制度の概要・目的
猶予年限特例は、家計状況の厳しい世帯の学生・生徒が無利子奨学金(第一種奨学金)の貸与を受けた場合、本人が卒業後に一定の収入を得るまでの間は、願い出により、特例として年限(猶予を受けることができる期間)の制限なく返還期限猶予を受けることができる制度です。この制度は、学ぶ意欲と能力がある学生・生徒が経済的理由により学業を断念することのないよう、将来の返還の不安を軽減し、安心して修学できるようにすることを目的としています。
- ※平成24年4月から平成29年3月までの採用者については、本制度は「所得連動返還型無利子奨学金制度」と呼ばれていました。なお、本制度は、「所得連動返還方式」とは異なる制度です。
対象者
猶予年限特例は、第一種奨学金の選考時に同時に審査を行います。その際、次の条件をともに満たす人が対象となります。
- (1)第一種奨学金採用者(大学院を除く)である。
- (2)貸与額算定基準額(※)が24,300円以下である。
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※貸与額算定基準額の計算方法については、以下のページをご覧ください。
収入・所得の上限額の目安
採用種別 | 想定する世帯構成(例) |
年間の
収入金額
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年間の
所得金額
|
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予約採用 | 親A、親B(無収入)、高校生、中学生 | 300万円 | 210万円 |
在学採用 | 親A、親B(無収入)、大学生、高校生 | 392万円 | 295万円 |
- ※表中の数字はあくまで目安です。収入基準は収入・所得に基づく課税標準額等により設定されているため、世帯構成、障がい者の有無、各種保険料の支払い状況等により、目安の金額を上回っていても対象となる場合や、下回っていても対象とならない場合があります。
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※予約採用と在学採用では申込者本人の年齢層が異なるため、世帯構成(例)をそれぞれの年齢層に合わせたものとしています。
そのため、上限額の目安も異なるものとなっていますが、基準自体は予約採用でも在学採用でも変わりません。
基準に合致する場合、機構から適用の通知をします。猶予年限特例には申込等の手続きは不要であり、希望の有無にかかわらず、該当者には自動的に資格が付与されます。
また、奨学金の貸与を開始する際にお渡しした「奨学生証」および貸与終了年度にお渡しした「貸与奨学金返還確認票」の右上に[猶予年限特例]と印字されています。
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※
「猶予年限特例」は奨学生番号ごとに適用されます。複数の奨学生番号を持っている場合、通常の奨学金と「猶予年限特例」が混在していることがあります。
奨学金貸与中の手続き
「猶予年限特例」のために特に必要な手続きはありません。
奨学生として採用後は、通常の奨学生と同じように返還誓約書を提出することや適格認定(奨学金継続願提出)の対象となること、また、そのほかの種々の手続き等に関しても同じです。
貸与終了後の返還について
貸与終了後も、通常の奨学生と同様に返還していただきます。
通常の奨学生と異なる点
「猶予年限特例」の対象となっている人は、本機構が定める一定額の収入を得るまでの間は、1年ごとに本機構に願い出て承認を得ることで年限の制限なく返還期限が猶予されます(※)。ただし、対象となっている人が被扶養者である場合は、以下の(1)~(4)の条件のいずれか1つに該当する必要があります。
- (1)乳幼児がいる世帯で対象となっている被扶養者以外に保育する者がいない。
- (2)介護等を要する障害者、療養者又は要介護者がいる世帯で対象となっている被扶養者以外に介護等を行う者がいない。
- (3)対象となっている被扶養者が妊娠中である。
- (4)対象となっている被扶養者が身体の障害その他やむを得ない事由により就労が制限されている。
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※通常、経済困難等の事由による返還期限の猶予の年限は最長10年となっています。
例えば、「猶予年限特例」が適用されている第一種奨学金を利用されている方が、あわせて第二種奨学金をご利用されている場合、当該第二種奨学金には「猶予年限特例」は適用されません。