肢体不自由 場面別 2 学習

学習全体

困難さ・考えられる支援の観点

様々な場面(「座って学習する場面」、「立って学習する場面」、「動いて学習する場面」、「その他の場面」)があり、それぞれの場面において、車いす使用と杖使用による違いがあります。

座って学習する

困難さ・考えられる支援の観点

a.講義・ゼミ

使いやすい机のイメージ
車いす用の机の例

階段教室では移動が困難です。自分の着きたい席、例えば前の席や後ろの席などの選択ができません。机といすが固定してある場合には、机の高さや机といすの広さが足りず、車いすでは着席できません。また、杖使用で脚を曲げられない人が座りにくい場合があります。床がフラットで、机といすが固定してない教室を使用します。机といすが固定してある教室を使用する場合は、移動可能な机といすを用意します。机は車いすにあわせて高さ調節ができるものが良いです。
上肢障害がある場合には、ノート、資料などへの筆記が難しかったりするので必要な対応をします。パソコン利用の際には、コンセントが利用しやすいか確認します。また、紙の取扱いが難しい場合があるので資料はデータで事前に送付することが望ましいです。


【参照】

b.テスト

困難
上肢障害により、筆記が困難である場合や時間がかかる場合があります。
◆支援
必要に応じて受験上の配慮をします。時間がかかる場合は時間延長します。筆記が困難な場合は、パソコン使用(テキストのみならず音声での解答も考慮します)や、口述筆記をします。別室を用意することも考慮します。
【参照】

c.レポート作成

困難
上肢障害により、筆記が困難である場合や時間がかかる場合があります。また、通常のパソコンキーボードの操作に困難があることがあります。
◆支援
上肢障害によって、筆記の困難がある場合や時間がかかる場合には代筆者などの支援が望まれます。場合によっては提出期限の延長も考慮します。提出は紙ではなく電子媒体によることも考慮します。
【参照】

d.ノート資料などへの筆記

困難・支援
上肢障害の状態と程度により、筆記が困難である場合や時間がかかる場合があります。その場合は、要約筆記者をおくなどの支援が望まれます。また、代替手段として本人がパソコンを使用することを認めるなどします。
【参照】

e.パソコンの使用

困難・支援
上肢障害がある場合には、通常のパソコンキーボードの操作に困難が見られることがあります。
不特定多数の学生が利用する場所、例えば図書館・学生学習室・事務室・就職情報室等や、場合によっては通常の講義用に特別なキーボードカバーなどのあるパソコンを用意しておくことが大事です。

キーボードカバーイメージ

キーボードカバーの例

【参照】

立って学習する

困難さ・考えられる支援の観点

a.実験など

◆支援
以下のことについて確認します。

  • 車いすに座っていて、あるいは杖使用で立っていても、棚などからの機器や物品が取り出しやすいか。
  • 上肢障害がある場合に機器は操作しやすいか。
  • メモは取りやすいか。
  • 実験机の高さが車いすに適しているか、杖使用で立って実験する場合に体に負担がかからないか。
  • 実験機器を操作しやすい机か。
  • 長時間の実験の場合に姿勢の保持への支援は必要か。
  • 実験操作に必要な短距離の移動への支援は必要か。
  • 実験室の水回りは利用しやすいか。
  • パソコン利用のためのコンセントは利用しやすいか。
  • 照明などのスイッチは利用しやすい位置と高さにあるか。
  • グループで実験する際に、分担等について協議し、肢体不自由のある学生が姿勢と運動等の困難があることによって消極的にならず、積極的に参加できるよう配慮します。

【参照】

b.その他

困難・支援
長時間の学習では疲労、一定姿勢を要求される学習では身体的苦痛などへの特段の配慮が必要です。

動いて学習する

困難さ・考えられる支援の観点

a.体育実技

困難
車いすや杖使用の場合には、体育実技には困難なものが多いです。
◆支援
最近は、車いすバスケットボール、車いす卓球、車いすマラソン等々の障害者スポーツの普及が進んできており、指導員の養成コースなども充実してきています。大学等によっては、障害者のための「特別体育」を実施しているところがあります。特別体育とは、特定競技の競技力の普及・向上を目指す目的、健康のためのスポーツを学ぶ目的、障害者スポーツを学ぶ目的等、様々な目的があります。肢体不自由者以外でも内部疾患のある学生に対する特別体育が実施されている大学等もあります。その場合、大学等の医療機関(例えば、保健管理センター)が受講できそうな種目を選定し、授業担当者に情報を提供するという媒介的役割を果たすことが望ましいです。また、水泳に関しては教員養成課程の学生では必修である場合もあり、医療機関との連携による情報入手が望まれます。
【参照】

b.学外実習

◆支援
学外実習の内容、場所により詳細は異なりますが、基本的には「移動」、「学習」、「コミュニケーション」、「学内生活」、「.災害時の支援」のすべての場面が該当します。

情報処理

困難さ・考えられる支援の観点

a.情報処理実習

b.電子情報のやりとり(パソコン、携帯電話など)

【参照】

図書館

困難さ・考えられる支援の観点

a.図書等の検索・機器の運搬

◆支援
カード収納棚と机といすの配置、図書カードは車いす、杖使用時に利用しやすいか、パソコン端末での検索では使いやすい条件が整っているか確認します。
【参照】

b.書架の検索

◆支援
書架の上の方にある本のタイトルが視認できるか、また、本に手が届くか、書架と書架の間隔は車いすでの移動に十分か確認します。

c.棚等からの書籍取り出し

◆支援
特に車いす使用の場合には、書架の高いところにある本などは取り出しにくいです。また、低い位置であっても、腰や腕に負担がかかりやすいので、支援者が必要です。

d.図書館内の学習室

◆支援
机の間の通路は車いすや杖での移動に十分か。机は車いすで使用可能か確認します。

特別カリキュラム

困難さ・考えられる支援の観点

困難・支援
体育実技で述べたように、肢体不自由者のための特別カリキュラムとして「特別体育」があります。この他にも、教員免許取得のための教育実習を特別支援学校で行なうことも可能です。例えば、小学校免許取得に必要な小学校実習を特別支援学校の小学部で行なうことが挙げられます。
【参照】

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