- (目的)
- 奨学金の延滞者および無延滞者の属性を把握し、今後の奨学金回収方策に役立てることとする。
- (調査対象)
- (1)平成28年11月末において、奨学金返還を3か月以上延滞している者(以下「延滞者」という。)を延滞年数および性別で層化し、無作為抽出した19,623人。
(2)平成28年11月末において、奨学金返還を延滞していない者(以下「無延滞者」という。)を学種および性別で層化し、無作為抽出した9,695人。 - (調査方法)
- 質問を記入した調査票を送付し、返信用封筒による返送、またはインターネットにて調査質問への回答を求めた。回答のない者に対しては、再度調査票を送付し、回答の返送を依頼した。
- (調査時期)
- 平成29年1月
- (回答受入状況)
抽出人数 | 回答人数 | 回答率 | 参考母数(平成28年度末) | |
延滞者 | 19,623人 | 2,838人 | 14.5% | 160,580人 |
無延滞者 | 9,695人 | 2,402人 | 24.8% | 3,649,525人 |
- ※回答人数には無回答・不明回答を含まない。
結果の概要
1.奨学金申請について
(1)奨学金申請時の書類作成者
奨学金申請時の書類作成者は、延滞者では「親(または祖父母等の家族、親戚)」が39.0%と最も高い。奨学生本人が書類作成に関わっている比率は「奨学生本人」33.2%、「本人と親等」21.5%で、合計54.7%である。「書類作成者はわからない」との回答も6.0%みられる。
一方、無延滞者では、書類作成は「奨学生本人」が52.0%と最も高い。
図1-1 奨学金申請時の書類作成者(択一)
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(2)奨学金申請を決めた時期
大学、短期大学、専修学校(専門課程)で奨学金の貸与を受けた者に、奨学金申請を決めた時期を質問した。延滞者、無延滞者ともに「高校3年生の時点」+「高校卒業後」が80%を超えているが、延滞者では「高校卒業後」、無延滞者では「高校3年生の時点」の比率が最も高い。
図1-2 奨学金申請を決めた時期(択一)
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(3)返還義務を知った時期
「申込手続きを行う前」に返還義務を知った者は、無延滞者では89.1%と9割近いのに対し、延滞者では50.5%と約半数にとどまり、申込手続きまでの返還義務の認識が十分ではないことがうかがえる。また延滞者では、貸与終了後に返還義務を知った者の合計は20.7%で、その半数の11.5%は「延滞督促を受けてから」知ったと回答している。
なお、経年変化はほとんどみられない。
図1-3 返還義務を知った時期(択一)
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2.延滞者の状況
(1)延滞が始まった理由(きっかけ)
延滞が始まった理由(きっかけ)は、「家計の収入が減った」が69.2%(複数回答)で最も高く、次いで「家計の支出が増えた」43.0%、「入院、事故、災害等にあったため」19.2%、「忙しかった」14.3%となっている。経年変化をみると、多少の増減はあるものの全体としての傾向は変わっていない。
図2-1 延滞が始まった理由(きっかけ)
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- ※平成25年度までは2つまで選択、平成26年度以降はあてはまるもの全て選択。
(2)延滞が継続している理由
延滞が継続している理由については、「本人の低所得」と回答した者が64.5%で最も高い(複数回答)。次いで「奨学金の延滞額の増加」47.5%、「本人の借入金の返済」30.9%となっている。
- ※「親の経済困難」について、平成25年度以降は「本人が親への経済支援をしている」と「親が返還の約束をしている」の2肢の合計(両方選択者分はマイナス調整)を記載している。
- ※回答比率が10%以上のものを掲載した。
図2-2 延滞が継続している理由
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- ※平成25年度までは2つまで選択、平成26年度以降はあてはまるものを全て選択。
3.返還期限の猶予制度について
(1)猶予制度の認知状況
猶予制度の認知率は延滞者で72.0%、無延滞者で62.8%である。ただし、返還が始まる前までに認知していた比率は、無延滞者では合計で33.0%であるのに対し、延滞者では4.6%と、大きな差がみられる。また延滞者では「延滞督促を受けてから知った」と回答した比率が51.2%で最も高く、貸与の早い段階での制度認知と延滞状況が密接に関係していると認められる。
経年変化をみると、延滞者、無延滞者ともに猶予制度を「知らない」と答える比率が減少してきている。(延滞者:平成23年度56.7%→平成28年度28.0%、無延滞者:平成23年度56.1%→平成28年度37.2%)
図3-1 返還期限猶予制度の認知状況(択一)
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(2)猶予制度をどこから知ったか
猶予制度を「知らない」と回答した者以外に、「猶予制度をどこから知ったか」を質問した。
延滞者は「機構(旧日本育英会)からの通知で」、「相談センターに電話して」、「債権回収会社から」猶予制度を知ったと回答した者が無延滞者よりも多い。一方、無延滞者は「返還のてびきを読んで」、「奨学金申請時・採用時の資料で」、「学校の説明会で」等と回答した者が延滞者よりも多い。これらのことから、延滞者は無延滞者と比べて猶予制度を知るタイミングが遅めであり、かつ受動的であるといえる。
図3-2 返還期限猶予制度をどこから知ったか(あてはまるもの全てを選択。)
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4.無延滞者の状況
(1)延滞経験の有無
無延滞者のうち、過去に「延滞したことがある」者は22.1%である。
図4-1 延滞経験の有無(択一)
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(2)延滞になったことを知ったきっかけ
「延滞したことがある」と回答した者に、延滞になったことを知ったきっかけを質問した。
「機構(旧日本育英会)からの振替不能(延滞)通知」が59.7%で最も高く、次いで「口座残高を確認して」、「機構(旧日本育英会)からの電話」がそれぞれ27.7%となっている。
図4-2 延滞になったことを知ったきっかけ(あてはまるものを全て選択)
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5.各種情報提供の利用状況
(1)日本学生支援機構からの送付文書の閲覧状況
図5-1 日本学生支援機構からの送付文書の閲覧状況(択一)
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(2)日本学生支援機構のホームページの閲覧状況
図5-2 日本学生支援機構のホームページの閲覧状況(択一)
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6.日本学生支援機構の奨学金に対する意識
(1)日本学生支援機構からの情報提供
図6-1 日本学生支援機構からの情報提供(択一)
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(2)奨学金はどのように役に立ったか
延滞者では、「奨学金のおかげで進学可能となった」が58.8%で最も高く、次いで「家計の負担を軽減できた」が50.1%となっている。一方、無延滞者では「家計の負担を軽減できた」が64.7%で最も高く、次いで「奨学金のおかげで進学可能となった」が50.8%となっている。
図6-2 奨学金はどのように役に立ったか(あてはまるものを全て選択)
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- お問い合わせ
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- 独立行政法人日本学生支援機構 奨学事業戦略部 奨学事業総務課
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- 電話 03-6743-6029
- FAX 03-6743-6679
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