事例に学ぶ 紛争の防止・解決等につながる対応や取組

事例No.387(その他の障害)

相談内容

2年次の後期に、大学の授業棟として新校舎が完成。以来、ほぼ全ての授業が新しい校舎で行なわれるようになったが、学生は敏感なアレルギー体質のため何らかの建材に反応し、短時間校舎に入っただけで、全身の湿疹・痒みなどひどいアレルギー反応の症状が出てしまう。(病院では「シックハウス症候群」と診断を受けた。)しかし転学等は希望せず、このままこの大学で勉強し卒業したい。新校舎では授業に出られないので、別のキャンパスにある旧校舎で個別に授業を受けるか、自宅でできる課題を出してもらうなどして単位をとりたい。専門実技や学科などの試験や、卒業式も別の校舎で参加させてほしい。校舎の掲示を見に行かれないので別の手段で個別に連絡してほしい。

申し出内容

配慮内容

解説

アレルギー疾患により、本人も周囲も想像をしなかった思わぬ場面でアレルギー反応が出てくることがあります。そのような学生に対して、他の学生と平等な学びの機会を保障することは重要な観点です。別室での授業や試験への参加の方向を探ることは、重要な合理的配慮と言えます。
一方で、特定の学生に対して個別の授業を実施したり、連絡支援を個別に行なうなどのサービスを提供することは、一般的に言って、大学にとって大きな負担となることもあり得ます(もちろん、その負担が本当に甚大なものかどうかを決めるのは大学であり、可能な範囲で柔軟な支援を提供することは、何ら問題はありません)。学生本人にとっても、他の学生と同じ場面で、授業に参加したり、情報伝達に触れたりすることができないことで、不満の原因となることもないわけではありません。そこで、ICTを使った環境調整など、様々な工夫を考慮するという方法もあります。例えば、近年は、インターネットを通じた簡便な会議システムが安価に利用できるようになっており、別室から、他の学生と同じ授業に、双方向的なやりとりが可能な形で参加する調整が図られることもあります(参考:事例No.481)。連絡事項についても、紙の掲示物が掲示板に貼られ、それを特定の場所に必ず見に行かなくてはならないといった制限が生まれないように、すべての情報がウェブサイトに掲載されるように体制を整えることで、障害のある学生にも、その他の学生にも、同じように利便性の高い環境を作ることもできます。
個別の配慮に大きな負担が生じていると考えられるときには、このように、多くの学生にとって利益となるユニバーサルデザインに向けた環境調整ができないかを考えることで、コストの高さに対する視点を変え、学内でも合意形成を行なうチャンスとなる場合もあります。

【参照】