令和5年度入試における日本留学試験利用渡日前入学許可実施状況について

日本学生支援機構では、2023年6月から11月にかけて、2023年度私費外国人留学生の入学選抜において、日本留学試験を利用して渡日前入学許可を実施した学校（四年制大学100校、専門職大学1校、短期大学9校、大学院6校、専修学校専門課程80校）に対して、実施状況についての調査を実施した。
なお、専門職大学については、1校につき実施状況が特定されるため、四年制大学として集計に含めることとする。

渡日前入学許可とは、外国人留学生の入学選抜に、日本留学試験の成績を利用して国外から直接出願を受け付け、入学選抜のために出願者を渡日させることなく入学を許可する制度のことである。
従って、本調査では、日本留学試験を日本国内の会場で受験した者からの出願については除外している。

単位:校 ( )内数字は2022年度入試の調査結果

単位:人 ( )内数字は2022年度入試の調査結果

単位:人 ( )内数字は2022年度入試の調査結果

今年度の調査の結果、延べ2,815人（昨年度は4,925人）より出願があり、延べ1,110人（昨年度は1,744人）が合格し、519人（昨年度は839人）が実際の入学に至ったことが判った。
合格者1,110人に対して入学者が519人であったことから、一定数の学校から入学許可を受けている者がいたことが推測できる。また、学校によっては3桁の出願者や入学者の実績報告もあった。
一方で、出願者数合計は昨年度より2,110人減少している。国・地域別に見ると、韓国が延べ2,393人と圧倒的に多く、次いで中国が253人、台湾が52人、ベトナムが42人で、その後にマレーシア、香港が続いているが、韓国については昨年度よりも1,358人減、中国も598人減となっていた。
なお、合格者の中に留学生受入れ促進プログラム予約制度（日本留学試験成績優秀者）が含まれていると回答があったのは30校であった。この30校に合格した1,110人のうち462人、入学した519人のうち220人が、同制度の予約者であった。これは、同制度が渡日前入学許可においてインセンティブとして機能していることによるものと考えられる。
渡日前入学許可制度が浸透してきたことにより、国外の教育機関関係者及び日本留学希望者から、日本留学試験の合格目安点や出願に必要な点数の公表を望む声が引き続き寄せられており、より多くの学校において公表されることが望まれる。また、日本の大学においては、英語により学位を取得する学部・コースの設置が普及してきたことから、その入試選考において、日本留学試験の「基礎学力」科目の英語による出題の活用、もしくは「日本語」科目に関して、大学院での入試選考においても利用可能な内容であることから、大学院での利用の検討、交換留学等の選考、専修学校におけるさらなる利用の拡大など、幅広い利用が期待されている。コロナ禍を経てオンライン面接の素地が整った国や大学等も多く、渡日前入学許可制度の利用の拡大も期待されているところである。
本機構では、日本留学試験を利用した渡日前入学許可実施校へのサービスとして、日本留学試験の国外試験会場において、試験実施当日に各校の募集要項及び学校案内等の配布協力を行っているが、引き続き学校に対する広報の強化に取り組んで行く予定である。