事例No.2342(上下肢機能障害)授業補助、試験時間延長、自治体の移動支援事業利用等

事例紹介

事例が起きた時期

令和3年度
発生時期:受験時

事例が起きた学校

私立短大、学校規模:1,000から1,999人

対象学生

学科(専攻):人文科学、年次:1、障害種:肢体不自由(上下肢機能障害)

支援の申し出

1.支援の申し出の受付

  • 支援の申し出:有
  • 申し出を受けた部署(者)入試担当部署
  • 支援の申し出を受け付ける申請書(様式):有
  • ニーズ聴き取りのための面談:実施した

2.支援が必要とされた場面

受験・入学 授業・研究指導 実習、フィールドワーク等 事務窓口での対応 学生寮への入居、施設等の利用やサービスの提供 試験の評価、単位取得、卒業要件等

申し出への対応

1.配慮内容の決定について

  • 配慮の提供に関する学内関係部署の検討・協議:実施なし
  • 配慮内容の決定過程:建設的対話を通じて学生との合意の上で行なった
  • 学内関係部署への配慮依頼文書の配付:実施なし

2.配慮内容決定後のモニタリング・フォローアップ

  • 当該学生に対して、感想・不満等の聞き取りを行なった
  • その後の状況に関して、関係部署(者)に聴取、情報共有を行なっている

相談内容

記入なし

申し出内容と配慮の提供

申し出内容1:授業の準備(座席までの移動、プリント・教科書・筆記用具等の準備)、授業中のノートテイクの補助、授業によってはPC(タブレット等を含む)での入力、プリントの記入欄の拡大、または用紙の拡大

提供した配慮:申し出通りの配慮
配慮内容決定時での合意形成:できた
合意形成できたと考える根拠:こちらの提案を受け入れた
提供した配慮の具体的内容:

  • 英語系科目の授業時には、一定程度の英語知識のある「授業補助者(ランゲージサポーター)」を採用し、板書の記録、課題等の指示のノートテイク、英語のノートテイク、英会話のペアワークについて支援した。
  • 学生が要望する席位置を配慮する。
  • 荷物用机、ヘルパー及び授業補助者用机を設置する。

事後評価:ニーズを満たし、学生も満足している
事後評価の理由・詳細:令和3年度に実施した評価において予定していた支援が実施され、学生・保護者からの不満等の意見はあがらなかった

申し出内容2:授業中の発問に対する返答までの時間の延長(他の学生よりも長めにとってほしい)、授業で使用されたプレゼンテーション資料の配布(できれば事前に)

提供した配慮:申し出通りの配慮
配慮内容決定時での合意形成:できた
合意形成できたと考える根拠:その後特に何も言ってきていない
提供した配慮の具体的内容:

  • 各授業教員が授業内の質問や解答時間、小テストや課題提出期日の延長については可能な限りの配慮を行なった。
  • 授業資料は、プリントで配布またはLMS(ラーニング・マネジメント・システム)に掲載する。資料配布がない場合は、授業進度に沿った予習を担当教員が促した。

事後評価:記入なし
事後評価の理由・詳細:記入なし

申し出内容3:期末考査、小テストなどは、筆記での記入時間の延長(1.5倍程度)

提供した配慮:申し出通りの配慮
配慮内容決定時での合意形成:できた
合意形成できたと考える根拠:その後特に何も言ってきていない
提供した配慮の具体的内容:・定期試験・随時試験については、事務局が別室を用意し、試験監督教員のもと1.5倍の時間で実施した。
事後評価:ニーズを満たし、学生も満足している
事後評価の理由・詳細:単位をおとすことなく、2年生に進級できた

申し出内容4:授業の録音及び撮影

提供した配慮:学校が提案した配慮=他学生に対して禁止しているため、タブレット等の使用によるノートテイクを提案し、納得いただき支援を決定した
配慮内容決定時での合意形成:できた
合意形成できたと考える根拠:こちらの提案を受け入れた
提供した配慮の具体的内容:本人またはノートテイク者がタブレット等の使用によるノートテイクを行なった
事後評価:記入なし
事後評価の理由・詳細:記入なし

申し出内容5:教室間の移動補助、トイレ介助、昼食介助、空き時間の待機付き添い、

提供した配慮:申し出通りの配慮
配慮内容決定時での合意形成:できた
合意形成できたと考える根拠:その後特に何も言ってきていない
提供した配慮の具体的内容:

  • 自治体の移動支援事業によるヘルパーが教室間の移動補助、トイレ介助、昼食介助、空き時間の待機付き添いを行なった
  • 大学事務局で移動を最小限にするため教室割りの設定に配慮した
  • 休憩中のトイレ利用の際は、学科教員が移動とトイレ介助による授業参加の遅れに配慮を行なった

事後評価:ニーズを満たし、学生も満足している
事後評価の理由・詳細:記入なし

申し出内容6:災害(停電)時の上階からの避難(移動)(保護者より)

提供した配慮:申し出通りの配慮
配慮内容決定時での合意形成:できた
合意形成できたと考える根拠:その後特に何も言ってきていない
提供した配慮の具体的内容:

  • 学科教員と事務局で車椅子で避難するか、担架などを使うか等、防災計画を立てて、避難訓練を実施した
  • 健康診断について、集団ではなく個別健診で検査機関と調整し、実施した

事後評価:ニーズを満たし、学生も満足している
事後評価の理由・詳細:防災訓練では大きなトラブルなく計画通りに実施ができた

申し出内容7:校地内の駐車スペースの確保(保護者より)

提供した配慮:申し出通りの配慮
配慮内容決定時での合意形成:できた
合意形成できたと考える根拠:その後特に何も言ってきていない
提供した配慮の具体的内容:キャンパスの入り口の目の前に駐車スペースの確保を行なった。
事後評価:ニーズを満たし、学生も満足している
事後評価の理由・詳細:学生の乗降はスムーズにできた

配慮内容決定後の不服、不満、苦情の申し立て

不服、不満、苦情等申し立て:なかった

その後の経過、課題等

令和3年度に入学し、大きな事故もなく学生は英語を楽しく学修し、2年生に進級している。自治体の移動支援事業の2年目の利用にあたっては高いハードルがあったが、無事承認され、引き続きへルパーによる介助とノートテイク者(改め授業補助者)と教員による学修支援で学びが継続できている。今後は卒業後の進路について本人の希望と保護者等の考えを聞きながら対応と支援を行なって行く予定である。

【参照】