(目的)
奨学金の延滞者および無延滞者の属性を把握し、今後の奨学金回収方策に役立てることとする。

(調査対象)

(調査方法)
質問を記入した調査票を送付し、返信用封筒による返送またはインターネットにて調査質問への回答を求めた。

(調査時期)
平成31年1月

(回答受入状況)

抽出人数 回答人数 回答率 参考母数(平成30年度末)
延滞者 19,658人 3,023人 15.4% 156千人
無延滞者 9,674人 2,388人 24.7% 3,962千人
※回答人数には無回答・不明回答を含まない。

結果の概要

1.奨学金申請に関すること

(1)奨学金申請時の申込手続き(書類作成や入力作業)を行った者

奨学金申請時の申込手続きを行った者は、無延滞者では65.6%が「奨学生本人」であるのに対し、延滞者では36.7%と低い。また、「奨学生本人」と「本人と親等」を合せてみても、無延滞者では82.1%であるのに対し、延滞者では55.2%と約半数しか申請時の申込手続きに奨学生本人が関わっていない。延滞者は無延滞者に比べて、親等が申請時の申込手続きを行った比率が高い。

図1-1 奨学金申請時の申込手続きを行った者(択一)

図1-1奨学金申請時の申込手続きを行った者のグラフ;延滞者(3,000人):奨学生本人36.7%、本人と親等18.5%、親34.3%、その他・わからない10.5%/無延滞者(2,388人):奨学生本人65.6%、本人と親等16.5%、親15.7%、その他・わからない2.2%

(2)奨学金申請を決めた時期

大学、短期大学、専修学校(専門課程)で奨学金の貸与を受けた者に、奨学金申請を決めた時期を質問した。延滞者、無延滞者ともに「高校3年生の時点」の比率が最も高く、次に「高校卒業後」となっている。ただし、無延滞者の方が延滞者より「高校3年生の時点」の比率が高く、延滞者の方が無延滞者より「高校卒業後」の比率が高い。

図1-2 奨学金申請を決めた時期(択一)

図1-2 奨学金申請を決めた時期グラフ;延滞者(2,261人):高校入学より前3.4%、高校1年生の時点2.4%、高校2年生の時点2.2%、高校3年生の時点43.8%、高校卒業後34.3%、わからない13.9%/無延滞者(1,986人):高校入学より前4.5%、高校1年生の時点2.1%、高校2年生の時点6.2%、高校3年生の時点54.1%、高校卒業後28.0%、わからない5.1%

(3)返還義務を知った時期

返還義務を知った時期は、無延滞者では「申込手続きを行う前」が90.1%に対し、延滞者では51.1%と約半数にとどまり、申込手続きまでの認識が十分でないことがうかがえる。また、延滞者では、貸与終了後に返還義務を知った者の合計は20.1%で、その半数以上の11.5%は「延滞督促を受けてから」知ったと回答している。

図1-3 返還義務を知った時期(択一)

図1-3 返還義務を知った時期グラフ;延滞者(2,968人):申込手続きを行う前51.1%、申込手続き中13.0%、貸与中6.4%、貸与終了時2.6%、貸与終了後から返還開始前4.3%、返還開始から督促前4.3%、延滞督促を受けてから11.5%、その他・わからない6.8%/無延滞者(2,384人):申込手続きを行う前90.1%、申込手続き中5.4%、貸与中1.9%、貸与終了時0.6%、貸与終了後から返還開始前0.6%、返還開始から督促前0.3%、延滞督促を受けてから0.0%、その他・わからない1.1%

2.延滞者の理由について

(1)延滞が始まった理由(きっかけ)

延滞が始まった理由(きっかけ)は、「家計の収入が減った」が67.1%で最も高く、次いで「家計の支出が増えた」39.5%、「入院、事故、災害等にあったため」18.1%、「忙しかった」14.1%である。

図2-1 延滞が始まった理由(きっかけ)(あてはまるものを全て選択)

図2-1 延滞が始まった理由(きっかけ)グラフ;家計の収入が減った67.1%、家計の支出が増えた39.5%、入院・事故・災害等18.1%、忙しかった14.1%、返還を忘れていたなのどミス11.8%、返還するものと思っていない4.3%、その他26.9%

(2)延滞が継続している理由

延滞が継続している理由は、「本人の低所得」が64.0%で最も高く、次いで「奨学金の延滞額の増加」39.9%である。男女別でみると、男性は女性に比べて「本人の借入金の返済」の比率が高く、女性は男性に比べて「配偶者の経済困難」の比率が高い。

図2-2 延滞が継続している理由(あてはまるものを全て選択)

図2-2 延滞が継続している理由グラフ;本人の低所得64.0%、奨学金の延滞額の増加39.9%、本人の借入金の返済30.6%、本人が失業中(無職)24.3%、本人親の経済困難(本人が親を援助)22.8%、本人親の経済困難(親が返還する約束)22.6%、家族の病気療養16.1%、配偶者の経済困難8.3%、本人が病気療養中11.4%

3.返還期限の猶予制度について

(1)猶予制度の認知状況

猶予制度の認知率は、延滞者で78.0%、無延滞者で64.6%である。ただし、返還が始まる前までに認知していた比率は、無延滞者では合計で37.3%であるのに対し、延滞者では4.8%と大きな差がみられる。また、延滞者では「延滞督促を受けてから知った」比率が53.9%で最も高い。

図3-1 返還期限猶予制度の認知状況(択一)

図3-1 返還期限猶予制度の認知状況グラフ;延滞者(2,985人):奨学金に申し込む前から知っていた2.0%、返還が始まる前までには知っていた2.8%、返還が始まってから知った19.2%、延滞督促を受けてから知った53.9%、知らない22.0%/無延滞者(2,384人):奨学金に申し込む前から知っていた13.5%、返還が始まる前までには知っていた23.8%、返還が始まってから知った25.1%、延滞督促を受けてから知った2.2%、知らない35.4%

(2)猶予制度をどこから知ったか

延滞者は「機構(旧日本育英会)からの通知で」、「相談センターに電話して」、「債権回収会社から」猶予制度を知った比率が無延滞者よりも高く、無延滞者は「返還のてびきを読んで」、「奨学金申請時・採用時の資料で」、「学校の説明会で」猶予制度を知った比率が延滞者よりも高い。

図3-2 返還期限猶予制度をどこから知ったか(あてはまるもの全てを選択)

図3-2 返還期限猶予制度をどこから知ったかグラフ;延滞者:機構からの通知で34.8%、相談センター30.8%、返還のてびき16.0%、債権回収会社13.1%/無延滞者:返還のてびき48.4%、奨学金申請・採用時の資料31.2%、学校の説明会21.2%、日本学生支援機構のホームページ11.5%

(3)猶予制度の申請状況

延滞者では、「現在、利用中である」が21.9%、「過去に利用したことがあるが、今は利用していない」が23.5%と、無延滞者に比べて利用している比率が高いが、「申請したことがない」者も30.5%いる。

図3-3 返還期限猶予制度の申請状況(択一)

図3-3 返還期限猶予制度の申請状況グラフ;延滞者(2,255人):利用中21.9%、準備・検討中10.6%、過去に利用した23.5%、申請したが承認されなかった8.3%、申請したことがない30.5%、その他5.2%/無延滞者(1,521人):利用中0.9%、準備・検討中1.4%、過去に利用した12.5%、申請したが承認されなかった0.4%、申請したことがない84.5%、その他0.3%

4.無延滞者の状況

(1)延滞経験の有無

調査時点で無延滞の者に、これまでに延滞したことがあるか質問した。
「延滞したことがある」者は19.6%である。

図4-1 延滞経験の有無(択一)

図4-1 延滞経験の有無グラフ;無延滞者(2,375人):延滞したことがない73.1%、延滞したことがある19.6%、わからない7.2%

(2)延滞になったことをどこから知ったか

「延滞したことがある」と回答した者に、延滞になったことをどこから知ったかを質問した。
「機構(旧日本育英会)からの振替不能(延滞)通知」が61.3%で最も高く、次いで「口座残高を確認して」29.0%、「機構(旧日本育英会)からの電話」26.2%である。

図4-2 延滞になったことを知ったきっかけ(あてはまるものを全て選択)

図4-2 延滞になったことを知ったきっかけグラフ;機構からの振替不能通知61.3%、口座残高を確認して29.0%、機構からの電話26.2%、債権回収会社からの連絡10.4%、親・家族等からの連絡8.7%、連帯保証人・保証人からの連絡6.3%、その他1.9%

(3)スカラネット・パーソナルの認知状況

インターネット上で自分自身の奨学金に関する情報や登録されている内容を閲覧したり、転居・改姓・勤務先変更等の届出ができるスカラネット・パーソナルを「知っている」と回答した者(「よく知っている」+「だいたい知っている」)」は、47.0%である。

図4-3 スカラネット・パーソナルの認知状況(択一)

図4-3 スカラネット・パーソナルの認知状況グラフ;無延滞者(平成30年度):よく知っている14.0%、だいたい知っている33.0%、あまり知らない29.4%、知らない23.6%

5.日本学生支援機構からの情報提供について

(1)日本学生支援機構からの送付文書類の閲覧状況

日本学生支援機構から送付した文書類を「見る」と回答した者(「必ず見る」+「だいたい見る」)」は、延滞者では86.3%、無延滞者では92.3%である。

図5-1 日本学生支援機構からの送付文書類の閲覧状況(択一)

図5-1 日本学生支援機構からの送付文書類の閲覧状況グラフ;延滞者(平成30年度):見る86.3%、見ない11.3%、届いていない・その他2.4%/無延滞者(平成30年度):見る92.3%、見ない6.7%、届いていない・その他1.1%

(2)日本学生支援機構のホームページの閲覧状況

機構ホームページの閲覧状況について、延滞者の半数以上が「見たことはない」と回答し、無延滞者では「見たことがある」(「およそ1か月に1回以上見る」+「年に数回見る」+「過去に見たことがある」)と回答した者が61.6%である。

図5-2 日本学生支援機構のホームページの閲覧状況(択一)

図5-2 日本学生支援機構のホームページの閲覧状況グラフ;延滞者(平成30年度):見たことがある37.9%、見たことはない52.6%、見ることができない・その他9.6%/無延滞者(平成30年度):見たことがある61.6%、見たことはない36.5%、見ることができない・その他1.9%

(3)日本学生支援機構からの情報提供

日本学生支援機構からの情報提供について、十分だと感じている者(「そう思う」+「とてもそう思う」)は、延滞者では29.6%、無延滞者では42.0%である。

図5-3 日本学生支援機構からの情報提供(択一)

図5-3 日本学生支援機構からの情報提供グラフ;延滞者(平成30年度):十分だと思う29.6%、どちらともいえない42.1%、十分と思わない28.3%/無延滞者(平成30年度):十分だと思う42.0%、どちらともいえない42.1%、十分と思わない15.9%

6.日本学生支援機構の奨学金に対する意識

(1)奨学金がどのように役に立ったか

奨学金がどのように役に立ったかについて、延滞者では「奨学金のおかげで進学可能となった」が62.7%で最も高く、無延滞者では「家計の負担を軽減できた」が62.1%で最も高い。

図6-1 奨学金がどのように役に立ったか(あてはまるものを全て選択)

図6-1 奨学金がどのように役に立ったかグラフ;延滞者:奨学金のおかげで進学可能となった62.7%、家計の負担を軽減できた43.0%、修学に充てる金額を多くできた13.6%、アルバイトの時間を減らすことができた8.4%、その他1.3%、役に立たなかった・わからない4.4%/無延滞者:家計の負担を軽減できた62.1%、奨学金のおかげで進学可能となった50.0%、修学に充てる金額を多くできた21.0%、アルバイトの時間を減らすことができた17.1%、その他1.1%、役に立たなかった・わからない0.6%

(2)奨学金の返還は負担になっているか

「現在、奨学金の返還が負担になっている」と感じている者(「とてもそう思う」+「そう思う」の合計)は、延滞者では86.4%、無延滞者では51.4%である。

図6-2 奨学金の返還は負担になっているか(択一)

図6-2 奨学金の返還は負担になっているかグラフ;延滞者(2,994人):とてもそう思う55.1%、そう思う31.3%、どちらともいえない11.3%、そう思わない2.1%、まったくそう思わない0.2%/無延滞者(2,387人):とてもそう思う21.7%、そう思う29.7%、どちらともいえない23.3%、そう思わない18.9%、まったくそう思わない6.3%


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