5.病弱・虚弱(1)病弱・虚弱とは

「病弱・虚弱」は、医学用語ではなく、一般的な言葉として、また行政用語として使われています。学校教育法施行令第二十二条の三においてその程度が示されています。

病弱・虚弱な学生で法的支援が整備されているのは、児童福祉法の規定に基づく小児慢性特定疾病や身体障害者福祉法の規定に基づく内部障害に該当する疾患です。

小児慢性特定疾病とは、その治療が長期間にわたり、医療費の負担も高額となることからその治療の確立と普及を図り、あわせて患者家庭の医療費の負担軽減にも資するため、医療費の自己負担分を補助する対象の疾患です。対象年齢は、18歳未満の者で、引き続き治療が必要であると認められる場合は20歳未満です。疾患は、14疾患群(704疾病)が対象であり、疾患群は、悪性新生物、慢性腎疾患、慢性呼吸器疾患、慢性心疾患、内分泌疾患、膠原病、糖尿病、先天性代謝異常、血液疾患、免疫疾患、神経・筋疾患、慢性消化器疾患、染色体または遺伝子に変化を伴う症候群、皮膚疾患があります。これらの疾患に罹患した学生の中には病気に起因した問題を成人の年代まで持ち越す、いわゆるキャリーオーバーの状態になっている人がいます。また、未だ特定疾病には入っていない数多くの小児慢性疾患もあります。

一方、内部障害とは、身体障害者福祉法に定める心臓機能障害、腎臓機能障害、呼吸器機能障害、膀胱又は直腸の機能障害、小腸機能障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害、肝臓機能障害の7つの種類をいいます。厚生労働省が行なった平成23年「生活のしづらさなどに関する調査(全国在宅障害児・者実態調査)結果」(※)では、内部障害者は、930,300人で身体障害者の24.1%を占めています。実際には上記の疾患以外にも、内臓の疾患による機能障害が永続していて、社会生活あるいは家庭生活、さらに重症になれば日常生活に著しい制限をきたしている場合があります。

  • 平成23年「生活のしづらさなどに関する調査」は、岩手県、宮城県、福島県、仙台市、盛岡市、郡山市及びいわき市については、東日本大震災の影響により、調査を実施していない。