令和3年度 学生生活にかかる喫緊の課題に関するセミナー(オンライン開催)

本セミナーは、学生を取り巻く諸問題や大学、短期大学および高等専門学校における学生支援に関する喫緊の課題をテーマとして、具体的な問題事例や課題解決に向けた好事例の紹介等を行うことにより、学生支援の充実を図ることを目的として平成22年度より実施しています。
本年度は「コロナ禍における学生のメンタルヘルスと支援」をテーマとして、コロナ禍における学生のメンタルヘルスの状況、対面での対応が困難なときの支援の在り方、さらに自殺予防策や日ごろの学内連携によるきめ細やかな支援方策等、専門家による講演、取組事例の紹介及びディスカッションを通じて、今後の大学等における支援の充実のために参考となる情報や知見を共有します。

  • 主催:日本学生支援機構
  • 後援:文部科学省、特定非営利活動法人全国大学メンタルヘルス学会、日本学生相談学会

日時

令和3年12月10日(金曜日)13時30分から16時20分まで
(オンライン開催)


プログラム

時間 プログラム・講師等
13時30分~13時35分 開会挨拶 吉田 真(独立行政法人日本学生支援機構 理事)
13時35分~13時55分 挨拶・行政説明 辻 邦章 氏(文部科学省高等教育局学生・留学生課 課長補佐)
13時55分~14時25分 基調講演「コロナ禍における学生のメンタルヘルス」
【講師】
安宅 勝弘 氏(全国大学メンタルヘルス学会理事長・東京工業大学 保健管理センター教授)
<休憩5分>
14時30分~16時15分 パネルディスカッション「メンタルヘルス支援の取組」
【モデレーター】
高野 明 氏(東京大学 相談支援研究開発センター准教授)
【パネリスト】(取組紹介):
・岩田 淳子 氏(成蹊大学 文学部教授 学生サポートセンター学生相談室専任カウンセラー)
・加藤 恵津子 氏(国際基督教大学 学生部長 教養学部アーツ・サイエンス学科教授)
・河野 美江 氏(島根大学 教育・学生支援本部保健管理センター教授)
※途中休憩あり。
16時15分~16時20分 閉会挨拶 井上 示恩(独立行政法人日本学生支援機構 学生生活部長)

参加者数・参加者アンケート

参加者数:1,011人
終了後のアンケートでは、「タイムリーなテーマ設定であり、問題の現状理解および基本的な対応について学ぶことができた。」「様々な角度から学生相談の在り方や連携方法等について紹介があり、大変参考になった。質疑応答の時間も他大学からの興味深い質問に丁寧にお答えいただいており、とても勉強になりました。」といった意見が寄せられ、セミナー全体の満足度は93.8%でした。

文部科学省 挨拶・行政説明 資料・動画

基調講演「コロナ禍における学生のメンタルヘルス」 (全国大学メンタルヘルス学会 理事長・東京工業大学 保健管理センター教授 安宅 勝弘 氏) 資料・動画

基調講演でご説明のあった「令和2年度 大学における死亡学生実態調査・自殺対策実施状況調査」の結果につきましては、以下のホームページで公表されておりますのでご覧ください。

パネルディスカッション「メンタルヘルス支援の取組」 各パネル報告 資料・動画

報告1 成蹊大学の取組み ~トリアージの活用から遠隔相談を活用し続ける現在まで~

岩田 淳子 氏(成蹊大学 文学部教授 学生サポートセンター学生相談室専任カウンセラー)
成蹊大学学生サポートセンター学生相談室では2020年3月初旬よりZoom相談を導入したとともに、1回目の緊急事態宣言による、学生および教職員の入構制限を前に、2020年4月時点の継続相談学生に対するトリアージ(緊急度に応じた支援の振り分け)を行った。対面相談が不可能になった際に、トリアージに基づき、遠隔相談を積極的に活用し、相談を途切れさせることなく継続できた。2020年4月初旬には「オンライン新規相談申し込みフォーム」を導入し、大学に通学する機会のない学生の援助要請を受け入れる体制を構築した。現在まで、学生の相談内容は時期毎に変化はあるものの、学生の悩みや苦悩にはコロナ禍の影響が色濃く反映されている。
コロナ禍における本学相談体制の経緯と学生の相談内容の概要を紹介するとともに、遠隔相談の導入による意義(対面相談の再考・遠隔相談のメリット)、課題(アセスメントの限界と相談構造の混乱)、展望(カウンセリングスキルの向上と的確かつ柔軟な学生相談のあり方)を学生相談実践に基づいて報告する。

報告2 「学生の健康を考える会」は何を考えているのか? ~ヨコのつながりによるトータルな健康支援とは~

加藤 恵津子 氏(国際基督教大学 学生部長 教養学部アーツ・サイエンス学科教授)
学生の健康という時、フィジカルの担当は学内クリニック、メンタルは心理相談室と思われがちだが、実際はそれだけではない。本学の「学生の健康を考える会」は、約15の部署の教職員から成るゆるやかなネットワークであり、月1回、1時間の会合を行っている。
小さな気づきから深刻な事例までを含む、一人3~5分の報告は、ユーモアを交えた吐露という形をとり、解決よりも共有することに価値を置く。この会合の原型は、本学の献学期(1950年代)に、Community Hygieneの理念に基づき始まっている。
この「ゆるい」会合の積み重ねには、いくつかの効果があると思われる。本報告では、これらの効果の実感に触れつつ、学生の健康とは、フィジカル・メンタル両面を含むのはもちろん、就職支援や経済的支援、授業支援などのトータル・サポートを必要とするものであることを示したい。

報告3 コロナ禍における学生支援 ~一地方大学での取り組み~

河野 美江 氏(島根大学 教育・学生支援本部保健管理センター教授)
島根県は累積コロナ感染者数が全国で2番目に少なかったが、感染者が地域で特定されやすいなど首都圏や都市部とは違った形での困難さがある。
島根大学松江キャンパスは学生数約5,000名の総合大学で、その7割が県外生である。2020年前期の授業はすべてオンラインとなったため実家にいた学生も多く、そこで月に一度指導教員が学生に連絡し、体調や困っていることなどを確認した。学生相談室では、教員に学生へのメール例や対応フローチャートを提供し、教員から「気になる学生」を紹介してもらった。
後期からは段階的に対面授業が開始されたが、一人暮らしで孤独を深める学生がいると考えられた。そこで学生相談室では、学生のメンタル不調を早期に把握するため、オンラインでの健康チェックや申し込みを拡充し、電話、メール相談に加えオンライン相談を行った。
本セミナーでは、教職員との連携による学生支援と様々な相談方法について報告する。

パネルディスカッション 質疑応答

お問い合わせ
独立行政法人日本学生支援機構 学生生活部 学生支援企画課 総務企画係
  • 電話 03-5520-6166
  • E-mail gakuseishien【@】jasso.go.jp
  • メールを送る際は@の前後の【】を取ってご利用ください。