肢体不自由については様々な定義がありますが、ここでは文部科学省の教育支援資料における定義を紹介します。「肢体不自由とは、身体の動きに関する器官が、病気やけがで損なわれ、歩行や筆記などの日常生活動作が困難な状態をいう。肢体不自由の程度は、一人一人異なっているため、その把握に当たっては、学習上又は生活上どのような困難があるのか、それは補助的手段の活用によってどの程度軽減されるのか、といった観点から行うことが必要である。(教育支援資料、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課、平成25年10月)」
この定義を理解するためのポイントを挙げてみます。肢体不自由とは、下記のものが挙げられます。
- 1.生活や学習に関する動作(運動や姿勢と言い換えることもできます)の困難であること
- 2.様々な程度の困難があること
- 3.実態の把握にあたっては、支援などによって困難がどの程度軽減されるのかという観点が重要であること
- 4.様々な身体部位における困難があること
- 5.様々な医学的原因があること
肢体不自由について述べた法律の中から身体障害者福祉法と学校教育法の2つについて紹介します。
身体障害者福祉法(最終改正:平成30年6月27日)の第四条では、「この法律において、「身体障害者」とは、別表に掲げる身体上の障害がある十八歳以上の者であって、都道府県知事から身体障害者手帳の交付を受けたものをいう。」と述べています。
以下に別表の肢体不自由の内容を引用しておきます。
- 1.一上肢、一下肢又は体幹の機能の著しい障害で、永続するもの
- 2.一上肢のおや指を指骨間関節以上で欠くもの又はひとさし指を含めて一上肢の二指以上をそれぞれ第一指骨間関節以上で欠くもの
- 3.一下肢をリスフラン関節以上で欠くもの
- 4.両下肢のすべての指を欠くもの
- 5.一上肢のおや指の機能の著しい障害又はひとさし指を含めて一上肢の三指以上の機能の著しい障害で、永続するもの
- 6.1から5までに掲げるもののほか、その程度が1から5までに掲げる障害の程度以上であると認められる障害
学校教育法(最終改正:令和元年6月26日)の第七十二条では、「特別支援学校は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。以下同じ。)に対して、幼稚園、小学校、中学校又は高等学校に準ずる教育を施すとともに、障害による学習上又は生活上の困難を克服し自立を図るために必要な知識技能を授けることを目的とする。」と述べています。
さらに、第七十五条で「第七十二条に規定する視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者の障害の程度は、政令で定める。」と述べています。そこで、学校教育法施行令(最終改正:令和元年10月18日)を見てみると、第二十二条の三において「法第七十五条の政令で定める視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者の障害の程度は、次の表に掲げるとおりとする。」と記載されています。
以下に表の肢体不自由の内容を引用しておきます。
- 区分:肢体不自由者
- 障害の程度
- 1.肢体不自由の状態が補装具の使用によっても歩行、筆記等日常生活における基本的な動作が不可能又は困難な程度のもの
- 2.肢体不自由の状態が前号に掲げる程度に達しないもののうち、常時の医学的観察指導を必要とする程度のもの