- [ 試験の目的 ]
- この試験は,外国人留学生として,日本の大学(学部)等に入学を希望する者が,大学等において勉学するに当たり必要とされる理科科目の基礎的な学力を測定することを目的とする。
- [ 試験の種類 ]
- 試験は,物理・化学・生物で構成され,そのうちから2科目を選択するものとする。
- [ 出題の範囲 ]
- 出題の範囲は,以下のとおりである。なお,日本の小学校・中学校で学ぶ範囲については既習とし,出題範囲に含まれているものとする。出題の内容は,それぞれの科目において,項目ごとに分類され,それぞれの項目は,当該項目の主題又は主要な術語によって提示されている。
化学シラバス
出題範囲は,日本の高等学校学習指導要領の「化学基礎」及び「化学」の範囲とする。
I 物質の構成
1.物質の成分と構成元素
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(1)純物質と混合物
純物質,混合物,物質の分離・精製 -
(2)物質とその成分
元素,単体,化合物,同素体,元素の確認(炎色反応,沈殿反応) -
(3)物質の状態
物質の三態(気体,液体,固体),状態変化
2.物質の構成粒子
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(1)原子の構造
電子,陽子,中性子,原子番号,質量数,同位体 -
(2)電子配置と周期律
電子殻,原子の性質,周期表,最外殻電子,価電子
3.物質と化学結合
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(1)イオン結合
イオン結合,イオン結晶,イオン化エネルギー,電子親和力,電解質 -
(2)金属結合
金属結合,自由電子,金属結晶,展性・延性 -
(3)共有結合
共有結合,配位結合,共有結合結晶,分子結晶,結合の極性,電気陰性度 -
(4)分子間力
ファンデルワールス力,水素結合 -
(5)化学結合と物質の性質
融点,沸点,密度,溶解度,電気伝導性,熱伝導性
4. 物質の量的取扱いと化学式
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(1)物質量など
原子量,分子量,式量,物質量,モル濃度,質量パーセント濃度,質量モル濃度 -
(2)化学式
分子式,電子式(ルイス構造),構造式,組成式(実験式)
II 物質の状態と変化
1.物質の変化
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(1)化学反応
化学反応式,化学反応の量的関係 -
(2)酸・塩基
酸・塩基の定義と強弱,水素イオン濃度,pH,中和反応,中和滴定(酸塩基滴定),塩(えん) -
(3)酸化・還元
酸化・還元の定義,酸化数,金属のイオン化傾向,酸化剤・還元剤, 酸化還元滴定
2. 物質の状態と平衡
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(1)状態の変化
分子の熱運動と物質の三態,気体分子のエネルギー分布,絶対温度,沸点,融点,融解熱,蒸発熱,蒸気圧,状態図 -
(2)気体の性質
理想気体の状態方程式,混合気体,分圧の法則,実在気体と理想気体 -
(3)溶解平衡
希薄溶液,飽和溶液,溶解度積,過飽和,固体の溶解度,気体の溶解度,ヘンリーの法則 -
(4)溶液の性質
蒸気圧降下,沸点上昇,凝固点降下,過冷却,浸透圧,コロイド溶液,チンダル現象,ブラウン運動,透析,電気泳動 -
(5)固体の構造
結晶,アモルファス,単位格子,金属結晶[体心立方格子,面心立方格子(立方最密構造),六方最密構造],イオン結晶,共有結合結晶,分子結晶
3. 物質の変化と平衡
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(1)化学反応とエネルギー
化学反応と熱・光,発熱反応,吸熱反応,結合エネルギー,エンタルピー,反応エンタルピー,生成エンタルピー,ヘスの法則 -
(2)電池
電気エネルギーと化学エネルギー,ダニエル電池,実用電池(乾電池,鉛蓄電池,燃料電池など) -
(3)電気分解
電極反応,物質の変化量と電気量(ファラデーの法則),電解精錬 -
(4)反応速度と化学平衡
反応速度と速度定数,反応速度と濃度・温度・触媒,活性化エネルギー,可逆反応,平衡定数,化学平衡の移動,ルシャトリエの原理 -
(5)電離平衡
酸・塩基の強弱と電離度,水のイオン積,弱酸・弱塩基の電離平衡,塩(えん)の加水分解,緩衝液
III 無機化学
1.無機物質
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(1)典型元素(主要族元素)
各族の代表的な元素の単体と化合物の性質や反応,及び用途
1族:水素,リチウム,ナトリウム,カリウム
2族:マグネシウム,カルシウム,バリウム
13族:アルミニウム
14族:炭素,ケイ素,スズ,鉛
15族:窒素,リン
16族:酸素,硫黄
17族:フッ素,塩素,臭素,ヨウ素
18族:ヘリウム,ネオン,アルゴン -
(2)遷移元素
クロム,マンガン,鉄,銅,亜鉛,銀,水銀,及びそれらの化合物の性質や反応,及び用途 -
(3)無機物質の工業的製法
炭酸ナトリウム,アルミニウム,ケイ素,鉄,銅,水酸化ナトリウム,アンモニア,硫酸,硝酸など - (4)金属イオンの分離・分析
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(5)広く利用されている金属と無機化合物
金属:チタン,タングステン,白金,ステンレス鋼,ニクロムなど
無機化合物:ガラス,ファインセラミックス,酸化チタン(光触媒)など
IV 有機化学
1.有機化合物の性質と反応
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(1)脂肪族炭化水素
アルカン,アルケン,アルキンの代表的な化合物の構造,性質及び反応,石油の成分と利用など
構造異性体・立体異性体(シス-トランス異性体,鏡像異性体) -
(2)官能基をもつ脂肪族化合物
アルコール,エーテル,アルデヒド,ケトン,カルボン酸,エステルなど代表的な化合物の構造,性質及び反応
油脂・セッケンなど -
(3)芳香族化合物
芳香族炭化水素,フェノール類,芳香族カルボン酸,芳香族アミンなど代表的な化合物の構造,性質及び反応
2.有機化合物と人間生活
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(1)単糖類,二糖類,アミノ酸など生体に関わる有機化合物
グルコース,フルクトース,マルトース,スクロース,グリシン,アラニンなど -
(2)代表的な医薬品,染料,洗剤などの主な成分
サリチル酸の誘導体,アゾ化合物,アルキル硫酸エステルナトリウムなど -
(3)高分子化合物
i) 合成高分子化合物:代表的な合成繊維やプラスチックの構造,性質及び合成
ナイロン,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリ塩化ビニル,ポリスチレン,
ポリエチレンテレフタラート,フェノール樹脂,尿素樹脂など
ii) 天然高分子化合物:タンパク質,デンプン,セルロース,天然ゴムなどの構造や性質,DNAなどの核酸の構造
iii) 広く利用されている高分子化合物(吸水性高分子,導電性高分子,合成ゴムなど)の用途,資源としての高分子の再利用
