令和5年度奨学金の返還者に関する属性調査結果

抽出人数 回答人数 回答率 参考母数(令和4年度末)
延滞者 16,000人 1,473人 9.2% 133 千人
無延滞者 10,000人 1,414人 14.1 % 4,515千人
  • 回答人数には無回答・不明回答を含まない。

結果の概要

1.在学中の手続等に関すること

(1)奨学金申請時に申込手続き(書類作成や入力作業)を行った者(択一)

奨学金申請時の申込手続きを「奨学生本人」が行った比率は、無延滞者では59.4%であるのに対し、延滞者では46.8%と低い。また、「奨学生本人」と「本人と親等」を合せてみても、無延滞者では84.0%であるのに対し、延滞者では71.8%しか申請時の申込手続きに奨学生本人が関わっていない。延滞者は無延滞者に比べて、親等が申請時の申込手続きを行った比率が高い。

図1-1 奨学金申請時の申込手続きを行った者(択一)

図1-1奨学金申請時の申込手続きを行った者回答比率棒グラフ;延滞者:奨学生本人46.8%、本人と親等25.0%、親22.2%、その他・覚えていない6.0%/無延滞者:奨学生本人59.4%、本人と親等24.6%、親14.1%、その他・覚えていない1.8%

(2)奨学金はどのように役に立ったか(複数回答)

奨学金がどのように役に立ったかについて、延滞者、無延滞者ともに「授業料等の学校納付金に使うことができた」が最も高い。また、延滞者、無延滞者ともに、「毎月の生活費につかうことができた」が2番目に高い。

  • 比率は回答者数に対する比率。複数回答のため、合計は100%を超える。

図1-2 奨学金はどのように役に立ったか(あてはまるものを全て選択)

図1-2奨学金はどのように役に立ったか回答比率棒グラフ;延滞者:学校納付金に使うことができた71.8%、修学費に使うことができた24.4%、毎月の生活費に使うことができた36.7%/無延滞者:学校納付金に使うことができた68.8%、修学費に使うことができた28.5%、毎月の生活費に使うことができた46.0%

回答者のうち、2つ以上の効果を感じている者は、延滞者では30.6%、無延滞者では40.9%である。

奨学金の効果の数比率棒グラフグラフ;延滞者(1,473人)いずれか1つの効果を感じている人69.4%、2つ以上の効果を感じている人30.6%/無延滞者(1,414人)いずれか1つの効果を感じている人59.1%、2つ以上の効果を感じている人40.9%

(3)返還義務を知った時期(択一)

返還義務を知った時期は、無延滞者では「申込手続きを行う前」が88.5%であるのに対し、延滞者では54.4%にとどまり、申込手続きまでの認識が十分でないことがうかがえる。また、延滞者では、貸与終了後に返還義務を知った者の合計は12.8%で、そのうち約半数の6.4%は「延滞督促を受けてから」知ったと回答している。

図1-3 返還義務を知った時期(択一)

図1-3返還義務を知った時期回答比率棒グラフ;延滞者(1,473人):申込手続きを行う前54.4%、申込手続中16.2%、貸与中6.7%、貸与終了時2.5%、貸与終了後~返還開始前3.7%、返還開始~督促前2.7%、延滞督促を受けてから6.4%/無延滞者(1,414人):申込手続きを行う前88.5%、申込手続中6.0%、貸与中2.5%

2.奨学生の職業・年収

(1)奨学生本人の職業(択一)

奨学生本人の職業は、延滞者では「正社(職)員・従業員」40.8%、「非正規社(職)員・従業員」27.8%、「無職・失業中/休職中」16.0%であるのに対し、無延滞者では「正社(職)員・従業員」73.7%、「非正規社(職)員・従業員」12.5%、「無職・失業中/休職中」5.1%で、無延滞者の方が延滞者より安定した就業状況にあるといえる。

図2-1 奨学生本人の職業(択一)

図2-1奨学生本人の職業回答比率棒グラフ;延滞者(1,473人):正社(職)員・従業員40.8%、非正規社(職)員・従業員27.8%、自営業/家業8.3%、無職・失業中/休職中16.0%/無延滞者(1,414人):正社(職)員・従業員73.7%、非正規社(職)員・従業員12.5%、自営業/家業3.5%、無職・失業中/休職中5.1%

(2)奨学生本人の年収(択一)

奨学生本人の年収について、「300万円以下」の比率は、延滞者では合計67.2%であるのに対し、無延滞者では合計38.6%と大きな差がみられる。

図2-2 奨学生本人の年収(択一)

図2-2奨学生本人の年収回答比率棒グラフ;延滞者(1,473人):0円11.1%、100万円以下15.9%、100万円超~200万円以下17.6%、200万円超~300万円以下22.6%、300万円超~400万円以下14.5%/無延滞者(1,414人):0円4.5%、100万円以下5.4%、100万円超~200万円以下7.8%、200万円超~300万円以下20.9%、300万円超~400万円以下21.2%

3.延滞の状況

(1)延滞している理由 ※延滞者のみ

調査時点で延滞中の者に、延滞している理由を質問した。延滞している理由は、「本人の低所得」が64.5%で最も高く、次いで「奨学金の延滞額の増加」が32.6%である。男女別でみると、男性は女性に比べて「本人の借入金(日本学生支援機構奨学金以外)の返済」の比率が高い。また、「奨学金の延滞額の増加」は男女ほぼ同率となっている。

図3-1 延滞している理由(あてはまるものを全て選択)

図3-1延滞している理由回答比率棒グラフ;男性:本人の低所得61.4%、本人の借入金の返済36.4%、奨学金の延滞額の増加31.9%/女性:本人の低所得68.0%、本人の借入金の返済27.1%、奨学金の延滞額の増加33.4%

(2)延滞経験の有無 ※無延滞者のみ

調査時点で無延滞の者に、これまでに延滞したことがあるかを質問した。
「延滞したことがある」者は21.1%である。

図3-2 延滞経験の有無(択一)

図3-2延滞経験の有無回答比率円グラフ;無延滞者(1,414人):延滞したことがない73.1%、延滞したことがある21.1%、わからない5.8%

(3)延滞をしたときに最初にしたこと(択一)

調査時点で延滞中の者および無延滞者で「延滞したことがある」と回答した者に、延滞したときに最初に行ったことを質問した。無延滞者は「入金した」が73.0%で最も高いのに対し、延滞者は「奨学金相談センターに電話した」が30.4%で最も高い。

図3-3 延滞をしたときに最初にしたこと(択一)

図3-3延滞をしたときに最初にしたこと回答比率棒グラフ;延滞者(1,473人):入金した14.5%、返還期限猶予を申請した17.4%、奨学金相談センターに電話した30.4%、何もしなかった15.5%/無延滞者(298人):入金した73.0%、奨学金相談センターに電話した11.3%

4.返還期限猶予制度・減額返還制度について

(1)猶予制度の認知状況(択一)

返還期限猶予制度の認知率は、延滞者で78.3%、無延滞者で60.1%である。ただし、返還が始まる前までに認知していた比率は、無延滞者では合計で38.8%であるのに対し、延滞者では5.4%と大きな差がみられる。また、延滞者では「延滞督促を受けてから知った」比率が54.4%と、無延滞者に比べて高い。

図4-1 返還期限猶予制度の認知状況(択一)

図4-1返還期限猶予制度の認知状況回答比率棒グラフ;延滞者(1,473人):奨学金に申し込む前から知っていた2.9%、返還が始まる前に知っていた2.5%、返還が始まってから知った18.5%、延滞督促を受けてから知った54.4%、知らない21.7%/無延滞者(1,414人):奨学金に申し込む前から知っていた20.0%、返還が始まる前に知っていた18.8%、返還が始まってから知った18.9%、知らない39.9%

(2)減額返還制度の認知状況(択一)

減額返還制度の認知率は、延滞者で58.8%、無延滞者で51.8%である。ただし、返還が始まる前までに認知していた比率は、無延滞者では合計で33.5%であるのに対し、延滞者では4.5%と大きな差がみられる。また、延滞者では「延滞督促を受けてから知った」比率が42.3%と無延滞者に比べて高い。

図4-2 減額返還制度の認知状況(択一)

図4-2減額返還制度の認知状況回答比率棒グラフ;延滞者(1,473人):奨学金に申し込む前から知っていた2.8%、返還が始まる前に知っていた1.7%、返還が始まってから知った12.1%、延滞督促を受けてから知った42.3%、知らない41.2%/無延滞者(1,414人):奨学金に申し込む前から知っていた16.8%、返還が始まる前に知っていた16.7%、返還が始まってから知った16.3%、延滞督促を受けてから知った2.0%、知らない48.2%

(3)減額返還制度を何で知ったか(複数回答)

減額返還制度を知っている者(「奨学金に申込む前から知っていた」+「返還が始まる前に知っていた」+「返還が始まってから知った」+「延滞督促を受けてから知った」)に、減額返還制度を何で知ったかを質問した。
延滞者は「機構からの通知」、「奨学金相談センター」で減額返還制度を知った比率がそれぞれ46.5%、25.2%で高く、無延滞者は「返還のてびき」、「奨学金申請時・採用時の資料」、「機構のホームページ」で減額返還制度を知った比率がそれぞれ45.0%、41.3%、23.8%で高い。

図4-3 減額返還制度を何で知ったか(あてはまるものを全て選択)

図4-3減額返還制度を何で知ったか回答比率棒グラフ;延滞者:機構からの通知46.5%、奨学金相談センター25.2%/無延滞者:奨学金申請・採用時の資料41.3%、返還のてびき45.0%、機構のホームページ23.8%

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独立行政法人日本学生支援機構 奨学事業戦略部 奨学事業総務課
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