事例No.387(その他の障害)入学後に授業、実習、行事が新校舎に移行したが、アレルギーのため参加困難

【事例紹介】

事例が起きた時期

平成28年度
発生時期:授業開始後

事例が起きた学校

私立大学、学校規模:500から999人

対象学生

学科(専攻):芸術、4年次、その他の障害

支援の申し出

1.支援の申し出の受付

  • 支援の申し出があった
  • ニーズ聞き取りのための面談を実施した
  • 申し出を受けた部署(者):保健管理部門

2.支援が必要とされた場面:授業・研究指導

相談内容

本学生が2年次の後期に、大学の授業棟として新校舎が完成した。以来、ほぼ全ての授業が新しい校舎で行なわれるようになったが、学生は敏感なアレルギー体質のため何かの建材に反応し、短時間校舎に入っただけで、全身の湿疹・痒みなどひどいアレルギー反応の症状が出てしまう。(病院では「シックハウス症候群」と診断を受けた。)しかし転学等は希望せず、このままこの大学で勉強し卒業したい。新校舎では授業に出られないので、別のキャンパスにある旧校舎で個別に授業を受けるか、自宅でできる課題を出してもらうなどして単位をとりたい。専門実技や学科などの試験や、卒業式も別の校舎で参加させてほしい。校舎の掲示を見にこられないので別の手段で個別に連絡してほしい。

申し出内容と配慮の提供

申し出内容1:他の校舎で個別に授業を受けたい

決定した配慮内容:可能な限り、別の校舎で個別に授業を行ない、できない科目は個別に課題を出して提出させ添削等の形で指導を行なう。希望する場合には授業の録音も許可した

配慮内容の決定について

  • 配慮の提供について学内の関係部署による検討・協議を行なった
  • 配慮内容の決定は建設的対話を通じて学生との合意の上で行なった
  • 配慮内容の決定は学校が行ない、学生には決定後に通知した
  • 決定した配慮内容について学内関係部署に配慮依頼書を配付した
  • 関係部署(者)に対してその後の状況に関して情報共有、聞き取り等を行なっている


協議に参加した部署(者):障害学生支援部署、教務担当部署、教育部門(学部・学科、担当教員等)、保健管理部門、学生相談部門

配慮内容決定後のモニタリング・フォローアップ

  • 配慮を提供した学生に対して、感想・不満等の聞き取りを行なった
  • 配慮を提供した学生に対して、定期面談を行なっている

申し出内容2:試験や行事も別の校舎で参加したい

決定した配慮内容:申し出通りの配慮を提供した

配慮内容の決定について

  • 配慮の提供について学内の関係部署による検討・協議を行なった
  • 配慮内容の決定は建設的対話を通じて学生との合意の上で行なった
  • 配慮内容の決定は学校が行ない、学生には決定後に通知した


協議に参加した部署(者):障害学生支援部署、学生生活支援担当部署、教務担当部署、教育部門(学部・学科、担当教員等)、保健管理部門、学生相談部門

配慮決定後のモニタリング・フォローアップ

  • 配慮を提供した学生に対して、感想・不満等の聞き取りを行なった
  • 配慮を提供した学生に対して、定期面談を行なっている

申し出内容3:学校の情報をもれなく確認できるように個別に連絡してほしい

決定した配慮内容:ウェブサイトに掲載された情報は自分で確認し、それ以外の情報は可能な限り学校から連絡する。同じ授業を履修する友人にフォローしてもらう、掲示を見てもらうなど、自分でも注意して漏れのないようにする

配慮内容の決定について

  • 配慮の提供について学内の関係部署による検討・協議を行なった
  • 配慮内容の決定は建設的対話を通じて学生との合意の上で行なった


協議に参加した部署(者):障害学生支援部署、教務担当部署、教育部門(学部・学科、担当教員等)、保健管理部門、学生相談部門

配慮決定後のモニタリング・フォローアップ

  • 配慮を提供した学生に対して、感想・不満等の聞き取りを行なった
  • 配慮を提供した学生に対して、定期面談を行なっている
  • 関係部署(者)に対してその後の状況に関して情報共有、聞き取り等を行なっている

配慮内容決定後の不服、不満、苦情の申し立て

1.申し立て

申し立てを受けた部署:学生相談部門
申し立て内容:実技試験の個別対応の手配(日時・場所など)について通達がこない

2.申し立てへの対応

申し立ての対応に関わった部署(者):教務担当部署、教育部門(学部・学科、担当教員等)、学生相談部門
申し立てへの対応手順:申出を受けた学生相談室から担当部署(事務局教務課および専門部会)に連絡し状況を確認、対応の要請と事後フォローを行なった
申し立てへの対応内容:申出を受けた学生相談室から担当部会の教員に確認したところ、試験に関する業務担当者のミスで個別対応の手配がされていなかったことがわかった。急遽、本人が受験できる別会場の他試験の前に入れて受験できるようにしてもらった。担当の教員からも本人にフォローされた
対応に対する学生の反応:納得して、問題なく修学している

その後の経過、課題等

在学期間の途中で新校舎が完成し、入学時には思いもよらなかった、新校舎の建材による強いアレルギー反応が卒業まで続いたため、その時々で本人の要望を聞き担当部署や教員との調整を重ね、できる限りの対応を行なった特殊なケースである。「校舎に入れない」ことの影響は大きく、できるだけの配慮で個別に対応しても、他の学生と同等の機会を全て提供することは不可能であった。個別に課題を出しても通信制大学のようなカリキュラムはないので、結果本人の満足度もかなり低いレベルでの受講を受け入れざるを得ない科目もあり、勉学意欲の低下もみられた。その困難がある程度は予測できたので、学生相談室では早い時期から、転学や留学の可能性も含めて何度も相談を行ったが、本人の「この大学で勉強し卒業したい」という意思が固く、結局、とても苦労をして卒業までこぎつけた。支援者としては、本人にとってこれが最善の道であったのかという思いが残るケースであった。本ケースのように、入学時には存在しなかった配慮の必要が在学の途中で発生した場合、学校としてできるだけの配慮を提供すべく努力する一方で、そのリスクがあまりにも大きい場合は、本人に対して、益となりうる全ての方法(進路)を検討し最善の判断ができるための支援も必要である。

【参照】