政策企画委員会(第14回) 議事録

1.日時

平成24年2月10日(金曜日) 14時00分~16時05分

2.場所

学術総合センター 特別会議室

3.出席者

(委員)小林雅之委員、佐々木大輔委員、永井和之委員、福田誠委員、和田寿昭委員、和田義博委員
(JASSO)遠藤勝裕理事長、髙塩至理事長代理、樫尾孝理事、月岡英人理事、山内兼六理事、藤江陽子政策企画部長、宮本隆正財務部長、石矢正幸奨学事業本部長、吉田真債権管理部長、鈴木美智子留学生事業部長、平野俊彦学生生活部長ほか関係職員
(文部科学省)松尾泰樹学生・留学生課長

4.議題

JASSO事業の現状と今後の取組み

5.議事次第

6.配付資料

7.議事

資料に基づきJASSO側から説明を行った後、意見交換が行われた。概要は次のとおりである。
(○=委員、●=JASSO、■=文部科学省)

○永井委員 資料に3月以上の延滞債権額が平成22年度より31億円増とあるが、これは延滞者の構成は変わらず彼らの延滞債権が増えた結果によるものか、新たに延滞に陥る者が増えたことによるものか。

●髙塩代理 この資料では3月以上の延滞債権額の要返還債権額に対する比率が年々抑えられていることを示している。人数ベースだと減少しているが、金額ベースで増加している。

●月岡理事 延滞期間が短い者の人数は多いが、少額の延滞額なのですぐに解消し、延滞者は入れ替わる。一方、延滞期間が長い者の人数は少ないが、多額の返済が必要なので延滞解消まで時間がかかる。延滞が長い層については督促などJASSOも取り組みをしており若干解消しているが、延滞が長い者ほど残りやすい傾向がある。

○永井委員 延滞が固定化しているものについては、償却することも考える必要があると思うが、いかがか。

●髙塩代理 必要に応じ適切に償却を行っている。

○福田委員 償却についてはバランスシート上から落ちるだけで返還者の債務は消滅しないが、財務省との協議が必要なのか。

■松尾課長 償却は、貸借対照表上のことであるが、貸借対照表から消えること等により、その償却財源に関しては財務省との協議が必要である。

○福田委員 日本人留学生数の減少の要因及びこの問題に対応する国の施策を教えていただきたい。

■松尾課長 東京大学の調査によって、海外の留学については、就職活動への影響、経済的問題、語学力の問題、大学の試験・行事等の問題や支援状況、という4つの問題があることがわかった。就職活動への影響については、海外留学生に対し多様な採用選考の提供に努めることを、文部科学省から経団連に依頼し、その倫理憲章に海外留学経験の評価や通年採用等について盛り込まれた。また、日本人学生の送り出しの予算は、大学の体制整備に56億円措置するなど増やしている。海外留学生の減少の多くは授業料が高いアメリカへの留学生数であるが、大学間交流協定による留学生数は減少していないことから、交流支援事業に予算を措置し、海外留学を支援しているところである。

○福田委員 行革による閣議決定の内容には疑問が残る。各法人を分類化することにより何が効率化されるのか不明瞭だ。機構は適切に事業を実施しているので、組織のあり方については夏までにしっかりと議論いただきたい。

■松尾課長 当初は大学関係の機関をすべて一緒の法人にという話や、金融関係法人に区分するという意見もあったが、遠藤理事長にご説明いただくなどして、ご理解いただいた。学生支援事業が縮小しないよう対応するとともに、日本全体として優秀な人材を育成する方向であり方を検討したい。

○福田委員 国際交流会館が全て売却できなかった理由は何か。

■松尾課長 国際交流会館の売却については、自治体が土地を所有しているものが売れ残った。特にそのうちの3館は合築(一部はJASSO所有、その他は自治体所有)であり売却の条件が厳しい。JASSOと文科省が連携して自治体、大学と今後の運営方法について検討しているところである。

○佐々木委員 障害学生支援に関し、身体以外の障害には発達障害と精神障害の2つに分かれるが、これを分けて考え、特に発達障害の学生支援に力を入れてもらいたい。大学等の現場で課題となっている。

●平野部長 学生相談には、臨床心理、肢体不自由及びメンタルヘルス等幅広い相談を含むことから、JASSOでは「障害学生支援」として対応している。大学職員の知識を深化させることにより、より充実したものとして進めていきたい。

○小林委員 所得連動返還型自体は望ましい方向だと思うが、JASSOに事務量の増大により、大きな負担が生じることが懸念される。また、制度設計が十分でない場合、高校・大学等現場に大きな混乱を招きかねない。イギリスやアメリカでは、債務の帳消し制度があるが、日本は今後どのように対応していくのか。年収300万円を越えたということを自己申告にするのか、また配偶者に高所得がある場合の返還の取扱い等、具体的に詰めて、制度の内容をしっかり社会に伝えて欲しい。

●遠藤理事長 課題はあると思うが、制度概要を元にしたシミュレーションでは、現在のJASSOの体制で事務処理対応等が可能と考えている。

○小林委員 JASSOにはデータが豊富にあるが、これを整備し充分に活用すべきではないか。独法改革で成果目標達成法人に分類されることにより、的確な目標を設定する必要が生じるが、これに対応するため、調査研究部門の充実が必要になると考える。

●遠藤理事長 JASSOとしてもご指摘の点は重要と考えているので、ニーズを把握し、より良い統計を作成するためのご意見をお寄せいただきたい。
 
●髙塩代理 業務量が増加する中、人員が削減されており、調査研究に職員を充当しにくい状況ではあるが、機構内の客員研究員にもご協力いただき、適切に進めていきたい。

○和田(寿)委員 学生生活においては、住居費が大きな問題となっている。JASSOは諸外国を参考に住居も含めた総合的な学生支援について国と地方で協力して実施していただきたい。所得連動返還型奨学金制度は今年度の入学者からではなく卒業生も対象にならないか。また、収入に対する比率で返還方法を収入に連動させるなど柔軟な対応も検討を願いたい。

■松尾課長 学生の宿舎については、長崎大学がPFI方式で設置するなどしているが、そのような事例などを紹介しながら大学等に働きかけていきたい。所得連動返還型奨学金については、低所得者世帯が進学を断念しないことを本来の目的としており、既に進学している人に対しては、まずは、現在の猶予制度、減額返還制度の活用等により対応していきたい。マイナンバー法が始まれば、所得に応じた比率による柔軟な返還制度への移行も可能と考えている。

○和田(義)委員 JASSOは債権回収事業について注力しすぎていないか。学生に対してどういうサービスが出来たか、という成果を国民に伝えるべきであろう。不良債権について取り上げられることが多いが、貸与目的からすれば悪い回収率ではない。非効率なことは正していくものの、人件費削減の中、業務が増えている点も含め適切に国民に伝える必要がある。

●遠藤理事長 JASSOの組織目的は「学生支援」であり、今後もこれに邁進していく所存であり、本委員会以外の場でも、委員の先生方からは、遠慮なく忌憚ないご意見を頂戴することをお願いしたい。

以上