- (目的)
- 奨学金の延滞者および無延滞者の属性を把握し、今後の奨学金回収方策に役立てることとする。
- (調査対象)
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(1)平成26年11月末において、奨学金返還を3か月以上延滞している者(以下「延滞者」という。)を延滞年数および性別で層化し、無作為抽出した19,518人。
(2)平成26年11月末において、奨学金返還を延滞していない者(以下「無延滞者」という。)を学種および性別で層化し、無作為抽出した9,649人。 - (調査方法)
- 質問を記入した調査票を送付のうえ、返信用封筒により返送を依頼した。
- (調査時期)
- 平成27年1月
- (回答受入状況)
抽出人数 | 回答人数 | 回答率 | 参考母数 (平成26年度末) |
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延滞者 | 19,518人 | 3,764人 | 19.3% | 173,190人 |
無延滞者 |
9,649人
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2,170人 | 22.5% | 3,296,320人 |
- ※回答人数には無回答・不明回答を含まない。
- ※本調査は、延滞者のみならず無延滞者の属性についても把握することを目的としているため、今回の調査より調査タイトルを「奨学金の延滞者に関する属性調査」から「奨学金の返還者に関する属性調査」に改める。
結果の概要
1.奨学金申請について
(1)奨学金申請時の書類作成者
奨学金を申請時に実際に書類作成等をした者について、延滞者では「奨学生本人」33.6%と「本人と親等」19.7%の合計は53.3%で、約半数の者しか申請時の書類作成に本人が関わっていない。無延滞者では「奨学生本人」55.4%と「本人と親等」22.3%の合計は77.7%となり、4分の3の者が申請時の書類作成に本人が関わっている。奨学金申請時から書類作成を通じて本人が主体的に関わっていない場合は、関わっている場合に比べて延滞となる傾向があることがうかがえる。
図1-1 奨学金申請時の書類作成者(択一)
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(2)奨学金申請を決めた時期
大学、短期大学、専修学校(専門課程)で奨学金の貸与を受けた者に、奨学金申請を決めた時期を質問した。延滞者では「高校卒業後」と回答した者が38.8%で最も高く、無延滞者では「高校3年生の時点」と回答した者が44.0%で最も高い。
図1-2 奨学金申請を決めた時期(択一)
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(3)返還義務を知った時期
延滞者では「申込手続きを行う前」に返還義務を知った者は、過半数以下の49.5%であるのに対し、無延滞者では90.3%で無延滞者の方が40%以上高い。一方、貸与終了後に知った者は、延滞者では合計で19.8%となり、無延滞者の1.0%に比べて18.8%高い。延滞者は無延滞者に比べて、申込手続き時点での返還義務の認識が十分ではないことがうかがえる。
図1-3 返還義務を知った時期(択一)
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2.延滞者の状況
(1)延滞が始まった理由(きっかけ)
延滞が始まった理由(きっかけ)について、本人の経済状況をあげる者が多い傾向は、この数年間変化はない。平成26年度は、「家計の収入が減った」が69.4%で最も高く、次いで「家計の支出が増えた」41.9%となっている。「忙しかった」、「返還を忘れていたなどのミス」と回答した者も10%以上いる。
図2-1 延滞が始まった理由(きっかけ)
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(2)延滞が継続している理由
延滞が継続している理由については、「本人の低所得」と回答した者が51.6%で最も高い。「本人の借入金の返済」、「親の経済困難」、「奨学金の延滞額の増加」と回答した者が増えたことについては、今回の調査から回答数の制限をなくしたこと(平成25年度までは2つまで選択、平成26年度はあてはまるもの全て選択)が影響していると考えられる。
図2-2 延滞が継続している理由
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(3)今後の返還の見通し
延滞者に対し、現在における返還の見通しについて質問した。
「決められた月額等を返還できると思う」と回答した者は29.8%に対し、決められた月額等より少ない金額で返還できると回答した者(「半額より多く」+「半額程度」+「半額以下」)の合計は51.3%と過半数を超えている。
図2-3 今後の返還の見通し(現在における返還の見通し)
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3.無延滞者の状況
(1)延滞経験の有無
無延滞者に過去に延滞の経験があるかどうか質問した。
「延滞したことがある」者は21.2%となっている。
図3-1 延滞経験の有無(択一)
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(2)延滞になったことを知ったきっかけ
(1)で「延滞したことがある」と回答した者に、延滞になったことを知ったきっかけを質問した。「機構(旧日本育英会)からの振替不能(延滞)通知」が78.7%で最も高く、次いで「機構(旧日本育英会)からの電話」が34.3%で高い。
図3-2 延滞になったことを知ったきっかけ(あてはまるもの全て選択)
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4.日本学生支援機構の奨学金制度に対する認知状況等
(1)返還期限猶予制度の認知状況
今回の調査から、「知っている」を「奨学金に申し込む前から知っていた」、「返還が始まる前までには知っていた」、「返還が始まってから知った」、「延滞督促を受けてから知った」の4種類に分割し、「知らない」と併せて5肢の選択回答とした。
返還が始まる前までに認知していた者は、無延滞者では34.1%であるのに対し、延滞者では4.8%で、延滞者と無延滞者では認知時期に大きな差がみられる。延滞者では「延滞督促を受けてから知った」と回答した者が44.1%で最も高い。貸与の早い段階での制度認知と延滞状況が密接に関係していると認められる。
従来の「知っている」、「知らない」の2区分でみると、今回の調査では過去3年間の結果に比べて、延滞者、無延滞者ともに猶予制度の認知度は10%以上高くなり、大きく改善している。
図4-1 返還期限猶予制度の認知状況(択一)
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(2)返還期限猶予制度をどこから知ったか
延滞者は「機構からの通知で」、「相談センターに電話して」、「債権回収会社から」猶予制度を知ったと回答した者が無延滞者よりも高い。無延滞者は「返還のてびきを読んで」、「奨学金申請時・採用時の資料で」、「学校の説明会で」猶予制度を知ったと回答した者が延滞者よりも高い。
図4-2 返還期限猶予制度をどこから知ったか(あてはまるものを全て選択)
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(3)減額返還制度の認知状況
減額返還制度について、「知っている(よく知っている、だいたい知っている)」と回答した者は、延滞者21.8%に対し、無延滞者38.8%で無延滞者の方が17.0%高い。
図4-3 減額返還制度の認知状況
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(4)日本学生支援機構からの情報提供
図4-4-1 日本学生支援機構からの情報提供は十分である(択一)
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図4-4-2 日本学生支援機構からの送付文書類の閲覧状況(択一)
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図4-4-3 日本学生支援機構のホームページの閲覧状況(択一)
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図4-4-4 スカラネット・パーソナルの認知状況(無延滞者のみ)(択一)
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- お問い合わせ
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- 独立行政法人日本学生支援機構 奨学事業戦略部 奨学事業総務課
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- 電話 03-6743-6029
- FAX 03-6743-6679
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