事例紹介

事例が起きた時期

平成30年度
発生時期:授業開始後

事例が起きた学校

国立大学、学校規模:10,000人以上

対象学生

学科(専攻):人文科学、年次:1、障害種:精神障害(他の精神障害)

支援の申し出

1.支援の申し出の受付

  • 支援の申し出:有
  • 申し出を受けた部署(者):障害学生支援部署
  • ニーズ聴き取りのための面談:実施した

2.支援が必要とされた場面

授業・研究指導 試験の評価、単位取得、卒業要件等 

申し出への対応

1.配慮内容の決定について

  • 配慮の提供に関する学内関係部署の検討・協議:実施した
  • 検討協議に参加した部署(者):障害学生支援部署 教育部門 学生相談部門
  • 配慮内容の決定過程:建設的対話を通じて学生との合意の上で行なった
  • 学内関係部署への配慮依頼文書の配付:実施した

2.配慮内容決定後のモニタリング・フォローアップ

  • 当該学生に対して、感想・不満等の聞き取りを行なった
  • その後の状況に関して、関係部署(者)に聴取、情報共有を行なっている

相談内容

記載なし

申し出内容と配慮の提供

申し出内容1:医学的診断は受けていないが、場面緘黙の疑いがあり、発話を求められる授業中において合理的配慮の提供をしてほしい

提供した配慮:申し出通りの配慮
配慮内容決定時での合意形成:できた
事後評価:ニーズを満たし、学生も満足している
事後評価の理由・詳細:合理的配慮の提供は希望するが、医師の診断書の取得には抵抗が見られたため、本件の対応は本人のニーズに沿ったもので、根拠資料としても二次まとめで推奨されるものを適用できたため

申し出内容2:必修授業の参加時に先生からの発話指示に対して適切に応対することが難しいため、当該学生に発話を求める場合は、事前に通知してほしい

提供した配慮:申し出通りの配慮
配慮内容決定時での合意形成:できた
提供した配慮の具体的内容:外国語・実験などのグループワークやプレゼンテーションを求められる授業において、授業担当教員が本人に対して事前通知を実施した。
事後評価:ニーズは満たせず、学生は納得していないと思われる
事後評価の理由・詳細:一部の授業において事前通知がなされなかった。当該授業において、本来であればシラバスにグループワークの実施記載が必要と考えられたが、シラバスに記載がないにも関わらず授業担当教員により当日グループワークが実施された。さらに、そのグループワークの内容が「授業への参加度」として成績評価に含められたため、当該学生においては不満であり、納得していないと考えられる。グループワークをなくすことは教育の本質的変更に該当する可能性が考えられたため、グループワークの免除が難しい理由を当該学生に説明し、納得はしなかったものの、グループワークに参加を続けた。今後、グループワークの有無についてシラバス記載を必須にするなど組織的対応が必要と考えられる。

申し出内容3:授業の性質上、発話が必要な場合に上手く答えられなくて時間過ぎることで余計に本人の緊張を高めてしまうため、当該学生が発話できない場合も進行を止めることなく授業を進めてほしい

提供した配慮:申し出通りの配慮
配慮内容決定時での合意形成:できた
提供した配慮の具体的内容:外国語・実験などのグループワークやプレゼンテーションを求められる授業において、授業担当教員が実施した。
事後評価:ニーズを満たせなかったが、学生は理解し、我慢している
事後評価の理由・詳細:こちらの提案を受け入れた

申し出内容4:発話が難しくても書字によるコミュニケーションが可能な場合があるため、授業担当教員や学生間で筆記やパソコン・携帯端末等でのタイピング、筆談ボードなど口頭以外での伝達手段も認めてほしい

提供した配慮:申し出通りの配慮
配慮内容決定時での合意形成:できた
提供した配慮の具体的内容:外国語・実験などのグループワークやプレゼンテーションを求められる授業において、本人が自身の道具あるいは障害学生支援部署から借りた道具を利用してコミュニケーションを行った。他の受講学生にも影響する内容であったため、本人と相談をして、受講学生への周知用文書を作成し、同じグループの受講学生に対して授業担当教員から説明を行なった。
事後評価:ニーズを完全には満たしていないが、学生も概ね満足している
事後評価の理由・詳細:モニタリング時に本人からは「周囲の学生に向けての説明文書を作成したことで、筆談しやすくなった」との報告があった。授業担当教員からは特に問題がなかったとの報告を受けた。

申し出内容5:グループ編成時に授業担当教員にヘルプを求めやすいよう、授業担当教員に近い座席にしてほしい

提供した配慮:申し出通りの配慮
配慮内容決定時での合意形成:できた
提供した配慮の具体的内容:グループワーク編成前に授業担当教員が配置を検討して、授業当日に伝達した。
事後評価:ニーズを満たし、学生も満足している
事後評価の理由・詳細:モニタリング時に本人からは「授業担当教員やTAの近くの席を指定して頂いた」との報告があった。授業担当教員からは特に問題がなかったとの報告を受けた。

配慮内容決定後の不服、不満、苦情の申し立て

不服、不満、苦情等申し立て:あった
申し立てを受けた部署:障害学生支援部署
申し立て内容:本人より学内教員経由で、当初の配慮案が実施されていないこと、また、シラバスに記載のないグループワークが行われていることについて不満を伝える申し出があった。
申し立てへの対応に関わった部署:障害学生支援部署
対応に関する学生の反応:納得して、問題なく修学している
申し立てへの対応手順:申し立てを受け、当該授業科目の授業担当教員に連絡を行った。その結果、配慮案の再検討を行なった。
申し立てへの対応内容:上記の手順に基づき、障害学生支援担当部署と授業担当教員間で再度の配慮案の検討を行なった。
本人の申し出に加えて、授業担当教員からは、話せるのか、話せないのかの判断がつきにくいとの報告があった。
再検討の結果、「全体的に成績評価に関係しない発話場面を極力減らすこと」、「緊張を増加させる起立指名を避け、着席での指名とすること」、「発表時など話せない時にはハンドサインや筆談で合図をしてもらい、その合図を受け取ったら次に飛ばして授業進行すること。この場合は成績評価(授業への参加度)の加点がないこと」、「口頭での発表が難しい場合に筆談から他のメンバーによる代読を認め、その場合には成績評価(授業への参加度)の加点に含めること」が確認された。

その後の経過、課題等

以下の点が今後の組織的な課題として挙げられた。対応を現在検討中である。
・場面緘黙などの精神症状に関する妥当な根拠資料の確認方法について
・シラバスにおけるプレゼンテーションやグループワークの記載義務化について
・配慮依頼文書発行後のモニタリング方法について

【参照】