平成16年度学生生活調査

平成18年4月
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)

1.調査の目的
この調査は、各種の条件下における標準的な学生生活の状況を把握するとともに、学生の家庭の状況からその経済的基盤を推定することにより学生の経済的実情を明らかにし、もって国の奨学援助事業を改善充実するための基礎資料を得ることを目的とする。

2.調査の対象
大学学部、短期大学本科及び大学院の学生(休学者及び外国人学生を除く)

3.調査の時期
平成16年11月(隔年調査)

4.調査数
大学、短期大学及び大学院の別、さらに大学及び短期大学については、昼間部、夜間部別、大学院については修士課程、博士課程別に、下記の抽出率によって在籍学生(平成16年5月1日現在の学校基本調査による)から抽出した数で、全国2,967,836人中から51,205人を調査対象とした。(有効回答数31,278人、回収率61.1%

区分/設置者別
国立
公立
私立
大学 昼間部 1/136 1/31 1/323
夜間部 6/37 9/32 3/92
短期大学 昼間部 4/5 2/9 1/72
夜間部 - 6/7 3/11
大学院 修士課程 1/27 3/10 2/29
博士課程 3/26 5/8 5/17

5.調査方法
大学は、あらかじめこの調査の対象となる全在籍学生の中から、日本学生支援機構が依頼した調査数だけの学生を無作為に抽出し、所定の調査票により調査を行った。

(注)四捨五入した数を使用している表では、内訳の数の合計が、合計欄の数と一致しない場合がある。


※この調査は平成14年度まで、文部科学省が実施していたが、平成16年4月に独立行政法人日本学生支援機構の設立に伴い、本機構に移管されたものである。
平成14年度までの数値は文部科学省調べ。

調査結果

  • 本調査で示している奨学金受給者の割合には、日本学生支援機構の奨学金とそれ以外の奨学金の両方を含みます

調査結果の利用について

調査結果の利用についてはこちらをご覧ください。

結果の概要(大学昼間部及び大学院)

標準的な学生生活の経済的状況を把握することにより、国の奨学援助事業の改善充実のための基礎的な資料を得ることを目的として、平成16年11月に実施した「平成16年度学生生活調査」の結果の概要(大学昼間部及び大学院)である。
※大学夜間部及び短期大学については、上記調査結果の各表を参照のこと。

1.学生生活費(学費と生活費の合計)

年間の学生生活費(学費と生活費の合計)は、次のようになっている。

【大学学部(昼間部)】
平成14年度調査時の学生生活費は2.0%の減少であったが、今回調査では前回調査に比べ3.8%減少した。

【大学院修士課程】
平成14年度調査時の学生生活費は3.8%の減少であったが、今回調査では前回調査に比べ2.9%減少した。

【大学院博士課程】
平成14年度調査時の学生生活費は4.1%の減少であったが、今回調査では前回調査に比べ2.4%減少した。

大学学部・大学院修士課程・博士課程別の学生生活費の推移(平成8年度から平成16年度まで)

学生生活費の増減額及び伸び率の推移

学費は大学学部(昼間部)、大学院修士課程、博士課程のいずれも前回調査時に比べ、上昇している。
また、生活費については大学学部(昼間部)、大学院修士課程、博士課程のいずれも前回調査時に比べ、下降している。

区分
H6→H8
H8→H10
H10→H12
H12→H14
H14→H16
%
%
%
%
%
大学学部
(昼間部)
学費 55,700 (5.5) 13,800 (1.3) 43,000 (4.0) 39,800 (3.5) 7,300 (0.6)
生活費 38,400 (4.6) ▲25,200 (▲2.9) 86,300 (10.2) ▲80,300 (▲8.6) ▲84,200 (▲9.8)
94,100 (5.1) ▲11,400 (▲0.6) 129,300 (6.7) ▲40,500 (▲2.0) ▲76,900 (▲3.8)
大学院
修士課程
学費 33,800 (4.9) 18,000 (2.5) 10,200 (1.4) 29,700 (3.9) 13,800 (1.8)
生活費 21,700 (2.2) 8,900 (0.9) 111,500 (10.8) ▲102,300 (▲8.9) ▲66,600 (▲6.4)
55,500 (3.3) 26,900 (1.5) 121,700 (6.9) ▲72,600 (▲3.8) ▲52,800 (▲2.9)
大学院
博士課程
学費 8,400 (1.2) 1,300 (0.2) 11,300 (1.6) 27,300 (3.7) 12,200 (1.6)
生活費 4,200 (0.3) ▲26,900 (▲1.9) 97,900 (7.0) ▲118,400 (▲7.9) ▲63,700 (▲4.6)
12,600 (0.6) ▲25,600 (▲1.2) 109,200 (5.1) ▲91,100 (▲4.1) ▲51,500 (▲2.4)

(注)(  )は、前回調査からの伸び率である。

設置者別の学生生活費(学費と生活費の合計)

大学学部(昼間部)の設置者別の学生生活費の比較
国立が約154万円、私立が約206万円で、私立が国立よりも約52万円高くなっている。これは学費の差によるもので、私立が国立よりも約68万円高くなっている。生活費は、逆に国立が私立よりも約16万円高くなっている。

大学院の設置者別の学生生活費の比較
私立が国立より修士課程で約26万円、博士課程で約33万円高くなっている。内訳として、学費は、私立が国立より修士課程で約44万円、博士課程で約33万円高くなっており、生活費は、修士課程では、国立が私立に比べ約18万円高く、博士課程では、国立と私立ではあまり差はない。

(単位:円)

区分
学費
生活費
合計
授業料、その他の学校納付金
修学費、課外活動費、通学費
小計
食費、住居・光熱費
保健衛生費、娯楽・し好費、その他の日常費
小計
大学学部 昼間部 国立
494,900
142,800
637,700
595,200
307,700
902,900
1,540,600
公立
513,800
145,600
659,400
505,300
297,200
802,500
1,461,900
私立
1,143,100
179,400
1,322,500
411,200
328,400
739,600
2,062,100
平均
997,300
171,200
1,168,500
449,000
323,300
772,300
1,940,800
夜間部 国立
253,000
112,400
365,400
444,900
341,900
786,800
1,152,200
公立
268,700
130,300
399,000
390,000
338,200
728,200
1,127,200
私立
683,500
163,700
847,200
390,400
369,900
760,300
1,607,500
平均
594,500
154,000
748,500
398,700
363,900
762,600
1,511,100
短期大学 昼間部 国立
376,500
138,000
514,500
334,400
254,800
589,200
1,103,700
公立
399,200
124,600
523,800
327,700
266,100
593,800
1,117,600
私立
987,100
162,700
1,149,800
255,300
307,900
563,200
1,713,000
平均
939,500
159,700
1,099,200
261,200
304,300
565,500
1,664,700
夜間部 国立
公立
239,000
82,800
321,800
220,100
489,900
710,000
1,031,800
私立
650,900
138,100
789,000
296,700
361,300
658,000
1,447,000
平均
584,100
129,100
713,200
284,200
382,200
666,400
1,379,600
大学院 修士課程 国立
487,200
143,600
630,800
715,800
333,700
1,049,500
1,680,300
公立
505,300
171,600
676,900
572,100
332,300
904,400
1,581,300
私立
879,700
191,300
1,071,000
534,200
339,900
874,100
1,945,100
平均
632,900
162,700
795,600
641,000
336,000
977,000
1,772,600
博士課程 国立
466,300
230,300
696,600
874,400
444,200
1,318,600
2,015,200
公立
487,100
308,000
795,100
892,100
512,600
1,404,700
2,199,800
私立
712,300
309,500
1,021,800
834,600
493,100
1,327,700
2,349,500
平均
527,000
253,400
780,400
865,600
459,400
1,325,000
2,105,400
平均 国立
480,500
171,100
651,600
765,900
368,600
1,134,500
1,786,100
公立
500,800
206,100
706,900
653,200
377,800
1,031,000
1,737,900
私立
846,400
214,700
1,061,100
593,900
370,400
964,300
2,025,400
平均
603,900
187,500
791,400
702,500
369,600
1,072,100
1,863,500

※短期大学(国立・夜間部)は調査対象者なし。

2.居住形態別の学生生活費(学費と生活費の合計)

大学学部(昼間部)、大学院修士課程、博士課程とも下宿通学者の学生生活費は自宅通学者の学生生活費を大きく上回っており、その差は大学学部(昼間部)で約63万円、大学院修士課程で約69万円、博士課程で約79万円である。この差は生活費の中の食費、住居・光熱費によるものである。

設置者別で見ると、大学学部(昼間部)では国立の自宅を基準とした場合に、国立の下宿、私立の自宅はともに約1.7倍となっている。また、私立の下宿は約2.4倍となっている。

居住形態別(自宅・下宿別)の学生生活費のグラフ

(単位:円)

区分
自宅
下宿・間借、その他
大学学部
昼間部
国立
1,048,100
(100)
1,815,500
(173)
公立
1,037,900
(99)
1,741,500
(166)
私立
1,741,800
(166)
2,492,800
(238)
平均
1,642,200
2,271,800
大学院
修士課程
国立
1,152,300
(100)
1,927,400
(167)
公立
1,183,100
(103)
1,915,500
(166)
私立
1,567,200
(136)
2,379,200
(206)
平均
1,366,200
 
2,056,900
博士課程
国立
1,485,400
(100)
2,239,500
(151)
公立
1,556,000
(105)
2,624,300
(177)
私立
1,758,100
(118)
2,792,400
(188)
平均
1,581,900
2,371,000

(注)(  )は、国立の自宅を基準(100)とした場合の指数である。

3.学生の収入状況

平成14年度調査と比べて、大学学部(昼間部)、大学院修士課程、博士課程いずれも減少している。

大学学部(昼間部)では、家庭からの給付が6割以上を占めているのに対し、大学院修士課程では5割、博士課程では2割弱となっており、前回調査と比べて、いずれも家庭からの給付への依存割合が減少し、大学学部(昼間部)と大学院修士課程では奨学金の占める割合が増加している。

【大学学部(昼間部)】

大学学部学生の収入及び支出内訳の比較円グラフ(平成14年度と平成16年度)

(内円・・・収入、外円・・・支出)

【大学院修士課程】

大学院修士課程学生の収入及び支出内訳の比較円グラフ(平成14年度と平成16年度)

(内円・・・収入、外円・・・支出)

【大学院博士課程】

大学院博士課程学生の収入及び支出内訳の比較円グラフ(平成14年度と平成16年度)

(内円・・・収入、外円・・・支出)

(単位:%(上段)/円(下段))

区分
家庭からの給付
奨学金
アルバイト
定職・
その他
収入計
(A)
学生生活費(B)
収支差
(A)-(B)
大学学部
(昼間部)
14
(69.6)
(10.1)
(16.0)
(4.3)
(100.0)
2,017,700 220,100
1,556,700
225,800
358,700
96,600
2,237,800
16
(65.9)
(14.0)
(15.7)
(4.4)
(100.0)
1,940,800
259,500
1,449,200
308,500
344,700
97,900
2,200,300
大学院
修士課程
14
(52.0)
(22.0)
(13.3)
(12.7)
(100.0)
1,825,400
287,300
1,098,300
465,500
280,600
268,300
2,112,700
16
(50.6)
(25.9)
(12.7)
(10.7)
(100.0)
1,772,600 294,000
1,046,300
535,700
263,100
221,500
2,066,600
大学院
博士課程
14
(19.4)
(35.3)
(22.2)
(23.1)
(100.0)
2,156,900
620,500
539,800
979,700
617,800
640,100
2,777,400
16
(19.0)
(35.2)
(21.5)
(24.2)
(100.0)
2,105,400 662,600
526,800
974,500
596,200
670,500
2,768,000

収入の伸び率の推移

区分
H6→H8
H8→H10
H10→H12
H12→H14
H14→H16
大学学部(昼間部)
9.1%
▲0.7%
4.8%
4.1%
▲1.7%
大学院修士課程
7.7%
2.0%
5.6%
2.2%
▲2.2%
大学院博士課程
4.1%
▲1.9%
6.8%
1.7%
▲0.3%

4.家庭の年間平均収入

平成14年度調査と比べて、大学学部(昼間部)、大学院修士課程、博士課程のいずれも収入減となっている。

設置者別にみると、大学学部(昼間部)、大学院修士課程、博士課程のいずれにおいても、私立が一番高く、大学学部(昼間部)では、国立は781万円、私立は861万円となっており、その差は80万円となっている。

(単位:千円)

区分
大学学部
大学院
昼間部
修士課程
博士課程
16年度
国立
(▲6.0)
(▲5.4)
(▲4.0)
7,810
7,890
7,450
公立
(0.7)
(6.5)
(13.1)
7,500
8,230
8,660
私立
(▲6.4)
(▲10.6)
(4.1)
8,610
8,980
9,630
平均
(▲6.1)
(▲6.9)
(▲0.9)
8,420
8,310
8,040
参考
14年度
(▲5.9)
(▲2.6)
(▲12.1)
8,970
8,930
8,110
12年度
(▲0.5)
(0.0)
(▲0.1)
9,530
9,170
9,230

(注) (  )は、前回調査からの上昇率(%)である。

国公私立別の家庭における年間平均収入のグラフ(大学学部・大学院修士課程・博士課程別)

家庭の年間収入階層別にみた学生数の割合

45~54歳の世帯主(学生の家庭の世帯主年齢と想定)の五分位階層区分別学生数を大学学部(昼間部)についてみると、国公私立ともに第5五分位は低い分布を示しているが、私立は第4五分位で高い分布を示している。
また、前回調査と比べて、国公私立ともに第2五分位の割合が減少し、第1、第3五分位の割合が増加している。

(単位:%)

区分
第1五分位
第2五分位
第3五分位
第4五分位
第5五分位
(~5,171千円)

5,044千円未満
(5,171~7,012千円)
5,044千円以上
6,934千円未満
(7,012~8,808千円)
6,934千円以上
8,588千円未満
(8,808~11,186千円)
8,588千円以上
10,929千円未満
(11,186千円~)

10,929千円以上
国立
(22.3)
(21.5)
(18.1)
(22.2)
(15.9)
25.8
15.0
24.4
20.8
14.1
公立
(27.6)
(25.2)
(17.4)
(20.2)
(9.6)
28.9
15.2
23.1
20.1
12.7
私立
(19.9)
(21.9)
(17.5)
(23.8)
(16.9)
23.1
16.0
19.3
26.5
15.1
平均
(20.7)
(21.9)
(17.6)
(23.3)
(16.5)
23.8
15.8
20.4
25.2
14.8

(注) (  )は、平成14年度調査の額及び割合である。

5.アルバイト従事状況

平成14年度調査と比べて大学学部(昼間部)、大学院修士課程、博士課程のいずれも、修学不自由・困難者の割合は減少しているが、アルバイト従事者の割合は全体として大きな変化はない。

区分/年度
平成14年度
平成16年度
大学学部
(昼間部)
アルバイト
従事者
修学可能
29.7%
37.3%
修学不自由・困難
47.1%
39.6%
76.8%
76.8%
アルバイト非従事者
23.2%
23.2%
大学院
修士課程
アルバイト
従事者
修学可能
21.0%
23.8%
修学不自由・困難
47.7%
44.9%
68.7%
68.8%
アルバイト非従事者
31.3%
31.2%
博士課程
アルバイト
従事者
修学可能
4.9%
8.1%
修学不自由・困難
58.4%
53.9%
63.3%
62.0%
アルバイト非従事者
36.7%
38.0%

6.奨学金の受給状況

全学生のうち、奨学金を受給している者の割合は、平成14年度調査に比べて、大学学部(昼間部)で9.9%、大学院修士課程で6.2%増加している。

区分 平成14年度 平成16年度
大学学部(昼間部) 31.2% 41.1%
大学院修士課程 48.4% 54.6%
大学院博士課程 67.7% 67.4%

【平成16年度】

奨学金受給者の割合を示す円グラフ(大学学部・大学院修士課程・博士課程別)