優秀学生顕彰 受賞者からの応援メッセージ(学術分野)

金谷啓之(かなや ひろゆき)さん

プロフィール(受賞当時)
九州大学 理学部 4年
〔動物生理学〕サンゴやクラゲの仲間であるヒドラを用いて、日周リズムや睡眠のメカニズムを研究した。筆頭著者として国際科学誌に2本の論文を発表。第25回日本時間生物学会学術大会で優秀ポスター賞。

メッセージ

「自信を持つ」。それは案外難しく、でも非常に大切なことだと思います。私は幼い頃(おそらく小学生の頃)から研究をするということが好きで、毎年夏休みには自由研究に熱中していました。そして、なぜか自分の研究については、必ずうまくいくはずだという自信を持っていました。大学では理学部に進学し、1年生の頃から研究室に通って生物学の研究に取り組みました。当然、自由研究のように簡単ではなく、何度も難しい課題に直面しました。しかし、実験から得られる結果と自らのアイデアに自信を持って研究を続け、その成果を論文や学会で発表することができました。
自信を持とうとすると、それを裏打ちするだけの努力が必要になります。皆さんも、自分だけにしかできないこと、熱中できることを一つでも見つけて、自信を持って取り組んでほしいと思います。

河谷昌泰(かわたに まさひろ)さん

プロフィール(受賞当時)
秋田大学 医学部 6年
〔自律神経学〕自律神経の回路について研究を行い、糖尿病治療薬が吐き気を起こすメカニズムや、排尿や排便といった骨盤臓器がどのように制御されているかを研究した。国際学術誌複数掲載。国際・国内学会発表多数。

メッセージ

後輩の皆様へ。メッセージを読んで下さりありがとうございます。僕は初めて研究の世界にお邪魔した際に大先輩が言ってくれた言葉を支えに6年間を過ごしてきました。
「まずは研究を嫌いにならないで続けてみてほしいな」
きっと、何気なくかけてくれた言葉なのですが、とても良い言葉だなぁと思ってまだ憶えています。
色々な先生や先輩(もしかしたら同級生、後輩)が沢山のアドバイスをくれます。肯定も否定もあると思います。それでもやりたいことをやりたいのは好きなことだからではないでしょうか。僕は自分に出来るくらいの小さなことでも、何か自分で手を動かして見つけていくというのはとても楽しいことだと感じました。皆様も大学生活の中で何か打ち込めるものを見つけて、楽しんで過ごしてもらえたらと思います。
末筆になりましたが、このような機会を下さった日本学生支援機構の皆様、審査員の先生方、そして御指導下さった先生方に心より御礼申し上げます。

植田紫衣生(うえだ しいな)さん

プロフィール(受賞当時)
昭和大学 歯学部 5年
〔スクロースによる破骨細胞分化抑制の研究〕スクロースが破骨細胞という骨を溶かす細胞の分化を抑制することを研究。スクロースが骨吸収疾患の治療薬になり得る可能性を示唆。APDSA、 JADR学会にて発表。Joseph Lister Award受賞。

メッセージ

今回優秀学生顕彰をいただきましたこと、大変嬉しく思っております。このような名誉ある賞がいただけましたのは、丁寧に指導してくださいました大学の先生方のお力添えによるものだと思っております。研究の機会や学会発表の機会を与えてくださいました昭和大学歯学部口腔生化学講座の上條竜太郎先生、吉村健太郎先生をはじめ先生方に心より感謝申し上げます。
私はこれまで「破骨細胞分化に対するスクロース添加の影響」というテーマで研究を進めてまいりました。学校の授業が終わってからの研究はとてもハードで、つらい時期もありましたが、私は一生懸命取り組むことができ、とても満足しております。皆様も何か熱中できるものを見つけて、学生生活を楽しんでください。

西殿悠人(にしどの ゆうと)さん

プロフィール(受賞当時)
立命館大学 薬学部 6年
〔生薬学〕生薬学・天然物化学。ショウガ科生薬の主な薬能である熱生産に関与する化学成分を特定し、化学構造と活性の相関について明らかにした。国際学術誌複数掲載。国際・国内学会発表多数。

メッセージ

私の学生生活は、”今、この瞬間が人生で一番若い”ということに気付き、”今、すべきことに全力で取り組む”ようになってから、有意義なものになったように思います。
当たり前のことですが、今、この瞬間が自分の人生で一番若く、今の積み重ねが”未来の自分”を形作ります。それは、今の過ごし方次第で”未来の自分”はいかようにも形作ることができるということでもあります。私は、このことに気付いて以降、自分の人生で一番若い”今”の時間を費やしてでもやる価値のあること、つまり、”今、すべきこと”はなにかということを深く考え、”今、すべきこと”には、全力で取り組むようになりました。私の場合は、それが研究活動であったので、お正月やGWを含め、毎日、目の前の実験に全力で取り組みました。その甲斐もあり、今回、大賞という身に余る光栄な賞を頂くことができました。
時間はどのように使っていても、一定に過ぎていき、”今”という時間は二度と戻ってきません。人生で一番若いその”今”をどのように過ごすのか。限りある学生生活を有意義で後悔のないものにしていただきたいと思います。
また、様々な分野で活躍されている皆様と表彰式等でお会いできる事を楽しみにしています。

舟越裕里江(ふなこし ゆりえ)さん

プロフィール(受賞当時)
徳島大学 総合科学部 4年
〔細胞毒性〕 第6次産業で注目される藍染料成分の細胞毒性を検討し、安全レベルを明らかにした。コーヒー豆焙煎時副生成物の細胞レベルの作用を検討し、その安全性・有用性を明らかにした。国際誌掲載。

メッセージ

この度はこのような名誉ある賞を頂き大変うれしく思っております。さて、私が後輩の皆様にお伝えしたいことは「複数の視点から物事を考えることの大切さ」についてです。私は、総合科学部という場所で大学生活4年間を過ごしました。総合科学部では文系・理系にとどまらず自分の興味関心に沿って様々な学問を勉強できます。実際に、私も、4年間で経済学、法律学、社会学、生物学、化学、言語学、哲学、情報科学など本当に幅広い学問に触れました。そのうえで、私は特に地域経済の活性化と人の健康に関心があったので、研究室では徳島県の特産物として知られる染料の藍が生体にどのような影響を及ぼすかについて細胞レベルで検討を行いました。研究テーマ自体が社会的意義の大きいもので、その過程で専門分野の知識以外にも総合科学部で学んだ様々な知識が役立ち、複数の視点を持つことの大切さを実感しました。ですから、ぜひ後輩の皆さんも専門分野にとどまらず貪欲に知識を吸収したり経験したりすることを大切にしてほしいなと思います。そこで得た知識や経験はきっと良い結果につなげてくれます。

高畑翔吾(たかはた しょうご)さん

プロフィール(受賞当時)
滋賀医科大学 医学部 5年
〔神経科学〕 神経科学に関する研究成果を共著書として国際学術誌に発表。また、日本解剖学会及び日本認知症学会全国学術集会で筆頭論者として発表。この成果等が評価され、平成29年度滋賀医科大学学生表彰を受賞。

メッセージ

私は神経科学の領域で、2度の国内学会発表や共著での国際学術誌への論文掲載、学内表彰を受けたこと等が総合的に評価されこの度の受賞に至りました。私を研究者としてイチからご指導くださった遠山先生ならびに研究室の皆さま、本当にありがとうございます。
授賞式当日に驚かされたのは懇親会での皆さんの巧みな3分スピーチでした。英語で話したり、ダンスを踊ったりと個々の特色を生かしたスピーチでどれも大変聴きごたえがあるものでした。
トビタテ!留学JAPANで出会った学生たちもみな志高く、刺激を受けましたが、優秀学生顕彰受賞者はまさに日本国の未来を担う人材が勢ぞろいしていて、圧倒されると同時に負けたくないという熱い感情が沸々と湧いてきました。
成長し続けるためには自分より優れた人間と出会い、刺激を受け続けることが肝要です。皆さんも高みを目指して日々たゆまぬ努力と研鑽を積んでください。その先に次の成功は待っています。

趙継美(ちょう けいみ)さん

プロフィール(受賞当時)
広島大学 歯学部 6年
〔歯周病〕 歯周病が早産を引き起こす機序と関連因子の有用性について研究を行い、JADR学会にて発表、Joseph Lister Award一位受賞。また、広島大学学長表彰、歯学部長表彰を受賞。

メッセージ

この度私がこのような名誉ある賞を頂くことができたのは、周囲の環境に恵まれ、その中で挑戦し続けることができたためだと思っています。研究に際して、初心者であった私を一から丁寧にご指導くださり、研究の面白さを教えてくださった先生方、そして研究や学会発表の機会を与えてくださった大学に対し、感謝の念に堪えません。
私が後輩の皆様にお伝えしたいのは、「大学生活はチャンスであふれていて、それをどう活かすかは自分次第である」ということです。私は大学生の間に留学や学祭実行委員長など興味のあるものにとにかく挑戦してきました。研究を始めたきっかけも私にとってはその一つにすぎなかったのですが、結果として研究成果と学会での受賞、また優秀学生顕彰奨励賞を受賞することができました。もちろん、研究においてもその他の大学生活においても、楽しいだけではなく大変でつらい時期もありましたが、苦悩の時期があったからこそ成長できた今の私があると思っています。周囲には常に挑戦の機会があること、それを支えてくださる方々がいることを忘れずに、自分らしい学生生活を過ごしてください。

小谷将太(こだに しょうた)さん

プロフィール(受賞当時)
金沢大学 医薬保健学域 6年
〔神経科学〕 情動反応に関わる分界条床核と呼ばれる脳神経核の覚醒制御機構を神経科学的に解明し、ストレス関連障害に合併する難治性不眠症の治療戦略に重要な示唆を提示した。国際学術誌に掲載され、国内主要学会で発表された。

メッセージ

こんにちは。金沢大学医学類の小谷将太と申します。私は大学一年生より神経生理学の基礎研究教室にお世話になり、睡眠に関して研究を進めてまいりました。当初は大学の基礎研究とはどういうものか経験するという気軽なものでした。しかし、実際に研究の世界にのめりこんでいくことで、普段得られない知識や経験、そして研究に対する情熱というものを身に染みて感じることができました。
近年の社会の風潮として多様化が加速度的に進んでいます。大学も同様で、あらゆる世界に触れる機会がより一層多くなっていきます。その中では、自分の将来像に揺らぎが生じてしまい、ある種の不安が付きまとうと思います。しかし、在学中に少しでも興味を持った事や機会がある場合にはとりあえず深く打ち込んでみてください。そこで培った経験は他の分野でも将来活きて、皆さんを支えてくれると思います。
最後に、在学中に達成できた成果は周りの支援のおかげであるとつくづく思い知らされます。教室の恩師や先輩はもちろん、普段の生活の支えである友人・家族の皆さんにこの場を借りて心より感謝申し上げます。

高橋揚子(たかはし ようこ)さん

プロフィール(受賞当時)
東北大学 医学部 6年
〔神経科学〕 脳血管障害における細胞生物学的機序と新薬化合物の検討。血管周皮細胞の血管障害への関与機序を解明。新薬化合物ISX-9が複数の前駆細胞に異なる作用を持つことを発見。国際学術誌複数掲載。国内・国際学会発表。

メッセージ

”Always say YES"は私のモットーの1つです。
私がしたことと言えば、いつも「やります、やってみたいです!」と言ったことしかなくて、「研究してみたい!」「留学行ってみたい!世界の舞台で自分を試してみたい!」「論文書いてみます(...できるかわからないけれど)」と言って、全力で向き合っているうちに、沢山の方々に教えてもらい支えられ、大学入学時は夢にも思っていなかった筆頭著者での4本の論文だったり、国際学会での発表、そしてこの優秀学生顕彰を受賞に至っていました。
何かを始めることは不安で勇気がいることですが、一歩踏み出してみると協力してくれる多くの人の存在に気づき、新たな世界が広がるかもしれません。
もし何かに迷ったら”YES"と答えてみてください!それはさらに成長できるチャンスなのではないでしょうか。そしてそれは意外と楽しいものです。

松本侑也(まつもと ゆうや)さん

プロフィール(受賞当時)
大阪府立大学工業高等専門学校 総合工学システム専攻 機械工学コース 2年
〔PEFC特性診断開発〕 固体高分子形燃料電池スタックの特性診断法の開発。国際学会発表および国際学術誌に2度掲載。国内学会では特別賞を受賞。2015年11月に国際学会(Fuel Cell Seminar & Energy Exposition 2015)にて発表予定。

メッセージ

この度は、このような大変名誉ある賞を頂き、誠にうれしく思います。
私から後輩の皆様へお伝えしたいことは、チャレンジ精神の大切さについてです。「自分には無理だろう」「自信がない」とすぐに諦めてしまうことはありませんか?実は私も、「どうせ無理だ」とすぐに諦めてしまう様な学生でした。
ですが私は、杉浦公彦教授と出会って研究に励み、少しずつ成果が出るにつれて、「次はこんなことをやってみよう」「こうすれば面白いのではないか?」と積極的に動くようになりました。もちろん失敗もたくさんしました。失敗するたびに同級生や先輩方に相談し、助けられてここまで来ました。
私は、国内学会で2度の受賞、国際学会に2年連続で参加しBaker Student Awardに入賞、国際学術誌に3度掲載されるという自分でも驚くほどの成果を得ました。また、トビタテ!留学JAPANの3期生にも合格することが出来ました。どの成果も、「だめでもいいからとりあえず出してみよう!」という気持ちで応募したことが実を結びました。
ですので、失敗を恐れず、とにかくいろんな事をやってみてください。その経験は必ず成功につながると、私は信じています。
最後に、私が最も大切だと思っている事についてですが、自分を支えてくれている家族や恩師、切磋琢磨しあえる友達への感謝の気持ちを忘れずに頑張ってほしいと思います!

小林周平(こばやし しゅうへい)さん

プロフィール(受賞当時)
米子工業高等専門学校 電気情報工学科 5年
〔廃棄物リサイクル〕 卵殻の内側の薄膜である卵殻膜を機能性材料として高付加価値のリサイクルに成功した。具体的には燃料電池材料の新規開発に成功し、食品ロス低減に繋がる着色劣化抑制に寄与する機能も発見した。

メッセージ

皆さんは奨学金による援助によって今の学生生活を送ることができています。それは奨学金のおかげで多くのことを学び、今後の自分をさらに成長させることのできるチャンスを与えられているということです。皆さんはそれを絶対に逃さないでください。高専に入学してからは奨学金以外にも何かしらの補助を受けるために勉学に励んでいました。その結果、今の指導教員と出会うことができ、いくつもの業績をあげることができました。もちろんとても大変で楽なものではありませんでした。それでもこれは与えられたチャンスを必死に掴み取ろうと努力をしてきた結果です。そしてこの結果はまた新たなチャンスにつながっていくと思います。それは目には見えないもので、もしかしたら結果が出ないかもしれません。でもそこで諦めてほしくありません。奨学金という形で期待をされているのですからそれに応える義務があります。どうか自分の目指すものに向かって頑張ってください。

清水俊樹(しみず としき)さん

プロフィール(受賞当時)
東京農工大学 工学部  4年
〔工学〕 全国の学部生を対象とした、第4回サイエンス・インカレに参加し、書類審査を通過したポスター発表部門124組による研究発表の中で、最高の賞である、独立行政法人科学技術振興機構理事長賞を受賞した。

メッセージ

このような名誉ある賞を頂くことができ感無量の一言です。学術分野に関しては、大学4年生までに学会発表などで成果を残すのは一部の人たちを除き、研究室配属の都合上、なかなか難しいと思います。私は大学3年生の時に、たまたまサイエンス・インカレという大会に参加する機会があって、大学の講義の一環で大学2年生から研究・実験を重ねていた内容を発表したところ、運よく素晴らしい賞を頂くことができたので、これに応募できました。このような機会を与えてくださった多くの方々に心から感謝申し上げます。私自身は大学院に進み、社会に少しでも貢献できるような研究に邁進する所存です。
後輩へのメッセージとしましては、何事にも粒粒辛苦するということです。勉強でも、芸術でも、スポーツでもその日その場で出せるベストをぶつけてみてください。そして、思い立ったらすぐ行動(応募・参加)してみましょう。きっとその先には幸運の女神が微笑んでいると思います。

大森智織(おおもり ちおり)さん

プロフィール(受賞当時)
北海道大学 薬学部 6年
〔細胞生物学〕 アルツハイマー病の早期診断方法の確立を目指した研究。新規の血液バイオマーカーの有用性の検証。国内学会発表。海外学会(北米神経科学学会)発表予定。国際学術誌掲載。

メッセージ

私が後輩の皆さまへお伝えしたいことは、学生生活の中で「粘り強く取り組むこと、チャンスがあれば逃さないこと」です。
私は現在、血液診断でアルツハイマー病を早期に発見する方法を確立するため、研究を行っています。が、実験は失敗の連続です。それでも「将来この研究が人々に貢献できるはずだ」と信じ、諦めずに日々昼夜を問わず実験に取り組むことで、一連の研究成果を論文として報告する事ができました。また、学会へも積極的に参加し、昨年は海外学会でも発表を行いました。英語力はもちろん、プレゼンテーション力、知識など不安はたくさんありました。しかし海外の研究者と討論し、最先端の研究に触れる二度とないチャンスだと思い、参加しました。課題は多く残りましたがそれも動機付けになり、本当にいい経験が出来ました。
うまくいかなくて諦めたり、悩んで、躊躇することもあるかと思います。でも、「今しか出来ないこと」を大事にしてください。きっと後悔のない、充実した学生生活を過ごす事ができると思います。

野﨑大幹(のざき ひろき)さん

プロフィール(受賞当時)
慶應義塾大学 環境情報学部 3年
〔情報工学〕 公共空間でのディスプレイと人のインタラクションに関する研究。国際学会発表。CHI2014 Student Research Competition学部生部門において3位入賞。国内学会発表。優秀論文賞受賞。

メッセージ

私は高校3年生の時に、先輩がこの優秀学生顕彰の学術部門で大賞を受賞されたことを聞き、この賞の存在を知りました。それ以来、この優秀学生顕彰を学部4年間の目標の一つとして、がむしゃらにやってきました。一人でも多くの学生にこの賞を知ってもらい、一人でも多くの学生がこの賞を目標に切瑳琢磨し合うことができれば嬉しいです。
もし私から後輩にアドバイスさせていただくことがあるとすれば、「情熱を傾けられるような研究」に取り組むことです。これは私の所属する研究室でよく言われていることで、「心の底から研究に没頭できているか?」「毎朝ベッドから飛び起きるくらい面白いと感じているか?」と常に研究への情熱を忘れないようにしています。もちろん、国際会議や国際論文誌に投稿するほどの結果を出すことも重要ですが、それ以上に自分の研究を愛することも重要だと思います。自分の好奇心に寄り添い、夢中になれる研究を見つけることができたのならば、この上ない幸せなことではないでしょうか。

福元秀(ふくもと すぐる)さん

プロフィール(受賞当時)
山梨大学 医学部 4年
〔医学〕 国際学術雑誌掲載。学内外発表、受賞。免疫学/消化器学に関する研究。プロピオン酸菌由来の無毒性であるDHNAが、AhR活性化能をもち、マウス腸管における各生体内への影響、及び炎症性腸炎を抑制することを新たに解明。

メッセージ

この度、国際学術誌(Fukumoto S et al. Immunol Cell Biol 2014)への掲載等を評価していただき、大変栄誉ある賞をいただくことができました。
私は、1年次1月より、同大学免疫学講座でお世話になり、研究を始めました。研究を始めてからは、学部の学業や部活動に加え、ほとんど毎日朝や放課後の隙間時間、土日の部活動以外の時間、大型連休を利用し、研究に精進してきました。しかしながら、費やした時間の分だけ、発表できるようなポジティブデータが出るとは限りません。実験結果のほとんどはネガティブデータばかりです。それでも、実験しては、何度も何度も試行錯誤することで、実験技術を体得しては向上させ、ポジティブデータを出せたときには本当に計り知れない喜びを感じることができます。
こうした研究で培った、問題に直面したときの忍耐力や物事を多面的な視野で考える思考力を大切にし、また今は、私は交通事故に遭い障がいを負ってしまいましたが、並行して行っている自身のリハビリを通して、患者さんやコメディカルなどの多角的な視点に立つことのできる、他者の気持ちがわかる医師になり、臨床で活かしていきたいと考えています。
私は、物理・化学選択で大学受験をしたので、最初は、ほとんど生物の知識は0からでした。ですが、やる気と努力で、ヒトは変われます。受賞式では、様々な分野の受賞者とお話する機会がありましたが、どの分野も学業との両立は自分自身との戦いだと思いました。
How do you picture your next 5 years?
最後となりましたが、自分たちがこうして好きな◯◯ができるということへの感謝の気持ちを忘れてはいけません。私の場合、これも偏に、無知な私の徒然の訪問を快く受け入れてくださった中尾教授、普段から厚いご指導賜ります諸先生方、そして様々な面でご支援賜りますスタッフの皆様、先輩方、さらには、陰ながら支えてくれた部活の仲間、友人、家族に、この場をお借りしまして、改めて心より感謝を申し上げます。

岡畑美咲(おかはた みさき)さん

プロフィール(受賞当時)
甲南大学 理工学部 4年
〔環境応答遺伝学〕 世界各地の線虫C.elegansの温度応答と記憶の多様性に関わる遺伝子の研究。温度適応が低下する遺伝子多型とその責任遺伝子の同定。温度記憶の解析システムの構築。国内学会口頭発表。国際学会ポスター発表。

メッセージ

私が大学生活で最も大切にしてきたのは、「時間」でした。
時間はすべての人に平等に与えられます。その限られた時間の中でどう過ごすかは自分次第です。どれだけ辛い時期があったとしても、自分で選んだ道のために費やした時間は宝物になります。そして誰よりも諦めずに努力してきた時間はいつの日か結果として現れてきます。後輩のみなさんも一度しかない学生生活がより充実したものになるよう、努力を惜しまず頑張って下さい。
最後に、私は両親をはじめ、先生、奨学金団体、周りのたくさんの方々に支えられここまでくることができました。今後も感謝の気持ちを忘れず、精進していきます。

鳥取伸彬(とっとり のぶあき)さん

プロフィール(受賞当時)
立命館大学 スポーツ健康科学部 4年
〔スポーツバイオメカニクス〕 足指筋力の役割についてと曲走路における走行方向と筋断面積の関係を明らかにした。ISB2013BRAZILにて発表。異なるテーマで国内学会2度発表。国際学術誌に筆頭著者として掲載予定。

メッセージ

スポーツが好きで、周りの人を感動させたいという気持ちだけで様々なことに取り組んできました。周りの環境にも恵まれ、先生や学部の仲間、先輩に支えていただいた結果、学術分野奨励賞を受賞できました。深く感謝しております。
自分と向き合って本当にやりたいことは何なのか、自分の好きなことは何なのかを理解することが大切だと思います。そして、それが周りとは違っていても情熱を注いで追求し続けることだと思います。勉強や研究、部活動やサークル、趣味、何でもいいと思います。私にとってはその一つが「研究」だっただけです。卒業を迎える時・卒業後に「いい学生時代だった」と言えるように、何事も全力で楽しんでください。

山本勇樹(やまもと ゆうき)さん

プロフィール(受賞当時)
大阪府立大学工業高等専門学校 総合工学システム専攻 2年
〔障がい者用機械開発〕 身障者用自動ページめくり機の開発。身障者の方が手や指を使わなくても書籍を読むことができる福祉機械の開発に関する研究。ページめくり機構部分で特許取得(第5281214号)。国内学会発表。

メッセージ

私は高専というほかの大学とは異なった環境で研究を行うことで多くのことを学ぶことができました。学んだ中で伝えたいことは「研究は一人で行っていない」「時間には限りがある」という2点です。自分だけではどうしても壁にぶつかることがあります。そのため進めることが困難なときでも、友人や教授に相談することで先が見えることがあります。研究以外にも助け合いは必要であるので胸に秘めて行ってほしいです。そして、時間はお金には変えることができません。生み出すには睡眠時間を削るなりできますがこれにも限界があります。そのため、時間を効率よく使う方法をよく考えることが必要であると思います。
大変なことも多くあるとは思いますが、自らの意思で研究をすすめたいという気持ちがあれば必ず成果はついてくると思います。そして、なにより忘れてはいけないことは『楽しむ』ことです。学生のときしかできないことも多くあるかと思います。なので、オン・オフを切り替えて楽しい日々を送ってください。

朝倉高也(あさくら たかや)さん

プロフィール(受賞当時)
豊田工業高等専門学校 電子機械工学専攻 2年
〔ロボット工学〕 ロボカップサッカー小型リーグにおける全方位移動ロボットの高速位置制御に関する研究。サッカーロボットの連携パス・シュートシステムの開発と国内大会・優勝。ロボカップ2012世界大会・3位入賞。

メッセージ

私は高専の本科に5年、専攻科に2年の所属をして計7年間の高専生活を送ってきました。
7年の学生生活をただひたすらロボットの開発に捧げたものですから、大多数の方々が思うような楽しい青春というものとは無縁です。しかし多くの先生や高専の運営に携わる方々のおかげで、『知識、技術、経験』を積む機会に恵まれました。それら7年の歳月の中で得た多種多様な挑戦の機会は、楽しい青春の代替にはならなかったものの自分を成長させる確かな糧となっています。
私は来年から大学院に入学をするため、これからも様々な挑戦の機会に出会うと思います。それら一つ一つの機会から学び得ることを最大化するためにより一層の努力を重ねていこうと考えております。高専の後輩たちには『絵に描いたような青春』と『挑戦の機会』を天秤にかけ、真に充実した学生生活を過ごしてほしいです。

桶谷龍成(おけたに りゅうせい)さん

プロフィール(受賞当時)
大阪府立大学工業高等専門学校 総合工学システム専攻 2年
〔光触媒〕 光触媒反応の有機合成への応用。光触媒反応によるジカルボン酸のラクトンへの変換に関する研究。国内学会発表。

メッセージ

私から皆様へお伝えしたいことは、“人とのつながりを大切にする”ということです。
私は高専5年時より専攻科2年までの3年間、現在の研究に従事してきました。しかし、本校の研究設備は、大学と比較しても満足なものとは言えませんでした。そのような中で、様々な研究発表の機会に恵まれたのは、指導教員の方々や先輩方との出会いのおかげだと感じています。実験について何も知らない私に、一から丁寧に実験操作を指導してくだいました。本当に深く感謝しております。
どれだけ研究設備が整っていようと、一人ではきっと限界があるはずです。しかし、よいつながりはよい研究設備以上に成果をもたらしてくれます。皆様もひとつひとつのつながりを大切に、日々の生活を送ってください。

山下聖悟(やました しょうご)さん

プロフィール(受賞当時)
香川高等専門学校 電子情報通信工学専攻 2年
〔情報可視化〕 国際シンポジウムISTS2012とiGO2012にて英語口頭発表。iGOでは発表賞取得。

メッセージ

この度は、思いもよらずこのような名誉ある賞をいただき、誠に嬉しく思います。これも、私に熱心にご指導してくださった皆様のおかげです。
もし後輩たちに私からアドバイスできることがあるとすれば、それはともかく出会いを大切にすることです。私は今まで行ってきた研究内容に加えて、セキュリティや経営など様々な分野への興味を持っています。そのため、これまでに多種多様な人たちと共に多くのプロジェクトに挑戦してきました。私の場合、これらの活動を通して様々な知識や考えを持つ人と意見を交えながら考えることで、初めて自分の得意な事や本当に好きな事がわかりました。これは自分の成長にとってとても大切なことだと思っています。
また、同じ志を持つ同世代の仲間たち、自らの経験から真摯にアドバイスをくださる方々との出会いは私の考えと志を大きく変えました。出会いを通して刺激され続ける環境を自分で作ることができれば、いつまでも成長し続けられると思います。一緒に切磋琢磨しましょう。

松原慶朋(まつばら よしとも)さん

プロフィール(受賞当時)
明石工業高等専門学校 機械・電子システム工学専攻 2年
〔生体認証〕 非定型文キーストローク認証の頑健性およびプロファイル生成手法の研究。国内外で筆頭著者として合計10回学会発表、2度受賞。

メッセージ

私は高専本科4年生(大学1回生)のときに「研究」という言葉の響きに魅了され、少しでも早く本格的な研究を始めたいと考えていました。それをすぐに察してくださった研究室の指導教員である佐村敏治先生が「もう研究始めてみる?」と声をかけてくださり、即座に「はい!よろしくお願いします!」と返事をしました。これが私のターニングポイントとなり、4年生の3月に筆頭著者として初めて学会発表を経験するとますます研究に没頭しはじめました。様々な研究者の方々と多くの議論を交わし、多くの新たな実験とその結果の考察を重ねていると、気付けば優秀学生顕彰の学術分野で優秀賞を頂いた2013年12月までに国内外で筆頭著者として13回の学会発表を行っていました。
私は常日頃から「今しか出来ないことは何だろう?」ということを考えながら行動しています。社会に出なければ学べないことは沢山ありますが、同時に在学中にしか学べないこと、挑めないことも沢山あるはずです。私のその問いに対する答えの1つは「研究」であり、19歳という若い年齢から3年半の密度の高い研究活動を通して世界にも誇れる豊富な研究経験を得ることが出来ました。これは「高専」でなければ出来なかったことであり、この経験は今後の自分を強く支えてくれると信じています。みなさんも今一度考えてみてください。「今しか出来ないことは何だろう?」

木下裕規(きのした ひろき)さん

プロフィール(受賞当時)
熊本大学 医学部 5年
〔医学〕 近年報告された癌の進展に関わる新規遺伝子の、肝細胞癌における臨床的発現意義と予後予測因子としての有用性を検証した。その結果、肝細胞癌の進展と関与する可能性のある遺伝子を2遺伝子(xCT、CYLD)同定した。共に国際学術誌掲載。

メッセージ

このような賞を頂けたのは、臨床や研究において指導して頂いている熊本大学医学部消化器外科教室の馬場秀夫教授はじめ先生方のおかげです。特に、岡部弘尚先生の熱心な指導のお陰で、本当に多くの価値ある経験を積むことができました。
後輩の皆さんへのアドバイスは「現状に決して満足することなく、常に上を目指して物事に取り組む」という事です。私の研究は「基礎演習」という約2か月基礎研究を行う授業の一環で始まり、最初は自分が論文を書いて国際学術誌に掲載されるなんて想像もしていませんでしたが、基礎演習が終わっても放課後や休日に研究を継続し、学業やアルバイト等との両立が難しかった時も決して諦めずに、高い意識を持って研究に取り組んできました。
この優秀学生顕彰でも何でもいいので、大学生活の中で高い意識を持って物事に取り組み結果が残せるように頑張ってください!私は、あと一年で大学卒業して医師になりますが、また新たな目標を立ててそれに向かって邁進します。