4.肢体不自由(6)支援体制の継続的な見直し

1.支援体制の構築

支援対象となる障害学生の入学頻度が少ない場合には、そのときどきで周辺の学生や教職員を中心に支援体制を組むことが一般的なようです。しかし間欠的あるいは定期的に入学実績があり将来的にも見込まれるようになると、ノウハウの引き継ぎや体制の一貫性と計画性を保つために、一定の支援組織を構築・維持することの意義が出てきます。組織は関連教員と学生・教務などだけでなく、入試・就職・厚生・施設などの部局も含まれることが望ましいといえます。また学生相談・保健管理のスタッフとも連携・交流が必要となります。比較的小規模組織とする場合には、学生・教務と学生相談などを中核とする構成の大学等も見受けられます。この組織を全学的な位置づけとすることにより、効果的かつ円滑な支援体制を進めることができます。学生支援組織が先行して展開する場合もありますが、このときも教職員による対応体制が求められます。

2.学生のニーズ変化への対応

肢体不自由の学生は、必要とする支援の内容や量が変動する場合があるようです。理由は様々ですが、障害程度そのものの変化だけでなく、生活経験の積み重ねや支援者を含む周辺学生との関係変化により困難への対応が変わってくることも影響するようです。生活スタイルの変化も関わります。例えば入学時前後の支援をピークとして次第に支援量を減らす学生もときどき見かけます。もちろん事情によってはより多くの支援を必要とすることもあります。いずれにしても、学生に対するモニターを行ない、ニーズの変化に応じた支援を講じることが求められるでしょう。

3.物理的バリアの把握と改修

キャンパスや校舎などの物理的バリアを調査することは、肢体不自由の学生のより円滑な移動と活動を保障するとともに、バリアフリー環境形成に向けた認識を学内で共有するための資料となります。また施設部局等との改修計画協議に有用なデータを提出することができます。
しかし、物理的バリアの状態は時間経過により変化します。新規の建物などが増えていることもあります。それらに伴い、物理的バリアの状況は改善あるいは悪化しているか確認する必要があります。また在籍する肢体不自由の学生にも、活動範囲や行動ルートに変化が生じているかもしれません。このような理由から、キャンパスの物理的バリアは定期的に調査し、データを更新することが望ましいでしょう。
キャンパスの事情に合わせて調査項目を整理し、記録を重ねていくと便利です。また調査箇所は写真に撮っておくと記録の曖昧さを無くし、訴求力を高めることができます。調べる対象箇所が大きい場合には、学生の主たる活動域を中心にエリアを区切り、いくつかのグループで分担しながらチェックすると負担が減ります。こうして収集した記録は、急な改修要望提出が求められても対応しやすくなり、また改修の年次計画作成へと繋げていくことができます。