるキャリア支援の現場にいるからこそ、変化への対応をしていかなくてはならないということを再認識した。(ラップアップミーティング)

【企業等関係者】

  • 高大接続のキャリアを考えることが、企業の学生受け入れやインターンシップ設計につながると感じる場面が多く、学びになった。(テーマA)
  • 大学のキャリアセンターの方の課題や悩みを聞くことで、企業側が補うべき点が明確になった。(テーマB)