開催報告

平成29年3月に文部科学省でとりまとめられた「障害のある学生の修学支援に関する検討会(第二次まとめ)」では、大学・短期大学・高等専門学校(以下「大学等」という。)が取り組むべき課題として、高等学校や特別支援学校高等部(以下、「高校等」という。)に在籍する障害のある生徒が大学等への進学を希望するに当たり、これらの学校で提供されてきた支援内容・方法を円滑に大学等へ引き継げるように留意し、これらの学校に対して大学等から支援体制や制度、取組について情報発信を強化していくことが重要であるとされています。
これを受けて、日本学生支援機構では平成29年度から2年間にわたり、高等学校等から大学等へ進学する生徒の移行支援を主な題材に障害学生支援専門テーマ別セミナー【高大連携】を実施してきました。3年目となる本年度のセミナーでは、身体障害領域と身体障害以外の領域における実際の移行支援の実例や取組を基に高校、特別支援学校関係者と大学等教職員の情報共有・意見交換を図りました。
まず、開会にあたり主催者として関西学院大学総合支援センター長の松岡克尚教授と日本学生支援機構学生生活部部長の井上示恩が挨拶しました。続いて井上部長より今回のセミナーの内容について主旨説明を行ないました。
午後から分科会に分かれ、分科会1では「生活介助を必要とする学生の高等教育への移行支援からみた高大連携の在り方について」をテーマに、群馬大学の五味洋一准教授の進行で特別支援学校から大学へ進学した当事者である西井拓海氏より、進学までの経緯や生活面での支援について、当時のことを振り返りつつ情報提供があり、「(大学の担当者に)自分の辛さ、欠点というか、自分の障害について話すことはあまりない。それが言えたことは、ありがたかった。」と感想を語りました。また、兵庫県立和田山特別支援学校の柳本真一主幹教諭、関西学院大学生野茜修学支援コーディネーター、福祉サービス事業所とんとんの西嶋登代美相談支援専門員からそれぞれの立場で取り組んだことについて説明しました。
分科会2は「大学進学を希望する高校生を対象にした、大学生活準備プログラムによる授業体験を通しての「高大連携」の取組」がテーマで、冒頭に大阪大学の望月直人准教授から概要説明があり、社会モデルの下での社会の中での障害(者)を許容するための仕組みづくり、合理的配慮の条件等を解説しました。続いて、大阪大学の諏訪絵里子コーディネーターから、大阪大学の大学生活準備プログラムについて、高校までの教育と大学等での教育との違いを解説しつつ、「学生本人が大学生活を事前に体験することで、今まで本人もわからなかった苦手さや困り感が理解できるかもしれない」と、この大学へ移行準備の意味を話しました。最後に、昨年度まで大阪大学でこの大学生活準備プログラムを担当していた稲月聡子日本福祉大学招聘准教授から実際のプログラムについて資料に沿った解説がありました。
最後に関西学院大学の松岡教授の進行により全体会を行い、各分科会の情報を参加者全体と共有しました。松岡教授は「高大連携では、大学は受け入れる、高校は送り出すというゴールでの話になっているが、学びの中心は学生本人であり、学生本人のために、どんなことが学びになるのか、本人が大学に入り、社会人になったときに、どうプラスに繋がるのか。その共通ゴールを設定することが大事」と思いを語りました。
参加者は高等教育機関の教職員、高等学校、特別支援学校の教職員、教育委員会の指導主事等を含め186名で、アンケートでのセミナーの満足度は94.0%となり、アンケートの自由記述では「早期の支援開始は大切であるが、学力の高い生徒は高校段階では困ることが少なく、本人の自覚がないのが現状である。(中略)本人の困り感が少ない点では、本人への助言、大学入学後の注意をどのようにしたらよいのか悩ましい。」など、高等学校段階の教員の率直な感想もありました。

開催概要

テーマ

事例から見る高大連携の取組について

主催

独立行政法人日本学生支援機構、学校法人関西学院_関西学院大学

開催日時・会場

令和元年8月9日(金曜日)11時15分から16時まで(受付開始10時45分)
天満研修センター

募集要項

プログラム・配付資料

掲載資料は著作権により保護されており、各掲載資料の著作権は資料作成者に帰属し日本学生支援機構は資料作成者の利用許諾に基づき掲載しております。著作者に無断で掲載資料の転載、二次利用を行なうことは禁じられています。また、参考文献、引用部分については出典元に著作権が帰属します。

<分科会1>
「生活介助を必要とする学生の高等教育への移行支援からみた高大連携の在り方~特別支援学校から大学へのスムーズな移行とそのための課題―大学修学場面での重度訪問介護制度利用の可能性~」
本分科会では、生活介助を必要とする障害学生の高校時代の進路指導や大学進学のための準備、大学側の受け入れ体制整備、そして訪問介護サービスの利用による大学生活へのスムーズな接続・学びの広がりについて、それぞれのステージのキーパーソンと学生自身の語りを通して紹介し、高大連携の在り方について示唆します。

<分科会2>
「大学進学を希望する高校生を対象にした、大学生活準備プログラムによる授業体験を通しての「高大連携」の取組」
大学入学後の支援がよく分からないという当事者・家族・高校関係者のもつ課題は、実際に大学生活にも影響を及ぼしています。そこで、本分科会では、発達障害のある高校3年生を対象とした大学生活準備プログラムによる模擬体験を通じて、大学での心構えや合理的配慮についての基本的な知識を身につけるといった取組事例を紹介しながら、高大連携について意見交換を行ないます。

総合司会:松岡 克尚(関西学院大学教授)
話題提供者による各分科会での意見交換や報告を行ない、参加者の情報共有を行なうとともに、質疑応答でさらに理解を深めます。


「障害学生支援専門テーマ別セミナー【高大連携】」に関する問い合わせ先

日本学生支援機構_学生生活部_障害学生支援課_障害学生支援計画係
  • 東京都江東区青海2-2-1
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