ビデオによる音声は情報量が多く、スピードも速いため、リアルタイムの情報保障には限界があります。また、動画を見ながら同時に情報保障を見なければならないことや、映像と情報保障の間にタイムラグができてしまうため、聴覚障害のある学生にとっては内容の把握が困難になることが予想されます。さらに、ある程度ききとりが可能な学生であっても、ビデオの音声は苦手とする場合も多いので、事前に字幕やテープ起こしを作成したり、ビデオを貸し出して繰り返し見る機会を与えるなど、学習機会を保障する対応が求められます。
2週間から3週間前
ビデオ教材の提示方法について相談
<ビデオ教材の提示方法>
- 音声をテキスト化
- 1.字幕として教材に挿入して提示
2.パソコンノートテイク用ソフト(IPtalk等)を用い、ビデオとタイミングをあわせてテキストを提示
3.資料として配付し、支援学生が指でなぞりながらタイミングを伝える
・教材のおおまかな内容をレジュメにして配付
・ビデオ教材を個別に貸し出し
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各作業の依頼先を検討
テキストデータの作成
- 支援学生に依頼して作業してもらう
- テープリライト業者への発注(10,000円から20,000円/時間 程度)
教材への字幕挿入
- 支援学生に依頼して作業してもらう
- 学内の情報処理センターに相談してみる
- 各地域の聴覚障害者情報提供施設に相談してみる(2,000円から3,000円/分 程度)等
作業開始提示
授業中
あらかじめ決めた方法でビデオ教材の提示
使用時の注意点
- ノートテイクなどを併用する場合には、暗くて情報保障が見えない場合があるため、明るさに留意する
- 教材の途中で説明を行なう場合は、動画と情報保障を同時に見ることができない点に配慮し、一旦ビデオを止めて説明する
こんな工夫もできます
大学によっては、障害学生支援室内に字幕挿入のための機材をそろえ、支援学生を募って機器・装置の取扱いについて講習会を行なった後、字幕入りビデオ教材の作成を行なっている例も少なくありません。こうした体制の整備は、障害のある学生の学習環境はもちろん、教員側への教材作成支援にもつながります。