令和4年度入試における日本留学試験利用渡日前入学許可実施状況について

日本学生支援機構では、2022年6月から8月にかけて、2022年度私費外国人留学生の入学選抜において、日本留学試験を利用して渡日前入学許可を実施した学校（四年制大学101校、短期大学10校、大学院6校、専修学校専門課程75校）に対して、実施状況についての調査を実施した。

渡日前入学許可とは、外国人留学生の入学選抜に、日本留学試験の成績を利用して国外から直接出願を受け付け、入学選抜のために出願者を渡日させることなく入学を許可する制度のことである。
従って、本調査では、日本留学試験を日本国内の会場で受験した者からの出願については除外している。

単位:校 ( )内数字は2021年度入試の調査結果

単位:校 ( )内数字は2021年度入試の調査結果

単位: 人 ( )内数字は2021年度入試の調査結果

今年度の調査の結果、延べ4,925人（昨年度は4,769人）より出願があり、延べ1,744人（昨年度は1,725人）が合格し、839人（昨年度は766人）が実際の入学に至ったことが判った。
合格者1,744人に対して入学者が839人であったことから、例年どおり、複数の学校から入学許可を受けている者がいたことが推測できる。また、学校によっては3桁の出願者や入学者の実績報告もあった。
出願者数合計は昨年度より156人増加しているが、この主な要因は香港で受験する中国本土からの出願者の増加であり、中国だけで677人の増加となっている。コロナ禍において留学生にとって渡日が難しい状況が続いたことにより、特に香港会場において、日本国内の日本語教育機関に在籍せず、香港で日本留学試験を受験した者が増えたものと思われる。
国・地域別に見ると、例年どおり韓国が延べ3,751人と圧倒的に多く、次いで中国が851人、モンゴルが87人、台湾が78人で、その後に香港、マレーシアが続いている。
なお、合格者の中に留学生受入れ促進プログラム予約制度（日本留学試験成績優秀者）が含まれていると回答があったのは44校であった。この44校に合格した1,455人のうち658人、入学した686人のうち295人が、同制度の予約者であった。これは、同制度が渡日前入学許可においてインセンティブとして機能していることによるものと考えられる。
渡日前入学許可制度が浸透してきたことにより、国外の教育機関関係者及び日本留学希望者から、日本留学試験の合格目安点や出願に必要な点数の公表を望む声が引き続き寄せられており、今後、さらに多くの学校において公表されることが望まれる。また、日本の大学においては、英語により学位を取得する学部・コースの設置が普及してきたことから、その入試選考において、日本留学試験の「基礎学力」科目の英語による出題の活用、もしくは「日本語」科目に関して、大学院での入試選考においても利用可能な内容であることから、大学院での利用の検討、交換留学等の選考など、幅広い利用が期待されている。加えて、今後は専修学校におけるさらなる利用の拡大も期待されているところである。
本機構では、日本留学試験を利用した渡日前入学許可実施校へのサービスとして、日本留学試験の国外試験会場において、試験実施当日に各校の募集要項及び学校案内等の配布協力を行っているが、引き続き学校に対する広報の強化に取り組んで行く予定である。