日本学生支援機構は全国の大学等において、障害のある学生の修学支援体制を整えるために平成26年度から平成29年度の4年間にわたり「全国障害学生支援セミナー体制整備支援セミナー」を実施してきたところです。
平成30年度からは「障害学生支援理解・啓発セミナー」と名称を変更しました。
本セミナーでは、これまで体制整備支援セミナーに参加実績のない大学等や、障害学生が在籍しない大学等の教職員及び管理者等を主な対象として実施し、理解・啓発を図ります。
- ※セミナー毎に登壇者は異なりますが、同じプログラムとなります。
開催概要
主催・協力
- 主催:独立行政法人日本学生支援機構
- 協力:文部科学省
開催日時・会場
- 「障害学生支援理解・啓発セミナー1」
- 令和元年10月1日(火曜日)11時から17時(受付開始10時30分)
東京国際交流館 プラザ平成 - 「障害学生支援理解・啓発セミナー1」開催報告
- 日本学生支援機構は全国の大学等における障害のある学生の修学支援体制の底上げを図るため、障害学生支援の体制整備が思うように進まない、または障害学生が在籍しない大学等の教職員や管理者の理解啓発を促し、障害学生の支援体制の充実を図ることを目指したセミナーを実施しています。令和元年10月1日(火曜日)に東京国際交流館プラザ平成(東京都)で「障害学生支援理解・啓発セミナー1」を開催しました。また、今回は新たな試みとしてインターネットを使った同時配信を実施しました。
本セミナーでは、まず文部科学省高等教育局の成相圭二学生・留学生課課長補佐による国の施策や事業について説明があり、続いて本機構の井上示恩学生生活部長から障害学生支援事業の取組を紹介しました。
昼食休憩を挟んで、基調講演として「障害学生支援に向けた学内体制整備の基礎」をテーマに、東京大学先端科学技術研究センターの近藤武夫准教授から講演をいただき、前半は障害者権利条約における障害の「社会モデル」の解釈と障害者差別解消法の求めている「差別的取扱いの禁止」「合理的配慮の提供」の内容を中心に説明した後、大学のなかで起こりうる具体的な事例や状況を用いて取組への理解と対応を求めました。
次に大学からの事例提供として明治学院大学の岡田孝和障がい学生支援コーディネーターと東京女子大学の河野恵美障がい学生支援コーディネーターから、実際の大学の障害学生支援体制についての説明と、障害学生の支援・配慮は適宜検証と再調整を要することや、教職員への理解啓発を図る取組事例の紹介がありました。
その後、東京大学の近藤准教授から文部科学省の「社会で活躍する障害学生支援プラットフォーム形成事業」の事業成果について報告がありました。本事業は東京大学と京都大学が採択校として中心的に事業展開を行なっているもので、東京大学では「障害学生支援のスタンダード構築」「キャリア移行支援・産学連携構築」「障害学生のエンパワメント」の3つの柱を「個別相談対応」「専門的研修による職能の向上」「コミュニティ活動の支援」「報告書の公開」の4つの活動を通じて、すべての高等教育機関で障害学生が学べる環境づくりを目指す事業を展開しており、京都大学は各大学等の障害学生支援体制構築のコンサルティング、ニーズに応じたネットワーク形成やリソースシェアの支援、高大連携や就労移行支援の促進を図る活動の他、高等専門学校、公立大学、通信制や大学院などの異なる環境での支援に力を入れていることが紹介されました。
また、本年度のセミナーではプログラムの最後に、例年のアンケートで参加者からの要望が多かった、登壇者や参加者同士の意見交換と交流を図るための情報交換会の時間を設けました。参加者は登壇者への質問や参加者同士の交流によって親睦を深めました。
本セミナーで来場した参加者は160名で、アンケートによる総合満足度は「十分満足した」「概ね満足した」を併せて95.7%でした。自由記述では「(障害学生支援の)目的が明確に示され、学内での情報共有に活用できる」「学内で支援に関する理解を促進するためのヒントを得られた」などの内容が寄せられました。
また、オンライン配信における視聴数は55名で、アンケートの総合満足度は90.9%となり、「オンラインセミナーで、今まで研修に参加しなかった教職員が学ぶことができたので良い機会となった」など、今後もオンライン配信を期待する内容もありました。
なお、本年度は10月25日(金曜日)に「障害学生支援理解・啓発セミナー2」を新大阪丸ビル別館(大阪市)で開催します。 - 「障害学生支援理解・啓発セミナー2」
- 令和元年10月25日(金曜日)11時から17時(受付開始10時30分)
新大阪丸ビル 別館
- 「障害学生支援理解・啓発セミナー2」開催報告
- 日本学生支援機構は「障害学生支援理解・啓発セミナー1」に引き続き、「障害学生支援理解・啓発セミナー2」を大阪で開催しました。
午前中は文部科学省高等教育局の成相圭二学生・留学生課課長補佐から国の施策と大学等で取り組むべき課題について、障害のある学生の修学支援に関する検討会のまとめで取り上げられた主要課題を説明しました。また、大学等の障害学生支援の取組のために活用できる情報として、「社会で活躍する障害学生支援プラットフォーム形成事業」「多様な発達特性を有する学生に対する支援人材教育拠点」等の活用可能なリソースを紹介しました。続いて、本機構の展開している事業について、本機構井上示恩学生生活部長より説明しました。
午後からは基調講演と2つの大学から支援状況、現在の体制についての事例を紹介しました。
基調講演は京都大学の村田淳准教授から、京都大学の現在の組織・人員体制の紹介と、障害学生支援はそれぞれの大学等で障害学生の修学機会を保証することが目的であることを述べたうえで、特定の資格修得者の確保によって業務目的が達成されるわけではなく、各大学等で修学機会の保証を検討し、合理的配慮を積み重ねていくことが必要であると強調しました。加えて、合理的配慮の提供については国立、公立、私立では大学の組織構造や義務、努力義務の違いがありますが、合理的配慮を必要としている学生がいて、配慮が必要な事実は変わらない以上、学生の修学機会の保証は必須だと考えるよう求めました。事例紹介ではまず、京都外国語大学の梅本直コーディネーターから、当初の支援の取組状況の説明と支援組織がなかったことによる支援実績の喪失、責任者や責任所在の在り方、社会への出口となることを念頭に置いた配慮の検討等が取り上げられました。次に広島女学院大学の山下京子教授から「障がい学生高等教育支援室」ができるまでの経緯、同室を継続的に運用するために取り組んだことやその取組についての反省点、各教職員への理解、情報の浸透の手法・工夫等を紹介しました。
また、本機構は「社会で活躍する障害学生支援プラットフォーム形成事業」によって得られた知見等の成果について、全国の大学等に普及・展開する役割を担っており、本セミナーにおいて京都大学の舩越高樹特定准教授から現在までの事業成果を報告しました。
プログラムの最後には参加者同士の情報交換や交流、講師への質問のための情報交換会を実施し、参加者間の交流と親睦を深めました。
参加者は127名で、「十分満足した」「概ね満足した」を合わせた総合満足度は95.6%となり、「他大学の工夫を重ねた取組に驚いた」「(障害学生支援とは、障害学生の修学機会を保証することが目的であり)体制を整えることが目的ではないとの説明から、柱を決め、やることを進めればよいと分かった」などの感想が寄せられました。
募集要項
- 参加対象者:高等教育機関の管理者および障害学生支援に携わる高等教育機関の教職員
- (障害学生が在籍していない場合や思うように取組が進まない大学等の教職員向けの内容です)
- 参加費:無料(参加に伴う旅費等は各所属機関等でご負担ください)
- 参加定員:
- 「障害学生支援理解:啓発セミナー1」:250名
- 「障害学生支援理解:啓発セミナー2」:200名
プログラム・配布資料
掲載資料は著作権により保護されています。各掲載資料の著作権は資料作成者に帰属し日本学生支援機構は資料作成者の利用許諾に基づき掲載しております。著作者に無断で掲載資料の転載、二次利用を行なうことは禁じられています。また、参考文献、引用部分については出典元に著作権が帰属します。
- 文部科学省 行政説明
- 11時から11時20分まで
- 「障害学生支援理解・啓発セミナー」
- 障害のある学生の修学支援
- 日本学生支援機構 学生生活部 事業概要説明
- 11時20分から11時40分まで
- 「障害学生支援理解・啓発セミナー」
- JASSOにおける障害学生修学支援事業について
- (昼食休憩)
- 基調講演
- 13時から14時まで
「障害学生支援理解・啓発セミナー1」 - 障害学生支援に向けた 学内体制整備の基礎
- 講師:近藤武夫(東京大学 先端科学技術研究センター 准教授)
- 「障害学生支援理解・啓発セミナー2」
- 障害学生支援体制の構築にむけて
- 講師:村田淳(京都大学 障害学生支援ルーム 准教授)
- (休憩)
- 事例紹介
- 14時15分から15時15分まで
大学等における障害学生支援の取組について2校の事例を紹介
「障害学生支援理解・啓発セミナー1」
- 学内における 理解啓発と連携・支援体制の構築 ー東京女子大学の取組からー
- 講師:河野恵美(東京女子大学 学生生活課 障がい学生支援コーディネーター)
- 明治学院大学における障がい学生支援についてー体制・組織面を中心にー
- 講師:岡田孝和(明治学院大学 学生サポートルーム 障がい学生コーディネーター)
- 「障害学生支援理解・啓発セミナー2」
- 障がい学生への支援の取組
- 講師:梅本直(京都外国語大学 学生部健康サポートセンター障がい学生支援室 コーディネーター主事)
- 広島女学院大学における広島女学院大学における
- 講師:山下京子(広島女学院大学 児童教育学科 教授)
- 15時15分から15時45まで
- 「社会で活躍する障害学生支援プラットフォーム形成事業」の事業報告
- 「障害学生支援理解・啓発セミナー1」
講師:近藤武夫(東京大学 先端科学技術研究センター 准教授) - 「障害学生支援理解・啓発セミナー2」
講師:舩越高樹(京都大学 学生総合支援センター 障害学生支援ルーム 高等教育アクセシビリティプラットフォーム 特定准教授) - (休憩・移動)
- 情報交換会に参加されない方は解散となります。
- 情報交換会
- 16時から17時まで
- ※情報交換会は無料です。また、適宜自由解散となります。
- 障害学生支援理解・啓発セミナーに関する問い合わせ先
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- 日本学生支援機構 学生生活部 障害学生支援課 障害学生支援計画係
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- 住所 東京都江東区青海2-2-1
- 電話 03-5520-6173
- FAX 03-5520-6051
- E-mail tokubetsushien【@】jasso.go.jp
- メールを送る際は@の前後の【】を取ってご利用ください。
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