視覚障害 その他

(1)実験・フィールドワーク等

実験やフィールドワークなどの実習で求められる課題のなかには、視覚障害学生には困難なものがあります。精密機器の操作や視覚的な観察、データの記録や読み取りなどがその例です。しかし、道具や方法の工夫によって解決できる場合も多いため、事前に学生とよく話し合って支援方法を検討することが大切です。

必要な支援・配慮事項

  • 似たような授業の事例を持つ大学や視覚障害関連の専門機関に相談する。
  • 部分的にできない作業があったとしても、その作業の意味を理解し、全体の分析や考察ができれば、本来の目的を達成したといえる場合も多いため、柔軟に成果を評価する。
  • 個別にティーチング・アシスタント(TA)などの支援者を配置する。
  • 理科系など、専攻によっては実験室等の特別な環境整備が必要となる場合がある。本人の要望や出身の視覚特別支援学校(盲学校)、あるいは支援実績のある大学等の意見を聞き、関係者が現場を一緒に確認しながら整備を進めることが望ましい。

(2)学外実習

学外実習に際しては、視覚障害があるために受け入れ先の理解が得られず、実習先の確保が困難な場合があります。また、視覚障害学生には、1.新しい環境に慣れるための準備期間が必要、2.多くの課題を期限内に所定の書式で提出することが難しいなどの困難もあります

必要な支援・配慮事項

  • 実習のオリエンテーションや諸手続き等に関する重要な情報は、個別に確実に伝える(掲示などによる情報伝達が困難なため)。
  • 視覚障害により生じる困難を理解し、実習の方法を前向きに検討してくれるような、信頼できる受け入れ先を確保する。
  • 実習前に、大学・学生・実習先の三者で、実習の進め方や課題の提出方法などについて十分な打ち合わせを行なう。
  • 実習先に設置・持ち込みをしたい補助具・機具があれば、実習先にそのためのスペースや電源を確保してもらうよう依頼する。

(3)体育実技

視覚障害学生は、具体的な指示や介助がなければ、体育実技に参加することは困難です。
また、球技など、そのままのルールでは参加が難しい種目もあります。さらに、障害の状態により運動が制限されている場合もあります。

必要な支援・配慮事項

視覚障害者との伴走マラソンイメージ

(4)情報処理実習

視覚障害学生は、画面音声化ソフトまたは画面表示拡大ソフトがインストールされたパソコンを用いて文書の読み書きや情報検索などを行なっています。全盲の学生はマウスを使えず、キーボードのみでパソコンを操作します。また、作業の効率性を考慮して、一般的なソフトウェアではなく視覚障害者専用のソフトウェアを使用する場合もあります。そのため情報処理実習に際しては、学生が使用するパソコンのアクセシビリティに関する配慮と、指導内容に関する配慮の両方が必要となります。

必要な支援・配慮事項

  • 弱視学生のために、画面表示拡大ソフトがインストールされたパソコンと大型の液晶ディスプレイを用意し、通常のクラスに参加させる(軽度弱視の場合)。
  • 重度の視覚障害学生については、画面音声化ソフトを利用し、キーボードを中心に操作できるような個別の指導プログラムを適用する。
  • 近隣に視覚障害者向けの情報処理教育の専門機関があれば、個別授業の実施を委託する。

(5)図書館の利用

視覚障害学生は、目的の資料を書架から探し、それを読んだり複写したりすることが困難です。
また、通常の文字を使用している弱視学生も、例えば持ち出し禁止の資料を読む際には、館内に拡大読書器等の整備を必要とする場合があります。

必要な支援・配慮事項

  • 館内移動、資料検索、文献複写等の支援を行なう。
  • 対面朗読室(またはエリア)を設け、対面朗読サービスを提供する。
  • 館内に、据え置き型拡大読書器を整備する。
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