一緒に考えよう!合理的配慮の提供とは
「障害者差別解消法」施行に伴い、全ての大学等についても、不当な差別的取扱いが禁止され、合理的配慮の提供が求められています。では、どんなことが不当な差別的取扱いにあたるのか、合理的配慮とは何なのか、その基本的な考え方について、わかりやすく解説します。
第2回障害理解について(2)社会モデルの考え方等
ファシリテーター
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ワークショップの参加者は、いずれも、大学の障害学生支援の実務担当者です。
検討課題
- 1. 性別違和は障害か
- 2. 性別違和の学生が直面する社会的障壁
- 入学後、すぐに対応が必要な課題
- 授業、実習等で生じる課題
- 学外への情報発信、情報開示等に関する課題
参加者紹介
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性別違和は障害か
Bさん: 最近よく話題になるLGBTのT、トランスジェンダーですよね?これは障害なんでしょうか。実際「我々は障害者ではない!」と発言している当事者をテレビで見たこともあります。障害学生支援室が扱う問題なのかというところが、ちょっと疑問なんですが。
ファシリテーター:性別違和がいわゆる障害かどうかについては専門家の間でも議論があります。そこで重要なのは「社会モデル」の考え方です。「社会モデル」とは、「機能障害」ではなく「社会的障壁」の問題性に着目する視点です。性別違和のある学生の直面する社会的障壁の問題性に着目し、教育を受ける同等の機会を保障していくことが重要となります。
学生生活上の支援
Bさん:ほかにはどんな対応が必要になりますか。ウチではまだそういう学生からの申出は受けたことがないので、ぜひ教えてください。
ファシリテーター:公的な書類における氏名や性別をどう扱うかは、学校によっても判断が異なるでしょうね。以前、卒業証書を通称名とした大学のことがニュースで話題になったことがありますね。ほかにも、必要な配慮は何かありますか。
学外への情報発信、情報開示等に関する課題
Aさん:はい、この事例の学生の場合、学内の授業でも、一つ懸案になっていることがあります。この学生が履修している中に、発表課題のある授業があるんですが、声を出すと周囲の学生にわかってしまう可能性があるので、発表課題を免除してほしいという申出があったんですね。でも、この学生だけ発表を免除すると、ほかの学生にも説明が必要になってしまいますし、かといって発表させてしまうと、これまでずっと周囲の学生には開示せずに通称名で通してきたことが無になってしまいます。授業の先生からは、発表課題そのものをやめて他の課題にするという意見も出たのですが、学部では、それでは教育の目的が果たせなくなるという意見もあって、まだ結論が出ていません。
Cさん:就職活動でも同じような問題が出てきます。成績証明書や健康診断証明書は、基本的にはやはり戸籍上の氏名で出すことになりますから、就職を希望する企業には情報開示せずに、というわけにはいかないだろうし。
ファシリテーター:いろいろな事例やご意見をありがとうございました。性別違和のある学生が学生生活を送る上で、様々な社会的障壁があることがよくわかりました。こうした障壁を一つ一つ取り除いて、他の学生と同等に修学できる環境を整えていくためには、いろいろと創意工夫も必要だということだと思います。また、情報開示の問題や他の学生への影響なども含めて、検討すべき課題もありました。今年7月、お茶の水女子大学が、「自身の性自認にもとづき、女子大学で学ぶことを希望する人(戸籍上男性であっても性自認が女性であるトランスジェンダー学生)の受入を決定した」と発表しました。これから設備整備などの準備を始め、2020年度の入学者から受入を実施するそうです。性別違和のある入学希望者が皆さんの学校の門戸を叩くことも、今後はそう特別なことではなくなっていくかもしれません。本コラムでの検討が皆さんの参考になれば幸いです。
以上の点について、詳細は、以下の「紛争の防止・解決等のための基礎知識(1)大学等における基本的な考え方」でも解説していますので、ご参照ください。
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