事例に学ぶ 紛争の防止・解決等につながる対応や取組
事例No.481(発達障害・ASD)
相談内容
授業中にフラッシュバックが起こり、それを振り払うために大声を出してしまう。先生から大声を出したことについて注意を受け、以来、授業に出られなくなった。
申し出内容
インターネットを利用したビデオ通話サービス等を利用した別室での遠隔授業による出席の許可(課題等は後日メール提出)
配慮内容
申し出通りの配慮を提供した。
解説
授業のその教室の場所自体に参加することが、その授業にとっての本質的な要件であるかどうかを考える、という視点は、合理的配慮を考える上で、常に必要な視点です。特定の教室で、特定の講師による授業が設定されている以上、そこに在席して講義を受けることは、学生に対して期待されることですが、障害の状況によって、それがどうしても難しくなることがあり、個別の異なる取り扱いが必要となることがあります。
またその際、教員の考える在席の意義(=単位認定の要件や、授業の円滑な遂行のための教員のニーズ)と、学生の視点からの在席の意義(=学ぶ権利の保障)、両方の視点に立って、その授業の場面に在席することの意義を話し合うか、共通理解を持てるようにコーディネートすることが重要です。
ICTを使って従来は実現できなかった方法で参加できるように調整することは、意義のある選択肢のひとつといえます。もちろん、これ以外にも、授業への参加者に対する啓発によって、もし頻度が極端に多くないのであれば、大声を出すことも許容できる周囲の理解が形成できるか、本人や関係者と相談してみるなど、多様な方法を想定することもまた、意義のあることです。
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