日本語教育機関教員と高等教育機関留学生教育担当者との研究協議会(実施報告)

日本語教育センターでは、大学等の情報収集や日本語教育機関と高等教育機関との連携に関する研究協議会を毎年開催しています。

令和7年度実施報告

1.実施概要

日時:令和7年6月7日(土曜日)13時30分~16時30分
テーマ:「日本語教育機関『留学のための課程』におけるオートノミー育成を考える」
開催方法:オンライン(Zoomのウェビナーによるライブ配信)
講師:義永美央子氏(大阪大学国際教育交流センター教授)
   増田麻美子氏(文部科学省総合教育政策局日本語教育課日本語教育調査官)
   山本弘子氏(カイ日本語スクール代表)
参加者数:622名(378機関)

2.実施報告

留学生が進学先高等教育機関において自律的に学問を究められるよう学習者オートノミーを育成することは「留学のための課程」を持つ日本語教育機関において重要な課題となっています。また、その学習者オートノミーを育てるためには、教師オートノミーの育成も必要となり、そのために必要な環境を一つ一つの職場や日本語教育の学問分野全体で考える必要があると言われています。
そこで、令和7年度の研究協議会では、「留学のための課程」を持つ日本語教育機関で育成すべき学習者オートノミー及び、教師オートノミーについて考える機会を作るべく、日本語学校・高等教育機関・文部科学省の方々をお招きし、それぞれの観点からオートノミーやその育成について議論いただきました。
まず、義永氏にオートノミーの基本的な概念から教師・学習者それぞれに必要なオートノミーの育成まで、ご自身の実践を基に、その具体的な方法や考え方をお話しいただきました。
その後、増田氏、山本氏、そして義永氏の三名にご登壇いただき、義永氏のご講演を踏まえて、増田氏には認定日本語教育機関のカリキュラム設定や日本語教師の資質・能力、養成・研修等の観点から、山本氏には日本語学校の現場の事例に基づく教師の関わり方の観点から、そして義永氏には自律的な学びや教師側のアドバイジング等の観点から日本語教育機関『留学のための課程』におけるオートノミーの育成について議論いただきました。
開催後アンケートでは、「各専門家の先生の話が聞けたこと、現場に寄り添った内容だったことで、非常に満足度が高かった」「学習者オートノミー及び教員のオートノミーという、比較的抽象度の高いテーマに関して非常に多くの実例を基に理解することができた」「行政、高等教育機関、日本語学校というそれぞれの視点からいかにして参画していくかという観点もよく話されていて非常に勉強になった」「学生のオートノミーではなく、自分自身のオートノミー、教師側のオートノミーについて考え直す必要があると思った」などの感想がありました。また、オンライン開催に関しては、「毎回オンラインで開催していただけると助かる」「忙しい業務の中で学ぶ機会がなかなかないため、オンラインでこのような機会を作ってもらえて、大変ありがたい」というご意見を、運営に関しては、「人選、テーマ、タイミング、各登壇者の話の内容、どの点においても非常に満足で、参加してよかった」「理解が促進されるようによく練られた運営で、勉強になった」「JASSOがこのような現場に寄り添った企画を実施することには大きな意味があると思う」というご意見をいただきました。

講演(義永氏)の画像

講演(義永氏)

増田氏の画像

ディスカッション(増田氏)

山本氏の画像

ディスカッション(山本氏)

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