聴覚障害 入試全般

入学試験を実施するときには、注意事項が伝わらなかったり、問題の変更や指示があることに気づかない等の問題が生じる可能性があります。また、面接やリスニングなど筆記試験以外の試験を課す場合には、それぞれ不利になる点がないか十分検討が必要です。

注意事項等の文書による伝達

入学試験の際、口頭で伝達する注意事項等を文書の形にして聴覚障害のある学生に配付したり、板書等をします。このための特別な人員の配置は不要ですが、試験監督者が確実に実施するよう、必ず周知徹底をお願いします。

準備

配慮事項の確認

伝達方法の検討(入試課・入試実施委員)

〈例〉

  • 板書した後、本人にも見るよう伝える
  • 拡大コピーしたものを対象者に向けて提示
  • 印刷物を配付し、説明箇所を指でなぞる 等

試験室担当者・監督者への連絡
当該学生の受験する試験室の担当者全員に聴覚障害のある学生の存在を伝えるとともに、実際に伝達を担当する監督者と詳細を確認しておく。

必要な準備物(拡大コピー・印刷物等)の用意

当日朝

監督者と最終的な手順確認(配慮事項、伝達方法等)
聴覚障害のある学生と監督者の引き合わせ
聴覚障害のある学生と監督者の間で具体的な配慮方法の確認
試験室にて聴覚障害のある学生が来ていることを確認するとともに、本人と監督者の間で注意事項の伝達方法に問題はないか確認しておく。この際、何かあったらこの監督者に伝えるよう指示しておくと本人にとっても、安心感がある。

試験中

配慮事項の実施
伝達すべき内容は以下のとおり。これ以外にも、口頭で説明した内容はすべて文字にして本人に提示する。

  • 試験の注意事項
  • 試験教室の受験科目・学科等(受験会場の間違い等を防ぐため)
  • 試験実施中の経過時間及び残り時間
  • 問題の修正箇所、等
  • 板書のみだと気づかないことがあるため、必ず本人に注意を促し、確実に伝達することが大切です

手話通訳者の配置

注意事項などがアナウンスされている場合、この内容を手話によって伝えます。文書による伝達とあわせて利用されることもあります。

補聴器または人工内耳の装用

本人の利用している補聴器・人工内耳の使用希望があった場合、これを認めます。ただし、FM電波の受信機能を持った補聴器または人工内耳を使用している場合、外部の音声等が受信されてしまうこともあるため、必要に応じてスイッチを切るよう注意を与えてもよいでしょう。
こうした配慮事項は、入試実施本部で把握していても試験室担当者に十分に内容が伝達されておらず、当日になってあわてたり配慮事項が実施されないなどのト ラブルが起きがちです。配慮事項が決定されたら、必ず必要な関係者間で十分な確認を行ない、必要な配慮の内容や実施方法を浸透させることが必要です。

合格が決まったら

聴覚障害のある学生の合格が決まったら、次は学部や学生課などを中心に本格的な支援体制の検討に入らなければなりません。入試の段階で得た情報は、学内の支援体制構築に関わる関係者に引き継ぎすることで、スムーズな検討に入ることができるでしょう。

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