理事長からのご挨拶

新しい時代における学生支援の充実に向けて

吉岡理事長写真

独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)は、2004年4月1日に、国の様々な学生支援事業を総合的に実施する中核機関として創設されました。JASSOは、文部科学大臣から5年間を期限とする目標(中期目標)を与えられ、その達成に向けて運営を行っており、2019年4月から第4期の事業を展開しているところです。

ICTやAIをはじめとする科学技術が急速に進歩し、社会が変容を続けるなかで、高等教育もそこで学ぶ学生の生活も大きく変わりつつあります。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大は私たちが生きる世界の姿を一変させました。JASSOが支援している学生生活も未曽有の変化にさらされてきました。
このような状況のもと、学生支援のナショナルセンターであるJASSOが果たすべき役割は益々重要になっています。事業の三本柱である奨学金事業、留学生支援事業、学生生活支援事業を、国及び大学等の関係機関とも十分に連携しつつ、一層充実させていきたいと考えております。

まず、奨学金事業については、従来の貸与奨学金(無利子及び有利子)に加え、2020 年4月からは、「高等教育の修学支援新制度」により、給付奨学金の大幅拡充とともに授業料等の減免制度が始まりました。また、貸与奨学金の返還困難者への負担軽減策も合わせて実施しています。現在、修学支援新制度の中間所得層への拡大や、大学院段階における「授業料後払い」制度の創設が国において検討されていますが、これらについても速やかに運用できるよう準備を進めてまいります。

留学生支援事業については、外国人留学生の受入れと日本人留学生の派遣の両面から、学資の支給、留学情報の提供等を行っています。新型コロナウイルス感染症の拡大で停滞していた留学交流がようやく再開しつつあり、「トビタテ!留学JAPAN」も、今年度から第2ステージがスタートします。各大学が協定校を通じて展開する国際交流も活力を取り戻してきたなか、各種留学生支援を一層充実させていきます。これからも、コロナ後の世界を展望しつつ、留学生交流のさらなる推進を図ってまいります。

学生生活支援事業については、キャリア教育・就職支援、障害のある学生等への支援を中心に、学生生活の調査・分析、好事例の収集・提供、教職員に対する研修等を行っています。近時におけるインターンシップ・就職活動をめぐる動向や、障害のある学生の増加等を踏まえ、オンライン等も活用しながら、大学等における学生生活支援を充実してまいります。

JASSOは、憲法及び教育基本法に定める「教育の機会均等」の理念の下、意欲と能力のある者が等しく修学の機会を得、自由かつ有意義な学生生活を送ることができるよう、支援体制の強化を続けてまいります。これらの事業の充実を図るに当たっては、利用者の視点に立ち、絶えず事業内容の改善を図るとともに、学生・生徒はもとより、保護者、学校関係者、ひいては国民の皆様方に対し、より分かりやすく、丁寧に広報活動を行ってまいります。
皆様方におかれましては、今後とも格別のご支援、ご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2023年4月1日

独立行政法人日本学生支援機構
理事長 吉岡 知哉