平成28年度調査及び事例収集

はじめに

平成29年7月

平成28年度に施行された「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(以下、障害者差別解消法)」は、高等教育機関(以下、大学等)に障害者差別解消の推進を求めています。大学等は障害等がある学生の個々のニーズに配慮しつつ学生の相談に的確に応じる必要があります。学内における差別解消を効果的に行なうためには、相談窓口の明確化、相談や紛争に対応する職員の業務の明確化、専門性の向上を図ることが求められています。
このような状況をふまえ、当機構はこのたび、「平成28年度 紛争の防止・解決等に関する事例調査」を実施しました。大学等1,180校(大学:782校、短期大学:341校、高等専門学校:57校)、人権及び障害者差別解消法に関する相談機関等2,013機関(国の相談機関:2機関、地方自治体の相談機関:2,007機関、障害学生支援機関:4機関)に対し実施し、調査対象とする期間は過去10年程度までとしました。回収率は大学等が58.6%、相談機関等が21.5%です。
本調査では、紛争事例を「合意形成の有無に関わらず、学校または外部機関等に不服、不満の申し立てがあった事例」と広義に位置付け、紛争事例及び紛争の防止、解決等の参考となる事例の収集を目的としました。なお協力いただいた事例は提出元の了解を得た上でできるだけ多く掲載できるようにしました。
提出された事例を「平成28年度 紛争の防止・解決等事例集協力者会議」において分析した結果、「紛争」「合意形成」「合理的配慮」といった主要な概念、さらに紛争解決に向けたプロセスへの理解が各大学等間で共通認識となっていないことが明らかになりました。そこで事例を公開するにあたり、協力者会議の委員が各領域における主要な概念を解説するとともに、大学等を特定しない形で代表的な事例を取り上げ、障害者差別解消法の趣旨に沿ったコメントを掲載しています。
紛争事例等を蓄積していくことで、紛争の防止や解決に向けた一助となることを期待しています。
事例調査に協力いただいた高等教育機関の皆様、相談機関等の皆様にこの場を借りて感謝申し上げます。

平成28年度 紛争の防止・解決等事例集協力者会議 柏倉秀克(日本福祉大学)

調査概要

対象

1.高等教育機関

1,180校(大学:782校、短期大学:341校、高等専門学校:57校)

2.人権及び障害者差別解消法に関する相談機関

2,013機関(国の相談機関:2機関、地方自治体の相談機関:2,007機関、障害学生支援機関:4機関)

調査方法

調査の時期:平成28年7月1日から8月10日
悉皆調査及び事例提供のお願い

調査票

回答状況

高等教育機関
回答校数 提供事例数 公表事例数
国立大学 65 36 20
公立大学 57 16 14
私立大学 347 145 125
大学合計 469 197 159
公立短期大学 7 0 0
私立短期大学 177 22 18
短期大学合計 184 22 18
国立高等専門学校 34 4 4
公立高等専門学校 3 1 1
私立高等専門学校 2 0 0
高等専門学校合計 39 5 5
高等教育機関合計 692 224 182
相談機関 432 33 28
1,124 257 210

公表事例の内容

事例の発生時期
平成28年度 過去5年以内 6年以上前 記載なし
大学 46 105 9 3
短期大学 6 11 1 0
高等専門学校 1 3 1 0
相談機関 8 17 4 0
公表事例の内容(障害種別)
障害種 高等教育機関 相談機関
視覚障害 7 0
聴覚・言語障害 48 7
肢体不自由 33 4
病弱・虚弱 11 1
重複 4 0
発達障害 31 14
精神障害 36 0
その他の障害 12 1
記載なし 0 1
182 28

高等教育機関の事例内容(障害種別)円グラフ