聴覚障害 通信課程に在籍する聴覚障害のある学生への支援

通信課程は、通学課程と比べて、障害のある学生の在籍率が高く、その一方で障害のある学生への支援率が低い現状があり、支援体制の充実が緊急課題です。通信課程での聴覚障害のある学生への支援では、通学課程とは異なる課題があります。例えば、学生と顔を合わせる機会が少ないため日常的なやりとりによるニーズの共有が難しいこと、開講期間や時間、会場環境が様々で情報保障者を確保・配置するのが難しいこと、動画配信による講義視聴が普及しているのに字幕が付加されていないケースがあること等です。

聴覚障害のある学生のニーズ把握

聴覚障害のある学生のニーズを把握し、関係者と共有する体制を作りましょう。

  • Eメールでの連絡窓口を設置して迅速に対応できるようにする
  • 入学前の事前面談で入学後の履修や必要となる配慮について確認する
    特に、語学科目や現場実習等配慮が必要と考えられる履修科目では、どのようなことが必要なのかを確認しておく
  • スクーリング科目(対面型授業)やオンデマンド科目(インターネット配信授業)等の配慮を確認する
  • 学生のニーズや状況に関する情報をファイル化し、事務局や情報保障者間で共有する

スクーリング科目や大学外の授業(現場実習等)における情報保障者の確保・コーディネート

通信課程で情報保障者を確保する場合、通学課程で支援している学生が主に担い、その不足分を地域の情報保障者あるいは他大学の障害学生支援を行なっている学生が担う方法が多くとられています。

  • 通学課程と通信課程の連携で、通学課程で支援している学生を多く確保する
  • 地域の情報保障者の派遣にかかるコーディネートや予算確保を聴覚障害のある学生に担わせることがないように配慮する
  • 異なる立場の情報保障者同士がペアを組む場合、それぞれの方法や配慮が違うことで聴覚障害のある学生が混乱しないように、あらかじめ顔合わせをしてどのような方法で行なうかを確認しておく

オンデマンド科目におけるウェブ経由での配信動画の字幕

ウェブ経由での配信動画に字幕を作成・配信する方法は3つあります。いずれも、ビデオの著作権・著作隣接権を大学または所属教員が有していることが前提です。
なお、ビデオ以外の資料が同時に提供される場合は、ビデオをあらかじめ短いクリップに分割しておき、画面とテキストを対応させた資料を作成し、資料をメインにビデオを補助的に利用する方法があります。

1.字幕ファイルの同期配信の場合
ウェブ配信用の字幕形式ファイルを学内で作成して、ビデオと同期表示する。字幕作成用の無償・有償のツールを利用するか、あるいは無料動画共有サイトへビ デオをアップロードして無料動画共有サイトの字幕付与機能を使うことも可能。いずれも、ビデオと字幕ファイルは別ファイルなので、合成されない。


2.オープンキャプション(=合成画像)で配信する場合
字幕作成ツールでクローズドキャプション方式のコンテンツを作成し、字幕表示状態の画面をキャプチャして字幕が合成されたビデオを作成し、配信する。この場合は、字幕のON・OFFを切り替えることはできない。


3.字幕起こしやDVD・BD製作事業者に有償で委託する場合
納品はDVDやBDなどになるため、ウェブ配信用に再構成する必要がある。DVDの場合、字幕は文字ではなく、画像トラックの一つとして提供されるため、オープンキャプション(=合成画像)で配信する場合と同じ状態になる。

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